牙狼 超次元の騎士   作:狼牙竜

21 / 40
お待たせしました、ついにアンケートで送って頂いた第3の魔戒騎士の登場となります!

感想なども引き続きお待ちしてます!






もし絶狼のエピソードを本格的に書くのなら、『救世の悲愴』ルートをやってみようかと真剣に考え始めました…

書いたとして、心が持つのか少し心配になりました。


第17話 狼攻

 

真夜中のルウィー。

 

そこを、一人の少年が走っていた。

 

 

その視線の先には、必死になって少年から逃げる素体ホラーの姿があった。

 

「逃がすかよ…!」

 

 

少年は懐から一丁の自動拳銃を取り出し、赤い弾丸が装填されたマガジンをグリップに叩き込む。

 

 

「くらいやがれ!」

 

放たれた弾丸が素体ホラーの翼を破壊する。

 

 

「ギャアアアァァァァ!!!」

 

 

悲鳴を上げる素体ホラーだが、少年はなおも手を緩めず、一気に距離を縮める。

 

 

「その首、もらった!」

 

 

纏っていたコートの袖から1本のサバイバルナイフを取り出し、すれ違いざまに素体ホラーの首を切り裂いた。

 

 

「グギャギャギャギャ!!」

 

 

 

奇妙な悲鳴を上げながら、ホラーの体は消滅する。

 

 

ホラーの消滅を確認し、少年はホラーの血がこびりついたナイフを振るい、血を払い落とす。

 

 

ナイフをコートに仕舞いこむと、自らの体にホラーの返り血が付いていないか確認し、一息ついた。

 

 

「さて、今日の仕事は終わりか」

 

少年は、手袋を外してコートの内側に仕舞う。

 

 

 

すると、自分の持っていた携帯にメールが届いた。

 

 

「ん?」

 

メールの相手と内容を確認すると、少年はため息をつきながら返事を送る。

 

 

 

「『わかってる。明日の夜にでも黄金騎士と合流するよ。』っと」

 

 

メールを送信して、少年は呟く。

 

 

「さて、前より強くなってんのかな?黄金騎士、牙狼?」

 

少年は、『赤に近い黒』のロングコートを翻して、ビルの上からジャンプした。

 

 

――――――――――

 

 

ルウィーでの体験入国一日目は、ブランの書類仕事の手伝いで終わり、今はブランの部屋で俺のNギアに入れていた『牙狼-GARO-蒼哭ノ魔竜』を俺、ブラン、ロムちゃん、

ラムちゃんの4人で観ていた。

 

 

 

(やっぱこれ、子供にも見せられるようなストーリーだな)

 

 

ちなみに、映画もクライマックスに近づいており、妹二人は目を輝かせながら観ていた。

 

 

「ねえ、陵牙?」

 

 

「何?」

 

 

「どうして、貴方の鎧はほとんどが黒いの?本来なら、あんな風に全身金色なんでしょ?」

 

 

う…痛いところを突かれた…

 

 

「それが…いまだに分からないんだよな。ヒントになりそうなホラーはいたんだけど、そいつも結局違う敵だったし…」

 

そう。先日、ラステイションで出会ったホラー・サカクヌミは俺の予想とはまったく見当違いだった。

 

 

彼の知る黄金騎士の一人、道外流牙がかつて纏っていた漆黒の牙狼。

 

その鎧に黄金を取り戻させるには昼でも活動が可能な『魔導ホラー』を斬る必要があった。

 

 

同じように鎧の輝きが失われた自分の鎧を完全にするには、似たようなホラーを倒せばいいと思っていた。

 

 

 

しかし、サカクヌミを倒しても鎧には何の変化も見られない。

 

 

「そもそも、どうして鎧の色が黒いのかすら分かんないんだよな」

 

俺が手に入れたときから既に鎧は金色の輝きを失っていた。

 

 

しかもなぜか、最近は俺の知らない新しい姿、炎獄牙狼に鎧が変化したりしている。

 

 

 

「ま、考えても仕方がないけど…?」

 

ふと部屋のテーブルを見ると、もはや見慣れた赤い封筒。

 

指令書がテーブルに置かれていた。

 

 

「マジか…」

 

 

指令書を手に取り、魔導火で燃やす。

 

 

「『夜空を翔けるホラーが出現。確認しだい直ちに討伐に移れ』…って今からか」

 

ふと外を見ると、もう真っ暗。時間は9時である。

 

 

「ま、ホラーが出たなら封印しないとな」

 

俺は魔法衣を手に取り、袖を通す。

 

 

「あれ?お兄ちゃん、どこか行くの?」

 

 

 

「ああ、ちょっとお仕事だよ」

 

 

魔法衣を着た俺は魔戒剣を掴む。

 

 

「おにいちゃん…ちゃんと帰ってきて…?」

 

 

ロムちゃんが少し不安そうに声をかけてくる。

 

 

どうやら、以前俺が目の前で怪我をした時のことを思い出しているのかもしれない。

 

「オッケー。なるべく早く帰ってくるよ」

 

 

 

やさしくロムちゃんの頭を撫でると、俺は窓を開けてそこからジャンプする。

 

 

 

「うん…待ってる!」

 

 

 

――――――――――

 

街中、建物の屋根から屋根へと走りながら探していると、空を飛ぶホラーを発見した。

 

 

「あのホラー…『アラベル』か?」

 

ホラー・アラベル。黄金騎士の一人、レオン・ルイスの仲間である魔戒法師『エマ・グスマン』の元夫、『ルシアーノ・グスマン』に憑依したホラー。

 

 

目の前にいるアラベルは、俺の記憶と違って体の中心が人間の姿ではなく素体ホラーがベースとなっている姿だ。

 

(厄介だな…奴には飛行能力がある。こっちには明らかに分が悪すぎるぜ)

 

 

呟きながらも陵牙は魔戒剣を取り出し、後ろから斬りかかる。

 

 

「っ!」

 

 

アラベルはとっさにかわす。

 

 

「そうか…お前が黄金騎士か」

 

 

スムーズに言葉を話せるあたり、相当こっちの世界に馴染んできているようだな…

 

「ああ。悪いが、魔界行きのバスに乗せてやるよ」

 

魔戒剣をアラベルに向けるが、奴は口元を歪ませる。

 

 

「悪いけど、まだ帰りたくないのでね、これにて失礼させてもらうよ」

 

アラベルは巨大な翼を出現させ、飛び去っていく。

 

「まちやがれ!」

 

 

俺は走りながら追いかける。

 

 

 

――――――――――

 

アラベルを必死に追いかけながら、俺は魔法衣から魔導火、5枚の界符を取り出す。

 

「これで、どうだ!」

 

 

界符を魔導火で燃やし、アラベルに向かって放つ。

 

これで一瞬でも怯めば、一気に飛び込んで止めを…!

 

 

「くっ!」

 

1枚が羽に掠り、注意がそれた。

 

 

「っ!ハアッ!」

 

一気にジャンプし、空中で召還の陣を描く。

 

 

召還の陣から鎧のパーツが出現し、俺の体を包む。

 

「逃がさねえぞ、アラベル!」

 

 

牙狼の鎧を展開した俺は牙狼剣で右の翼を切り落とす。

 

 

「グウウッ!」

 

 

右の翼を失ったことでアラベルは飛行のコントロールを失い、落下しそうになる。

 

 

「燃え尽きろ!」

 

 

魔導火を取り出して牙狼剣に着火しようとしたが…

 

 

 

 

 

「ガアアッ!」

 

 

 

突如アラベルは首を180度回転させて、口からナイフを飛ばしてくる。

 

 

「何!?グアアッ!」

 

 

 

至近距離でナイフが鎧に命中し、はじき落とされてしまう。

 

 

 

「ガハッ!」

 

かなり高いところから落ちてしまい、衝撃で鎧が解除される。

 

 

「くっ…たく、あんな能力あるなんて知らなかったぜ…」

 

 

魔法衣のおかげで怪我はなかったが、やっぱり痛い。

 

 

 

まあ、高度150メートルから落ちて痛いで済んだのは、魔法衣のお陰だろう。

 

 

しかし、このままではアラベルを見失ってしまう。

 

「畜生、待ちやがれ…」

 

 

すると、突然アラベルの左の翼からホラーの血が流れた。

 

 

「!?」

 

驚いているのは俺だけでなくアラベルも同じなようだ。

 

 

「な、何だと!?」

 

近くのビルに激突したアラベル。

 

 

 

すると、突然空の色が変わる。

 

 

 

先ほどまで真っ黒だった空だったが、赤く染まる。

 

そして、周囲にはモノリスのような壁が出現し、アラベルと陵牙が立っていた一帯を壁が

包囲した。

 

 

「これって…魔戒法師の結界!?」

 

陵牙は、この結界に似たようなものを知っている。

 

 

 

ある魔戒法師が、黄金騎士の戦闘用フィールドとして展開した結界にそっくりだった。

 

 

「そういうことだよ」

 

突然、どこからか声が聞こえる。

 

 

「おいおい、俺は上だぜ?」

 

 

 

 

上を見ると、近くのビルに人が立っていた。

 

 

「あんたは…」

 

 

 

見たことのない男。

 

年は俺より少し下といったところだろうか。

 

 

しかし、目を引くのは彼の鮮やかな銀髪と赤黒いロングコート。

 

 

そして、不思議な模様の刻まれた自動拳銃。

 

 

 

「遅れて悪かったな、黄金騎士さんよ」

 

 

「お前、もしかして!」

 

 

 

男は俺の前に立ち、アラベルに銃を向ける。

 

 

「悪いけど、ちゃんと見といてね?俺の腕前を」

 

 

男は懐から小さなナイフ型の魔戒剣を取り出すと、拳銃のアンダーバレルに装備した。

 

そのとたん、男の雰囲気が変わる。

 

 

「っ!…」

 

 

男は銃を天に掲げ、素早く回転させる。

 

 

 

俺が牙狼の鎧を召還させるのと同じように。

 

 

 

装備されたナイフが、円を描き召還の陣を作り出す。

 

 

「Fire!」

 

 

男がトリガーを引き、弾丸が陣の中心を撃ち砕く。

すると、ゆっくりと陣から光があふれ、男の体を包む。

 

 

男の体を包むのは鎧。

 

 

しかし、牙狼や牙嵐、夜射刃の鎧のような西洋騎士のようなデザインとは異なり、パワードスーツを思わせる外見。

 

 

首にはボロボロになった茶色のスカーフが目を引く。

 

腰の中心に存在する紋章は、回転式拳銃が交差し、真ん中にLの文字が描かれている。

 

 

武器だった自動拳銃とナイフは一体化し、紋章と同じ六連装の回転式拳銃に巨大な刃の付いた、ガンブレードへと変化していた。

 

 

「その姿…お前、魔戒騎士…なのか?」

 

 

俺の知る魔戒騎士とはあまりにも離れた姿。

 

男は宣言する。

 

 

 

「我が名は狼攻。『硝煙騎士・狼攻(しょうえんきし・ロック)』だ!」

 

 

――――――――――

 

(推奨BGM 闇を照らす者 道外流牙 処刑用BGM)

 

アラベルを真っ直ぐに見つめる狼攻。

 

 

狼攻は得物であるガンブレード『硝煙銃剣』を構えると走り出す。

 

「ハアッ!」

 

 

銃剣の刃がアラベルに迫るが、アラベルは口からナイフを連射して抵抗する。

 

しかし、狼攻の鎧には傷一つ付かない。

 

「思ったとおり、不意を突かれなきゃ大した事無いようだな」

 

 

狼攻はどこからか弾丸を取り出し、弾倉に六発の弾丸を装填する。

 

「それが、どうした!?」

 

アラベルは口からナイフを発射するが、狼攻は硝煙銃剣を向け、トリガーを引いた。

 

先程と同じ、対ホラーの弾丸がアラベルにダメージを与える。

 

しかし、その威力は先程の魔戒銃の時の比ではない。

 

 

「グウウオッ!!」

 

狼攻は続けざまに4回トリガーを引き、弾丸がアラベルにダメージを与えた。

 

「き、貴様アアアアァァァ!!!」

 

 

追い詰められて焦ったのか、アラベルの口調が荒くなってくる。

 

「悪いけど、サービスタイムは終了だ」

 

 

狼攻は再び弾丸を取り出す。

 

しかし、先程とは違う青い弾丸。

 

 

それを慣れた手つきで硝煙銃剣に装填し、トリガーを引く。

 

 

すると、銃口からバーナーのように青い魔導火が放たれ、硝煙銃剣を包む。

 

 

 

「ハアアァァァァ……」

 

 

ゆっくりと構える狼攻。

 

 

アラベルは構えている狼攻に向かって走ってくる。

 

「食い殺してやる!魔戒騎士ぃぃぃ!!」

 

アラベルが迫る中、狼攻は動き出し…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか、すれ違っていた。

 

 

 

「何故……俺が………」

 

掠れた声でつぶやくアラベル。

 

アラベルの体には魔導火が纏わり付いており、大きく抉られた痕が残っていた。

 

 

 

「ハアッ!」

 

 

素早く、狼攻は振り返って縦にアラベルを切り裂く。

 

アラベルは膝を突きながら倒れ、塵となって消えた。

 

 

――――――――――

 

 

アラベルが消滅し、結界も解除される。

 

「よしっと。今日の討伐も完了っと」

 

 

狼攻の鎧が解除されて、男は元の姿に戻る。

 

「なあ…お前、何者だ?」

 

陵牙が気になったのは、目の前の男の正体。

 

 

自分たちが扱う鎧とは明らかに異質の鎧。

 

魔戒法師の使う武器である魔戒銃と魔戒剣の融合。

 

 

陣龍大地のときとは明らかに状況が異なっていた。

 

しかし…

 

「さて、あんたの事は知ってるぜ、黄金騎士、牙狼さんよ」

 

 

やけにフレンドリーな感じだし、見た目は俺より少し下って所だろうか?

 

すると、男はポケットから2枚の写真を取り出す。

 

それは、以前ラステイションで大地から見せてもらった写真と同じだった。

 

 

「その写真って…」

 

 

「ああ、こいつは俺が撮った写真だよ」

 

この男、以前陵牙が戦っていたところを撮影していた少年だった。

 

「ってことは…」

 

 

 

「ああ。俺は大地とあんたと同じ魔戒騎士さ。まあちょっと鎧が変わってるけど、それに

はいろいろ事情があってな」

 

はっきりと言わないのは、恐らく触れてほしくない何かがあるのかもしれない。

 

 

そう思った俺は、鎧の事については詳しく聞かなかった。

 

「それと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうやって顔を合わせるのは初めてだが、あんたの事はアイエフ達から聞いてるよ」

 

 

 

 

 

「ハア!?」

 

 

ここでまさか、思いもよらない人物の名前が出てきた。

 

 

―――――――――

 

 

地下に閉じ込められていたブレイブ・ザ・ハード。

 

 

肉体がホラーに近づいてもなお、彼の魂は正気を保っていた。

 

「中々タフだな。ブレイブ」

 

 

黒いローブの男が現れ、ボロボロのブレイブを嘲笑う。

 

「当たり前だ…このようなおぞましい力など、私はいらない!」

 

 

 

黒ローブは少し考えると、とんでもない事を言った。

 

「そうか…ホラーにはなりたくないのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ならば、貴様には私と同じ、暗黒騎士の鎧を授けてやろう」

 

「何だと!?」

 

 

黒ローブは首にかけていたペンダントを外すと、自らの頭上で回転させる。

 

 

ペンダントの魔石が召還の陣を描き、そこから牙狼を歪めたような鎧が出現し、黒ローブを騎士の姿に変える。

 

騎士が取り出したのは、自らが使う物とは異なる剣と盾。

 

 

そこには、紫の禍々しい波動が溢れていた。

 

 

「貴様…まさか、それは!」

 

 

 

 

 

 

「そう。これぞ、希少なる暗黒騎士の魔戒剣だ!」

 

 

騎士はブレイブの体に、その剣を突き刺した。

 

 

 

 




次回予告(ナレーション ラム)


BGM レオン・ガロ召還

ルウィーの孤児院に行くことになったお姉ちゃんとお兄ちゃん。


そこで出会ったのは、皆を拒否する一人の男の子。

あの子の心を開くために、お兄ちゃんが動きます!


次回、『約束』


ちゃんと見てちょうだい、私とロムちゃんとの約束だよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。