陵牙「勢いだけでここまで書くことができるなんてやるな作者…」
ねぷ子「まあそろそろストックが切r「はいはいストップー!」
というわけで第1章最終回『獄炎、お楽しみください!』
「実は、ブランとはある計画を進めていましたの」
ベールさんは俺たちの前でパソコンのキーボードを操作する。
目の前に映し出されているのは何らかのデータベースのようなもの。
「ルウィーでは人工衛星を使ったサービスがかつて行われていましたの…陵牙君以外はご存知ですわよね?」
「えっと…お寺ビュー…だっけ?」
「十年前に終わったやつよね?」
「ええ、実はあの人工衛星はまだ稼働していて地上写真のデータを送る事が出来るのですわ。ただし低解像度の、それを解析して高解像度にするソフトウェアをリーンボックスの研究所が開発しましたの」
要するに、リアルタイムから地上のデータを高画質で確認できるってことか。
しかし、ネプテューヌがこの会話についていける事に驚いている。
「お~!流石ベールの国!進んでるね~!」
「そこでブランに持ちかけたのですが、ルウィーが写真のデータを提供してくれればわが国はこのソフトを提供すると」
「ってことは…ルウィーとリーンボックスがゲイムギョウ界の情報を独占するってことになるんじゃ…?」
人工衛星を所持するルウィー、ソフトウェアを開発したリーンボックス。それぞれの所有権は製作した国のものだ。
だとすれば、この二つがこの世界の情報を独占するということになるのでは?
「え~!?私達見られすぎて困るじゃん!」
「いいえ、私達はそのデータをみんなで共有しようと思っていたのですわ」
「「え??」」
「ブランが言い出したんですのよ?友好条約を結んだから、四つの国で等しく利用するべきだと」
「なるほど…」
「だから公開する機会を窺っていたのですわ。サプライズプレゼントみたいで洒落ているでしょ?」
流石だと思った。ブランさんは自国だけでなく、ネプテューヌたちのことも思っていたことが嬉しかった。やっぱりこの人たちが女神でよかったと思う。
するとパソコンから音が鳴る。どうやら解析が終わったらしい。
「解析が完了しましたわ。これで誘拐犯の居場所が…」
俺たちがパソコンを見ると、そこに映し出されていたのは思いも寄らない場所だった。
―――――――
どうやらロムちゃんとラムちゃんは誘拐されたテーマパークの建設中のアトラクションの中にいたことが判明した。
「よ~し!今すぐ殴り込みだ!」
「お待ちになって」
「ねぷ?」
突入しようとするネプテューヌをベールさんが止める。
「今は人質の救出が最優先ですわ。ここは…まず私が身代わりとなります」
「っ!?何を言ってるんですかベールさん!?」
確かにその方法ならロムちゃんとラムちゃんは助けられるかもしれないが、ベールさんが危険にさらされる!
普通の相手なら力ずくで何とかなるかもしれないが、相手はホラーだ。女神化をしたネプテューヌとノワールですら対処が難しいホラーを相手にするなど、無茶にもほどがある。
「あくまでもロムちゃんとラムちゃんが救出されるまでですわ。私も二人が無事に助け出されたら隙を見て逃げればいいだけの話ですし」
「で、でも!相手は普通の誘拐犯じゃない!」
確かにその方法が使えればそれが一番だ。しかし相手はホラー。これまで出てきた2体のホラーはいずれもネプテューヌ、ノワールを苦戦させたほどの存在。辛うじて俺が牙狼剣を使っていたから勝てただけで、普通なら勝ち目は薄い。
「だったら、俺が身代わり役になります!俺なら奴と戦うことができますし、わざわざベールさんが身代わりとなる必要は…」
そこまでいうとベールさんが俺の口を人差し指で軽くふさぎ、優しく微笑み返す。
「私は大丈夫です。それに、私が女神である以上、本来は一般市民である陵牙君を危険な目にあわせるわけには行きません」
「ですけど、相手は…!」
「それに、二人を助けたいと思っているのは陵牙君だけではありません。目の前にいながら2人を助けられなかった私達だって、同じ思いです」
そうだ。ベールさんも、この場にいる皆も同じ考えだ。
ロムちゃんとラムちゃんを助けたいって思いは、同じだった。
「だからこそこんなときは頼りにしてください?そして、皆で二人を助け出しましょう」
「…はい」
その言葉で少しだが俺の心は軽くなった。
「それじゃあ参りましょうか?ロムちゃんもラムちゃんも早く助けないといけないですし」
「そうだね。じゃあ…」
「…ベールさん!一つだけお願いがあります!」
「…?どうかしたのですか、陵牙君」
俺はある提案を持ちかけた。
「って、それはあまりにも危険過ぎますわ!」
「確かにそうかもしれない。けど、これだけは譲れないんです!」
俺の計画に全員が驚く。
確かにその方法ならば高い確立でロムちゃんとラムちゃんを助けられるかもしれないが、一番危険なのは俺である。
「でも、俺はブランさんと約束しました。絶対に二人を助けるって。その約束を果たす限り、ベールさん達に任せて見物…なんてことにはしたくないんです」
「陵牙君…あなたは」
「それに、ベールさんが心配ってのもあるんですけどね」
「え?」
「俺のことを気にしてくれて、皆で協力するってことを思い出させてくれたベールさんには感謝してます。だけど、命
の危険がある場所に一人で送るなんて、絶対に嫌です」
「でも、私は…」
俺はベールさんの目をまっすぐに見る。
「女神だとしても、貴女だって一人の女性だ。女の子が一人で命の危険のある場所に向かおうとするなら、俺は絶対に一人で行かせるなんてことはしたくない」
「……!」
「確かに、これは俺の我が侭です。だけど、力になりたい!誰にも傷ついて欲しくないから、手助けをさせてください!ロムちゃんを、ラムちゃんを、ベールさんを、守らせてください!お願いします!」
「え、えっと…その……」
ベールさんは顔を真っ赤にしている。
「だ、大丈夫ですか、ベールさん!?」
俺が声をかけるとベールさんは慌てる。
「だ、大丈夫ですわよ!?」
「「…………………」」
顔を赤くして慌てるベールさん、ジト目で俺を見るネプテューヌとノワール。
「で、ですが陵牙君。一つ約束をしてください」
「約束?」
「自分の身を省みないような無茶な行動をしないこと。これだけは守っていただきますわ」
「…了解。出来る限りの努力はします」
だが…目の前に2人がいた場合、自分を抑えられるかは正直分からない。
だけど、暴走だけはしないようにしたいな…
「それでは、救出作戦開始ですわ!」
―――――――
「ヤダ!やめて!やめてってば!」
ロムとラムの悲鳴が倉庫に響き渡る。
2人は目の前の怪物『トリック・ザ・ハード』の舌に弄ばれており、嫌がる2人を見てトリックは恍惚とした表情を浮かべていた。
しかし、突然ドアが開き、誰かが中に入ってきた。
「「お姉ちゃん…?」」
入ってきた人物のシルエットを見てつぶやくロムとラム。しかしそこにいたのは姉ではなく、別の人物。
そして、その人物…ベールは2人に何かの合図を送る。
(2人とも、後ろをご覧ください)
2人はチラッと後ろを見ると、白い剣を持った青年が隠れていた。
「陵牙さん…」
「ベールお姉ちゃん…」
突然現れたベールにトリックは驚き、後ろに隠れている陵牙には気付いていない。
「その子達を解放なさい…私が身代わりになりますわ!」
ベールが声をかけ、陵牙はそっと接近する。
そして素早くロープを魔戒剣で切断。
「…バカか?俺紳士だし。守備範囲は幼女だけ出し、デカイ胸は興味ないし」
「…は?」
突然の言葉にぽかんとするベール。
すると、トリックは突然舌を伸ばし、後ろで二人を助けようとした陵牙の肩を貫く。
「グアアアッ!?」
「「「陵牙さん(君)!?」」」
肩から鮮血を流す陵牙だが、トリックは二人を舌で巻きつけて宣言する。
「幼女の悲鳴!そして甘い命!これ以外に俺の求めるものは無い!垂れる未来しかないでかい胸や男など邪道!」
そう言うと、トリックは体を破り捨てるかのように変異し、トカゲの意匠を持つホラー、『ホラー・ザドリ』へと変貌する。
「!逃がしませんわ!」
ベールはリーンボックスの女神としての姿、グリーンハートへと変身し、得物の槍を構えるがザドリは舌を出して縛ら
れたロムとラムを目の前に出す。
「くっ!」
ギリギリで止めるベールだが、ザドリはその隙に逃げ出す。
「しまった!」
あっという間に姿を消すザドリをベールは追えなかった。
「そんな…」
周囲を見回すが、そこで気付いたことがある。
「陵牙君が…いない?」
その頃、舌に巻きつかれて気絶していたロムとラムだが、その手を掴むものがいた。
「ぜってー…逃がすかよ…」
――――――――――
何処かの廃置き場に着地するザドリ。
彼はにこやかな表情をしている(ホラーの姿なので気持ち悪いことこの上ないが)。
「ディナーとなる幼女は絶対に誰にも触れさせん!それが俺のジャスティス!」
しかし、その手にロムとラムがいない。
後ろを見ると、2人がフェンスをよじ登って逃げようとするが、ザドリは舌を伸ばして襲い掛かる。
「この生きの良さ!全く、幼女は最高だぜ!」
ザドリの舌がロムとラムに迫る。それを見て2人は悲鳴を上げる。
「「ひう!?」」
しかし、その舌が二人に触れることは無かった。
「陵牙!」
「陵牙さん…!」
「お待たせ、2人とも!」
ロムとラムの前に立つのは、白い鞘の魔戒剣を構えた陵牙。
あの時、ザドリが逃げようとした瞬間にしがみついていたのだ。
「貴様…俺様の幼女を返せ!」
ザドリは先ほど陵牙の肩を貫通した鋭利な状態の舌を伸ばす。
「はあっ!」
しかし、魔戒剣で舌を受け止め、ロムとラムに叫ぶ。
「近くに隠れろ!」
「りょ、陵牙は!?」
「大丈夫!こんな相手…すぐに倒す!」
舌を弾き、剣を天に掲げて鎧を召喚しようとするが…
「させるか!」
鞭のような状態の舌が陵牙の胴体に直撃して吹き飛ばされる。
「ぐああああ!!」
廃材の山に吹き飛ばされた陵牙。
「全く、俺様の舌を汚しやがって…ここんところ幼女体系とかのような微妙な奴しか食えなかったし、じっくりと味わうとするか」
そのとき、陵牙はあの廃屋の光景を思い出す。
あの中から聞こえてきた少女の悲鳴。
そしてその直後のホラーのはき捨てるような声。
『うえ…これ幼女じゃねえし。ハズレかよ、不味いな』
ザドリが口から吐き出した、腐食した死体。
そのときの言葉を、無念の中で死んでいった少女を思い出した。
「おい……この変態ホラー」
「………あ?」
陵牙は魔戒剣を構えて立ち上がる。
「お前、何人の子供を食ってきた?」
「さあな、覚えてねえよ。どれもこれも最高の幼女だったからな。俺様は順位とか付けねえし、どれも最高といっておくよ。まあ、こないだあの倉庫で食った女は不味かったけどな。あれ幼女じゃなかったし」
遂に、陵牙の怒りが限界を超えた。
「ふざけんな…てめえのせいで、どれだけの子供が殺されたか…分かってんのか!」
(BGM:レオン・ガロ召喚)
陵牙の目が血のように紅く輝き、彼は魔戒剣を構える。
「決めたよ。テメェはここで燃やし尽くしてやる!」
頭上にゲートを作り、陵牙にガロの鎧が召喚される。
しかし、そのデザインはいくつか違っていた。
以前のデザインと比べ、黄金の部分が追加され、ソウルメタルの鎧の左半身がひび割れている。
そして、そのヒビから炎が溢れた。
「グウウウ…………グウウオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」
狼のような咆哮をあげた新たな姿の牙狼、『炎獄牙狼』は、魔戒剣を持ったまま一気にザドリとの距離を零にし、舌を根っこから切断する。
「ギャアアアア!!!!俺様の舌がアアアアア!?」
すると、どこからか巨大なハンマーを持ったブランが現れる。
「私の大事な妹達に手ぇ出したんだ…覚悟はできてんだろうな、この変態野郎!」
すると、ブランの体が輝き、巨大な斧、尖刃を構えた姿『ホワイトハート』へと姿を変える。
「ブランさん!」
「!その声、まさか!」
俺は鎧越しにブランさんと目を合わせ、頷く。
「覚悟しやがれ、このド変態!」
ザドリは舌を再生させ、攻撃してくるがブランはザドリの攻撃を避け続ける。
するとザドリは舌を分裂させて攻撃してくるが、俺は牙狼剣が炎を模したような派手なデザインとなった『炎獄牙狼剣』に赤い炎を纏わせ、受け止める。
「燃え尽きろおおおお!!!!」
舌が燃えて、ザドリは吼えるがブランが尖刃を立て続けに打ち込む。
「ぶっ飛ばす!テンツェリントロンベ!!」
大きく回転しながら、強烈な一撃をザドリに叩き込む。
怒涛の連続攻撃の前にボロボロになるザドリ。
しかし、その目はある者達を捉えていた。
「せめて…この二人だけでも食ってやる!」
ザドリが舌を伸ばした先は…ロムとラムの二人だった。
「!危ない!ロム!ラム!」
「ふえ…?」
「あ…」
鋭い刃となった舌が、二人を貫こうとする。
ブランはとっさに二人の前に飛ぼうとするが、舌のスピードがはるかに速い。
(もう…だめなの?)
「っ!?」
「え…?」
突如、その刃は二人の前で止まった。
しかし、目の前で血が飛び散る。
誰が止めたのか……………それは、炎獄牙狼となった陵牙だった。
「お、おい!?」
「グウウ……」
牙狼は咄嗟に二人の前に立ち、ザドリの刃から二人を庇ったのだ。
しかし、その舌は牙狼の腹の装甲を貫通し、夥しい量の血が流れていた。
「貴様!よくも俺の食「…黙れ」…ひっ!?」
ザドリは牙狼にもう一度攻撃をしようとしたが、できない。
なぜなら、牙狼の目が変化していたからである。
先ほどまでの赤い瞳ではなく、真っ白な眼。
そして、その殺気をブランは見たことがある。
あの時の、『修羅』になったときの眼だ。
牙狼は顔を上げ、ザドリに一言だけ告げる。
「黙って消し飛べ」
その瞬間、ザドリの体は真っ二つになり、ザドリは悲鳴を上げながら消滅する。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
消滅を確認すると、牙狼の鎧が解除される。
「おい、大丈夫か!?」
ブランは武装を解除してすぐにロム、ラム、陵牙の元へと走って話しかける。
しかし陵牙は膝をつき、腹から血が流れている。
そばにいるロムとラムも肩を震わせ、目から涙がにじみ出ていた。
しかし、そんな中でも陵牙は二人の頭をそっとなでる。
「よかった…怪我はないみたい…だな」
「で、でも陵牙の方が…」
「血…いっぱい…」
「大丈夫…だって。これくらい…なんてことない」
「でも………」
「ほら…ちゃんと喋れるんだし、平気だろ?それに…」
陵牙は二人をそっと抱きしめる。
「二人が無事に帰ってきたから、それが何よりだよ…」
「う……ウワアアアアン!!!」
「怖かった…怖かった…!」
一気に泣き出したロムとラム。そんな二人を安心させるかのように陵牙は優しく抱きしめる。
これで、ホラー討伐、ならびに誘拐事件が解決した。
「いい写真いただきました~♪」
先ほどまでの戦闘を遠くから見ていた少年がいた。
月を背に立つその姿はどこか幻想的でもあった。
「まさかこの世界にいたなんてね…黄金騎士・牙狼」
少年は纏っていた「赤に近い黒」のロングコートを翻し、姿を消した。
―――――――
事件解決後の夜、俺たちはルウィーの教会に泊まることとなり、そこで俺は傷の手当てを受けた。
腹と肩を貫通したはずなのに翌日にはもう治りかけていた。
魔戒騎士の治癒能力って凄ぇ…
そして、俺達はお礼と謝罪をしたいということでブランさんに呼び出され、すべての説明を受けた。
あの時、インタビューの後にブランさんが倒れた理由。そして一緒にテーマパークに行かなかった理由。
「ね、寝不足…?」
「そう…あの時一緒に行かなかったのもそのせい」
「何よそれ…」
ノワールも呆れている。
「このごろずっと徹夜続きであなた達と向き合う余裕がなかったの…それなのにロムとラムを助けてくれてありがとう…ベール、ノワール、ネプテューヌ」
すると、ブランさんは俺の前で頭を下げる。
「そして、ありがとう、轟雷陵牙。貴方には酷いことを言った。なのに貴方は中継の時に私を助けてくれて…それにロムとラムを助けてもらって…凄く嬉しかった。ありがとう」
「い、いやそんな、ブランさん!?」
突然のことに俺は半分パニック状態になっていた。
「良いんですよ、俺はホラーを倒すって目的を果たしたんだし、それに家族が誘拐されたら、誰だってああなります!」
「でも…」
「いいからこの話は終わりです!ホラーは討伐したんで、暫くは平和になるはずですし、ね?」
「ありがとう…」
無理やり話を終わらせちゃったけど、これでいいのかもしれない。
ブランさんがあの時に言った言葉も、俺は理解できる。
誰だって大事な家族が連れ去られたら、苦しいに決まっている。
「轟雷陵牙。私の事はこれからブランでいいわ。ネプテューヌ達と同じように敬語も無しで。そっちのほうが嬉しいから」
「ああ。じゃあ俺の事も陵牙でいいよ。そっちの方が俺も楽だし」
「わかった…よろしく、陵牙」
「ああ。ブラン」
こうやって向き合ってみると、改めて女神達の凄さを実感する。
この小さな手で国を守り続けているんだと。
自分の国を守りたいから、努力を重ねている。その末に、4人は友好条約を結んだんだ。
そして…昨日までどこか硬い雰囲気だったけど、今の皆からはそんなことは感じない。
「何か、ようやくみんなが纏まったって感じだね」
「まあ、友好条約が結ばれてもまだ距離があった感じだったからね」
俺はネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベールさんと目を合わせた。
「だけど、もう一人じゃないだろ?」
「陵牙?」
ネプテューヌが声をかけてくる。
「互いが互いを心から信じられるようになった今なら、どんなことだって乗り越えられる。そうだろ?今ここにいるのは、最高の仲間たちなんだから」
「「「「………」」」」
「ど、どうかした?」
少しみんなの顔が赤くなり、全員が視線をそらす。
すると、後ろのドアが開いて、ロムちゃんが俺の所に走り寄ってきた。
「お姉ちゃん………お兄ちゃん!」
「え…?」
ロムちゃんが笑顔で言った言葉に固まるが、聞き返す。
「えっと…お兄ちゃんって…俺?」
「うん!お兄ちゃん!」
なんていうか…こんな子からお兄ちゃんといわれると…嬉しいものがあるな…
だが、俺はロリコンじゃない!断じてロリコンじゃない←(重要なこと)
「でも、どうして?」
「お兄ちゃん、私たちを助けてくれて…嬉しかった。それに…優しくて…かっこよくて…お姉ちゃんとは少し違う優しさ…だから、これからお兄ちゃんって呼びたくて…ラムちゃんもそう思ってる…」
「え、ラムちゃんも?」
「こくこく…」
びっくりしたけど、弟からは兄さん、或いは兄貴としか言われなかったし、少しくすぐったい…
「それとこれ、お兄ちゃんもお姉ちゃんも見て…!」
「?これって俺たちの似顔絵?」
俺が受け取ったのは、炎獄牙狼の時の姿の似顔絵。
何ていうか、子犬みたいな感じに描かれてるな…
ブランも似顔絵を受け取って、ロムちゃんの頭をなでる。
しかし、突然ブランの顔が青ざめ、いきなり立ち上がるとどこかへと走っていく。
気になった俺たちも急いで追跡した。
―――――――
ブランがたどり着いた場所は、大量のダンボールが積まれており、ラムちゃん、ネプギア、ユニちゃんがいる。どうやら、何かの本を読んでいるようだ。
「ラム!落書きやめて!」
「こんなに同じ本があるんだからいいでしょ~?」
「だ、だめ!」
ラムちゃんが何かの本に落書きをしており、それをブランが必死に止めている。
「何か駄目なのか、ブラン?」
「あ、お兄ちゃん!」
ラムちゃんが飛びついてきて、俺はとっさに抱き留める。
すると、ラムちゃんが何かを差し出してきた。それは黄色い犬のような落書き。
これってもしかして…
「えへへ!あの時のお兄ちゃんを描いたの!上手でしょ?」
「ありがとうラムちゃん…でもこれはブランの大事な本なんじゃ…って、これは?」
この手の本、どこかで見たことがある。
このやけに薄い本、これはもしや…
「これって、いわゆる同人誌…?」
「そうだよ…これは…私が書いてた小説なんだ!」
「つまり…ブランが書いた同人誌ってことかしら?」
まさか、倒れた原因ってこれ?そりゃあ寝不足になるまでやってたら倒れるのも無理ないけど…
まあ、女神としての仕事の傍ら、こういう趣味があってもいいと思う…?
「え!?ユニ、どんな話なの!?」
「空から落ちてきた少女と生まれつき特殊能力を持った少年が世界を救うお話…」
ファンタジー系か。ちょっと読んでみようかな?
「りょ、陵牙は見るなよ!」
「ブラン!?」
ブランに小説を取り上げられてしまった。
だが、そこまで隠されるとますます読みたくなってくる。
「すごい!主人公が新しい力に目覚めた!かっこいい!」
「~~~~~っ読むなああああああ!!!」
その夜、ルウィーの街の外で教会にいたメイドが人気のない場所に隠れると身包みを剥いだ。
そこにいたのはメイドではなく、黒い魔女の帽子をかぶった女が怪しい表情を浮かべていた。
「ふふふ…」
すると、暗闇から黒いローブの男が現れる。
「どうやら、クリスタルは手に入れたようだな」
女の持つ箱の中の石。
そしてローブの男が持つ歪な剣。
両方とも、怪しげな光を放っていた…
――――――
次回予告(ナレーション イストワール)
騎士は旅に出る。
多くの人達の生き方を見るために。
訪れるのは黒の国。
次回『出発』
魔戒騎士は、ラステイションに降り立つ。
はい、これで第9話ならびに第1章終了です!
これまでお気に入り登録してくれたユーザーさんには感謝の言葉しかありません!
次回はこれまでのおさらい『ネプ×ガロステーション』でお会いしましょう!
なお、アンケートは2月5日の23時59分まで募集します!