牙狼 超次元の騎士   作:狼牙竜

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大変お待たせしました、第33話でございます!
今回から、女神救出作戦の始まりとなります!

感想や評価、いつでもお待ちしております!



第33話 出陣

リーンボックスの教会で陵牙達が動き出していた一方、ネプテューヌ達はというと…

 

「あ~!もう退屈~!」

元の調子に戻るネプテューヌと、それに呆れるノワールとブランとベール。

 

「ネプテューヌ、わかってるの?」

 

「今私達、つかまってるのよ?」

 

「はあ…こんなことならせめて四女神オンラインのみんなに遅れるって言うべきでしたわね…ギルドのみんなと待ち合わせをしていますのに」

 

………訂正しよう。ベールもいつもの調子に戻っている。

 

 

「まったく、いい気なものだね」

そんな4人の様子を見て嗤うヤイバ。

 

「ふ~んだ!こんな結界壊せば、あんた達なんて怖くないんだからね!」

 

「その余裕がいつまでもつか、楽しみだ」

 

後ろから現れたマジェコンヌは、結界の底を指差す。

「よく見てみるといい。まもなくお前らの命は、終焉を迎える」

 

足元を見るノワール達。

そこには、黒く不気味な水溜りのようなものができていた。

一滴ずつ、しかし確実に液体は溜まっている。

 

 

「な、なにこれ…?」

 

「やっぱり、これもアンチクリスタルの力…?」

 

「それはやがて、お前達を死に至らしめるもの。僅かな時間を精々楽しむことだな」

 

ネプテューヌ達の命を狙う仕掛けは、ゆっくりと起動していた。

 

――――――――――

 

教会の中をネプギアは走っていた。

 

黒服の少年に言われたこと…『自分だけの理由を見つける』。

「私は…諦めたくない!」

背中を押してくれた少年や陵牙に恥ずかしくない自分でいたい。

 

 

 

 

「ネプギアちゃん…」

「ロムちゃん?」

 

そんな時、後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはロム、ラム、ユニもいた。

ユニは先ほどのこともあってか気まずそうに目をそらしているが。

 

「ほら、はやく!」

「わ、わかってるわよ!」

 

ユニは躊躇いながらもネプギアの前に立つ。

 

「そ、その…言い過ぎて…ごめんね…」

おどおどしながらもユニはネプギアに謝る。

 

 

「ユニちゃん…」

 

「わかってる…ネプギアには何の責任もないって…」

 

 

 

――――――――――

 

ネプギアSide

 

私達はお互いの考えを話していた。

 

 

「お姉ちゃんより強い人なんて…いないって思ってた。お姉ちゃんなら、どんな強い敵にも絶対に勝てるって…」

 

ユニちゃんはうつむきながらも話す。

 

その思いは、みんなも同じだ。

自分の姉は…女神は、誰にも負けない。そう思っていたから…

 

 

「私だって同じ…お姉ちゃんがいなくて、陵牙さんのように前を向いて立ち上がることも不安だけど…」

 

 

そう。あきらめたくない。だってまだ私たちは戦ってすらいないのだから。

 

「だったら簡単じゃない!」

 

ラムちゃんが立ち上がる。

 

 

 

「私たちがお姉ちゃん達を助ければいいのよ!」

「私も…お姉ちゃんたちを…助ける!」

 

 

二人の目にはしっかりとした強い意志が見えた。

 

「でも…まだ私たちは変身できない…」

 

 

 

「だったら、変身できるようになればいいじゃない!」

 

「変身…できるようになる…!」

 

女神への変身…それは簡単な話ではない。

 

私達は、今まで変身が成功したことはない。

 

「…前にお姉ちゃんに教えてもらった」

ユニちゃんが呟く。

「アタシが変身できないのは、自分の心に無意識にリミッターをかけてるからだって」

「リミッター…」

「たとえば…何かを怖がっているってことよ」

 

怖がっているもの…私の脳裏には陵牙さんが戦っている存在…ホラーの姿が浮かぶ。

 

 

「私…モンスター怖い…」

 

「うん。それにホラーも…」

 

 

ホラー。その言葉を聞いたロムちゃんとラムちゃんは一瞬おびえる。

 

「じゃあ、みんなで特訓して、モンスターもホラーも怖くなくなればいいのよ!」

 

ラムちゃんが叫び、私達もほっとする。

そう…だよね。

 

 

私達はベールさんに教えられたあのゲームを使うために走る。

 

負けない…お姉ちゃん達を助けるためにも!

 

 

――――――――――

 

魔戒剣をひたすら振り、陵牙は精神を集中させる。

 

心を落ち着かせてベールの部屋を通り過ぎると、ネプギア達が何かと戦っている。

 

よく見ると、見覚えのある敵…冷蔵庫をゲートに出現し、炎と氷の属性を持ったホラー『モロク』だった。

 

一瞬驚くが、近くにベールのゲームが起動していたことから、『魔戒モード』で練習していると陵牙は理解する。

 

 

「やっぱり、バーチャルとはいえホラーは強いね…」

息を切らしているユニが、自前の武器の銃を構えながら立ち上がる。

 

「あの手…飛んでくる…」

ロムちゃんはおびえながらも杖を構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのホラーは氷と炎を操る。氷の方を無力化すれば一気に倒せるよ」

 

振り返ると、そこには真面目な表情の陵牙がいた。

 

「炎でも高出力のレーザーでも、やつの左半身を消し去れば一気に倒せる。やってみろ」

 

 

「は、はい!」

 

ユニが銃を向けて、全力のレーザーを放つ。

 

 

すると、モロクの腕が溶け始める。

 

「ネプギア、間を空けずに残った左半身を焼き切る!」

「わ、わかりました!」

 

 

ネプギアも武器のビームソードの出力をアップさせ、モロクを切り裂いた。

 

 

「ロムちゃん、ラムちゃん!合体技でとどめ!」

 

「うん!」

「わかった…!」

 

 

二人は杖を取り出して、合体魔法でモロクを吹き飛ばした。

 

 

モロクはHPが0になったのか、ポリゴン状になって砕け散り、目の前には『WINNER!』の

表示が現れた。

 

 

気が抜けたのか、4人ともその場に座り込む。

 

「…みんな、本当に戦うんだな」

 

 

「はい。お姉ちゃんを助けるために…」

 

 

ネプギアの瞳は、真剣そのものだった。

 

「…わかった。なら俺も特訓の相手になる。ただし…」

 

 

俺は魔法衣から練習用の鉄製の剣を取り出し、アインクラッド時代の構えを取る。

 

 

 

「ネプテューヌ達を助けるためには圧倒的に時間が足りないから、短時間で強くなる訓練だ。甘え、妥協は捨てたほうがいいぞ」

 

 

一瞬震える4人だったが、それぞれの武器を構える。

 

 

「さあ、来い!」

 

――――――――――

 

アンチエナジーの液体が滴り落ち、ネプテューヌ達を捕らえている結界の中には小さなプールほどの量が溜まっていた。

 

「さすがに、あれはやばいかもしれないな…」

「普段から遠ざけることしかしてなかったけど、こんなことなら何かしらの対策をしておくべきだったわね…」

 

 

女神達も、焦りを隠せないでいたが…

 

「まあ、元気だそうよ!今んとこは無事なわけだし、まだ希望は残ってるって!」

 

いつもどおりのマイペースなネプテューヌに、ノワールとブランは呆れていた。

 

「前向きもここまでくるとただの現実逃避ね…」

 

 

「だってさ、希望がないとかいうよりはマシじゃない?」

 

 

「あら、希望なら残ってますわよ?」

 

 

突然のベールの言葉に驚くネプテューヌ達。

 

「だって、まだいるじゃありませんか。貴女達の妹が。それに牙狼が…陵ちゃんがいますわ」

 

その言葉を聞いて、ノワールが口を開く。

 

 

「陵牙はともかく…ユニはまだ私抜きでの実戦経験は無いのよ。いくらなんでも…」

 

 

「ロムもラムも…まだ私が守っていかなきゃ…」

 

 

「確かにネプギアは強いけど…大丈夫とは思えないな…」

 

 

3人の言葉を、ベールは優しく、だがしっかりと否定する。

 

 

「それは貴女方のエゴではなくて?私にとってもあの子達は大事…いつまでもあのままでいてほしいと思っています。でも…その考えこそがあの子達を変身できない、可愛い妹から変わらないようにしているのではないですか?」

 

 

それに…とベールは言葉を続ける。

 

 

「ネプテューヌ、ノワール、ブラン。貴女方は私よりもほんの少し長く、陵ちゃんと関わっています。ですからわかるはずですわ。陵ちゃんの力はあんなものではない」

 

 

そうだ。陵牙は何があっても生き残ってきた。

 

力を失ったガロの鎧を纏いながらも、誰かを守るために剣を振り続けている。

 

「だから、私は陵ちゃんを信じています。なんといっても、私たちが愛する人ですもの」

 

 

「そうだね…私たちが陵牙達を信じないでどうするんだろうね!」

 

ネプテューヌ達の雰囲気が明るくなる。

 

すると…

 

 

「どうやら、来たみたいだね。女神の妹達と、魔戒騎士が」

ヤイバが気配を察知したらしい。

 

「ふん、あんな者達に何ができる。ここにたどり着くことすら、やつらにはかなうまい…」

 

マジェコンヌは嘲笑っている。

 

 

 

 

 

しかし、ヤイバは妙な感じがした。

 

「ん…?」

 

「どうかしたか?」

「いや…妙だな。敵の気配が少ない」

 

ヤイバは精神を集中させ、敵の数を確認するが…

 

 

「な、何だと…?」

 

 

「どうした?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵は1人!黄金騎士だけだ!」

 

 

――――――――――

 

一通りの特訓を終えた陵牙達。

教会の玄関にはアイエフとコンパ、マーベラスとMAGES.、大地と裕也がいた。

 

 

「ギアちゃん達、まだ変身もできないのに…」

 

「女神が失敗しても妹ががんばれば国民は納得するでしょ。その方がまだ、シェアのダメージも少ないはずだわ」

 

すると、ネプギア達が扉を開けて出てくる。

 

 

その目には先ほどまでの怯えは無い。

 

「準備はいい?」

 

「うん!」

 

「「うん!」」

 

 

アイエフは今回の作戦を説明しようとするが…

 

「アイエフ」

 

 

「…陵牙?」

 

魔法衣を着た陵牙が現れる。

 

 

しかし、いつもと異なるのは魔戒剣だけでなく、左手に『もう一本の青い剣』を持っていることだった。

 

「…先に出るのは俺1人だ」

 

 

「はあ!?あんた、何を考えてんの!?」

 

アイエフは驚くが、それも当然だろう。

 

 

陵牙は、自分だけで敵陣に突撃するというのだから。

 

「厳密に言えば1人じゃない。後から大地、MAGES.とも合流する予定だ」

陵牙の立てた作戦はこうだ。

 

まず、女神を閉じ込めている結界の周囲にいるホラーやモンスター、そしてヤイバ達をおびき寄せる。

 

敵の用意している手駒で厄介なのはホラーと魔戒騎士。

ホラーの大半をおびき寄せれば、ネプギア達の突入の成功確立が上昇する。

 

 

敵の騎士やホラーをできる限り多くおびき寄せたら、閃光弾を合図として知らせる予定だ。

 

もしもピンチに陥った場合、大地達が助っ人に向かい、マーベラスと裕也は残っているホラーや騎士と戦うためにネプギア達と行動してもらう。

 

「いくらなんでも危険すぎます!モンスターやホラーの群れに突っ込むなんて!」

 

「いくら魔戒騎士でも、むちゃくちゃですよ!」

 

「お兄ちゃん!それだけはだめ!」

 

「お願い…やめて、お兄ちゃん…!」

 

 

みんなが必死に止めてくるが、俺がこの計画を決めたのにはある理由がある。

 

「今回の作戦の要はネプギア達4人だ。モンスター相手に余計な力を使うのは意味が無いし、ホラーと戦うのはもっと危険だ。それに…」

 

陵牙は思い出す。

今回の黒幕…バラゴのことを。

 

 

「向こうのボスは俺を狙っている。俺が派手に暴れれば、注意を引けるかもしれない」

 

そう。間違いなく奴は俺をターゲットにして襲ってくる。

 

 

「大丈夫だって!絶対に無理はしないし、やばいと思ったらみんなの力も借りる!」

「陵牙さん…」

 

ネプギアは不安な様子を隠しきれない。

 

俺は鞘に納めた剣を2本背中に背負い、バイクに乗る。

 

 

「大地」

「…どうした?」

「…10分後、もし俺が合図の閃光弾を使わなかったら来てくれ」

「ああ…だが、無理はするなよ」

 

俺はうなずくと、ヘルメットを被る。

 

 

目指す場所は、女神たちが囚われている結界。

 

 

――――――――――

 

そして現在

 

目の前には大量のモンスターが襲い掛かってくるが、バイクの後輪をモンスターにたたきつける。

 

「こっちだ!」

 

 

押し寄せてくるモンスターを確認し、俺は背中に吊るしていた青い鞘から、鉄の剣を引き抜いて攻撃する。

 

「ハアッ!」

 

 

バイクから飛び降り、ロボットのようなモンスターの赤く発光する目に向けて小型の投げナイフを投擲する。

 

 

ソードスキル『シングルシュート』が発動した状態で放たれたナイフは、モンスターの目を貫通し、モンスターは消滅する。

 

 

 

 

 

「かかって来い、暗黒騎士ども!」

 

 

陵牙は鉄の剣だけでなく、背中に吊るしていた魔戒剣を引き抜き、2つの剣を同時に構える。

 

 

その目は目の前のモンスター…その先に待っている、バラゴをまっすぐに睨んでいた。

 

 

―GARO―

 

次回予告(ナレーション ネプギア)

 

ようやく気づいた…守りたい思い、私の心、戦う理由。

 

お姉ちゃんを、陵牙さんを助けるためなら、私は!

 

次回『誕生』

 

私は、誰よりも強くなります!

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