しかし、今の彼はいつもと異なっていた。
怒りに燃え、冷静さを失っている陵牙。
彼をそこまで駆り立てたものとは?
お待たせしました、第8話です!
感想、評価の他に活動報告で行っているアンケートにも答えていただけると嬉しいです!
狼牙竜「感想が欲しい…」
陵牙「もっといい作品作るしかないだろ?」
ごもっともです…
俺はネプギアからの連絡を受けて、教会から借りたバイクで戻ってきた。
「あ、陵牙…」
ネプテューヌが俺を見るが、一瞬ギョッとする。しかし、俺は気にも留めずにネプギアとユニちゃんの前に立つ。
「教えてくれ。誘拐犯はどんな見た目だった?」
ネプギアもユニちゃんも俺を見ると怯えて声が出なかった。
しかし、それにすら気が付かないほど俺は焦っていた。
「教えてくれ!場合によっちゃあの二人の命が危ないかもしれないんだ!」
すると、ノワールが目の前に立ち、俺の両肩を掴む。
「とにかく落ち着きなさい!陵牙、何かあったの?」
その言葉で、俺はとりあえず心を落ち着けて説明した。
「………例の指令書のことを調べて…この町で起きていた誘拐事件の犯人の使っていたアジトを発見した…」
そのことに驚いていたベールさん。
「…だけど、そこには犯人はもういなかった。代わりに………被害者の…」
その言葉で皆は悟ったのだろう。
「現場に残っていた残留思念から、犯人の姿が見えたよ。ホラーになる前から怪物みたいな姿だったこと、舌を武器に使う奴だった」
「それって…!」
ネプギアが立ち上がり、説明する。
「ロムちゃんとラムちゃんを連れて行った怪物と、特徴が同じです!」
この会話で、今回の事件の犯人がホラーであることが確定した。
「だったら、すぐに助けに行く必要があるかもしれない。ホラーがいつまでも二人を生かしているとは思えないからな」
「それもだけど、今はブランのほうも心配だよ…」
「…そうだな」
そうだ。ブランさんが一番辛いはずだ。誘拐の原因には今回のことを警戒しなかった俺もあるかもしれない。
「だったら、ブランにもちゃんと謝らないといけないわね。私達の監督不行き届きもあるわけだし」
「ノワール…」
ノワールのまっすぐな目に俺も立ち上がる。
―――――――
「そう言われましても、誰も通すなとブラン様から申し付けられていますので…」
俺たちはブランさんの部屋の前に来たが、メイドさんがドアの前に立って入れないようにしていた。
「え~!?私達女神仲間なんだからいいでしょ!」
「いえ、女神様といえど…」
「せめて、俺も力になりたいんです!今回の犯人のことも独自に調べて分かったんです!」
「それに関しても、すでに警備兵を総動員させて捜索中ですので…」
必死で説得をするが、メイドさんが頑なに通してくれない。
すると…
「帰って…」
ブランさんの声が扉越しに聞こえた。
その声は悲しみ、怒り、そういった感情を感じた。
「ブランさん…」
「ここにいられても迷惑よ。貴女達も。それに、轟雷陵牙。あなたは本来私たちとは無関係の一般人。ここにいられたら本当に迷惑よ」
「…っ!」
その言葉が俺の胸に刺さる。
無関係。考えて見たらそうかもしれない。
自分は、鎧と剣が無かったら役立たずだって事も知っている。
今回、可能性のあった誘拐を考えずにこの事態に陥ってしまったこともあり、余計に心に刺さっていた。
「ブラン!アンタ、そんな言い方!」
「いいから…帰って」
ブランさんの声が聞こえなくなっている。
だけど、俺は拳を強く握ることしか出来なかった。
「陵牙…」
ネプテューヌは俺を見かねたのか、話しかけようとする。
だが、俺は首を横に振り、扉に背を向ける。
「大丈夫だよネプテューヌ。誰だって家族が誘拐されたら冷静になんかなれない。だったら俺たちに出来ることは、一刻も早く家族を再会させる。それだけだろ?」
俺は白鞘の魔戒剣を取り出す。
「本当…絵に描いたようなお人よしね」
呆れ顔でつぶやくノワールだが、その表情は確かに笑っていた。
――――――――
足元がふらつきながらも私、ブランは歩き出す。
どうして、私はあの子達について行かなかったのか。そうすれば、あの子達が誘拐されることも…私のせいで彼を傷付けることもなかったのに。
だけど、泣いてる場合じゃない。一刻も早くロムとラムを救出する手立てを考えなければならないのだ。
だけど、さっきネプテューヌたちにあれほどのことを言ってしまったから、協力など頼めるはずがない。
それに…轟雷陵牙には特に傷付けてしまった。
彼が不思議な力を使うことも知っている。その力に関係することである事件を負っていたことも知っている。彼は別の世界の本来無関係の私達の力になろうとあの事件を独自に追っていたのだ。
『お願いします!これがもし本当だったら、何か大変なことが起きるかもしれないんです!』
例の『幼女誘拐事件』を調べさせて欲しいと話をしてきたときの彼の目は嘘を言っているようには見えなかった。
あれほどの人間を傷付けてしまったことを、今更ながら後悔する。
「何とかしなきゃ…私が…そうだ!あれを…」
必死に打開策を考えると、今進めているあるプロジェクトを思い出した。
あれならば2人の居場所を割り出せるかもしれない。
「み~つけた!!」
すると、部屋のドアが開いて、頭に髑髏のアクセサリーと大きなリボンをつけた少女と、黒子のような格好の人物が2人、カメラとマイクを持って入ってきた。
「誰?」
「私はアブネス!幼年幼女の味方よ!」
言ってることはいい事かもしれない。しかし、私の許可が無い限りネプテューヌでも入れないはずなのに、この女は目の前に立っている。
教会の人間が通すような人物でもない。
ということは、彼女達は何らかの目的を持って不法侵入をしたということになる。
「大人気ネット番組『アブネスちゃんねる』の看板レポーターじゃない!知らないの?さあ、今日も中継スタートよ!」
「中継…?」
すると、黒子達がカメラとマイクを回す。
そこでようやく私は理解した。
今、テレビ中継で映し出されている。それも、不法侵入者に。
「全世界のみんな~!幼年幼女のアイドル!アブネスちゃんで~す!今日はルウィーの幼女女神ブランちゃんのところに来てるぞ!」
「てめえ…いい加減に…」
不法侵入の上、無許可で中継までされている。流石に我慢の限界だった。
しかし、次の一言で頭が真っ白になる。
「ところで!妹のロムちゃんラムちゃんが誘拐されたって言う噂は本当なのかな?ブランちゃん?」
「っ!どうしてそれを…?」
どうして?ロムとラムの誘拐はまだ外部には情報が漏れてないはず…
「本当なんだ!アブネスちゃん心配…で!可愛い妹を誘拐された気分はどうですか?ブランちゃん?」
「っ……!」
普段の私ならばここでキレて追い出していたかもしれないが、妹達を誘拐されたということ、自分への罪悪感から私は全てを話してしまったのだ。
「つまり妹が誘拐されたのは貴女の責任というのですねブランちゃん!」
「そ、それは…」
「見てください!幼女女神は何の釈明も出来ません!やっぱり幼女に女神は無理なんです!」
言い返せない。妹達を守ることすら出来ない。そんな自分に果たして女神という大きな責任を伴う力を持つ資格があるのだろうか?家族すら守れない私に、国を背負うことなんて…
「アブネスちゃんねるは幼j「ウオラアアアアアアアアア!」『ガッシャアアアアアアアアン!!!!』え!?な、何事!?」
すると、突然部屋の窓が破壊され、そこから一人の男が現れる。
「あ、貴方…!」
「…………………」
轟雷陵牙…私が傷付けた人。
しかし、先ほどまでとは雰囲気が大きく異なる。
「お前…何やってんだ?」
血のように紅く輝く目。そこから感じるのは凄まじいまでの怒り。
女神である私すら恐怖に足が動かなくなるほどの怒りの視線をアブネスに向ける。
その姿は、『修羅』としか言いようの無い表情だった。
―――――――
俺たちはあの後、ロムちゃんとラムちゃんを助けるための計画を練っていた。
まず、ネプテューヌ、ノワール、ベールさんのうち一人が強襲。
その隙に捕まっている二人を救出して俺がガロの鎧を纏って決める。
これがシンプルながらベストプランかもしれない。
「とりあえず、誘拐された現場に行けば、ホラーを探知する力で見つけられるかもしれない」
「探知って、どうやってするのですか?」
「地面に手を触れるんですよ。そうすれば周囲からの思念が感じ取れて、敵を見つけられるかもしれません。ただ、まだ精度に少しだけ不安がありますが、だいぶ範囲を絞り込めるかもしれません」
作戦は20分後と話し合いを一旦終了して中庭、ブランさんの部屋の前を通るが、見知らぬ声が聞こえた。
「つまり妹が誘拐されたのは貴女の責任というのですねブランちゃん!」
「…え?」
突然聞こえたブランさんとは別の女性の声が気になり、俺はジャンプして窓から様子を見る。
するとそこには、カメラを回されてマイクを向けられているブランさんがいた。
しかしその表情は今にも泣き出しそうな、辛そうな表情だった。
そんなブランさんに対し、インタビューを行う少女は躊躇い無く質問を繰り返す。
そんな光景に、先ほどまで消えていた怒りの炎が再び燃え上がってきた。
まだ外に出てない誘拐事件のことをどこで得たのかは知らない。しかし、今回の事件で一番傷ついているブランさんに
あそこまでしつこく聞く行動に俺は拳を握り締める。
「見てください!幼女女神は何の釈明も出来ません!やっぱり幼女に女神は無理なんです!」
その瞬間、俺は教会の窓を破壊して突撃した。
「アブネスちゃんねるは幼j「ウオラアアアアアアアアア!」『ガッシャアアアアアアアアン!!!!』え!?な、何事!?」
俺は突撃し、素早くカメラを拳一発で粉砕、マイクを踵落としで破壊した。
「あ、アンタ誰なのよ!?カメラだけじゃなくマイクまで壊してくれちゃって!」
ブランさんをインタビューしてきた女性が怒りながら突っかかってくる。
「何か言いなさいよ!営業妨害と器物破損でアンタを訴えてやるんだから!聞いてんの!?」
「…じゃあお前がやっている不法侵入は罪にはならないのか?」
「ひいっ!?」
怒りを込めて睨みつけると、女性は逃げるように後ずさる。
「それにお前は何も判っちゃいない。この国は、ブランさんが女神だからこそいい国になっている。それすらも分からないような奴が、無断でここに入ってくるな!」
「う、うるさいわね!私はアブネスちゃんねるの…ひっ!!」
俺は女性の右肩を掴み、告げる。
「いいか。次に教会に不法侵入して、ブランさんの心を抉る。そんなことをまたやって見ろ」
俺は魔戒剣を取り出して向ける。
「貴様のようなガキでも、俺は容赦なく…」
その瞬間、俺は自分の殺気を全部女性に向けて言い放った。
『斬る』
「ひいいいいいぃぃぃぃいい!?」
真っ青になりながら女性と黒子達は逃げていく。
「…フン。この程度の脅しで逃げるなんて、案外小者だったな」
俺は剣を鞘に納めるが、扉の向こうには…
「ね…ねぷう…」
「「はわあうあうあうあうあう………」」
「「……………」」
「ね、ネプテューヌ?ネプギアにユニちゃんも、どうしてそんなに俺から距離をとってんの!?」
ネプテューヌは足が震えており、ネプギアもユニちゃんも扉の陰に隠れて、半泣きしており、ノワールとベールさんは顔が青ざめて声も出なかった。
「陵牙が…滅茶苦茶怖かった…」
「………はい?」
ネプテューヌの言葉にきょとんとするが、ノワールがまだ青ざめた状態で話しかける。
「じ、自覚無かった?」
「全然」
しかし、このメンバーの怯え具合からして相当怖かったのは分かったが…
正直ここまで怯えられると凹む。
「まあまあ陵牙君、元気を出してくださいな」
「…ベールさん?」
「確かにさっきの陵牙君は怖かったですけど…それは陵牙君がブランを大事に思っていたからこそでしょう?だったら恥じるのではなく、誇るべきですわ」
俺を励ましてくれたベールさん。
嬉しいんだけど…さっきより距離とらないでほしかったな…
「そうね。普段ならあんな事言われて嫌われるのが普通なのに、陵牙のお人よしに感謝しなさいよ、ブラン。陵牙、ずっとロムちゃんとラムちゃんを助けるための作戦を考えてたんだから」
「あ……」
その言葉に俺は少し恥ずかしくなって頭を掻く。そして、ノワールの言葉で俯くブランさんだったが、俺はブランさん
の前に歩み寄る。
「ブランさん…」
「あ…その…」
俺はブランさんに目を合わせる。
「約束します」
「…え?」
「俺、今回の事件でまだ見つかってない犯行現場を見つけました。その中は、到底言葉に出来ないような残酷なことになってましたが…」
「絶対に、あんな悲惨なことは繰り返させません」
あの現場を見てから俺は誓った。
俺がこの力を手に入れたのは偶然だったのかもしれない。でも、手に入れたのなら人を守るために使いたい。
『守りし者』としての力を。
「ロムちゃんもラムちゃんも、俺が絶対に救って見せます!それが…この『守りし者』の鎧と剣を持った俺の責任ですから!」
これが、俺の伝えられる言葉。
あんなことは絶対に繰り返させない。
すると、ブランさんが倒れる。
「ブランさん!」
ブランさんは疲れきった顔をしており、息も荒い。
ネプテューヌたちも心配になり、俺の周りを囲むように集まる。
「ブランさん…」
すると、ネプギアがある仮説を口にした。
「今の番組をルウィーの国民が見てシェアが一気に下がったからとか?」
「確かに、シェアの量が女神の力に繋がるってイストワールさんから聞いたことはあったけど…いくらなんでも」
「陵牙の言う通りね。いくらなんでも早過ぎるわよ」
「じゃあ…」
表情を見る限り、ブランさんは疲労で倒れた感じがする。
「みなさん」
すると、うしろからベールさんが話しかけてくる。
口にしたのは、今の状況を逆転する朗報だった。
「確実な方法があるんです。ロムちゃんとラムちゃんを見つける方法が」
ここからが逆襲だ。まっていろ、ホラー!
―――――――
次回予告(ナレーション ブラン)
突破口は見つかった。
だけど、犯人は陵牙の逆鱗に触れることとなり…
次回『獄炎』
怒りの炎は、色欲の陰我を焼き尽くす。
次回、獄炎で第1章の終了、続いて総集編『ネプ×ガロステーション』をお送りする予定です!
アンケートにも目を通してくれると嬉しいです!
では、また次回お会いしましょう!