今回は待ちに待ったネプテューヌのターン!
そして…陵牙がネプテューヌ達にも秘密にしていたある重要な過去が明らかに!
感想、評価も引き続きお待ちしてます!
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5pb.の事件が終わってから暫く経ち、リーンボックスの体験入国も終わりの日が来た。
「何というか…寂しくなりますわね」
結局、今回もわりとドタバタしてホラー関係の事件に巻き込まれっぱなしだったなぁ…
「ですが、また来たくなったらいつでもいらしてくださいね?」
「うん。またすぐに来るかもしれないけどね」
女神化したベール姉の手を掴み、俺はリーンボックスを離れた。
――――――――――
「ねえベール姉。よかったら今度、リーンボックスのゲームで面白そうなのあったら教えてくれない?」
空を飛びながらベール姉と会話をする。
「ええ、いいですわよ。陵ちゃんって、ゲームはするんですの?」
「まあね。孤児院で弟分達とよくゲームやってたら、いつの間にか俺がハマっちゃっててさ。向こうの世界でも新しいゲームとか発売されてたら徹夜で並んだこともあったな」
「…何となく、陵ちゃんと私の繋がりを見つけたような気がしますわ」
ベール姉がポツリと呟いたが、俺にはよく聞こえなかった。
「徹夜で並んで買ったゲームですか…一番大変だったゲームって、何ですの?」
「一番買うの大変だったやつか……そりゃあ、s…」
ふと、背筋が寒くなった。
「?陵ちゃん、どうかしました?」
「…いや、何でもないよ」
徹夜で並んで買った。
零夜の誕生日用と、俺が個人的に欲しかったから買ったあのゲーム。
だけど、あのゲームはもう存在しない。
………そう。あのゲームは存在自体が消えた。
俺は今でもそう思っている。
「ここでよろしいのですか?」
「うん。後は教会まで歩いていけるから」
ベール姉はリーンボックスへと戻っていった。
「…さて、一度イストワールさんに連絡するか」
Nギアを取り出したが…
『りょ、陵牙さん!大変です!』
イストワールさんの方から連絡してきた。しかし、様子がおかしい。
「どうかしたんですか?」
『急いで戻ってきてください!ネプテューヌさんが大変なんです!』
「ネプテューヌが!?」
俺は急いで教会へと走っていった。
――――――――――
「陵牙さん!」
教会に辿り着くと、そこには半泣きになっているネプギアがいた。
「ね、ネプギア!?」
「お姉ちゃんが!お姉ちゃんが!」
ネプギアがここまで取り乱すのを俺は初めて見た。
「ネプテューヌに、何かあったのか?」
すると、ネプギアの後ろからイストワールさんが現れた。
「陵牙さん。じつは…」
イストワールさんの表情から、厄介な出来事であることは察しがついた。
「ネプテューヌさんが、昨日からダンジョンに行ったまま戻ってこないんです」
――――――――――
昨日。
「はああ…」
プラネテューヌの教会の一室で、ネプテューヌはため息をついていた。
3週間前、陵牙が体験入国に出発してからずっとこの調子だった。
「ねぷぅ…だるい~」
体の調子がおかしい。仕事をしたくないのは前からだったが、今はゲームをする気にもなれないし、大好きだったプリンを食べる気力もない。
それに…
「陵牙…」
あの日、彼がラステイションに出発してから、あの後姿が頭から離れない。
「帰ってくるよね…ちゃんと…」
このネプテューヌの状態に悩まされているのはネプギアやイストワールだけでなく、アイエフやコンパも同じように悩んでいた。
そんな時…
「ネプテューヌさん。頼みたい仕事があるのですが…」
イストワールがドアをノックしてきた。
「いーすん?どうかしたの?」
イストワールが入ってくる。
「体調のほうは大丈夫ですか?」
「え?う、うん!大丈夫だよ!」
無理やりだが元気なふりをする。
「で、仕事って何?」
「はい。実は…」
イストワールの説明によると、バーチャフォレストで子供が行方不明になったという話だった。
その場所が…
「牙狼の見つかった遺跡で?」
「ええ。どうやら、あの遺跡で鎧が見つかったというのが噂になっているみたいで」
牙狼だけでなく、魔戒騎士の噂は各国に広まっており、さながら都市伝説のように扱われていた。
すでに牙狼だけでなく他の魔戒騎士の噂も広がっているくらいだ。
「わかった。すぐに行ってみるよ」
正直、仕事をする気分にはなれないが、何もしないよりはましだとネプテューヌは支度をする。
「じゃあ、行ってくるね」
ネプテューヌは出発する。
そして………ネプテューヌの消息が途切れた。
――――――――――
「なるほど…で、子供のほうは見つかったのか?」
「はい。ですが、見つかったときはボロボロで、今も意識が戻ってません」
ネプギアが説明する。
「そうか…なら、探しに行かないと」
陵牙は魔戒剣を手に取った。
「ひ、一人で行くつもりですか!?」
「ああ。早いところ急がないと、何があるかわからない!」
陵牙は扉を開けて走った。
――――――――――
一方、牙狼が眠っていた遺跡の奥深くでネプテューヌ…否、パープルハートは拘束されていた。
「一国を司る女神も、この力の前には無力なようだな」
目の前に立っていたのは、暗黒騎士ゼクス。
彼は持っていた魔戒剣をパープルハートの喉元に向ける。
「どうだ?力を扱えない女神よ」
「く…」
パープルハートの両手両足を拘束しているのはただの鎖。
本来なら、簡単に引きちぎれるはずだったが、どういうわけか今の彼女は力が出ない。
「どうやら、貴様の黄金騎士は来ないようだな」
黄金騎士。陵牙。
彼のことを思い出すと、頭が痛い。
「今の惨めな姿、黄金騎士が見たらさぞや失望することだろう」
そんなのいやだ…
「貴様などより、他国の女神の元に行って、いつか黄金騎士は貴様のことを忘れてしまう」
この数週間、嫌というほど夢に出てきた光景を思い出す。
ノワールと一緒に、仲良く仕事をしている陵牙。
ブランと一緒に、本を読んでいる陵牙。
ベールと一緒に、ゲームを楽しんでいる陵牙。
みんな、仲間なのに。
大事な、友達のはずなのに。
つらい。彼の隣に他の誰かがいることが。
苦しい。大事な仲間に対して、いやな感情を持つ自分が。
嫌な心を自覚する度に、みんなの姿がどんどん離れていく。
仲間だけじゃない。いーすんも、ネプギアも、アイエフも、コンパも、みんながどんどん
私から離れていく。
「誰か……誰か、来てよ…」
その声は、誰にも届かない。
――――――――――
洞窟の内部に入った陵牙だが、目の前には大量のリザードマンが立ちふさがっていた。
「お前ら…邪魔だアアアアアアア!!」
魔戒剣を牙狼剣に変化させて、突撃する。
大量のリザードマンに囲まれ、俺はとっさに腰を低くして剣を構える。
「ハアアア…ハア!!」
一気に回転しながら剣を振りぬくと、リザードマン達は結晶のように砕け散る。
「あんま使う気にはなれなかったが…」
剣を握る手に力をこめながら呟く。
「今は…『こいつ』が使えれば十分だ!」
俺はいつもとは少し異なる構えを取る。
左手の指で刀身をすっとなぞり、左手の甲を立てて剣を添える。
「これでも…」
剣を構えると、どういうわけか剣に力が集まるのを感じる。
「くらいやがれ!!」
一気に前方に剣を振りぬくと、ロケットのように勢いよく俺の体が動き、すれ違いざまに目の前に立っていたリザードマンを全て倒した。
「………」
牙狼剣を元の魔戒剣に戻すと、陵牙は魔戒剣を鞘に収めて走り出した。
――――――――――
走っていく中、陵牙は違和感を感じる。
(どういうことだ?さっきからモンスターがいない)
さきほどまで出てきていたリザードマンはおろか、他のモンスターも一切出現しない。
やがて、開けた場所に出ると…
「ネプテューヌ!」
プロセッサユニットの一部が破壊された状態のパープルハートが拘束されていた。
「う………」
しかし、ネプテューヌは気絶したままだ。
「まってろ!今助ける…!」
鎖を切ろうと動き出すが、目の前に黒い影が現れた。
「…久しぶりだな、黄金騎士」
「……ベルナルド…」
目の前に現れたのは、ベルナルド・ディオン。
「さしずめ、お姫様を助けにでも来たのか?」
あざ笑うベルナルドに対し、陵牙は魔戒剣を向けた。
「悪いが、貴様の無駄話に付き合う気はない」
陵牙は魔戒剣を頭上に掲げて鎧を召還。
牙狼を纏い、牙狼剣をベルナルドに向ける。
「お前もここで、斬らせてもらうぞ?」
「ふん。できると思っているのか?」
突然、ベルナルドの姿が消える。
「何!?…ぐあっ!?」
いつの間にかベルナルドはゼクスの鎧を纏い、牙狼を蹴って動きを止める。
「せっかくだから教えてやろう。紫の女神は今、己の心で苦しんでいる」
「何…?どういう……意味だ?」
ゼクスは答えず、牙狼の額に触れる。
「…そうか。
貴様、人を殺したことがあるな?それもホラーではない、ただの人間を」
その瞬間、鎧の中の陵牙の瞳は大きく見開かれた。
「な………!?どうして…それを!?」
すると、ゼクスの目が妖しく光る。
「せっかくだ。貴様も知るといい」
すると、急に眩暈がしてきた。
「貴様のうちに秘めた、闇をな」
やがて、俺の意識は途切れた。
――――――――――
目が覚めると、俺は妙な違和感を感じた。
「ここは…?」
さっきまで俺は、洞窟でゼクスと戦っていたはず…
しかし自分がいるのは、妙な部屋だった。
生活感が薄く、まるで来てからそれほど時間が経過していないような場所。
まるで、どこかの宿に泊まっているような感じだった。
ふと、自分の服装を見てみる。
「これ…まさか…!」
その服装は、見覚えがあった。
赤いコートに黒いズボン。
魔法衣と異なり装飾は少ない。
まさかと思い俺は鏡を覗き込むと…
「嘘だろ…?」
今よりも少し幼い、16歳の頃の俺の顔だった。
「やっぱり、この世界は…!」
部屋の窓を開けて、外の光景を見て確信する。
石造りの建物が広がった町。
その先に、薄っすらとだが『塔』が見えた。
どこまでも高く、文字通り天まで届く高さの塔。
その名は『迷宮区』。
「間違いない…」
この世界に俺がいたことは、ゲイムギョウ界で出会った人達は誰も知らない。
俺が今まで封印してきた記憶。
意図的に空白にしようとしていた2年間の世界。
「『浮遊城アインクラッド』…だと!?」
今は存在しない仮想世界に、どういうわけか俺の意識は飛んでしまった。
ゼクスは目の前で倒れ、牙狼の鎧が解除された陵牙を見下ろす。
「愚か者が。自身の罪に潰されながら、朽ち果てろ。黄金騎士」
鎧を解除したベルナルドは、不気味に笑った。
――――――――――
次回予告(ナレーション 陵牙)
人には誰でも、思い出したくない過去がある。
どんなに忘れようとしても、その時間はもう過ぎている。
次回『過去』
向き合うのか、それとも逃げるか?