大学生であるユージはある時から他人を凝視すると頭の上に数字カウントが薄らと見えるようになった。それは「不幸カウント」というものであり、その人にこれからふりかかる不幸の度合いを表示している。また数字が赤色に染まると死に至る。
ユージは自分の不幸カウントの数字を見ることが出来るため要領よく不幸カウントを消費する術を覚え大きなトラブルに見舞われることもなく平穏に過ごしていた。
しかし、同じ大学に通うマナミと付き合いだしてからユージの不幸バランスが大きく狂い始める。

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人間不幸カウント

不幸カウントというモノ。

ユージはある日その存在に気が付いた。

人を凝視すると頭の上に数字カウントが薄らと見えるようになった。

鏡を凝視すれば自分の数字カウントも見える。

その数字カウントが不幸カウントというものであることは、その後の経験で徐々に理解していった。

 

不幸カウントとは、その人にこれからふりかかる不幸の度合いを示したものだ。

 

例えばこんな感じだ。

ある朝自分の頭の上に不幸カウントが浮かんでいたことがあった。その数字カウントは80だったが、それから間もなくして当時付き合っていた彼女に一方的に分かれを告げられた。そして不幸カントは不幸が完了すると0にもどる。このような単純明快なシステムである。

 

また数字カウントは薄いブルーだが、リトマス紙のように薄い赤色に変色するときがある。赤の999、これはやばいサインである。

 

ユージが友人と会ったときのことだった。

その友人の頭の上を凝視してみると不幸カウントは999で色が薄い赤色だった。それまで見たことがないパターンだった。

何日か後その友人が交通事故で死んだとの知らせを受けた。

バイクでの事故死だったという。赤の999は「死」のサインである。ユージはその時そう理解した。

 

いろんな人を凝視して、赤の999を見つけて注意を呼び掛ければその人を「死」から救うことができるかもしれないが、ユージはそれをしようと思わなかった。それはおそらく絶対にしてはならないこと。その人の運命を狂わせることでもあるし 自然の摂理に反するタブーなのではないかと勝手に自己解釈していたからだ。

 

カウントが見えるということはこれからの不幸を予知できるということだ。あとはそれがどんな不幸かを予め知ることさえ出来れば一生平穏無事に暮らすことができることになる。

しかし、どんな方法で知ることができるだろうか。頭の上に表示されるのはただの数字だ。そこから起こりうる不幸の内容まで知ることは出来るだろうか。いや数字の単体はそもそも意味を持たなないものである。

それまでの生活過程の脈絡から割り出せる不幸、例えば余命が短いと宣告されている人がある日死を迎えるような不幸はともかくとして、想定外の不幸を予知することは出来ない。たとえ予知できたとしても、とても極端な例でいうと、地球を滅ぼすような巨大隕石の衝突を予知できたとしてそれがどうなるだろうか。つまりは不幸を予知できたとしてもそれは予定調和によって起こるものであって結局は回避はできないものだ。

 

故にユージは不幸の具体的内容まで予知することは過去の過程のデータを多く必要とし、たとえ予知できたとしても絶対不可避なものも存在すると考えていた。

 

そして今度は「不幸」を擬人化し分析を試みた。

不幸という奴はは人に忍び寄り災いを及ぼす。不幸というのはいろんな性質の奴がいて、いつどんな奴が近寄ってくるかは分からない。

しかし、不幸をこちらから選択し、あえて近寄っていけばいいのではないか。不幸の来訪に対して受動的になるのではなく、こちらから不幸を選択し迎えに行くのである。なるべく被害が少なそうな奴を選び、不幸カウントを消化すればいいのである。

 

そしてユージが選択した不幸はパチンコや競馬で損をすることだった。単純な発想であった。痛い出費であるが、怪我とか病気になるよりかはマシと思った。

果たしてその方法は正しかった。

頭の上に不幸カウントが浮かんだ日にパチンコ屋に行きパチンコ台の前に座り遊戯を始めた。瞬く間に手持ち金がなくなっていく、するとパチンコ台のガラスに映る自分の頭の上の数字がどんどん減っていく。何万円分かスった後、数字カウントは0になっていた。

 

不幸カウントの消費はその内容はなんであろうと判断されないシステムのようだ。自動精算機にお金を入れるにあたって、そのお金の出所はいちいち問われないだろう。そんな感じがする。

 

それからというもの、ユージは毎朝鏡で不幸カウントを確認し、数字が高いときはパチンコにいって、不幸カウントを消費し数字を0に調整していた。

ユージはパチンコで一度も儲けたことがない。必ず損をしてきた。パチンコとは損をするものだ。統計学的にもやり続ければ必ず損をすること証明されている。ユージはこれを逆手に利用したのだ。

ユージは、不幸カウントをいつも0にキープするよう心掛けた。

それによって大きな不幸に見舞われることなく平穏無事に生活を送ることができた。

 

それから1年くらいたったときのこと。

平和な暮らしが続きいつの間にか不幸カウントのことを意識しなくなったころ、ユージに新しい彼女が出来た。

名前はマナミという。年齢は1つ下。美人でスタイルもモデル並み。大学の友人達はとても彼を羨んだ。アプローチは彼女の方からだった。なぜこんな自分に不釣り合いの人と付き合えるのかユージにも不思議であった。しかし、マナミとの付き合いはユージにとって幸福の始まりであったが、不幸の始まりでもあった。マナミと付き合いだしてからというもの、完治していたはずの喘息が再発したり、感染症を何度も患ったり等の不幸か相次いだ。

 

ユージはふとある不安に駆られた。

自分の不幸カウントのことである。

ユージは鏡を凝視した。不幸カウントを見るのは久しぶりである。

 

鏡の中の自分の頭の上の数字を見てユージは驚いた。

不幸カウントが一気に200に上がっていた。

あわててパチンコ屋に行き相当の金を使ってあえて損をして懸命にカウントを減らしても、一時的には0に減らせるが、またすぐに200に戻るのである。

 

〝急に不幸が立て続けに起こるようになった。どうしてこうなったのか。おそらくこれは彼女と合っていることが原因なんじゃないか。時期的に考えてみると。″

〝パチンコによるカウント消費も効果が薄い。この不幸カウントを減らす方法はないだろうか。″

〝彼女と別れるべきか。多分別れれば元にもどるだろう。いや別れたくない。せっかくつかんだ幸せだ。絶対放すものか。″

ユージはマナミとの付き合いを続けることにした。

 

その後もユージに不幸が立て続いた。

満員電車で痴漢と間違われ、冤罪を証明できず大学は退学処分。決まりかけた就職先の内定も当然取消しである。その後の裁判で相手方への慰謝料として150万円の支払い命令を出される。

そしてユージの不幸カウントはいつの間にか平常時は800ぐらいになっていた。

ユージは常に多くの不幸カウントを持ち、常に身の回りにトラブルが起こりカウントを消費しては、すぐにまた数字が元通りの数字まで増えていく。もうパチンコで損をするくらいでどうにもならなかった。さながら返済に行き詰り自転車操業をしている債務者のようであった。

 

ただ闇の中にも光明あり。ユージは小まめにカウントを消費することによって死ぬことはないということも分かった。

例えば、何度も小規模の地震が起きている地域はなかなか大きな地震が起きにくく、何百年も地震が起こらなった地域の場合、蓄積されたエネルギーが一気に放出して大きな災害を起こすように、不幸カウントも小まめに消費していれば、大きな不幸に見舞われることがないのである。

ユージはパチンコでの損を続けた。あらゆるところから借金し続けた。その甲斐あってかユージは不幸が続こうとも何とかマナミとの関係を維持してとりあえずの生活を続けることができた。

 

マナミはというとどんな時もユージを懸命に支え続けた。ユージが周りから犯罪者よばわりされようともマナミは彼を信じ続けた。ユージは借金まみれになり、家族も友人も痴漢裁判の頃からユージの周りから一人もいなくなっていったが、マナミだけはユージのことを信じ傍から離れることはなかった。

ユージはたしかに不幸であったがマナミのおかげで幸せに暮らしていた。

マナミにとってもユージは心から信頼できる初めての人であった。

マナミには家族がいない。中学生の時、家族旅行に行った時に搭乗していた飛行機が墜落し、マナミの家族を含む乗客乗員はほぼ死亡。マナミを含む数名だけが奇跡的に助かったのだ。

それからというものマナミに関わる人はすべて不幸がふりかかり、自然マナミは周りの人から忌み子のように扱われ敬遠されるようになった。

最初は彼女の美しさに惹かれて近寄ってくる輩も結局は彼女から離れていく。マナミもなるべく他人とは関わらないように生きてきた。が、ユージだけは違った。初めて自分の方からアプローチをかけた。彼を不幸にしてしまうと分かりつつも彼に近寄っていった。なぜユージに惹かれたのかはわからない。ただこの人は自分を絶対に捨てたりしない人ということは直観でわかった。マナミはマナミでユージがそばにいてくれるだけで至極幸せを感じていた。

 

あれから1年

ユージの頬はこけ白髪も増えまだ20代前半にはとても見えなかった。

ユージの不幸カウントは最大表示の999を表示していた。しかし色が赤く染まったことは一度もなく、いつも青のままだった。

マナミは傍にいた。

マナミとは同棲するようになっていた。

小汚いアパートでの同棲であった。

ドア越しの借金取りの怒鳴り声に怯え身を隠しながらの生活であった。

 

しかしマナミはいつも明るく幸せそうである。

それに、出会った頃よりも一段と美しさを増したようにも思えた。

 

「マナミ、明日上野公園に花見にでもいこうか。」

そんなことをユージは聞いてみた。

「いいよ、楽しみにしている。」

マナミは明るく答えた。

 

〝ところでマナミの不幸カウントっていくつなんだろう″

 

ふとユージは気になった。ユージはこれまで一度もマナミの不幸カウントを見たことがなかったのである。付き合いだした時から〝自分の彼女だけは大切にしたい″という思いがあり、他の人の不幸カウントは覗き見していいけど、マナミのカウントは覗き見するのには罪悪を感じ、これまで決して見ることはなかった。しかし心身ともにボロとなった今となっては、そのような崇高な思いはどこかへ消えてしまっていた。

ユージはマナミの頭頂部を凝視してみた。

すると薄らと数字が浮かんで見えた。

 

「999」

 

しかし驚きはこれだけではなかった。

ユージは青ざめ狼狽した。

数字の色は色濃い赤だった。

「ユージ、私の顔になんかついているの?さっきからじっと見て。」

マナミは愛らしくユージの顔を覗き込むように聞いてきた。

「いや、何でもないよ」

ユージは必死に冷静を取り繕った。

「ユージ、何か顔色悪いよ」マナミが心配そうに声を掛ける

「ちょっと外に行って、ビールでも買ってくるね」

ユージは慌てるように玄関を出て行った。

 

家から近い公園に行きベンチに座ってスマホで「不幸カウント」と入力し検索を始めた。マナミを助ける方法がわかるかもしれないと思ったからである。藁をもつかむ思いだった。検索サイトの質問Q&Aにも質問欄に「不幸カウント」についての自分が今まで調べてきた詳細を記し、何かしらの返事を待った。しかし当然何ら手がかりを得ることが出来なかった。

 

そして、ふと顔を上げると、夕焼けを背にして見知らぬ黒メガネの会社員風の不気味な男がユージの前方にいる。男の影が細長くユージを突き刺すように伸びている。男はユージをじっと見ていた。血の気のないカエル顔、あいているのか分からないくらいの細い目。耳元まで裂けているかのような大きな口、背は150cm程の小太りの中年小男である。

男は足音もなく静かに歩み寄った。

「すこし、お時間よろしいですか。」

男の口は不気味な笑みを浮かべていた。

怯えたユージに、

「あなたには人の数字が見えるのですよね。」

と男はささやくように言った。

「ずっと、あなたを探していました。不幸カウントが見えるあなたを。あなたがスマホで検索してくれたおかげで見つけることが出来ました。随分時間がかかりました。」

「あなたは?」ユージはベンチから立ち上がり少し後ずさりながら尋ねた。

「私は人間管理組合の者です。人の世が平穏に保たれるように監視をしている。いわゆる…神様ってところでしょうか。ぷっ。」

男は何がおかしいのか、自分の言ったことに吹き出した。

「は?神様?何を言ってるんですか。」

「はい、私は神様ですし人間の管理者です。ぷっ。あなたの視覚機能が誤作動を起こしているので修理の為に伺いました。」

「修理だって?」

「はい、あなたは人の頭の上に数字が見えますよね。あれは本当は見えてはいけないもの。もし見えた数字を勝手にその人もしくは他人に口外すると、個人運命情報漏洩の罪でその人を消去、つまりは死罪にしなくてはならないんですよ。ユージさんの場合見えた数字の事は他人に洩らさなかったようですが。それが正解でしたね。ぷっ。」

男は薄気味悪い笑みを浮かべながら淡々と話した。

ユージは驚きながらも男のいうことを黙って聞いていた。

 

「不幸カウントについての解釈は先程あなたが検索サイトのQ&Aで記した通りです。よく調べましたね。よく当たっています。では、早速あなたの視覚機能を修理させて頂きます。これによってあなたは不幸カウントを見ることは出来なくなります。こんなもの見えなくなった方がいいんです。見えてしまうと、より「不幸」というものを意識するようになり、かえって「不幸」をどんどん呼び込んでしまうのです。マナミさんがあなたに惹かれたのもきっとその作用だと思いますよ。ぷっ。でもマナミさん。もうじき亡くなりますね。999の赤ですから。」

男は最後の一言をあっさりと言ってのけた。無機質な口調だった。

当然ユージには分かっていることである。別段驚きはなかった。

「マナミさんもうじき死にます。マナミさんはもうとっくに死んでいてもおかしくない運命だったんです。ぷっ。」

男は説明を続けた。

「でも、マナミさんに蓄積されていく不幸カウントが、ユージさんの不幸カウントに勝手にポイント移動していたんです。これも誤作動のうちです。さっきも言いましたがあなたは不幸を呼び込みやすくなっていますからそれが原因だと思います。だからマナミさんは不幸カウントをいつも消費出来ていたんです。だからユージさんと一緒にいる間は何事もなく生きてこられたのです。マナミさん、要領よく自分では自分の不幸カウントの消費することが出来ないんでしょうね。無意識に人に自分の不幸を移譲して生きながらえてきた。

 

でももうだめです。

 

マナミさん近いうちに間違いなく死にます。ぷっ。ユージさんを修理すれば彼女は自分の不幸の移譲ができなくなる。ぷっ。」

「じゃあ、こうすればいい、修理をぜずに自分がパチンコ、いやラスベガスでも言って1千万くらい、大負けすればいいんじゃないか。金を借りまくってやる。」

ユージは男に周りを気にしないくらいの大声で言った。目には涙が浮かんでいた。

「そんなこと本当に出来ると思っていますか。ぷっ。」

男の語り口は楽しげである。

「じゃあ、修理を始めます。修理終わればマナミさんからユージさんへの不幸カウントの移動もなくなり、あなたは昔の平穏な暮らしに戻れます。」

「まっ待ってくれ、マナミを救う方法はないのかよ。」

ユージは男に詰め寄った。男はニヤけた表情をやめて真面目な表情になった。

「あるには、あるけど、とてもすすめられないね。これやった人は歴史上でも1人か2人。そしてその人は英雄になれたけど最後は悲惨な最期。ぷっ。」

「何でもいいよ。たのむ説明してくれ。どんな方法なんだ。」ユージは懇願するように男に詰め寄って言った。

「方法とは不幸カウントの分割消費を利用すること。この方法によってより多くの不幸を背負うことができます。買い物の分割払いと一緒ですよ。ぷっ。」

「分割消費って?」

「これからマナミさんに蓄積されていく不幸カウントを分割してユージさんが消費していくのです。分割払いだから利息分も上乗せされます。支払期間は一生になると思います。そして日々不幸カウントを急いで消費していかないと利息に利息がついていきます。それに一度の返済つまりカウント消費量も過大なものとなり、それはユージさんの命を奪うことになるかもしれません。今まで以上の悪災が次々とあなたに襲い掛かります。幸せは今後あなたには一度も訪れないと思います。これからの人生は不幸しかない生き地獄です。自殺も許されません。それでもよろしいですか。ぷっ。」

男はニヤけながら言った。

「構いませんよ。」

ユージに迷いはなかった。今のユージにはマナミしかいなかった。

マナミの為なら自分はどうなってもいいと本気で思っていた。

「わかりました。」

男は持っていた手提げカバンから紙一枚と万年筆を取り出しユージに手渡した。

見たことのないローマ字のような字で何やら書いてあった。

「マナミさんからユージさんへの不幸カウントの移譲と、ユージさんの不幸カウントの分割払いについての内容確認書です。サインをお願いします。」

ユージは渡された万年筆でさっと署名欄にサインをして男に確認書を渡した。

サイン済みの確認書を受け取った男は確認書をさっとカバンに入れた。

「よろしい、只今をもってマナミさんの不幸カウント数はゼロになりました。今後のマナミさんにかかる不幸カウントも、自動的にユージさんに移譲されます。ユージさんこれから降りかかる不幸は他人をも巻き込むくらいの大きなものです。もう今からでもマナミさんに近づかない方がよろしいでしょう。ではさようなら。」

辺りは既に暗くなっていった。男は夜の闇の中に溶け込むように姿を消していった。

 

そしてユージはそのままマナミのところに帰らず、それきり行方知れずとなった。

 

 

あれから10年が過ぎた。

上野公園の桜は満開の時期を迎えていた。

マナミは夫と娘と花見に訪れていた。

上野公園は多くの花見客で賑わっていた。

三人で公衆トイレの脇を通りかかったときである。

公衆トイレの脇に積み上げられたゴミをあさっている乞食がいた。

「まったく汚ねえな」

乞食の行いを見て夫は呟いた。

近くにいた清掃員は竹ほうきで犬を追い払うようにその乞食を追い払った。

その時マナミは「あっ」と声を上げた。

 

その乞食にはどこかあの人の面影があったからだ。

頭頂部は禿げて髪とひげは伸びに伸びて歯は何本も欠け落ちていたが、その乞食はあの人に似ていた。

 

「ユージさん。」

 

マナミは乞食に声を掛けた。

乞食は不思議そうな顔でマナミを少し眺め、そしてすぐにまたゴミ袋をあさりはじめた。

「なんだよ。まさかこの乞食マナミの知り合いってことはないだろうな。」

夫は露骨に嫌な表情を浮かべながらマナミに言った。

「ううん、私の勘違いみたい。」

「ママあっち行こっ!あっちでバナナチョコ売ってる。」

マナミ達親子三人はその場から歩き出した。

 

夜になった。

まだ上野公園は花見客で賑わっていた。

さっきの乞食は桜の木の下に腰かけ、先ほどゴミ袋からあさった食べ残しを肴に桜を眺めていた。

「何、この乞食、桜を見ながら一人で笑ってるの。気持ち悪い。」

通りかかった若い男女の女の方が乞食をみてそう呟いた。

 


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