最近、誰か忘れてるような…
???「ねぷっ!?もしかして私、忘れられてる!?」
四カ国すべて回るのはいつになるのか…
感想、評価もお待ちしてます!
サカクヌミを封印してから翌日、今日と明日でラステイションの体験入国も終わりとなり、俺は明日の昼にはルウィーに向かう。
「おはよう、陵牙」
教会の中庭で日課の素振りを行っているとノワールから話しかけられる。
「おはよう、ノワール」
魔戒剣を鞘に収め、返事をする。
「ところで、今日は予定とかあるの?」
「ああ。一回番犬所に行って剣を浄化してくるけど…それからは特にないかな」
「そっか…なら、今日は私も仕事は多くないし、午後から出かけない?」
陵牙は少し迷うが、すぐに答える。
「ああ、いいぜ」
ちなみに、これがデートの誘いなんじゃないかと思って陵牙はしばらく悶えたとか。
――――――――――
ラステイションのゲートから陵牙は番犬所に訪れる。
このゲートも、大地達から教えてもらったもので、各国のゲートの居場所もすでに教えてもらってる。
(結局、ラステイションで大地には世話になりっぱなしだったな)
最初、ゲイムギョウ界にいる魔戒騎士は自分一人だと思っていた。
だけど、大地に出会ってからはずいぶんと心が楽になってきた気がする。
同じように力を合わせて戦ってくれる
すると、番犬所の狼のオブジェクトの前に先客がいた。
「大地」
「よう、陵牙。お前も浄化か?」
大地は笑いながら魔戒鎚を取り出す。
「まあね」
陵牙は魔戒剣をオブジェクトの口に刺して引き抜くと、白い煙が禍々しい短剣に変わり、
陵牙はそれを掴む。
「…やっぱ、同じ形だな」
大地も先ほど浄化したのか、短剣を取り出す。
「やっぱり同一のホラーだと短剣の形も同じようだな」
俺は番犬所内に置いてあるトランクを開け、短剣を収める。
「あ、そういえば12本揃ったんだ」
俺のトランクの中には12本のホラーの短剣が収められている。
「ほんとだ。じゃあ魔界に送還しておく必要があるな」
大地は番犬所の床に描かれている魔法陣に魔界符を貼り、起動させる。
「助かったよ大地」
魔法陣の中心に短剣をすべて置くと、短剣は姿を消した。
「さて、俺達もまた旅に出るとしますか」
その言葉に陵牙は驚く。
「旅?」
「おう、ホラー討伐の旅だよ。次に向かうのはリーンボックスだ。すでに仕事も入ってるしな」
大地が取り出したのは赤い指令書。
まったく、ブラックな仕事だよ。と愚痴りながらも笑顔を絶やさない大地に陵牙も笑う。
「そっか。俺も明日の昼でラステイションとはしばらくお別れだ。次はルウィーでの体験入国だよ」
「そうか。頑張れよ」
互いに番犬所の出口目指して歩いていく。
「じゃ、しばしの別れだ。今度会うときはもうチョイ強くなれよ」
「当然」
二人の姿は番犬所から消えた。
――――――――――
番犬所で大地と分かれてからおよそ2時間後、俺はノワールの準備を教会の入り口で待っていた。
「お待たせ、陵牙!」
後ろから聞こえた声に俺は振り返る。
「いや、大丈夫だよ、ノワ…」
そこまで言って、俺は固まった。
そこに立っていたノワールは、着ていた服装はいつものクリアドレス。
しかし、髪型が異なっている。
何時ものツインテールではなく、ストレートヘアー。
いつもとは全く異なる可愛さに俺は頭がショートしかけた。
「りょ、陵牙…?どうかしたの?」
俺が固まったせいか、ノワールが戸惑いながらも聞いてきた。
「い、いやなんでもないよ!」
戸惑いながらも、俺とノワールは町まで出かけることとなった。
――――――――――
町の中、以前と違い完全にプライベートな状態で俺とノワールは町を歩いている。
正直、心の中じゃガチガチに緊張しているが、できる限り表に出さないようにするのが精一杯だ。
それでも、俺はこの時間を精一杯楽しむことにした。
洋服屋で互いの服を選んだり…
「俺としては、自分が着る分には特にこだわりないんだけど…」
「駄目よ!魔戒騎士の仕事が無い時用の服もちゃんと準備しないと!」
ゲーセンでガンゲームのハイスコアを競い合ったり…
「よっし!ハイスコア更新!」
「甘いぜノワール!俺はさらにその上を行く!」
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気がついたらもう夕暮れになっていた。
訪れていたのは先日、ゲートの浄化を行った公園。
近くに止まっていたクレープ屋でそれぞれ注文していたクレープを食べながら夕日を見ていた。
「やっぱ…変わらないんだな」
「え?」
俺の言葉が気になったのか、ノワールがきょとんとした声を出す。
「いや、向こうの世界でも、ゲイムギョウ界でも、夕日が綺麗だってことは変わらないって思ったんだ」
向こうの世界。その単語を聞いたノワールが俺から目をそらして聞いてくる。
「陵牙は…帰りたいって思ったことはある?」
「ん?どうした急に?」
「い、いいから答えて!」
ノワールが慌てた声で言い、俺は少し考える。
「そうだな…やっぱ、帰りたいと思ってる」
その言葉に、ノワールは俯く。
「だけどさ…今すぐじゃなくていい」
「え?」
俺はまっすぐに夕日を見ながら答える。
「どれだけ時間がかかってもいい。もし帰れないならこっちで暮らすだけのことさ。だけど…向こうにいる弟分達の様子も気になるしな」
「弟分って…どういうこと?」
俺は少し迷ったが答えることにした。
「俺さ…物心ついた頃には孤児院に居たんだ」
その言葉に、ノワールも驚いたようだ。
「親の顔は正直言って覚えてない。院長が言うには、まだ小さかった俺と生まれたばかりの弟が雨の中放置されてたらしくてさ、そこを院長に助けてもらったんだ」
昔のことを思い出していく。
「陵牙は…辛くなかったの?」
「辛くはなかったさ。血の繋がった兄弟もいたし、血縁は無いけど俺のことを大切に思っ
てくれる大事な『親』もいたしな」
「そう…」
今でも感謝している。
院長が俺達を拾ってくれたおかげで、こうやって俺は生きていられる。
「だからさ、もしこっちの世界に暮らすってことになっても、院長達には説明したいんだ。『これが、俺の生きていく場所なんだ』って」
――――――――――
SIDEノワール
私は、陵牙の強さを改めて知ることができた。
幼い頃に命を救われた経験があるから、彼は目の前の命を必死で守ろうとしているのだと。
だから、あの時洞窟で私にも手を伸ばしてくれた。
だからわかる。
今の私には、彼を引き止めることはできない。
まだ彼は、目の前を向いて走っている。
一国の女神である私が、自分の我侭で人々を守るために戦っている陵牙の邪魔なんてできない。
だから、今の私にできるのは…
「陵牙…」
「ん?」
私は、ある『箱』を渡す。
「開けてみて…」
陵牙はゆっくりと箱を開けると…
「これは…!」
今の私にできることは、これが精一杯だから。
――――――――――
ノワールから渡された箱を開けると、中には一着のコートが入っていた。
「これは…!」
真っ黒なロングコート。持ってみた感じさほど重さは感じなく、背中の部分には牙狼の紋
章でもある三角形が刺繍されていた。
「陵牙。それ、着てくれる?」
ノワールの言葉に俺は頷き、袖を通した。
「このロングコート…魔法衣?」
俺が欲しかった、魔戒騎士の戦闘服である『魔法衣』だった。
「どうかしら?私の中では一番の自信作なんだけど」
「………凄い、凄いよこれ!」
陵牙は目を輝かせながらノワールの手を握る。
「ほ、本当に!?良かった…」
喜んでいる陵牙を見て、ノワールは内心で思う。
(陵牙…私が貴方への想いを伝えるのはまだ先。だけど、絶対に伝えるから)
小さく、誰にも聞こえないような声でノワールは呟いた。
「だから、負けないで………黄金騎士、牙狼」
――――――――――
翌日、防御術式をセットした魔法衣を早速着て、俺はノワールと共にルウィーへと向かう。
もっとも、ノワールは俺をルウィーに送ったらそのままラステイションに戻るのだが。
「陵牙さん!また、来てくれますか?」
「ああ。またラステイションに行くよ!」
「また来てくれ。ノワール達も君がいないと寂しがるだろうしな」
「ちょ、ちょっとケイ!何言ってるのよ!」
ユニちゃん、ケイさんとの別れの挨拶を済ませ、女神化したノワールの手を掴む。
「いくわよ、陵牙」
「オッケー、ノワール!」
ノワールは飛び上がり、俺は姿が見えなくなるまでユニちゃん達に手を振った。
「一週間ありがとう!また会いに来るからな!」
こうして、俺のラステイションでの体験入国一週間は終わりを告げた。
――――――――――
次回予告(ナレーション 陵牙)
再び訪れた白の国。
新たな出会いは気づかぬうちに起きてるのかもしれないな。
次回『雪国』
次こそ平和に過ごしたい…
お待たせしました、これでラステイションの体験入国は終了です。
陵牙の魔法衣は、道外流牙の魔法衣をモデルに、『ネプテューヌV』でノワールが着ている『ラ・ヴィクトワール』の要素を少し取り入れています。
流牙の魔法衣との大きな違いは、所々に青いラインが入っているところ。
以降の陵牙の服装はこの魔法衣がデフォルトとなっていきます。