牙狼 超次元の騎士   作:狼牙竜

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お待たせしました、第32話です!

思ったより長くなってしまい、途中で区切る形となりました。
そして、今回からヤイバ達のボスである『あいつ』が動き出します!


感想、評価が作者のモチベーションアップにつながるかもしれません。
お待ちしています!


第32話 姉妹

およそ100体ものホラーの大群を相手に、牙狼の鎧を纏った陵牙は戦っていた。

「くっ!こんのおおおお!!」

魔導火を牙狼剣に纏わせ、烈火炎装を発動。

 

さらに、相手に向かって一直線に突っ込んで発動させる陵牙の得意なソードスキル

『ヴォーパル・ストライク』を使った。

 

『『『ギギシャアアア!?』』』

 

ジェットエンジンのような爆音を響かせ、ホラー達を5体ほど撃破した。

 

「くっそ…まだまだいるな…!」

牙狼は烈火炎装がいまだに発動していることを確認し、続けざまに別のスキルを発動させる。

 

 

「はああああ!!」

牙狼剣で切り裂き、続けて左拳でホラーを殴り、タックルでホラーを吹き飛ばす。

 

片手剣と体術を組み合わせたスキル『メテオブレイク』。

生身ではホラーの返り血を浴びる可能性やフィニッシュに剣を使わないなどの理由から対ホラー用としては考えていなかったが、ホラーにとって脅威となるソウルメタルの鎧を纏った状態なら話は別だった。

 

拳、タックル、剣。その全てが等しく危険な武器となり、ホラーを封印した。

 

しかし、大してホラーの数は減ってないように見える。

 

「どういうことだ…?」

 

烈火炎装を解除した牙狼は周囲を見る。

 

 

どれくらい時間が経ったのかはわからないが、少なくとも40体くらいは倒したはずだ。

 

しかし、ホラーの数が減らない理由は、すぐにはっきりした。

 

 

 

「あれは…ゲートか?」

 

ホラーの大群の後ろに、二つのゲートが見え、そこから何体ものホラーが溢れていた。

 

「あいつを破壊すれば…!」

しかし、ホラーの大群を蹴散らしてゲートを破壊するのは至難。

 

「このままじゃ…突破できない…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、後ろから衝撃波と銃弾が飛んできて、ホラーに命中した。

 

「…え?」

牙狼は後ろを振り向く。

 

そこには、頼もしい仲間が立っていた!

 

 

「陵牙!待たせた!」

「悪いな、結界の穴を開けるのに時間かけちまった!」

 

そこに立っていたのは、轟擂騎士・牙嵐と硝煙騎士・狼攻。

 

 

陵牙にとっての頼もしい仲間が現れた!

 

「どうして!?」

 

「うちの上司から教えられてね!お前は女神様を助けに行け!」

 

 

牙嵐と狼攻はそれぞれの動作をして、もう一つの召還の陣を描く。

 

すると、牙嵐には『魔導馬・迅雷』が、狼攻には『魔導馬・漸雷』がそれぞれ召還され

た。

 

「魔導馬…いつの間に…!」

 

仲間達がいつの間にかゲットしていた魔導馬に驚く牙狼。

 

「待ってろ…!ゲートを破壊して」

 

 

「ついでに向こうのゲートを開く!」

 

狼攻が漸雷の手綱を引っ張ると、漸雷が蹄を叩きつける。

すると、狼攻の武器である硝煙銃剣が変化し、チェーンソーとガトリングランチャーが一体化したデザインの硝煙銃砲剣:甲へと変化した。

 

「くらっときな!」

 

周囲の敵をチェーンソーで切り裂き、漸雷が超高速で移動して衝撃波でホラー達を吹き飛ばす。

 

「大地、いまだ!」

 

狼攻の叫びに頷く牙嵐。

 

「いくぞ、迅雷!」

 

牙嵐が迅雷からジャンプすると、迅雷は空中で変形し、轟擂と合体、迅雷剛爆大鉄鎚へ変化した。

 

「はあああ!!!!」

 

独楽のように回転しながら、迅雷剛爆大鉄鎚を振り回す牙嵐。

 

 

その勢いで、40体近いホラーが一瞬で吹き飛ばされた。

 

「くらえええええ!!」

 

振り下ろされた一撃が、二つのゲートを破壊した。

 

「もひとつおまけだ!」

牙嵐が迅雷剛爆大鉄鎚を地面に叩きつけると、地面にゲートが出現する。

 

「行け、陵牙!」

牙嵐の叫びに頷く陵牙。

 

 

「念のためだ、これを持ってけ!」

狼攻がソウルメタル製の弾丸を投げてきた。

 

 

「…!サンキュー!」

 

陵牙はゲートに飛び込む。

 

 

 

――――――――――

 

 

「貴女は…何者?」

 

ネプテューヌはゼクス達と共に立つ謎の女に質問した。

 

「我が名はマジェコンヌ。四人の小娘が支配するこの世界に混沌という福音をもたらす者さ…そして!」

 

マジェコンヌは指を鳴らすと、どこからか鳥に似たデザインで、顔は骸骨のような不気味な機械…対ホラー用の兵器であるはずの『鉄騎』を召還する。

 

「あれって…!」

「鉄騎!?どうしてあいつが…そもそも、あれがゲイムギョウ界にあるなんて…」

 

ネプテューヌとブランは、陵牙と共にかつて牙狼の戦いをDVDで見たことがあり、当然鉄騎の存在も知っていた。

 

すると、女神達は急激に力が抜けていくのを感じる。

 

「これって…!」

 

すると、予想もしないことがおきた。

「ねぷ!?変身が解けた!」

 

周囲を見ると、他の3人も変身が解けていた。

 

「言ったはずだ。結界の中に封じられている限りお前達の力は失われていくとな」

ヤイバが説明をする。

 

「くっ…!」

 

「こいつら…!」

 

「なんてことに…」

 

 

絶体絶命に陥る女神達。

 

 

 

しかし…

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん!」

ネプテューヌは聞き覚えのある声を聞いて振り返る。

 

「ネプギア!?」

そこにはネプギアとアイエフが立っていた。

 

 

そして…

 

 

 

 

 

「はああああ!!」

突然ゲートが開き、そこからガロの鎧を纏った陵牙が現れた。

 

「陵牙!」

 

「ネプテューヌ!ノワール!ブラン!ベール姉!」

 

ガロは4人を見て叫ぶが、鎧を解除する。

 

どうやら、制限時間が来てしまったらしい。

 

「ネプギア!一度退くわよ!」

アイエフがネプギアに叫ぶ。

 

「でも…お姉ちゃんが!」

 

「無理だ!今の状況であいつらと戦うのは…」

 

陵牙が見た先にはマジェコンヌだけでなく、ヤイバとゼクスもいた。

 

 

ネプギアとアイエフが一緒にいる状況で腕の立つ魔戒騎士2人、さらに鉄騎と戦うのは厳しい。

 

だが…

 

 

「アイエフ。ネプギアを連れてすぐに逃げろ」

 

「陵牙は…どうするの?」

 

 

陵牙は魔戒剣を構える。

 

「俺はこいつらと戦う。幸い、『コレ』があるからいざというときは何とかなる…」

 

 

懐から狼攻から受け取った弾丸を見せると、アイエフは納得した。

 

「わかったわ。でも、無理だけはしないでね…」

アイエフは無理矢理ネプギアを連れて行ったのを確認し、魔戒剣を構える。

 

 

「お前らは…俺が斬る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう。ずいぶんと大きく出たな」

 

突然、ヤイバ達の後ろから聞こえた声に、陵牙は身震いした。

 

 

 

今まで感じたことのない途轍もない威圧感。

その正体はすぐに判明する。

 

 

「お前は…!」

 

よく見ると、ヤイバやゼクスだけでなくマジェコンヌですらひれ伏している。

 

それほどまでに、この…『黒いローブの男』からは凄まじい邪気が溢れていた。

 

 

「久しぶりだな、黄金騎士よ」

 

男はローブを取ると、その顔が明らかになった。

 

 

「…あの時の!」

 

 

以前、ラステイションで俺の目の前に現れた、顔が×の字に抉られた男。

 

 

 

「覚えているか…?俺がお前と顔を合わせたときの事を…俺が言った言葉を…」

 

 

忘れるはずがない。狂気の入り混じった瞳に睨まれ、知らず知らずのうちに恐怖心から陵牙は動けなくなっていたのだから。

 

「全てを壊す時がきた!この世界の、崩壊の準備だ!」

 

 

陵牙は必死に魔戒剣を構えながら問う。

 

「お前は…何なんだ!」

 

 

叫びながらも、陵牙は一応の検討はついていた。

 

「俺か?俺はな…」

 

 

男は首にかけていたペンダントを引きちぎり、ペンダントの石に息を吹きかける。

 

すると、僅かだがペンダントが赤く発光する。

 

「!」

 

「今の俺の名はバラゴ…そしてもう一つの名は…!」

 

男…バラゴはペンダントを天に掲げ、すばやく回転させる。

 

すると、牙狼達魔戒騎士が鎧を召還するときと同じように、赤い召還の陣が出現する。

 

一瞬のうちに陣から降り注いだ閃光がバラゴの体を包むと、その姿は大きく変わる。

全身を覆う黒い鎧。それは紛れもなく魔戒騎士の鎧。

 

しかし、その姿は他の魔戒騎士とは大きく異なる姿だった。

 

真っ黒で生物的な鎧は、どことなくホラーを思わせる姿。

 

腰の紋章は×の字となっており、胸の中央には髑髏の装飾が施されている。

 

外見は牙狼を醜く歪めたような姿をしており、握る剣も紋章以外、牙狼剣に酷似したデザ

インとなっていた。

 

 

 

 

 

『我が名は呀――暗黒騎士!』

 

 

 

エコーの効いた声で、漆黒の騎士は宣言する。

 

ここに、最凶最悪の魔戒騎士が現れてしまった。

 

 

 

――――――――――

 

リーンボックスの教会に戻ってきたネプギアとアイエフ。

しかし、状況は最悪だった。

 

女神が敵の手に落ちてしまい、さらに向こうには魔戒騎士もいる。

 

 

重苦しい雰囲気となっていたとき、乱暴に扉が開く。

 

「お兄ちゃん!」

「お兄ちゃん…大丈夫?」

 

ロムとラムが駆け寄ったのは、ボロボロになった陵牙だった。

 

 

その横には、大地と裕也だけでなくマーベラスAQLやMAGES.もいる。

 

「裕也、これってどういうこと!?」

アイエフが質問するが、裕也は叫ぶ。

 

「まずは陵牙の治療だ!コンパ、頼む!」

 

「は、はいです!」

「MAGES.も、頼む。リバートラの刻はまだあるよな?」

「ああ。任せておけ」

 

 

MAGES.とコンパが陵牙を客室まで連れて行くのを確認し、裕也と大地は座る。

 

「ねえ…あの後、何があったの?」

アイエフが聞くと、裕也と大地は説明を始めた。

 

以前裕也が倒したホラー、ルマニがリーンボックスで回収した謎の石『アンチクリスタル』。それは4つ存在し、4つ全てを使うことで女神達を捕縛するあの結界が作られたこと。

 

そして、ゼクスやヤイバを裏で操っていた敵…呀の出現。

 

 

「あいつは…呀は俺達が今まで戦ってきたホラーとはわけが違う…」

大地は小さくつぶやき、あの時の戦いを思い出す。

 

―――――――――

 

「「ハアアアッ!!」」

魔導馬を使って結界から脱出した狼攻と牙嵐。

 

二人が目にしたのは、暗黒のオーラを出す呀と、圧倒されているガロだった。

 

「陵牙!」

一目散にガロの元に走る二人だったが、ゼクスとヤイバが立ち塞がる。

 

「悪いが、お前らにかまってる暇はない!」

 

それぞれの武器を構えて戦う二人。

 

一方、陵牙と呀の戦いも続いていた。

 

 

「く…!」

息も絶え絶えになりながら、牙狼剣を構えるガロ。

 

「しぶといな…さすがは黄金騎士。錆付いた鎧でもそれなりに楽しめるとは…」

 

 

あざ笑いながらも呀は剣『黒炎剣』を振るう。

 

「くっ!?」

 

とっさに牙狼剣で防ぐが、完全に力負けしており、追い込まれてしまう。

 

「はあ!」

 

呀の蹴りで吹き飛ばされるガロ。

 

「ぐううっ!」

最強の暗黒騎士と、輝きを失った黄金騎士。

 

どちらが強いかなど、一目瞭然だった。

 

すると、ガロは先ほど狼攻から受け取ったソウルメタルの弾丸を取り出した。

「こうなりゃあ…!」

 

ガロは弾丸を目の前に放り投げ、牙狼剣で切り裂いた。

 

 

 

 

キイイイィィィィィィン…!

 

 

 

「ハアッ!」

 

ソウルメタルが共鳴し、牙狼の鎧が一時的に黄金の輝きを取り戻す。

 

「ほう…黄金の輝きを…」

 

金色の牙狼は、ゆっくりと牙狼剣を構えた。

 

「はあああ!」

 

振り下ろされた牙狼剣を受け止める呀だが、先ほどよりもパワーが増したのか数歩だけ下がる。

 

「…思ったよりも強くなったな…!」

 

鎧の下で笑う呀。

 

「だが、まだ足りない!」

呀は全身から黒いオーラを放ち、牙狼を吹き飛ばす。

 

「ちっ…!」

 

牙狼は魔導ライターを取り出し、魔導火を牙狼剣に灯す。

 

 

「セヤアアアア!!」

 

緑の炎が×字になって放たれるが…

 

「ふん」

軽々と黒炎剣を振り、炎を切り裂く。

 

 

しかし、いつの間にか牙狼の姿が消えた。

 

「む…!」

 

 

上を見る呀。真上には牙狼剣を構えて迫る牙狼がいた。

 

牙狼は落下しながら牙狼剣を輝かせる。

 

 

 

 

「くらえええええええ!!!!」

 

陵牙は一番得意なソードスキル『ヴォーパル・ストライク』を発動。

落下の速度も追加され、威力を増した一撃が呀に迫るが…

 

 

「その程度か」

 

呀は何と、牙狼剣を片手で受け止める。

 

 

「…!?ぐあああ!!!」

 

一瞬驚きで動きが止まり、気がつくと地面に叩きつけられていた。

 

「もう少し楽しませてくれるかと思ったが…」

 

「何だと…!」

 

牙狼剣を杖代わりに立ち上がるが、体中から激痛が走る。

 

 

「ぐ!?もう…限界かよ…」

 

鎧から金色の光が消え、元の黒い牙狼へと戻り、さらに鎧が強制解除されてしまう。

 

「「陵牙!」」

 

牙嵐と狼攻は地面にハンマーと弾丸を叩き込み、土煙を巻き起こす。

 

怯むヤイバ達。その隙に二人は鎧を解除し、陵牙をつかむ。

あっという間に姿を消した3人を見て、呀は鎧を解除する。

 

「ふん……まあいい」

 

バラゴは目の前の光景…捕縛された女神たちを見つめる。

 

 

――――――――――

 

『………了解しました、アイエフさん』

その後、アイエフはイストワールに今回のことを報告する。

 

「ねぷ子たちの力を奪ってるのは、アンチクリスタルとかいう物で間違いないでしょう。やつらの手下が以前、同じような石を回収していたのを確認していますし。イストワール様、調べていただけますか?」

 

 

「もちろんです!でも…三日かかりますよ?」

 

アイエフは苦笑いしながらも、「もう少し早くお願いします」と伝える。

 

「では…ネプギアさんたちはプラネテューヌに戻ってきてください。ユニさんたちもそれぞれの国に戻られたほうがいいと思います。それでは…」

イストワールは通信を切断する。

 

「ふう…そういうわけだから」

 

 

「待って!」

 

ユニが叫ぶ。

 

「帰れっていきなり言われて大人しく帰れると思う!?ちゃんと説明してよ!」

 

「お姉ちゃんもお兄ちゃんも、いつもなら悪い奴らなんて一発なのに!」

 

「お姉ちゃん達…死んじゃうの?」

 

ロムとラムも不安を隠しきれていない。

 

「だ、大丈夫です!女神様も陵牙君も、そう簡単にやられるわけ…」

 

 

「でも!さっき力を奪われたって!」

 

 

 

 

 

「………ごめんなさい」

そんな中、小さな声でネプギアが謝る。

 

 

 

「どうして、ネプギアが謝るんだ?」

後ろから聞こえた声に、全員が振り返る。

 

そこには大地や裕也だけでなく、先ほどまでボロボロだったはずの陵牙。

 

「陵牙!?もう大丈夫なの?」

 

「ああ。MAGES.とコンパのおかげで戦う分には問題ないくらい回復はできた」

陵牙は魔法衣を肩にかけて話す。

 

「で、どういうことなんだ?ネプギア」

 

「…今日の買い物のときに拾った石…あれがきっとアンチクリスタルだったんです…」

 

買い物のとき、ネプギアが眩暈を起こして倒れた。

それはおそらく、アンチクリスタルに触れたことで力を打ち消されたからである。

 

「あの時…眩暈がした理由をちゃんと考えていれば…」

 

 

「違う…あれだけで判断するのは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネプギアの馬鹿!」

 

突如、ユニがネプギアに向かって怒る。

 

「お姉ちゃんは…アタシのお姉ちゃんは強いのに…」

 

「ユニちゃん…」

 

 

 

 

「あんたが…ネプギアが変わりに捕まれば良かったのよ!」

 

 

「ユニ!」

 

 

八つ当たりだった。やり場のない怒りをネプギアに向けてしまうユニ。

 

 

それに対し陵牙は強い口調でユニの名を叫ぶ。

 

ユニは一瞬震えるが、その場から逃げるように走っていく。

 

 

「う…うう…!」

 

ネプギアもショックで走り去ってしまった。

 

 

「~~~!!アイエフ、コンパ!ユニの方頼むわ!」

 

二人の返事を聞くこともなく陵牙はネプギアを追いかける。

 

 

――――――――――

 

「…ようやく見つけたぞ」

 

教会のバルコニーに立つネプギアは、後ろから聞こえた声に振り向く。

 

「大丈夫か、ネプギア?」

 

「…陵牙さん…」

未だに涙を流すネプギアに、陵牙は頭を掻きながらも横に立つ。

 

 

「今のユニは、気持ちの整理ができてないだけだよ。誰だって、大事な人が捕まったりしたら、怖い。不安だから、誰かに原因を擦り付けるんだ」

 

かつて、俺がいた世界でもそうだった。

 

先の見えない不安、恐怖。それに囚われた人達。

 

そのせいで、俺はSAOで最初の友達を孤独にしてしまった。

 

同じように迫害されるのが怖く、何も言えなかった。

 

 

「何もわからないと不安だ。だから勢いでああいうことも口に出る。でも…ユニだってわかってるさ。ネプギアが原因じゃないって」

 

「…ううん。ユニちゃんの言うとおりです。私のせいでお姉ちゃん達が…」

 

根が真面目なネプギアは、深く考え込む癖がある。

 

 

「だったら助ければいい。ここには俺達だけじゃない」

 

「でも…お姉ちゃん達を…女神を捕まえるほどの相手にどう戦えばいいんですか…?ましてや私は…まだ変身もできないのに…」

 

「…なあネプギア。前にネプテューヌから何か言われなかったか?女神化のために必要なこととか…」

 

「女神化するために…必要なこと?」

 

ネプギアは、頭の中に小さく残る記憶を思い出そうとする。

 

 

「それが見つかれば、もっと強くなれる…」

 

陵牙は魔法衣に袖を通し、目つきも鋭くなる。

 

「俺やお前だけじゃない。あいつらを助けたいと思ってるのは…それを忘れるな」

陵牙が去って、ネプギアは一人でバルコニーに立ち尽くしていた。

 

 

――――――――――

 

「必要なこと…」

 

ずっと考えるネプギアだが、わからない。

 

女神になるのに必要なものとは?どんな思いが姉を女神へと変えるのか?

 

 

 

「悩んでるようだね、お嬢さん♪」

「ひゃああっ!?」

 

後ろから声をかけられ、ネプギアは驚いて悲鳴を上げる。

しかし、話しかけてきた人物を見てさらに驚く。

 

 

「あなたは…昼間の!?」

そう。昼間、アンチクリスタルによって倒れそうになったネプギアを助けた、陵牙そっくりの謎の青年。

 

「ど、どうして教会に!?」

 

 

「俺、身軽だからね。あちこちに忍び込むのが得意なんだ」

 

不法侵入ではないかと思うネプギアだが、青年は気にすることなく横に立つ。

 

 

「えっと…女神化するために必要なことだっけ…?君が探してるの」

 

「…はい」

 

この青年の見せる柔和な笑顔。それは、どことなく陵牙と似ていた。

 

 

いつの間にか、ネプギアは彼に話していた。

女神になるうえで必要なこと。それを知れば、強くなれるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「……俺の知っているある女神は、自分の戦う理由を見つけて、変身できるようになった」

 

「…え?」

 

 

青年はどこか遠い目をして話す。

 

 

「彼女は、自分の姉に憧れていてね。だけど、姉からの言葉が彼女を女神へと変身させた」

 

 

「言葉…ですか?」

 

 

 

 

 

 

「自分だけの戦う理由を見つける。憧れだけじゃない。どうして変身したいのか、女神の力は、本来どういうものなのか」

 

 

「自分だけの…理由…」

 

ネプギアは立ち上がると、青年に頭を下げる。

 

 

「ありがとうございました!」

 

走り去っていくネプギアを見て、青年はため息をつく。

 

 

『本当にいいの?彼女を助けなくて』

 

 

「いいさ。あいつは一人じゃない。ユニとも、ロムちゃんともラムちゃんとも、最初から仲間なんだ。何も恐れることはない」

 

 

左手につけたアクセサリーからあきれたようなため息が聞こえる。

 

『結局不安になって様子を身に来たくせに』

 

「一言余計だっての」

 

 

アクセサリーの声に苦笑いをする青年は、そっと呟いた。

 

 

 

「がんばれよ…兄貴、ネプギア」

青年は、夜の闇へと姿を消す。

 

 

 

 

 

ついに出現した暗黒騎士。

女神達が捕まるという最悪の状況を、陵牙達はひっくり返すことができるのか!?

 

 

―GARO―

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

次回予告(ナレーション 陵牙)

 

負けたままで終わりたくない。

 

俺や、みんなで力を合わせてネプテューヌ達を助けて見せる!

 

待ってろ、呀!

 

次回『出陣』

黒き狼、戦場を駆ける!

 




魔戒指南
①バラゴ 暗黒騎士・呀
ゲイムギョウ界でのホラー事件の裏で関わっていた暗黒騎士。
戦闘能力は非常に高く、一時的に黄金を取り戻した牙狼ですら圧倒した。
バラゴと名乗っているが、冴島鋼牙が戦ったあの男とは全くの別人。


彼が何故バラゴと名乗るのか、それはいずれ話す予定です。
では、次回もお楽しみに!

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