牙狼 超次元の騎士   作:狼牙竜

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リーンボックスの体験入国で、陵牙はテレビ局に向かうこととなる。

…そこで出会うのは、予想の斜め上の人物だった。



今月で魔戒烈伝も終了しますが、来月からは『牙狼<GARO>HDリマスター』が放送されるらしいので今から楽しみです。



あの頃の鋼牙達にまた会える!




今回も、感想や評価をお待ちしてます。


また、現在アンケートを行ってますので、活動報告もよければ見ていってください。



第24話 歌姫

俺がリーンボックスに体験入国に来て、3日。

俺とベール姉は現在、リーンボックスのテレビ局を歩いていた。

 

「さっきからうずうずして、まるで子供みたいですわよ、陵ちゃん」

「う…だってこういう場所来るの、初めてだし…」

 

 

ちなみに、お互いの呼び名が陵ちゃん、ベール姉に変わっているのは、昨日「何か他人行儀な感じがする」とベール姉が不満を漏らしていたため、互いの呼び名を決めたのだ。

 

 

 

 

最初はベール姉さんと呼んでいたが、長いのでベール姉、あるいは姉さんと呼ぶことにした。

 

 

 

 

 

 

…まあ、正直まだ気恥ずかしいし、この件でチカさんから未だに睨まれ続けているが。

 

 

それはそうと、俺たちがどうしてテレビ局にいるのか。

その理由は、姉さんの女神としての仕事である。

 

リーンボックスで大人気のアイドルと共演することになっているらしく、付き添いとして俺も来ることとなった。

 

「ところで、共演するアイドルってどういう人?」

「5pb.ちゃんと言いまして、優しくて素直な子ですわ。でも…」

「?」

 

 

妙に口ごもるベール姉。

 

「まあ、直接会えばわかる筈ですわね」

 

 

俺達は彼女のいる楽屋へと向かった。

 

――――――――――

 

楽屋の前に来ると、一人の中年男性が立っていた。

 

 

「あら、局長さん。お久しぶりですわね」

「おお、ベール様!相変わらずお美しいこと!」

 

局長と呼ばれた男性はやや大げさな動きで歓迎する。

 

しかし、俺はその男性の姿を見て、声が出なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………!?」

「あら、あなたまで様付けですの?」

 

ベール姉がやや不満げな表情になると、男は笑って答える。

「わかったよ!しっかし随分とカッコいい彼氏捕まえたもんだな、ベールちゃん!」

「か、彼氏!?ち、違いますわよ!」

 

急にベール姉をちゃん付けで呼ぶ男。

慌てるベール姉だったが、俺はすぐに挨拶する。

 

 

 

 

「は、はじめまして!この国に体験入国させていただいている、轟雷陵牙です!今日は、ベール様の付き添いで来ました!」

 

男は、手を差し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか!俺はここの局長をしてる、ヘルマンだ!よろしく頼むぜ!」

 

 

 

この気さくな男性、『絶影騎士ゾロ』の称号を持つ魔戒騎士、ヘルマン・ルイスと顔が瓜二つなうえ、名前までそっくりそのまま同じだったのである。

 

 

 

すると、ヘルマン局長の後ろから一人の少女が現れる。

 

青い髪で、やや露出の多い服、腹部には音符のような奇妙な印のような物(刺青?)が付

いている。

 

 

 

「ベール様!よろしくお願いします!」

「よろしくお願いしますわ、5pb.ちゃん」

 

 

彼女が…なかなかかわいい子だな…

 

 

「こんにちは、俺は…」

言いかけて気が付いた。

 

彼女、俺を見て怯えながら後ろに下がっている。

 

 

「え…?あの、俺はg「ひう!?ひゃああああ!」……」

 

 

ただ挨拶をしようとしただけなのに…魔戒騎士になってから多少はメンタルが強くなったと思ってたけど、結構心に来る…

 

 

 

 

「悪いな、陵牙君。彼女、5pb.ちゃんはちょいとばかし人見知りでな、そう落ち込まんでくれ。お前さんが嫌いってわけじゃないんだ」

 

ヘルマンさんの励ましが胸に響いた。

 

 

「ご、ごめんなさい…僕、初めて会う人と話すのが苦手で…局長さんとかベール様は、も

う見知った相手だから、大丈夫なんですけど…」

 

 

 

「あー…なるほど」

 

まあ、人見知りなら仕方がないな。

 

 

 

 

 

…断じて泣いてなんかないぞ。うん。

 

「あれ?陵ちゃん、泣いてまs「泣いてないよ」え…でm「泣いてないから」…」

 

 

そう、女の子に本気で怯えられるくらいで俺が泣くわけないじゃないか…

 

 

ちなみに、このやり取りはしばらく続いた。

 

 

 

 

――――――――――

 

スタジオで収録が始まり、俺とヘルマンさんは端っこで見ていた。

 

「やっぱ凄いな、ベール姉は」

 

 

最近、イメージ崩壊に繋がるような所を見るのが多かったため、きちんとおしとやかに対応している姿がかなり懐かしく見える。

 

しかし、それよりも驚く光景がある。

 

先ほどまでのおろおろしていた雰囲気とは逆に、明るい立ち振る舞いの5pb.だ。

 

 

「どうだい?驚いたろ」

「ヘルマン局長?」

局長は誇らしげに語る。

 

 

「5pb.ちゃんは、歌を歌うときとか、仕事のときは気持ちが切り替わってな。簡単に言えば、スイッチが入るんだよ」

 

確かに、さっきまでとはまるで別人だ。

 

 

「あの子は本当に歌が大好きでさ。見てみなよあの顔。楽しそうだろ?」

今の5pb.は笑顔があふれている。

 

 

 

「それに、彼女の本領はここからだぜ」

 

 

 

暫く経ち、5pb.はステージに立つ。

 

 

「それでは聞いてください!

 

 

 

 

 

『流星のビヴロスト』!」

 

曲が流れ始め、迫力のある演奏が始まった。

 

 

それと同時に彼女の歌声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

「す………凄い…!」

 

力強さ。時折聞こえる優しいメロディー。

 

 

聞く者の心を振るわせる歌だった。

「どうだ?あの子の『本気』は」

 

 

 

 

「本…気…」

 

 

まさに、今の俺は彼女の歌の虜になっていた。

「何ならまた来なよ。俺はいつでも歓迎するぜ?」

 

 

 

ヘルマン局長は笑いながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…よし、今日から彼女のファンは確定だな。

 

――――――――――

 

収録も終わったようで、ベール姉と5pb.が向かってきた。

 

「お疲れ様、姉さん」

「ええ。そちらこそお疲れ様でしたわ、陵ちゃん」

 

「5pb.もお疲れ…」

「ひう!?」

 

 

やっぱり隠れるか。さっきまであれほどの歌を歌っていただけにギャップが半端ない。

 

「大丈夫ですわよ5pb.ちゃん。陵ちゃんは頼れる方ですから」

すると、突然ベール姉が何かを思いついたような顔をする。

 

「そうですわ。陵ちゃん、5pb.ちゃんを楽屋まで連れて行ってあげてください」

 

 

「え?俺がですか?」

「えええええ!?」

 

 

5pb.が慌てるが、ベール姉は笑顔で話す。

 

「大丈夫ですわ。陵ちゃんは信頼できる人ですから」

 

ヘルマン局長とベール姉は俺たちを置いて話をするために出て行き、俺は楽屋に連れて行くことになった。

 

 

――――――――――

 

楽屋に戻った俺たちだが、互いにどう声をかければいいかわからず、妙に緊張した空間となっていた。

 

 

「……………」

「……………」

 

 

もの凄く気まずい。ホラーと戦うときよりも凄い緊張感だ。

 

 

何か話題を…そうだ!

 

「さっき聞いたけど…歌、凄かったよ」

 

「え?……ありがとう…」

 

「…どういたしまして…」

 

「………」

 

 

 

 

終わるの早いだろ!これ会話と言える!?

 

「あ…あの…」

「ん?どうかしたのか?」

 

初めて、5pb.の方から声をかけてきた。

 

 

「ごめんね…僕、本当に知らない人と話すのが苦手で…嫌な思い、させちゃって…」

 

「大丈夫だって。俺、そんなに気にしてないからさ」

 

「本当…?」

「ああ。それに、さっきの歌、迫力があったよ。正直、心が震えた」

 

 

「え……あ、ありがとう…!」

 

ようやく、彼女が笑顔を見せてくれた。

 

 

「そうだ。まだ名乗ってなかったな」

 

俺は真正面から向かい合う。

 

「俺は轟雷陵牙。本当はプラネテューヌの教会でお世話になってるんだけど、今週はリーンボックスの教会で体験入国をしている。名前に関しては好きに呼んでかまわないから」

「うん!じゃあ…これからよろしくね。陵牙君」

 

 

「ああ…!」

 

どうやら、緊張は解けたようだ。

 

「ねえ、陵牙君は歌とか歌うの?」

 

 

「そうだな…昔友達とバンドやってたし、多少は歌えるはずだけど…」

 

5pb.が期待した目で俺を見てくる。

 

 

流石にこれは何か歌わないとな…

 

ふと俺はある曲を思い出す。

 

 

 

俺が今まで聞いた中で、一番好きだったあの歌があった。

 

 

 

 

「じゃあ、始めるよ。曲名は…

 

 

 

 

 

 

 

『 風 ~旅立ちの詩~ 』」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

ベールとヘルマンは、5pb.のいる楽屋へ向かっていた。

 

「しかしベールちゃんも、ずいぶんといい男見つけたね~」

「やめてください局長!陵ちゃんは弟みたいなものですわ!」

 

スケベな中年親父の表情というより、娘をからかう父親のような雰囲気のヘルマンだったが、急にまじめな表情になった。

 

 

 

 

 

 

 

「でもさベールちゃん。正直のところ、あの少年のこと、どう思ってるんだ?」

 

 

「…え?」

 

ヘルマンの真面目な表情にベールは驚く。

 

 

「これはオッサンからの忠告だが…惚れた相手には早いうちにキチンと思いを伝えな。結局伝えられずに終わったら、後悔するのは自分自身。しかも一生消えない傷にだってなるかもしれない」

 

 

「………そうですわね」

 

 

 

 

 

「ま、そこらのオッサンの言葉だ。あんまり深く考えるもんじゃねえよ」

 

 

急にいつものおどけた雰囲気のヘルマンに戻った。

 

ふと、5pb.と陵牙がいる楽屋から歌声が聞こえた。

 

 

 

「この声…陵ちゃん?」

 

局長とベールは楽屋にたどり着き、そっと中を見る。

 

 

 

そこにいたのは、陵牙が何かの歌を口ずさんでいた。

 

 

 

 

 

ベールも、ヘルマンも、5pb.も知らない曲。

 

 

 

だけど、どこか暖かい歌。

 

 

 

それは、一人の強い男の旅路を。そしてその旅の終わりを歌っていた。

 

 

 

 

 

 

目を閉じながら口ずさむその歌に、ベール達は虜になっていた。

 

 

 

「希望に燃える…朝焼けの海で…」

 

 

 

 

また巡り逢える

 

この最後の歌詞が、ベール達には強く印象に残った。

 

 

――――――――――

 

「いやいやいや、素晴らしかったよ陵牙君!」

 

局長が笑いながら背中を叩いてくる。

 

「痛い!痛いっす局長!」

局長はご機嫌で話を進めようとしてきた。

 

「どうだ?このまま歌手で食っていかないか?俺達なら最高のコンビになれると思うんだよ~!」

 

 

「あ~…すいません。俺、やらなきゃいけないことがあるんで、それは難しいです」

 

あんまり本気というわけでもなかったのか、局長は素直に下がった。

「そっか…じゃあ仕方がないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺とベール姉は教会まで帰ることとなった。

 

「本当にいいのか?送っていかなくて」

「はい。ちょっとこの後用事があるものですから」

 

 

用事とは勿論、魔戒騎士の仕事。ゲートの浄化作業とホラーが出てないかのパトロールだ。

 

 

「では、また明日もよろしくお願いします」

 

局長と5pb.の車が去り、俺は魔戒剣を鞘に収めた状態で取り出す。

 

 

「さて、パパッと浄化を終わらせて、早く帰ろうか」

「ええ。私もお手伝いしますわ」

 

俺は魔戒晶をベール姉に渡し、ゲートを探し始めた。

 

 

 

―――――――――

 

次回予告(ナレーション 某魔導輪)

 

本当の実力者は口ではなく振る舞いでわかる。

 

歴代黄金騎士を思い出してみろ。

 

歌手も騎士も同じことさ。

 

次回『歌声』

 

悪いが、俺様は歌ったりしないぜ?

 




特別人物紹介
ヘルマン・ルイス(年齢不詳)
CV.堀内賢雄
リーンボックスのテレビ局の局長。

ベールとは旧知の仲であり、この国でベールを実の娘のように可愛がっている。
リーンボックスでベールをちゃん付けで呼べる唯一の人間。

家族構成は妻、長男の3人家族。
どこかの誰かと名前や外見は同じだが、街中で脱ぐことはない(ここ重要)


予告に関しては、予定よりフライングして出してしまいました。

正直、今回の予告はこっちのほうがしっくり来てたので…

では、次回もよろしくお願いします!
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