完全に余談ですが、牙狼のスマホゲーム『魔戒の迷宮』、やってる人っています?
自分はこの作品の主人公、陵牙の名前でやってます。
もし見かけたら、そのときはよろしくお願いしますね。
活動報告のほうでのアンケートも引き続き募集してますので、返事をお待ちしてます!
感想、評価も引き続き待ってるので、よろしくお願いします!
翌日、俺達はまたしてもテレビ局へと訪れていた。
その理由は…
「悪いな、ベールちゃん、陵牙君よ」
すでに教会の前にはヘルマンさんが車で待機していた。
「いいえ、これも仕事ですからね」
ベール姉は笑って対処している。
今日もベール姉はテレビ局で仕事だ。
何でも、5pb.が出演する歌番組の特別ゲストとして招待されたらしい。
「でもよかったよ、陵牙君も来てくれて。5pb.ちゃんがぜひとも来てほしいって言ってたからな」
ヘルマンさんは明るく笑う。
「さて、そろそろ着くぞ」
今日も一日、頑張りますか。
――――――――――
ベール姉とヘルマンさんの二人とはいったん別行動になり、俺は差し入れを5pb.に持っていった。
「5pb.?陵牙だけど、入っていいか?」
「りょ、陵牙君!?い、良いよ!」
控え室に入ると、5pb.はギターのチューニングを終えた後だったらしく、その目は準備万端と物語っていた。
「どうやら、問題はないみたいだな」
「うん。準備はしてきたけど、とりあえず一曲歌ってみるね?」
5pb.は軽くだが歌い始める。聴く限り、調子はよさそうだな。
「大丈夫みたいだな。まあ、素人意見だけど」
「ううん!そんなことないよ!」
見る限り緊張はしてないようだ。
「折角だから、陵牙君の歌も聞きたいけど…」
「え?俺のか…よし、ならば…」
「おいおい、5pb.はずいぶん余裕みたいだね」
すると、後ろからずいぶんと嫌味な声が聞こえる。
振り向くと、そこには見慣れない男が3人立っていた。
…俺達を見下しているのだけはすぐにわかった。
「…ユピテル…」
「ユピテル…?もしかして、こいつらもアイドルか?」
「おいおい、俺達をこの程度の奴と一緒にしてもらっちゃ困るよ」
「…は?」
思ったとおり、こいつ等…
「僕達はね、彼女なんかとは比べ物にならない。このアイドル界の頂点に立つんだからさ」
やっぱり性格悪いな!しかも言う事がでかすぎるから、どこか小物っぽいし!
「今は皆、君がナンバーワンアイドルだと思ってるみたいだけど…今日からは違うよ」
「教えてあげるよ。僕達ユピテルこそが、真のアイドルだということをね」
「僕は…ただみんなが喜ぶのが嬉しいから歌うだけだよ…」
5pb.がオドオドしながら話す。
「流石の優等生発言だね。でも、君は大きな勘違いをしている」
「そうそう。歌は儲かってこそだよ。僕達がそれを証明する。君の下らない理由で歌う歌
なんかより、僕達の歌の方が素晴らしいってことをね」
下らないだと…!
こいつら…
「下らなくなんてない…!僕は…僕の歌で皆を笑顔にしたいから…」
「いらないよ、そんな理由」
「僕らに勝てないって分かってるから、せめてそういった方法で皆にアピールしたいの?そのほうが皆から同情されるからかな?」
「それくらいにしたらどうだ?」
瞬間、ユピテルの3人と5pb.は背筋が寒くなった。
しかし、目の前の男が一般人だと分かるとすぐに相手を見下す眼になる。
「おいおい、どうして無関係の一般人がここにいるんだい?」
「彼女のサポートだ。それ以外に説明する必要なんてないだろ?」
「おいおい。5pb.なんかのサポートなんて時間の無駄だろ?応援する相手は選んだほうが良いよ?」
「あいにく、人を見る眼はあるのでね。それに、俺は貴様らのような二流を応援する気は
さらさらない」
その言葉が気に障ったのか、ユピテルのメンバーが俺に殴りかかってくる。
「!陵牙君!」
5pb.が叫ぶが、俺は片手で拳を受け止めた。
「お前、今何て言った!?僕達が二流?その言葉を取り消せ!」
「いいや、取り消す気は無いね。それに、紛れも無い事実だろ?」
俺は掴んでいた拳を離す。
「本当の実力者は、他者を見下すことは無い」
牙狼としての俺の先輩に当たり、俺が現在目標にしている人物…冴島鋼牙さんはまさにそれだ。
魔戒騎士の最高位という自分の地位に酔うことが無く、日々己の力を高め、振る舞いからでも強さを伺える人物。
「己に酔い、他者を見下すようなことを続けるならば…お前らは絶対にナンバーワンにはなれやしないさ」
俺は5pb.の手を掴んだ。
こんな胸糞悪い奴らとはとっとと離れたい。
「それに、貴様らは派手な飾りつけと実力が点でバラバラだ。煌びやかに見せたいなら、相応の力をつけることだな」
「…ちっ!だったら、この後に僕達の力を見せてやる!」
そう言い残すと、ユピテルの3人はどこかへ走っていった。
―――――――――
番組は生放送らしく、俺は一旦5pb.と別れてベール姉を探していた。
「あれ?陵牙か?」
ふと、後ろからの声を聞いて振り返るとそこには懐かしい顔があった。
「大地!」
俺と同じ、魔戒騎士である陣龍大地。
そして大地の仲間である魔戒法師のマーベラスAQLと、MAGES.もいた。
「もしかして、ベール様の仕事か何かか?さっき局長さんと一緒に歩いてるのみ炊けど」
「ああ。大地達はどうして?」
「5pb.から誘われてな。ホラー狩りまで暇だったから、来てみたんだ」
「なあに、大事な従姉妹が招待してくれたのだし、仕事とはいえちょうどリーンボックスに来たから様子を見にな」
「へ~…5pb.とMAGES.って従姉妹同士だったんだ」
ちょっと驚きだ。
ってことは…
「言っておくが、5pb.は私が魔戒法師とは知らん。あくまでも旅をしている魔法使いということにしている」
その頃、ユピテルの3人組は…
「ったく!何なんだよあの野郎は!」
リーダーのケンは、控え室のゴミ箱を蹴り飛ばした。
「落ち着け、ケン。たかが一般人の言葉だ。」
しかし、ケンは未だにイライラしていた。
「何で5pb.なんかが評価されてるんだ!僕達が誰よりも優れてるのに…あいつがいなくなれば…」
すると、何者かが扉を開けた。
「だ、誰だよお前!?」
そこに立っていたのは、赤いローブの男…ヤイバだった。
「力がほしいのか…?なら、この私が力を貸してやってもいいぞ?」
そう言ったヤイバの目は、不気味に赤く輝いていた。
番組は予定通り始まり、どうやら最初はユピテルが歌うようだ。
「さて、今回も始まったぜ!実況はこの俺、『ヒロノブ』が受け持つぜ!」
…ものすごくどこかで聞いたような、というよりそろそろ聞きたい声が聞こえた気がした。
っていうか、あの人めっちゃソックリじゃん!ザルバの中の人に!
そんなことを考えていると、ユピテルの3人組が出てくる。
すると、周囲の女性達が大喜びで悲鳴を上げる。
「さて、どうやら僕たちの魅力に打ち抜かれた子達が大勢のようだね…さあ!もっと僕ら
に声援を!」
「ちっ」
「ゲートの浄化、5pb.の順番が来るまでやってるかな~」
「マーベラス、私もいくぞ」
「ちょ!置いてかないで!?」
周囲の男達は面白くなさそうな顔をしているが、俺の横にいる騎士や法師達に至ってはさっさと帰ろうとしていた。
―――――――――
ユピテルが歌い終わり、さまざまなアイドル達も次々と登場してきた。
そして、俺たちの待ち望んだ…5pb.の出番がやってきた。
しかし…
「みんな、おまたせ!」
今回の5pb.の服装に俺は目を丸くした。
「…はい!?」
なぜなら、彼女が着ている衣装は…
魔戒法師の莉杏(GOLD STORM 翔仕様)の服装だった。
「ど、どうした!?」
「いや…あの服、俺の知ってる魔戒法師の服とまんまデザイン同じなんだけど…」
驚く俺だが、5pb.はマイクを取る。
「それでは聞いてください!『CHASTLITE』!」
曲が開始され、初っ端から大きく盛り上がる。
「すげえ!今までの曲とは雰囲気が違うけど、何かかっこいいな!」
「いいぞ~!5pb.ちゃん!」
すると、5pb.と目が合う。
彼女はこっちに手招きをしているようだ。
「おい陵牙。ご指名だぞ?」
大地が「早く行け」と言わんばかりに背中を押す。
よく見ると、特別ゲストの席に座るベール姉も期待の眼差しを送っていた。
「…よっし!」
俺はその場からジャンプし、5pb.の横に並び立った。
「じゃあ、俺も混ぜてもらおうか!」
俺は上から落ちてきた(スタッフさんが真上から落としてきた)マイクを受け取り、共に歌う。
「誰なの誰なの!?あの黒コートの男の人!」
「すげえ!5pb.ちゃんと息ピッタリだ!」
「歌も上手くて素敵なのね!嫌いじゃないわ!」
観客も大喜びで、ベール姉は…
「やっぱり見立てどおりでしたわね!」
5pb.が着ている莉杏の魔法衣。
以前陵牙と一緒に見た『GOLD STROM 翔』で『黒コートの黄金騎士と相性がいい服』と考え、チカ達の協力で作ったものである。
大事なことだが、戦闘能力は勿論無い。
「お二人とも、素敵ですわ!!」
やがて、曲もラストに入り…
「っ!」
演奏が終わると同時に、陵牙はバック転を披露して、曲は終わった。
その瞬間、会場からはたくさんの拍手が響いた。
――――――――――
「いや~、悪いね陵牙君。君を出すことに関してはベールちゃんから許可は得ていたんだが、直前まで秘密にしといたほうが面白いと思ったんだよ」
ヘルマン局長がまったく悪びれずに言う。
「今度からはちゃんと教えてくださいよ!」
放送も終わり、俺はベール姉と共にテレビ局から帰る準備をしていた。
「オッケーオッケー、今度からはちゃんと教えるからよ。また頼むぜ?」
ヘルマン局長は懐から茶封筒を取り出し、そっと渡す。
「こいつはほんのお礼だ。じゃあ、また来いよな」
それから数分後、ベールと陵牙が帰っていくのを見てヘルマンは一息つく。
すると、彼の持つ携帯電話に着信が入った。
「…」
ヘルマンは電話を取ると、誰かと会話を始めた。
「…お前がわざわざこっちの仕事中に電話してくるってことは……やっぱりか…」
いつに無くまじめな表情になるヘルマン。
「ああ。わかってるよ。お前も手ぇ出すなよ。見つけるまでなら構わんが、今のお前は…」
今の彼を陵牙が見たら驚くに違いない。
その目はいつもの「陽気なテレビ局の局長」とは大きくかけ離れていたからだ。
「ああ、それと…今日は俺も帰れるが、どうだ?お前もたまには帰って来いよ。アンナも、『久しぶりにロベルトの顔が見たい』ってごねるんだ…オッケー。ならこの後行くよ」
急にいつもの雰囲気に戻るヘルマン。
「じゃあ、また後でな」
――――――――――
先ほどまでヘルマンと電話をしていたのは、どこか彼に似た雰囲気の赤髪の青年だった。
「ったく、親父のやつ…しつこいっての」
青年が携帯をスーツのポケットに入れると、後ろから小さな赤ん坊を抱えた女性が話しかけてくる。
「お義父さん、何だって?」
「ああ。この後来るってさ。母さんも、久しぶりにロベルトの顔が見たって言ってるし、
今日は向こうだな」
青年は女性が抱く赤ん坊の頭をそっと撫でた。
この青年の正体に関しては、またいつかお話しするかもしれません。
ですが、今はまだ、そのときではありません…
――――――――――
次回予告(ナレーション ベール)
守りたいのは、彼女の未来。
現れたのは、意外な人物。
次回『邂逅』
彼は託された。
黄金騎士として、この世界を
今回登場した青年、その正体に関してはいずれお話しする日が来ます。
案外、早いかもしれませんが…
では、また次回!