光あるところに、漆黒の闇ありき。
古の時代より、人類は闇を恐れた。
しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、
人類は希望の光を得たのだ。
世界は異なれど、闇の魔獣は存在する。
そして、それを断ち切る希望も、また存在するのだ
第1話 異界
ある小さなアパートの一室。
一人の青年が棚にDVDボックスを閉まっていた。
「さて、次のバイトまで時間があるわけだし、どうするかな…?」
そんな中、パソコンに妙なメールが届いているのに気がついた。。
「ん?」
パソコンを操作し、起動してメールの内容を確認する。
「何だ、このメール?」
特に警戒することもなくメールを開き、青年は文面を読んでいた。
『異界に潜む漆黒の闇が目覚めたり。直ちに対処せよ』
謎の文面を確認すると、下にある画像が載っていた。
「これって…牙狼のマークだよな…?」
その画像は、俺の好きなヒーロー、『牙狼』の紋章が描かれていた。
すると、突然パソコンが輝き、俺の部屋の中の物を吸い込んで行く。
「え!?おいおい、何だよこれ!?」
棚に入っていたDVDやらが画面の中に消えていくが、青年は気にしている余裕は無かった。
「ただい…って、兄さん!?」
青年の弟らしき人物が部屋に入ってくるが、目の前の現実離れした光景に目を疑う。
「おい、零夜!近づくな!」
青年は咄嗟に叫んだが、その瞬間青年は画面の中に吸い込まれてしまった。
「兄さん!」
弟の叫びだけが部屋に響いた。
***
地球とは異なる世界、ゲイムギョウ界。
その上空を青年は自由落下していた。
「うわああああああああああああ!?」
突然パソコンの中に吸い込まれ、気がついたら自由落下を始めていたりと最早青年の理解の範疇を超えていた。
すると、自分に向かって飛んできた人物がいた。
その姿を見て、青年は思わず思考が停止する。
そこにいたのは…これまで一度も見たことのないような美しさを持つ女性だった。
「!危ない!」
女性は俺に手を伸ばし…
「ぐげ!?」
突如、俺の意識は強制的に途切れた。
――――――この事態より数分前、青年が落ちてきた世界、ゲイムギョウ界ではある一大行事が行われている途中だった。
この世界に存在する四つの国の一つ『プラネテューヌ』の建物『プラネタワー』。
そこには各国から集まった人々がいて、会場の一角で一人の女性が佇んでいた。
「ゲイムギョウ界に遍く生を受けしみなさん。新しい時代にその一歩を踏み出せるこの日を…みなさんと共に迎えられることを、喜びたいと思います」
人々に笑顔を向けるこの女性は、プラネテューヌを治める女神、ネプテューヌ。
ネプテューヌはステージ中央に向けて歩き出す。
「ご存知のとおり、近年世界から争いが絶える事はありませんでした。女神、ブラックハートが治めるラステイション…」
すると、別の方向から黒いドレスを纏った銀髪の女神、ブラックハートが歩き出す。
「女神、ホワイトハートが治めるルウィー…」
白をメインとしたドレスの、シアンブルーの髪の小柄な女神、ホワイトハートが歩き出した。
「女神、グリーンハートが治めるリーンボックス…」
緑の長い髪をポニーテールにした女神、グリーンハートが歩き出す。
「そして私、パープルハートが治めるプラネテューヌ…」
四人はステージの中央に集まると、足元に光のパネルが出現し、ゆっくりと空に上昇していく。
「四つの国が国力の源であるシェアエナジーを競い、時には女神同士が戦って奪い合うことさえしてきた歴史は過去のものとなります。本日結ばれる友好条約で武力によるシェアの奪い合いは禁じられます。これからは国をよりよくすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展につなげていくのです」
シェアエナジー。それは国民が女神を思う心、所謂『信仰心』から成り立っている力。それは人々がどの女神を信奉しているかで変わるため、女神たちはこれまでシェアを奪い合う戦いを続けていた。
だがこれより、その戦いは終わりを迎える。女神たちは互いに寄り添うように手をつなぎ、目を閉じて宣言した。
「「「「私たちは過去を乗り越え、希望が溢れる世界を作ることをここに誓います」」」」
戦いが終わり、四カ国友好条約が結ばれた。その瞬間、式典にいた人々は喚起の声を上げ、手を取り合って喜ぶ者もいた。
しかし…
「あれ…何?」
ネプテューヌがある物を指差す。
そこにあったのは、晴天には似つかわしくない『黒雲』。
黒雲の中から雷が何度も鳴り響いていた。
「何か…妙だな、あれ」
すると、黒雲から何かが出てくる。
目を細めてよく見てみると…
「人…ですの?」
雲の中から人影らしきものが落ちているのに、女神達も、会場にいた人々も気がついていた。
―――――――――――うああああああああああああ!?
「「「「って、こっちに向かって落ちてきてる!?」」」」
ネプテューヌはとっさに飛び上がり、落ちてきた青年の首根っこを掴んだ。
『ぐげ!?』と蛙のような声が僅かだが聞こえたが、彼女はそれを気にすることなく青年へ呼びかける。
「ちょっと、大丈夫!?」
ネプテューヌは呼びかけるが、青年は目を回して気絶していた。
「ネプテューヌ、あんたねえ…」
ブラックハートことノワールが呆れ顔で見てくる。
「落ちてきた状態で首根っこ掴むなよ…」
ホワイトハート、ブランも非難するような目で見て、ネプテューヌは目を逸らす。
「とにかく、医務室に運んだほうがいいのでは?」
グリーンハート、ベールの言葉で青年…『轟雷凌牙』は医務室へと運ばれることとなった。
これが、全ての始まり。
後の黄金騎士となる宿命を得た青年と、四人の女神との出会い。
運命の砂時計が動き出した瞬間だった。
―――――――
次回予告
彼は一人だった。
家族も、友人も、見知った景色もそこには無かった。
次回『女神』
そこにいたのは、この世界を統べる者達。
ついにこっちでも投稿を始めました!
拙い文章かもしれませんが、よかったら感想、評価をお待ちしてます!