牙狼 超次元の騎士   作:狼牙竜

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お待たせしました、最新話です!

今回は待ちに待ったネプテューヌのターン!
そして…陵牙がネプテューヌ達にも秘密にしていたある重要な過去が明らかに!

感想、評価も引き続きお待ちしてます!

活動報告のアンケートは今月末まで募集しています。



第28話 真実

5pb.の事件が終わってから暫く経ち、リーンボックスの体験入国も終わりの日が来た。

「何というか…寂しくなりますわね」

 

 

結局、今回もわりとドタバタしてホラー関係の事件に巻き込まれっぱなしだったなぁ…

 

「ですが、また来たくなったらいつでもいらしてくださいね?」

「うん。またすぐに来るかもしれないけどね」

 

女神化したベール姉の手を掴み、俺はリーンボックスを離れた。

 

 

――――――――――

 

「ねえベール姉。よかったら今度、リーンボックスのゲームで面白そうなのあったら教えてくれない?」

 

空を飛びながらベール姉と会話をする。

「ええ、いいですわよ。陵ちゃんって、ゲームはするんですの?」

 

「まあね。孤児院で弟分達とよくゲームやってたら、いつの間にか俺がハマっちゃっててさ。向こうの世界でも新しいゲームとか発売されてたら徹夜で並んだこともあったな」

 

「…何となく、陵ちゃんと私の繋がりを見つけたような気がしますわ」

 

 

ベール姉がポツリと呟いたが、俺にはよく聞こえなかった。

 

「徹夜で並んで買ったゲームですか…一番大変だったゲームって、何ですの?」

 

 

 

 

「一番買うの大変だったやつか……そりゃあ、s…」

 

 

ふと、背筋が寒くなった。

 

「?陵ちゃん、どうかしました?」

「…いや、何でもないよ」

 

徹夜で並んで買った。

 

 

零夜の誕生日用と、俺が個人的に欲しかったから買ったあのゲーム。

 

だけど、あのゲームはもう存在しない。

 

 

………そう。あのゲームは存在自体が消えた。

 

俺は今でもそう思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここでよろしいのですか?」

 

「うん。後は教会まで歩いていけるから」

 

ベール姉はリーンボックスへと戻っていった。

 

「…さて、一度イストワールさんに連絡するか」

Nギアを取り出したが…

 

『りょ、陵牙さん!大変です!』

イストワールさんの方から連絡してきた。しかし、様子がおかしい。

 

「どうかしたんですか?」

『急いで戻ってきてください!ネプテューヌさんが大変なんです!』

 

「ネプテューヌが!?」

 

俺は急いで教会へと走っていった。

 

 

――――――――――

 

「陵牙さん!」

 

教会に辿り着くと、そこには半泣きになっているネプギアがいた。

「ね、ネプギア!?」

 

「お姉ちゃんが!お姉ちゃんが!」

 

ネプギアがここまで取り乱すのを俺は初めて見た。

 

「ネプテューヌに、何かあったのか?」

 

すると、ネプギアの後ろからイストワールさんが現れた。

「陵牙さん。じつは…」

 

イストワールさんの表情から、厄介な出来事であることは察しがついた。

 

 

 

「ネプテューヌさんが、昨日からダンジョンに行ったまま戻ってこないんです」

 

 

――――――――――

 

 

 

昨日。

 

「はああ…」

プラネテューヌの教会の一室で、ネプテューヌはため息をついていた。

 

3週間前、陵牙が体験入国に出発してからずっとこの調子だった。

 

「ねぷぅ…だるい~」

体の調子がおかしい。仕事をしたくないのは前からだったが、今はゲームをする気にもなれないし、大好きだったプリンを食べる気力もない。

 

 

それに…

「陵牙…」

 

あの日、彼がラステイションに出発してから、あの後姿が頭から離れない。

 

「帰ってくるよね…ちゃんと…」

 

このネプテューヌの状態に悩まされているのはネプギアやイストワールだけでなく、アイエフやコンパも同じように悩んでいた。

 

そんな時…

 

 

「ネプテューヌさん。頼みたい仕事があるのですが…」

イストワールがドアをノックしてきた。

 

「いーすん?どうかしたの?」

イストワールが入ってくる。

 

「体調のほうは大丈夫ですか?」

 

「え?う、うん!大丈夫だよ!」

 

 

無理やりだが元気なふりをする。

 

「で、仕事って何?」

「はい。実は…」

 

イストワールの説明によると、バーチャフォレストで子供が行方不明になったという話だった。

 

その場所が…

 

 

「牙狼の見つかった遺跡で?」

「ええ。どうやら、あの遺跡で鎧が見つかったというのが噂になっているみたいで」

 

 

牙狼だけでなく、魔戒騎士の噂は各国に広まっており、さながら都市伝説のように扱われていた。

 

すでに牙狼だけでなく他の魔戒騎士の噂も広がっているくらいだ。

 

 

「わかった。すぐに行ってみるよ」

 

正直、仕事をする気分にはなれないが、何もしないよりはましだとネプテューヌは支度をする。

 

「じゃあ、行ってくるね」

 

 

ネプテューヌは出発する。

 

 

 

 

そして………ネプテューヌの消息が途切れた。

 

 

――――――――――

 

「なるほど…で、子供のほうは見つかったのか?」

「はい。ですが、見つかったときはボロボロで、今も意識が戻ってません」

 

ネプギアが説明する。

「そうか…なら、探しに行かないと」

 

陵牙は魔戒剣を手に取った。

 

「ひ、一人で行くつもりですか!?」

「ああ。早いところ急がないと、何があるかわからない!」

 

陵牙は扉を開けて走った。

 

 

――――――――――

 

一方、牙狼が眠っていた遺跡の奥深くでネプテューヌ…否、パープルハートは拘束されていた。

 

「一国を司る女神も、この力の前には無力なようだな」

 

目の前に立っていたのは、暗黒騎士ゼクス。

彼は持っていた魔戒剣をパープルハートの喉元に向ける。

 

「どうだ?力を扱えない女神よ」

「く…」

 

パープルハートの両手両足を拘束しているのはただの鎖。

 

本来なら、簡単に引きちぎれるはずだったが、どういうわけか今の彼女は力が出ない。

 

 

「どうやら、貴様の黄金騎士は来ないようだな」

 

黄金騎士。陵牙。

 

 

彼のことを思い出すと、頭が痛い。

 

 

「今の惨めな姿、黄金騎士が見たらさぞや失望することだろう」

 

 

 

そんなのいやだ…

 

 

「貴様などより、他国の女神の元に行って、いつか黄金騎士は貴様のことを忘れてしまう」

 

この数週間、嫌というほど夢に出てきた光景を思い出す。

 

ノワールと一緒に、仲良く仕事をしている陵牙。

 

ブランと一緒に、本を読んでいる陵牙。

 

ベールと一緒に、ゲームを楽しんでいる陵牙。

 

 

みんな、仲間なのに。

 

大事な、友達のはずなのに。

 

 

つらい。彼の隣に他の誰かがいることが。

 

苦しい。大事な仲間に対して、いやな感情を持つ自分が。

 

 

嫌な心を自覚する度に、みんなの姿がどんどん離れていく。

 

 

仲間だけじゃない。いーすんも、ネプギアも、アイエフも、コンパも、みんながどんどん

私から離れていく。

 

 

「誰か……誰か、来てよ…」

 

 

その声は、誰にも届かない。

 

 

 

――――――――――

 

洞窟の内部に入った陵牙だが、目の前には大量のリザードマンが立ちふさがっていた。

 

「お前ら…邪魔だアアアアアアア!!」

 

 

魔戒剣を牙狼剣に変化させて、突撃する。

 

大量のリザードマンに囲まれ、俺はとっさに腰を低くして剣を構える。

 

「ハアアア…ハア!!」

 

一気に回転しながら剣を振りぬくと、リザードマン達は結晶のように砕け散る。

 

 

「あんま使う気にはなれなかったが…」

 

 

剣を握る手に力をこめながら呟く。

 

 

「今は…『こいつ』が使えれば十分だ!」

 

俺はいつもとは少し異なる構えを取る。

左手の指で刀身をすっとなぞり、左手の甲を立てて剣を添える。

 

「これでも…」

 

 

剣を構えると、どういうわけか剣に力が集まるのを感じる。

 

「くらいやがれ!!」

 

一気に前方に剣を振りぬくと、ロケットのように勢いよく俺の体が動き、すれ違いざまに目の前に立っていたリザードマンを全て倒した。

 

「………」

牙狼剣を元の魔戒剣に戻すと、陵牙は魔戒剣を鞘に収めて走り出した。

 

――――――――――

 

走っていく中、陵牙は違和感を感じる。

 

(どういうことだ?さっきからモンスターがいない)

さきほどまで出てきていたリザードマンはおろか、他のモンスターも一切出現しない。

 

やがて、開けた場所に出ると…

 

 

 

「ネプテューヌ!」

 

プロセッサユニットの一部が破壊された状態のパープルハートが拘束されていた。

 

「う………」

 

しかし、ネプテューヌは気絶したままだ。

 

「まってろ!今助ける…!」

 

鎖を切ろうと動き出すが、目の前に黒い影が現れた。

 

 

 

 

「…久しぶりだな、黄金騎士」

「……ベルナルド…」

 

目の前に現れたのは、ベルナルド・ディオン。

 

 

「さしずめ、お姫様を助けにでも来たのか?」

あざ笑うベルナルドに対し、陵牙は魔戒剣を向けた。

 

「悪いが、貴様の無駄話に付き合う気はない」

陵牙は魔戒剣を頭上に掲げて鎧を召還。

 

牙狼を纏い、牙狼剣をベルナルドに向ける。

 

「お前もここで、斬らせてもらうぞ?」

「ふん。できると思っているのか?」

 

突然、ベルナルドの姿が消える。

 

 

「何!?…ぐあっ!?」

 

いつの間にかベルナルドはゼクスの鎧を纏い、牙狼を蹴って動きを止める。

 

 

「せっかくだから教えてやろう。紫の女神は今、己の心で苦しんでいる」

 

 

 

「何…?どういう……意味だ?」

 

ゼクスは答えず、牙狼の額に触れる。

 

 

 

 

「…そうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴様、人を殺したことがあるな?それもホラーではない、ただの人間を」

 

その瞬間、鎧の中の陵牙の瞳は大きく見開かれた。

 

「な………!?どうして…それを!?」

 

すると、ゼクスの目が妖しく光る。

「せっかくだ。貴様も知るといい」

 

すると、急に眩暈がしてきた。

「貴様のうちに秘めた、闇をな」

 

 

やがて、俺の意識は途切れた。

 

 

――――――――――

 

目が覚めると、俺は妙な違和感を感じた。

 

「ここは…?」

 

さっきまで俺は、洞窟でゼクスと戦っていたはず…

しかし自分がいるのは、妙な部屋だった。

 

 

生活感が薄く、まるで来てからそれほど時間が経過していないような場所。

 

まるで、どこかの宿に泊まっているような感じだった。

ふと、自分の服装を見てみる。

 

「これ…まさか…!」

 

 

その服装は、見覚えがあった。

 

赤いコートに黒いズボン。

 

魔法衣と異なり装飾は少ない。

 

 

まさかと思い俺は鏡を覗き込むと…

 

 

「嘘だろ…?」

 

今よりも少し幼い、16歳の頃の俺の顔だった。

 

 

「やっぱり、この世界は…!」

 

部屋の窓を開けて、外の光景を見て確信する。

 

 

石造りの建物が広がった町。

 

 

その先に、薄っすらとだが『塔』が見えた。

 

 

どこまでも高く、文字通り天まで届く高さの塔。

 

 

 

 

 

その名は『迷宮区』。

 

 

「間違いない…」

 

 

この世界に俺がいたことは、ゲイムギョウ界で出会った人達は誰も知らない。

 

俺が今まで封印してきた記憶。

 

 

意図的に空白にしようとしていた2年間の世界。

 

「『浮遊城アインクラッド』…だと!?」

 

今は存在しない仮想世界に、どういうわけか俺の意識は飛んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼクスは目の前で倒れ、牙狼の鎧が解除された陵牙を見下ろす。

 

「愚か者が。自身の罪に潰されながら、朽ち果てろ。黄金騎士」

鎧を解除したベルナルドは、不気味に笑った。

 

 

――――――――――

 

次回予告(ナレーション 陵牙)

 

人には誰でも、思い出したくない過去がある。

 

どんなに忘れようとしても、その時間はもう過ぎている。

 

 

次回『過去』

 

 

 

向き合うのか、それとも逃げるか?

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