陵牙達は5pb.のコンサートに間に合うのか?
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リーンボックスの町外れの倉庫の中で、両手両足を縛られた5pb.がいた。
その周囲には、人間の姿をしている『何か』がうろついていた。
「ったく、ヤイバ様も人使いが荒いぜ。こんなバケモン達と一緒に5pb.の監視とか、アタイが喰われちまったらどうすんだよ」
その中に、異質な存在がいた。
緑の髪で、ねずみのようなデザインのパーカーを着た女性。
彼女の名はリンダ。わけあってヤイバの配下として行動している女性だった。
「ま、こいつのおかげで言うこと聞くから、まだ楽なんだけどな」
リンダの指には、赤く輝く指輪が嵌められていた。
――――――――――
レオンさんから教えられた廃倉庫の前に訪れると、そこにはすでに大地とMAGES.、マーベラスが立っていた。
「来たな、陵牙」
「ああ。で、ここに間違いないか?」
MAGES.がうなずく。
「間違いない。すでに何体かのホラーの気配がある」
マーベラスは方位磁針のような魔導具『魔針盤』を取り出した。
「見る限り、中にいるのはホラーの反応が12体ってところだね」
「オッケー。なら、1人4体の割合って考えようか」
MAGES.は突然、魔界符を取り出して倉庫の周囲を覆う。
「それは?」
「結界用の界符。二人が鎧を召還したら展開される」
MAGES.が説明した。
「この結界が開いてれば、鎧は刻の影響を受けないの」
なるほど。以前裕也が使ってたやつと同じってことか。
「準備は整ったな。みんな、構えとけ」
俺と大地は屋根の上、MAGES.とマーベラスは窓の影に隠れて…
「GO!」
俺と大地は天井を突き破り、マーベラスとMAGES.も窓を破壊して進入した。
「!?な、何だよこいつら!?」
リンダは慌てるが、すかさず俺たちは魔戒剣や魔導筆でホラーを1体ずつ倒した。
「貴様ら、魔戒騎士か!?」
男達は俺達を睨んでくる。
「見てのとおりだ!」
男達も攻撃してくるが、MAGES.が魔導筆で防ぐ。
「貴様ら全員、食ってやる!」
男達の中で、2人がその姿を変え、ホラー態となった。
「おいおい、よりによって…」
「2体とも体持ちかよ…」
その2体のホラーは、個別の体を持つタイプだったのだ。
「ボナファルツとピクロか…」
ボナファルツ。かつて冴島鋼牙が戦った、銃を陰我として出現したホラー。
ピクロ。道外流牙がある事件でかかわったホラー。醜悪な妖精のような外見をしている。
「大地。ピクロ…あの妖精モドキは俺に任せてくれないか?」
俺は魔戒剣を鞘から抜く。
「ああ。こいつは任せておけ」
大地も魔戒鎚を構える。
「大地、陵牙。雑魚は我々が片付ける」
「5pb.は僕達で助けるから、思いっきりやってきて」
マーベラスとMAGES.が魔導筆を構え、俺たちは動き出した。
「ふっ!」
「ハアアッ!」
俺は頭上に剣をかざし、大地は地面に鎚を叩きつけて同時に召還の陣を描いた。
それと同時に結界が展開される。
「さて、一気に決めようぜ!」
「ああ!」
牙狼と牙嵐の鎧を纏った俺達は、それぞれを相手に戦いを始めた。
―――――――――
「シャアアア!!!」
素体ホラーが6体同時に襲ってきたが、MAGES.は攻撃を受け止め、ハイキックで1体の頭を蹴り飛ばす。
「マーベラス!」
「うん!」
マーベラスは魔導筆に光の刃を作り出し、ホラーを斬った。
「今だよ、MAGES.!」
バックステップで下がりながらマーベラスは叫ぶ。
それと同時に、MAGES.は魔導筆で空中に魔戒文字を描いていた。
「ハアアアア………ハアア!!」
眩い光が無数の矢へと変化し、ホラー達を貫いた。
「よし!」
マーベラスがガッツポーズをとるが、MAGES.はすぐさま5pb.の元へ駆け寄る。
「おい、大丈夫か!5pb.!」
気絶していた5pb.は目を覚ます。
「う………MAGES.?」
5pb.はゆっくりと目を開けた。
「ああ。助けに来たんだ」
5pb.はホラーの存在を思い出したのか、あわてて叫ぶ。
「き、危険だよMAGES.!ここには怪物が…!」
「大丈夫。彼らがいるから」
マーベラスが指した方向には…
異形の怪物と戦う、狼の鎧を纏った男たちだった。
「な、何あれ…?」
「大丈夫。あれは、大地と陵牙だから」
5pb.は目の前の騎士達を見る。
巨大なハンマーを振り、相手を圧倒するパワー型の騎士。
金色と黒が目立つ、スマートな体型の騎士。
とても、自分が知っている2人とは思えない。
顔が見えないのもあるからだろうか。
「5pb.!」
「陵牙…君?」
黒い鎧…牙狼が5pb.に叫んだ。
「皆、お前のライブを待っている!リーンボックスの…いや!このゲイムギョウ界のお前のファンが心待ちにしてるんだ!」
牙狼はビクロを殴り飛ばして叫ぶ。
「ここは俺たちが何とかする!5pb.は、自分にできることをするんだ!」
牙嵐の言葉を聴いて、5pb.は静かに頷く。
「MAGES.!転移の符を使え!」
「わかった!」
すると、ナイフを持ったリンダが襲ってくる。
「やらせるかよ、このやろうが!」
しかし、すばやく後ろに回ったマーベラスが首にチョップを叩き込み、気絶させた。
「今のうちだよ!」
マーベラスの言葉に、5pb.は頷いた。
「ハアアッ!!」
転移の符が輝くと、黒いゲートのようなものが出現した。
「飛び込め!」
MAGES.の叫びに5pb.はためらいながらも飛び込んだ。
――――――――――
テレビ局の5pb.に準備されていた楽屋では、突然黒いゲートが出現し、5pb.はゲートから出てきた。
「5pb.ちゃん!」
「大丈夫ですか?」
ヘルマンとベールが駆け寄った。
「局長…ベール様…」
5pb.はベールの手を掴む。
「ベール様…陵牙君と大地君が…」
ベールは5pb.に優しく語り掛ける。
「大丈夫ですわ、5pb.ちゃん」
その目には一切の不安がない。
「陵ちゃん達は…魔戒騎士は、負けませんわ」
「はあああ!」
牙嵐は轟擂を力強く振り、ボナファルツが撃つ銃弾を弾き飛ばす。
「フン!」
ボナファルツの腹に轟擂を叩き込み、殴り飛ばす。
『ロオメ…ナサリシチゾコシザ!(おのれ…魔戒騎士ごときが!)』
ボナファルツは立て続けに右手の銃で攻撃してくるが、牙嵐の鎧には攻撃が届くことな
く、逆に轟擂で殴り飛ばされていた。
ゲイムギョウ界の魔戒騎士の中で、パワーと防御力に秀でた牙嵐の相手となったことが、ボナファルツにとっての不幸だったのかもしれない。
「これで、終わりだ!」
牙嵐はボナファルツを掴み、空中に放り投げる。
『ロナレ…アイヨツム?(お前…なにをする?)』
すると、ボナファルツより高く飛び上がった牙嵐が、手に持っていた轟擂を思いっきり振りぬいた。
「ハアアアアア!!!」
悲鳴を上げる暇もなく、牙嵐の一撃でボナファルツは潰されて封印された。
――――――――――
一方、飛行能力を持つピクロに牙狼は苦しめられていた。
「くっそ!」
結界の中なので移動は制限されているが、スピードに苦戦している。
「陵牙!」
後ろからの声に振り返ると、そこにはすでに戦いを終えた牙嵐が走ってきた。
「さっさと決めろよ!」
牙嵐は牙狼に轟擂を向けて走ってくる。
その行動で、彼の考えが読めたのか牙狼は牙狼剣を向ける。
一瞬、牙狼剣と轟擂がぶつかり…
―キイイイィィィィィン―
金属音が響き渡り、牙狼が黄金の輝きを取り戻していく。
「悪いが…時間がもったいないからな!」
漆黒が掻き消され、緑の瞳の黄金騎士が蘇った!
『ロルゾユ…シチガコ!?(黄金…騎士だと!?)』
ビクロはその輝きに本能的な恐怖を覚える。
ゆっくりと、しかし堂々と歩いてくる牙狼の姿にビクロは無意識に下がっていた。
「ふっ!」
一気に跳躍して距離を縮め、ビクロの羽を切り裂いた。
「ギャアアア!?」
牙狼は続けざまにビクロの背中に一太刀浴びせる。
『ロルゾユ…シチ…!(黄金…騎士…!)』
「ホラー・ビクロ!貴様の陰我、俺が断ち切る!」
牙狼はビクロに向かって走り、牙狼剣を突き刺す。
『ヤメザ…ナセムガコ?(我が…負けるだと?)』
「ハアアア!!!!」
突き刺した牙狼剣を引き抜き、袈裟懸けに斬り裂いた。
『ロポレケリモ…リクササアマヅ、シタナヨボルヌッケ…!(覚えていろ…いつか必ず、貴様を葬って…!)』
最後まで言葉を繋ぐことなく、ビクロは消滅し、それと同時に牙狼の鎧も解除された。
―――――――――――
現在時刻15:57分。
5pb.はすでにライブの準備を終わらせていたが、いまだに帰ってこない陵牙達が気がかりだった。
「大丈夫かな…みんな…」
すると、勢い良くドアが開き、5pb.が振り返ると…
「遅くなった!」
彼女が待っていた4人が戻ってきた。
「大丈夫か5pb.?準備はできてるのか?」
「うん。こっちは大丈夫だよ!」
MAGES.の言葉に頷く5pb.。
「ありがとね、みんな…」
5pb.はまっすぐに目を合わせる。
「じゃあ、行ってくる!」
「おう!」
「頑張れ!」
「ちゃんと最後まで見てるからね!」
「しっかりな!」
――――――――――
ライブ会場のステージに5pb.が現れる。
「みんな!お待たせ!」
彼女が現れたことで、ステージが盛り上がる。
「いよっ!待ってました!」
『うおおおおおおお!!!!』
『っしゃあああああ!!』
「今日は、僕を助けてくれた人達がいます!まずは、その人達に向けて一曲!」
「『PREDESTINATION』!」
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5pb.が歌った曲をきいて俺は驚く。
「この歌って…」
『牙狼―MAKAISENKI-』のED曲。
個人的にもお気に入りの歌だった。
「良く間に合いましたね、陵ちゃん」
ベール姉がいつの間にか横で立っていた。
「ああ。急いで走ってきたからね」
すると、急に足に力が入らなくなった。
「りょ、陵ちゃん!?」
ベール姉がとっさに俺の手を掴む。
「だ、大丈夫ですの?」
「ああ…やっぱり黄金は疲れる…」
今頃になって反動が来たようだ。
「お疲れ様ですわね…」
ベール姉と一緒に、俺は5pb.のコンサートを楽しんだ。
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コンサート会場からの帰り道、陵牙とベールはヘルマンの車で帰っていた。
ヘルマンはバックミラーをチラッと見る。
そこには、疲れが来たのか熟睡している陵牙と、彼を膝枕しながら眠っているベールの姿があった。
「やれやれ、まるで子供だな」
苦笑するヘルマン。
結局、二人を起こすのは教会に着いてからとなった。
――――――――――
次回予告(ナレーション 陵牙)
プラネテューヌへ帰ってきた俺。
しかしネプテューヌに危機が迫る!
使命をとるか、ネプテューヌをとるか。
正しい答えは何なのか?
次回『真実』
俺の過去が今、明かされる!