牙狼 超次元の騎士   作:狼牙竜

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お待たせしました、第14話です!

やっぱり戦闘描写は難しい…

そして、ついに敵の親玉が本格的な動きを見せます!

まあ、分かる人にはわかってしまうかも知れませんが…

だいぶ詰め込んだ結果となりましたが、コメント、評価等引き続きお待ちしてます!



第14話 烈火

ラステイションの工場地帯の資材置き場。

 

この場所は先日、陣龍大地がホラー・サカクヌミを封印したはずの場所である。

 

その地に真夜中であるにも関わらず現れたのは、一人の男。

 

 

 

その正体は、ルウィーでのロム、ラムの誘拐事件のときに黒い帽子の女と行動していた、ローブの男だった。

 

 

男は懐から黒い札『闇の魔界符』を取り出してサカクヌミが爆発した地点に魔界符と、小さな種のような物を取り出す。

 

 

 

「『闇に潜む魔獣よ、今こそ魔戒の剣の呪いから解き放たれよ』」

 

 

男が謎の呪文を唱えると、魔界符と種が紫色に輝き、不気味な鼓動を奏でる。

 

 

男はローブの下で不気味な笑顔を浮かべ、『首に掛けていたペンダント』を手に取る。

 

 

「『今こそ蘇れ、魔獣ホラーよ!《****・*》の下僕となりて!』」

 

男の体に漆黒の鎧が装着され、男の姿は牙狼の鎧を醜く歪めた様な姿の魔戒騎士へと変貌する。

 

すると、魔界符と種は混じりあい、ホラー・サカクヌミの姿に戻った。

 

『シタナサ…ロメオサマガヨノゴチカオバ(貴様か…俺の体を戻したのは)?』

 

 

ホラーが語りかけてくるが、騎士は迷わずに答える。

 

「トルガ。シタナオキサマヨサミカリ(そうだ。貴様の力を借りたい)」

 

表面上優しい声をしていた騎士だが、サカクヌミは彼の鎧越しの目を見て背筋が寒くなった。

 

 

騎士の目に映っているのは唯一つ。闇だけである。

 

希望、未来、幸せ。そういったものが何一つ存在しない闇。

 

 

サカクヌミはその闇に魅せられた。

 

 

『………リリゲチョル。ラアカイキサマヨロサチチナツ(いいでしょう。貴方に力をお貸しします)』

 

 

すると、騎士の後ろに赤いローブの影が現れる。

 

 

「…主」

 

 

 

「……ヤイバか」

 

ヤイバと呼ばれた男は淡々と告げる。

 

「ただいま、リーンボックスにルマニを、ルウィーにザドリを向かわせました」

 

 

「そうか。で、『ブレイブ』は?」

 

 

「それが…未だに『プラント』の侵食が止まったままです」

 

 

その言葉を聞き、騎士は舌打ちをする。

 

 

 

「ならブレイブは放っておけ。どの道牙狼の小僧はまだ未熟だ。案外ルマニかザドリで殺せるかもしれんな」

 

 

騎士はヤイバに背を向けて去ろうとする。

 

 

「それとヤイバ。お前に一つ指令を言い渡す」

 

 

「はっ!何なりと!」

 

 

騎士は不敵に笑う。

 

 

 

「最近動き出した牙狼以外の魔戒騎士について調べろ。奴らは俺が知っている騎士とは何かが異なる」

 

 

ヤイバが姿を消し、騎士は鎧を解除し、フードを取る。

 

そこにあったのは、陵牙と同じ年代の青年の顔。

 

しかし、その顔には大きく×の字に肉の抉れた傷跡が残っており、騎士は黒い空を見つめる。

 

 

(……例え俺が死のうと、この世界から消えようと!他の魔戒騎士、そして次世代の牙狼の継承者が、『守りし者』の使命を背負い、必ずお前の陰我を斬る!)

 

(いずれ、お前を倒す黄金騎士は、必ず現れる!この世界に魔戒騎士、魔戒法師が一人でもいる限り、貴様に自由は訪れない!)

 

 

「…っ!」

 

 

ずいぶん昔のことを思い出していたらしい。額から汗が流れる。

 

 

「壊してやる…魔戒騎士も、黄金の鎧も…!」

 

 

 

騎士の記憶にあるのは、自らにその剣を振り下ろす、純白のコートを纏う『二人の』魔戒騎士。

 

黄金の翼を持つ鎧。そして金と銀の入り混じった鎧。自らの目的を一度断ち切った二人を思い出し、騎士は憎々しげに叫んだ。

 

 

「黄金騎士、牙狼!貴様の系譜、俺が断ち切ってやる!」

 

 

 

――――――――――

 

ノワールとの秘密を共有してから3日。

 

 

ラステイションでの体験入国も後僅かとなったある日、思いがけない手紙が届いた。

 

 

「轟雷陵牙。君宛に手紙だ」

 

「手紙ですか?」

 

ノワールたちの書類整理の手伝いをしていたところ、ケイさんから一通の封筒を渡される。

 

 

「!…この指令書は!?」

 

 

俺宛に届いたのは指令書。しかし今回届いたのはいつもの赤の指令書ではなく、『厳命』を表す黒の指令書。

 

 

これは通常の赤の指令書とは異なり、渡された者に拒否権は存在しない。

 

つまり、即刻排除しなければならないような凶悪なホラーが現れたのかも知れない。

 

 

「陵牙…」

 

「………」

 

 

俺は魔導火で指令書を燃やす。するとそこには驚くべき内容が刻まれていた。

 

「……『大いなる闇、目覚めの予感。封じられた邪気が解き放たれ、暗黒の鎧が新たな力を与えんとする。黄金騎士は他の魔戒騎士達と共に手をとり、蘇りし陰我の影を滅せよ』…」

 

 

この文章を見る限り、どうやら陣龍大地だけじゃない、この先出会うかもしれない魔戒騎士達と協力しろってことらしいな。

 

 

だが、気になるのはその前の文章だ。

 

 

「何かしら、この『大いなる闇』って…まさか、ホラーをゲイムギョウ界に呼び寄せてる『何か』がいるってこと?」

 

 

ノワールが質問してくる。

 

「ありえるな。魔界からのゲートは基本的に自然発生するものだが、陰我のあるオブジェをターゲットの元に送れば、そいつにホラーを憑依させることも可能なわけだし」

 

 

それよりも気になるのは…

 

「この『黄金騎士は他の魔戒騎士達と共に手をとり、蘇りし陰我の影を滅せよ』の下り…やっぱり、大地だけじゃない、これから出会う魔戒騎士達とも協力しろってことなのか?」

 

 

すると、ユニちゃんが走ってくる。

 

「りょ、陵牙さん!電話です!」

 

ユニちゃんから電話を受け取り、俺は相手の声を聞いた。

 

 

『よう、轟雷陵牙』

 

「…大地か」

 

 

――――――――――

 

1時間後、俺とノワールは大地から指定された喫茶店に訪れる。

 

 

「お~い、こっちだ!」

 

声が聞こえた場所を見ると、大地とマーベラスAQL、なにやら魔法使いのような服装をした青い髪の少女が座っていた。

 

 

俺たちは席に座り、互いに挨拶する。

 

「俺は轟雷陵牙。黄金騎士牙狼だ」

 

「私はノワール。ラステイションの女神、ブラックハートよ」

 

「俺は陣龍大地。轟擂騎士牙嵐の称号を持ってる」

 

「私はマーベラスAQL!忍者兼新人の魔戒法師だよ!」

 

「私の名はMAGES.魔戒法師で、大地のサポートを専門に行っている」

 

お互いに挨拶を行ったところで、陵牙と大地は今回の指令について話し合う。

 

 

「ところで大地。黒の指令書が届いたのは、これが初めてか?」

 

「ああ。そもそも指令書自体が届くことすら稀だったからな。この二ヶ月はやけに指令が

多いけど」

 

 

ふと、MAGES.が呟く。

 

 

「そもそも、この二ヶ月は明らかにおかしい」

 

 

その言葉にノワールが疑問に思う。

 

「おかしいって?」

 

 

「本来、日中のオブジェクト浄化を行っていればホラーは出現しない。3ヶ月に1体出るくらいが普通。私達の師匠は一月に3回ホラーが出たら裏で手を引く奴がいると思った方がいいと話していた」

 

マーベラスが口を開く。

 

「でも、この二ヶ月での指令は大地だけでも20件。多分全体的に見て恐らく50件近く

は出てる」

 

 

「そんなに出てたのか…」

 

 

俺の元にもいくつか指令書が届いていたが、そんなにも多かったのか。

 

「一応、俺の他にいる魔戒騎士に調査を頼んでるんだけど、裏で手を引いてる奴がいるの

は間違いない。前にその仲間から送られた画像があってな」

 

 

大地はその画像を陵牙とノワールに見せる。

 

「どれどれ…これって!?」

 

 

陵牙が驚いたのは、そこに写っていた人物。

 

 

 

はっきりと写っていたその写真には、赤い鎧に身を包んだ『女性的なスタイルの魔戒騎士』が写っていた。

 

 

「魔戒…騎士?でも…」

 

 

「ああ。本来、女は魔戒騎士にはなれない。鎧や剣に加工されたソウルメタルは女を拒絶するからな」

 

 

しかし、この魔戒騎士はぱっと見女性だ。

 

 

「この女騎士だけじゃない。指令書に書いてた『暗黒の鎧』とかいうのも気になる」

 

 

暗黒の鎧…だが、それについては大体の予想はついている。

 

「たぶん…暗黒騎士のことだと思う」

 

 

 

暗黒騎士。魔戒騎士でありながら闇に魅せられ、ホラーと同等の存在となった者。

 

普通の魔戒騎士と異なり、鎧の制限時間が存在しない、封印しか対処方法の無い筈のホラーを食うことによって力を付ける、魔戒騎士の暴走状態『心滅獣身』の戦闘能力を常に使うことができるなど、通常の魔戒騎士とは比べ物にならない強さを誇る。

 

 

しかし、暗黒騎士になった者は命を落とすと、鎧、剣ともに消滅し、その系譜は永遠に断ち切れてしまう。

 

ホラーから恐れられ、魔戒騎士からは討伐の対象としても見られる。それが暗黒騎士である。

 

 

 

そこまで話してふと、陵牙はどこからか視線を感じて周囲を見回す。

 

 

そんな中、目に付いたのは一人の男だった。

 

黒いローブを着て、フードを深々と被る見るからに怪しい男。

 

 

しかし、周囲はその人物に気が付いてない。

 

 

ノワールも、マーベラスも、MAGES.も、大地も誰一人気づいてない。気づいているのは俺一人だけだった。

 

突然、男と目が合った。

 

 

すると、周囲の景色が変化する。

 

 

「!?」

 

周囲から色が消え、灰色になっていく。

 

どうなっているのか、陵牙は困惑するが、男はゆっくりと近づいていく。

 

 

ゆっくりと近づいていく男に、陵牙は不穏な気配を感じた。

 

ついに、男が目の前に立つ。

 

 

「……貴様が、牙狼だな?」

 

質問をしてきた男の顔を見て陵牙は驚く。

 

 

自分と変わらない年代の青年。しかし顔面は大きく、×の字に抉られていた。

 

 

「覚えておけ…いずれ、我が剣が貴様の全てを壊してやる。貴様の命だけではない…」

 

 

フードの男は陵牙の目の前に顔を近づける。

 

 

 

狂気の入り混じったその瞳に、陵牙は身動きが取れなかった。

 

 

 

 

「全てを…壊す!女神達も、人間たちも、この世界そのものを!」

 

 

 

――――――――――

 

 

「はっ!」

 

 

陵牙は顔を上げる。

 

すると、さっきまでいたフードの男はおらず、ノワール達が座っていた。

 

 

「どうかしたの、陵牙?」

 

「ノワール…いや、なんでもない」

 

 

すると、突然マーベラスの持っていた魔導ベルが鳴り出す。

 

「「「!?」」」

 

 

その反応にマーベラス、MAGES.、大地は目を見開く。

 

 

 

「ホラーの気配だ!」

 

 

「何!?」

 

 

この魔導ベル、町中にマーベラス達が貼った魔界符がホラーの行動を感知した場合、ベルが鳴るといったトラップが仕掛けられていた。

 

 

 

「でも、まだ昼間よ!?ホラーが出るのは夜になってからのはずじゃ!?」

 

 

ノワールの言うとおりである。ホラーが活動できるのは太陽が沈んだ夜だけ。

 

 

その常識を打ち破るホラーが出てきたため、大地達ですら混乱している。

 

 

 

 

 

 

 

…そう。『俺を除いて』

 

 

 

「………まさか…!」

 

 

 

俺の頭の中に最悪の仮説が出てくる。

 

ありえない。だが、この可能性が一番高い。

 

闇を恐れることのない特異なホラー。

 

 

(ありえない…そう言いたいけど『俺の鎧』のこともあるしな…)

 

 

あの種類のホラーが実在するなら、俺の使う劣化した鎧にも何らかの関係性があるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(くっそ……本当にいるのか?奴らが………魔導ホラーが)

 

 

――――――――――

 

 

現場にたどり着いた俺たちは驚く。

 

「何で…こいつがいるんだ?」

 

 

 

そこにいたのは、以前大地が封印したはずのホラー・サカクヌミだったのだ。

 

 

大地は魔戒鎚を魔法衣から取り出す。

 

 

「どういうことだ………邪気は鎚に残ったままだ」

 

 

先日、サカクヌミを大地は確かに封印した。その邪気はいまだに浄化しておらず鎚に封じられている。

 

 

にもかかわらず目の前に倒したはずのホラーがいる。

 

 

「…まあ、考えるのは後からだな」

 

陵牙は魔戒剣を取り出し、鞘から引き抜く。

 

「ああ」

 

大地も魔戒鎚を取り出し、同時に構える。

 

「ふっ!」

 

陵牙は魔戒剣を天に掲げ、円を描く。

 

 

「オオラアッ!」

 

大地はその場で円を描くように魔戒鎚を振り、円の中心を鎚で叩きつける。

 

 

 

それぞれの描いた召喚の陣から鎧が出現し、俺は漆黒の牙狼、大地は牙嵐の姿へと変わる。

 

 

「蘇ったのなら、もっかい封印するまでだ!」

 

俺たちは走り出し、それぞれの獲物を振り下ろすが…

 

 

「フン!」

 

サカクヌミはなんと、両腕から剣を生やし、攻撃を防ぐ。

 

「何だと!?」

 

 

驚く俺たち。その隙を突かれ、俺達の手から剣が弾かれた。

 

 

「くっ!」

 

 

「オラッ!」

 

とっさに俺達はサカクヌミの剣に対し、拳を振るう。

 

サカクヌミは剣を交差させてガードするが、俺は牙狼の両腕に付いているカッターで相手の剣をへし折る。

 

 

「砕けろ!」

 

俺が一歩下がり、同時に牙嵐が殴り吹き飛ばす。

 

「陵牙!」

 

俺達は武器を拾う。

 

 

「一気に決めるぞ、烈火炎装は使えるか!?」

 

「……いや、まだ完璧には使えない」

 

 

俺の言葉に牙嵐は呆れた様なため息をつく。

 

 

「なら、こないだの強化形態使ってみろ!あれなら炎をコントロールできるかもしれない!」

 

 

こないだの…炎獄牙狼か!

 

 

俺は牙狼剣を正面に構え、目を閉じる。

 

当然、そんな状態の俺を見逃すはずもなく、サカクヌミは剣を触手の状態にして攻撃して

くる。

 

 

「させるわけ、ないでしょ!」

 

 

すると、ブラックハートに変身したノワールが防ぐ。

 

 

「丁度いい!ブラックハート様!」

 

牙嵐がブラックハートに叫ぶ。

 

 

「今陵牙は精神を集中させてる!時間がかかってもいい、とにかく時間を稼いでくれ!」

 

「ええ!わかってる!」

 

 

すると、魔戒法師専用の武器である筆『魔導筆』を持ったマーベラスとMAGES.が現れ、牙嵐を援護する。

 

牙嵐、マーベラス、MAGES.がそれぞれの武器を構え、ブラックハートは牙狼の前に

立つ。

 

 

「陵牙…大丈夫よね…」

 

 

ブラックハートは思い出す。

 

今まで、陵牙は自分たちに隠れてある特訓を行っていたことを。

 

 

――――――――――

 

 

深夜、ノワール達が寝静まった頃に陵牙は教会の外で魔戒剣を振るい、牙狼の鎧を召喚した。

 

 

「さて…」

 

牙狼は魔導火のライターを取り出し、牙狼剣に炎を纏わせる。

 

 

「ここからだな…」

 

牙狼は空に向かって剣を振りぬくと、炎の斬撃が空を舞う。

 

斬撃はブーメランのように牙狼の元に戻ってきて、鎧を炎が包む。

 

 

「ぐっ………ああ…」

 

 

体を包む炎に苦しむ陵牙。

 

 

ついに、牙狼は膝を突いてしまい、鎧が強制的に解除。同時に炎も霧散した。

 

 

「やっぱ……きついな、これ」

 

息切れしている陵牙。

 

 

「だけど、これを完成させれば…」

 

 

もう一度鎧を召喚する陵牙。

 

 

それを、偶然ノワールは見つけていたのだ。

 

―――――――――――

 

 

鎧を解除した陵牙の周囲には炎が飛び交っている。

 

 

(来い…魔導火…俺の鎧と一つになれ…!)

 

 

すると、陵牙の周囲を鎧とともに飛んでいた緑色の魔導火が変化する。

 

 

鮮やかなオレンジの炎になり、牙狼の鎧に入り込み、再び陵牙の体に鎧が装着され、変化が起きた。

 

 

あの時と同じように、鎧のソウルメタルの左半身がひび割れる。

 

 

さらに、鎧に黄金の部分が増え、ヒビの部分から炎が吹き出る。

 

 

 

「グウウ………グウウウオオオオオ!!!」

 

 

 

 

再び、陵牙は炎獄牙狼の姿に変身することができた。

 

 

「陵牙!」

 

 

ブラックハートが声をかける。

 

 

「ノワール…行って来る」

 

 

牙狼はノワールに一言だけ言うと、一気にサカクヌミの所に飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、牙嵐とマーベラス、MAGES.はサカクヌミ相手に苦戦していた。

 

 

牙嵐は一度鎧を解除して戦っていたが、それで勝てるほど相手は甘い相手ではなかった。

 

 

 

「ふっ!」

 

「はあっ!」

 

 

MAGES.とマーベラスはサカクヌミの両手の剣を受け流し、魔導筆を腹に当てた。

 

「「ハアッ!」」

 

 

衝撃波がサカクヌミを吹き飛ばし、距離をとる。

 

すると、あの時の姿…炎獄牙狼になった陵牙が飛んでくる。

 

 

「わるい、待たせた!」

 

 

「いや、丁度いいタイミングだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大地はもう一度牙嵐の鎧を召喚する。

 

 

「決めるぞ、陵牙!」

 

 

「ああ!」

 

 

 

 

牙狼は左半身からオレンジ色の炎を吹き出し、その炎を牙狼剣に纏わせる。

 

「フッ!ハアアアア………」

 

牙嵐も青い魔導火を轟擂に纏わせ、同時にサカクヌミに向けて振りぬく。

 

「オラアアアアア!!!」

 

 

「ハアアアアア!!!」

 

同時に放たれた青とオレンジの炎は一つになり、サカクヌミを包む。

 

「ギャアアアアアアア!!!!」

 

 

断末魔の叫びを上げるサカクヌミだが、牙狼と牙嵐はその場で飛び上がり、戻ってきた炎を纏う。

 

 

「これで…」

 

 

「終わりだ!」

 

二人の騎士は炎の翼で接近し、騎士の鉄槌と炎の剣がサカクヌミを破壊した。

 

 

「グ………グウオオ…」

 

 

騎士達の鎧から炎が消えると同時に、サカクヌミは消滅する。

 

 

「今度こそ…仕留めたみたいだな」

 

 

 

牙狼と牙嵐は同時に鎧を解除し、一息つく。

 

 

「う……」

 

鎧を解除した陵牙は、痛みと眩暈を感じて倒れそうになるが…

 

 

「陵牙!」

 

変身を解除したノワールが陵牙の腕をつかむ。

 

「はは…悪いな、ノワール…」

 

ノワールは陵牙の右腕の袖をまくる。

 

 

そこには、痛々しい火傷の痕が残っていた。

 

「やっぱり…まだ完成してなかったのね…」

 

どうやら、俺の烈火炎装はいまだに未完成だったようで、炎のダメージが自分の体に返って来た。

 

 

「いや、烈火炎装自体は完成してるな」

 

「え?」

 

大地の一言に俺は目を丸くする。

 

 

「後必要なのは魔法衣だな。あれを着た状態なら鎧と同時に炎を防げるから、炎のダメージが体に届くこともないはずだ」

 

 

魔法衣か…どうにかして準備しておかないとな

 

「まあ、これでラステイションに現れたホラーは倒したんだし、今度こそ一件落着だよね?」

 

 

マーベラスが聞いてくる。

 

「そうだな。ホラーも倒せたことだし…!?」

 

俺は突如現れた殺気に反応して振り向く。

 

 

そこにいたのは、赤いローブに身を隠した人物。

 

 

 

その手には歪な形の魔戒剣が握られていた。

 

「お前らが…我等と敵対する魔戒騎士か」

 

 

赤ローブの周囲に鎧が出現し、全身に装着される。

 

 

「な…!?」

 

「そうか…お前が!」

 

 

 

 

そこに立っていたのは、昼間に写真で確認した女性型魔戒騎士。

 

 

全身を紅い鎧で覆い、手には魔戒剣が変化した鎌を握っている。

 

 

 

「覚えておけ。我が名は、『灼熱騎士・夜射刃(ヤイバ)』!」

 

 

夜射刃は赤い魔戒符を取り出すと、姿を消してしまう。

 

 

 

「おい、待て!」

 

 

大地が叫ぶが、すでに時は遅く、夜射刃を追跡できなかった。

 

 

――――――――――

 

 

その夜、結局ホラーの被害者は珍しくゼロで済んだ。

 

 

戦闘の際にもマーベラスとMAGES.が周囲に人払いの結界を張っていたおかげで誰にも気づかれずに任務は終わった。

 

だけど…

 

 

「どうして、あのホラーが復活したんだ?」

 

 

倒されたはずのホラーが復活したこと、奴は昼間にもかかわらず活動していたことから魔導ホラーに近いタイプと考えていたが、俺の牙狼の鎧に変化は一切なかった。

 

 

 

腕から剣を生やすなど、戦闘能力もアップしていたが、それだけである。

 

 

「あいつは魔導ホラーではなかったのか?それに…」

 

 

思い出すのは、例の灼熱騎士・夜射刃のことだ。

 

 

あの雰囲気は間違いなく俺らの敵。

 

 

敵対する魔戒騎士、昼間でも動ける新たなホラー。

 

そして、今まで忘れかけていたが、ホラーと会う直前に俺の前に現れた、顔の抉られた

男。

 

 

 

奴の狂気に満ちた目を思い出し、陵牙は思わず背筋が震える。

 

 

「だけど、負けるわけにはいかない」

 

 

 

 

このゲイムギョウ界に来てから、俺はいろんな人たちと出会うことができた。

 

 

その笑顔を少しでも守るためなら、俺はこの力を使っていこうと思う。

 

 

 

「さて、ラステイションの体験入国も後二日か…」

 

 

 

 

 

今考えるのは、残りの二日をどうやって過ごしていくかということだ。

 

 

――――――――――

 

次回予告(ナレーション 陵牙)

 

 

新たな国へと俺は旅立つ。

 

そして、黒の女神が持ってきたものは…

 

次回『証』

 

これで…俺も少しはマシになるかな?




時間をかけましたが、最新話の投稿完了です!

次回でラステイション編を終わりにして、ルウィー編に突入していきます!

では、次回もお楽しみに!
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