今回、この物語が大きく動きます!
そして、牙狼の鎧に大きな変化が…?
感想、評価等引き続きお待ちしてます!
ブランと共に孤児院に行き、ライガ君と出会ってから次の日。
俺はいつものように魔法衣に袖を通しながら教会の廊下を歩く。
「さて、今日も一日頑張りますか…」
すると、血相を変えたブランが走ってくる。
「りょ、陵牙!」
ブランは今までになく慌てている。
「どうしたんだよ、ブラン?」
「こ、これ!これが今朝、私の部屋に置いてあったの!」
ブランが取り出したのは、ラステイションでも見かけた黒の指令書。
「これって、例の指令書って物でしょ?」
「ああ…でも、こんなに立て続けに黒い指令書が届くなんて…」
陵牙は魔導火を取り出し、急いで指令書を燃やす。
「…『暴食の奇怪なるホラー再び出現。黄金騎士は直ちに討伐せよ。なお、このホラーに
時の概念は存在しない』…って、どういうことだ?」
横で同じように考えているブランが呟く。
「ねえ、陵牙…たしか、ホラーって夜しか活動できないのよね?」
「ああ。ホラーは闇の中…つまり夜にしか活動できない…!」
そこまで口にして、俺はようやく気づいた。
「時の概念って…」
「まさか…」
「「昼でも活動できるってこと(か)!?」
こうなると相当不味い。
魔導ホラーのような例外を除いて、どんなに強いホラーも昼間は活動できない。
だが、今回の相手はその例外に当てはまるようだ。
「そうなると、すぐに探さないと!」
俺はすぐに走り出す。
――――――――――
街中を走りながら探す陵牙。
(思い出せ…暴食…奇怪…再び…この言葉が当てはまるホラーは、おそらく『あいつ』だ。ということは…)
「おい、陵牙!」
後ろから声を掛けられ、振り返ると…
「裕也!」
一昨日に出会った3人目の魔戒騎士、『楠神裕也』がそこにいた。
「お前、たしかラステイションに行ったんじゃなかったのか?」
「いや、ちょっとやり忘れた仕事があって戻ってきたんだ」
「仕事?」
「ああ…これでな」
裕也が取り出したのは、俺と同じ黒い指令書。
「どうやら、お前もこの指令を受けていたようだな」
「お前もか…陵牙。もしかして今回のホラー…」
「ああ。たぶん、『奴』だろうな」
陵牙、そして裕也の二人は予想がついていた。
以前、陵牙がルウィーで封印したはずのホラー。
「「ザドリか」」
――――――――――
結局、ターゲットであるホラーは見つからなかった。
俺達は一旦教会に戻り、ホラーの探索は裕也が町中に探査用の魔界符を貼ることで感知できるようにした。
そして、俺はブランにある頼みをすることになる。
「え?教会の図書館で調べてほしいものがある?」
「ああ。ちょっと気になったことがあってな…」
陵牙がブランに頼んだのは、『過去、ゲイムギョウ界に魔戒騎士が存在したのか』。
大地や裕也といったゲイムギョウ界出身の魔戒騎士と出合い、ずっと気になっていたことがある。
この世界の騎士の鎧は、一体どこから来たのだろうか?
もしかしたら、この世界で魔戒騎士が誕生した秘密。それと夜射刃や黒ローブの男の正体
が繋がっているのではないかと陵牙は考えていた。
「なるほどね…それに、陵牙の鎧だって、バーチャフォレストの遺跡の中で見つけたんで
しょ?」
「ああ。俺の勘なんだけど、繋がってる気がするんだよ。全部」
「繋がってる?」
「牙狼が黒い理由、夜射刃や俺が以前出会った黒ローブの正体、最初の黒い指令書に記されていた暗黒騎士の存在、そしてこのゲイムギョウ界に何で魔戒騎士が俺を含めたった3人しかいないのか。全ての謎はゲイムギョウ界にどうやって『守りし者』が誕生したのか、そこだと思う」
陵牙とブランは図書館に辿り着くが…
『陵牙!ホラーの反応をキャッチした。おそらくザドリだろう。すぐに来てくれ!』
以前渡された魔界符から裕也の声が聞こえた。
「ってもうかよ!」
慌てて立ち上がる陵牙に、ブランは話しかける。
「私は何とか調べてみるから、陵牙はホラー退治に集中して!」
「ああ!助かる!」
――――――――――
現場にたどり着いた陵牙は、先日狼攻が張っていた結界を見つける。
「あれか…」
周囲に誰もいないことを確認し、陵牙は魔戒剣を取り出して牙狼の鎧を召還する。
「この先にザドリが…」
牙狼は結界に潜り込む。
結界内で戦っていたのは、狼攻とザドリ。
狼攻が硝煙銃剣から弾丸を撃ち込むが、ザドリは舌を伸ばして弾く。
「冗談だろ!?」
狼攻は距離をとりながらシリンダーに弾丸を装填する。
「あいつ…」
牙狼は狼攻を助けようと走るが…
「そうはいかないぜ?」
目の前に死神の鎌が振り下ろされる。
「っ!」
牙狼は咄嗟にバックステップで避ける。
「お前…夜射刃!」
牙狼の目の前に立っていたのは、ラステイションで出会った敵の魔戒騎士、夜射刃。
「見つけたよ…黄金騎士」
夜射刃は仮面の下で不適に笑いながら鎌を振る。
「くっそ!」
牙狼は魔導火を取り出し、炎を牙狼剣に纏わせようとするが…
「させるか!」
夜射刃の紅い炎を纏った鎌が鎧の変化を妨害した。
「っ!しまった!」
「あのひび割れにはさせねえよ!」
どうやら、炎獄牙狼の事も知っているらしい。
夜射刃は再び鎌に炎を纏わせる。
「炎のコントロール…厄介だな」
「そう。これこそが『灼熱騎士』の本領だ!」
夜射刃は全身から真紅の炎を放つ。
「やっばいな…」
鎧のなかで、陵牙は汗を流した。
―――――――――
ザドリと戦っていた狼攻は、腕に巻きついたザドリの舌に苦戦している。
「くっ!」
狼攻は硝煙銃剣で舌を切り裂く。
「ギュウウアアアア!!」
舌を切り裂かれたザドリが悲鳴を上げる。
「これで、どうだ!」
狼攻は弾丸を装填する。
「やっばい!逃げなければ!」
ザドリはあわてて逃げようとする。
「逃がすか!」
逃げようとするザドリに狼攻は弾丸を撃つ。
「痛い!痛いっての!」
滑稽な声を上げながら逃げるザドリ。
しかし、現在彼らがいるのは狼攻が張った結界。
狼攻を倒すか、強引に結界を破壊するしかない。
突破方法がわからずにうろたえるザドリを見て、狼攻は硝煙銃剣を構えながら走るが…
「はあっ!」
突然、結界の一部が破壊されて謎の男が乱入してきた。
「何!?」
狼攻は乱入してきた男の持つ『盾』で殴られ、吹き飛ばされた。
「く…誰だ、貴様は!?」
目の前に立つ男は、大きな盾と一振りの剣を持っていた。
「………下がれ、『トリック』」
「!す…すまん!助かった!」
男はザドリにそう言うと、ザドリはどこかへと飛んで逃げていった。
「おい…お前、何者だ!?」
裕也は立ち上がりながら聞く。
「……お前と同じ、魔戒騎士だ」
男の言葉に裕也は目を見開く。
「さらばだ、硝煙騎士よ」
男は持っていた剣を盾に擦り付ける。
すると、目の前から不気味な紋章が浮かび上がり、男を鎧が包む。
(な…何だ、あの禍々しいオーラは…!?)
紫がかった黒い鎧に身を包んだ男。
自分と同じ魔戒騎士でありながら、まったく異なる存在に見えた。
「お前の…名前は何だ?」
「名前か…単なる『暗黒騎士』さ」
暗黒騎士はゆっくりと接近してくる。
「暗黒騎士…だと?」
狼攻は目の前に現れた異質な存在に警戒を続けていた。
――――――――――
一方、その頃の牙狼は…
「ぐ…うおおおおお!!」
夜射刃の猛攻に耐えながら、戦い続けていた。
「こいつ…しつこい奴だ…!」
得物を交える度、夜射刃の脳裏に嫌な記憶がよみがえる。
黄金の鎧を纏った男と、自らの主が剣を交えるあの光景…
「腹が立つ…とっとと死にやがれ、黄金騎士!」
夜射刃は鎌の柄の部分で牙狼の腹を突き、牙狼剣を弾き飛ばした。
「!しまった!」
同じ頃、暗黒騎士との戦いで狼攻は暗黒騎士の足元に弾丸を撃った。
すると、着弾した場所から煙が出る。
「!煙幕か!?」
周囲を見回す暗黒騎士。
すると、後ろから狼攻が硝煙銃剣を振り下ろした。
(貰った…!)
しかし…
「ふっ!」
左手の盾で受け止められてしまう。
「弱い…お前、本当に魔戒騎士か?」
「何だと…!」
暗黒騎士は硝煙銃剣を弾くと、盾の先端を狼攻へと向ける。
「!?」
盾の先端に光が集まっていく。
「まずい!」
狼攻は紫の光に飲まれる。
――――――――――
絶体絶命となる2人の魔戒騎士。
その時、宙を舞う二つの剣が奇跡を起こした。
主の手から離れ、宙を舞う牙狼剣と硝煙銃剣。
二つの刃が近づき、ぶつかり合って…
―キイイイイィィィィィン―
金属同士がぶつかる、甲高い音が響いた。
――――――――――
「ぐっ!?」
変化が訪れたのは牙狼だった。
突然、牙狼の鎧に急激な変化が起きる。
黒く染まっていた鎧のあちこちから金色の光が溢れ出る。
「な、何だよ…これ…ぐうう!!」
全身から感じる痛みに陵牙は悲鳴を上げる。
「ぐううう………グアアアアアアアアアアアアア!!!」
激痛に耐えかねて叫ぶ陵牙。
その時、牙狼の鎧が『変化』する。
漆黒に染まっていた鎧はまるで錆が落ちるかのように剥がれ、鎧の腰のパーツには、牙狼
の紋章である三角形が浮かび上がっていた。
極めつけは、牙狼の瞳。
オレンジがかった赤の瞳は、『鮮やかな緑色の瞳』へと変化していた。
(BGM 『我が名は牙狼』)
「貴様…その姿は!?」
夜射刃は目の前で変化した牙狼に戸惑っている。
「あれが…黄金騎士の真の姿…」
狼攻と戦っていた暗黒騎士は、興味深そうに牙狼の姿を見る。
「陵…牙…あいつ……どうして…?」
ボロボロになっていた裕也は、全身が黄金の姿になった牙狼に驚く。
「………」
黄金の姿になった牙狼は、一言も喋らずに夜射刃に向かってくる。
「忌々しい…貴様ああああ!!」
夜射刃は感情的になりながら鎌を振り下ろすが、牙狼は『自分から』手元に戻ってきた牙狼剣で弾き、夜射刃の腹を殴り飛ばす。
「グアアアア!!」
ありえないほどの距離を吹き飛ばされた夜射刃は、立ち上がりながらも戦意を失わない。
「おのれ…黄金騎士!」
牙狼は夜射刃を拳一発で吹き飛ばし、場の空気を大きく変える。
絶体絶命の状況は、すでに存在しなかった。
「流石だな…黄金騎士よ」
暗黒騎士は拍手を送ろうとしていたが…
「おい、待てよ」
いつの間にか狼攻の鎧を再召還した裕也が目の前に立つ。
「まだ終わってないぜ…リターンマッチだ!」
「面白い…諦めの悪い魔戒騎士は嫌いではない。むしろ大歓迎さ!」
楽しそうに喋る暗黒騎士。
狼攻は切り札の弾丸…『烈火炎装』の弾丸を硝煙銃剣に装填した。
「ふっ!」
暗黒騎士は再び盾に光を集める。
「……Fire!」
狼攻もトリガーを引いた。
青い炎が狼攻の体を包む。
「くらえ!」
盾から紫の光が放たれるが…
「はあああ!!」
全身を覆っていた魔導火が硝煙銃剣の銃口に集まり、青い炎が放たれた。
「なっ!」
紫の光と青い炎が激突し、爆発が起きる。
「く…!」
暗黒騎士も狼攻も鎧が解除され、男と裕也の姿に戻る。
「思っていたよりもやるな…弱いと言ったことは取り消そう」
楽しそうな笑みを浮かべる男は、姿を消した。
「あいつ…何がしたかったんだよ…」
裕也はその場に座り込む。
「結界…維持しとかないと…って、もう終わるのか?」
(BGM 『GARO-MAKAI SENKI―』)
その頃、夜射刃は追い詰められていた。
金色の姿になった牙狼。
すさまじい威圧感に、ただ圧倒されていた。
「嘘だ…私が、こんな奴に!」
赤い炎を溢れさせる夜射刃だが、牙狼は牙狼剣をその場で振る。
すると、『振った際の衝撃波』で相手の魔導火を掻き消す。
「そ…そんな!」
牙狼は剣を向けると、力強く宣言する。
「灼熱騎士・夜射刃!守りし者の使命を忘れ、人々を苦しめてきた魔戒騎士」
「貴様の陰我、俺が断ち切る!」
陵牙とは異なる低い声が響き、牙狼は一気に走り…
「ぐ…ああああああ!」
夜射刃の鎧が破壊され、強制的に解除された。
それと同時に、牙狼の鎧から輝きが消え、元の黒い鎧に戻る。
すると、限界が来たのか解除され、陵牙が膝を着いた。
「はあ……はあ…今のは…鎧の光が戻ったのか?」
薄っすらとだが覚えている。
突然、鎧が変化して気がついたら全てが終わっていた。
「く………おのれ…!」
夜射刃は足がふらつきながらも立ち上がる。
彼の目には、陵牙は映っていなかった。
先ほどの黄金の姿。
金色の鎧に……緑色の瞳。
ヤイバにとっても、そして彼の主にとっても因縁のある存在。
その人物と陵牙を重ねたのか、ヤイバは叫んだ。
「覚えていろ…!いずれ、貴様を殺してやる!存在すること自体を呪うほどにな!忘れる
な!」
「『――――!』」
その名前が聞こえたのは、陵牙だけだった。
――――――――――
結界が解除され、裕也が歩いてくる。
しかし、陵牙の様子がおかしかった。
目を見開き、震えている。
「……どういう、ことだ…?」
困惑した表情の彼に、裕也も戸惑いを隠せない。
「どうかしたのか、陵牙?」
「……何で…『あの人』の名前を…?」
陵牙が聞いた、夜射刃の叫んだ名前は…
同じ頃、ブランは図書館のある部屋で、ついに魔戒騎士にまつわる情報を発見した。
そこに置いてあったのは、一冊の『絵本』。
題名は『四人の女神と二匹の狼』。
ゲイムギョウ界では昔からあった絵本だ。
ブランは絵本を見ると、そこに描かれていたのは…
「やっぱり…牙狼。それも…二人?」
描かれていたのは、子供向けにデザインが変更されていたが、間違い無く牙狼だ。
一人は、背中に金色の翼を背負った牙狼。
もう一人は、両肩に狼の顔を付けた、金と銀の牙狼。
そして、著者の名前は…
「冴島…鋼牙…!」
「御月…カオル…!?」
――――――――――
次回予告(ナレーション 陵牙)
深まっていくのは、謎。
近づいているのは、恐怖。
それでも走るしかないのか?
次回『運命』
牙狼は…何故俺を選んだ?
お待たせしました、19話です!
牙狼といえばこの二人は欠かせないと思っています!
そして陵牙の鎧に起きた変化はいったい…?
今後とも、応援よろしくお願いします!