導入部分で燃え尽きた残りカス   作:キューブケーキ

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銀英伝に転生してみた 6~8話

6.ある休日の出来事

 

 僕は17歳になった。現在、士官候補生だ。

 士官候補生と言うとスマートで紳士、あるいはガチガチの体育会系の脳まで筋肉で詰まってそうな人間のイメージだった。

 落ちこぼれはどうなるんだと言う意見もあるが、脱落者は原隊復帰を命ぜられるか依願退職、最悪は自殺や事故死で周りの者全てに迷惑をかけていく。

(辞めるなら勝手に辞めろよ、負け犬の屑が)

 士官学校に入校して3年目。若い頃に勉強しておけば良かったと、大人になるとよく言う。だから新しい人生では手は抜かなかった。

 士官学校では、指揮官・幕僚としての教育課程を受けている。若い頭脳はスポンジの様に知識を吸収してくれて助かっていた。

 戦術基礎、基礎体力練成、精神教育(これは昼寝に近い)、服務小六法片手の座学や、戦史、装備理論、安全管理とかを学ぶ。もっとも、多くは基礎的な事でばかりで、各個の戦闘訓練や班行動は幼年学校で下地が出来ているから僕たち幼年学校組には楽だった。

 強いて欠点を上げるならば水泳が苦手だった。

(ああ、のび太も僕の遺伝か、水泳の出来ない子だったな……。あれから泳げる様になったのだろうか?)

 僕は条件としては恵まれている方だ。

 これまで一般市民だった者は、普通の生活から規則と規律で統制された軍人としての生活になり、いきなり自由を制限されたわけだ。それに慣れるだけでも時間がかかる。さらに学習しなければいけないこともあり精神的重圧は大きい。

「あいつ、そろそろ辞めそうだな」

「だよな」

 精神的に打たれ弱い物は早々に自主退学して行く。そして誰が辞めるかなどと噂をしたりもする。

(一般から士官学校に進んできた人は大変だな)

 幼年学校出は他人事として同情していた。

 徴兵されるのが嫌で入ってきたと言う者も中にはいるが、意識の低い考えの合わない奴はどこの社会でも出てくるだろう。連帯責任と言うものがあり、無能な者、やる気の無い者のミスで懲罰を受ける事もある。その事を避ける上でも、ルパートは助言した。

「この生活が合わないなら辞めろ。合わない奴を続けさせる事は双方にとって無駄だ」

 ここには、試験と面接を受けたにもかかわらず、変な生徒はたくさんいた。

「戦略は習わないんですか?」と、ある学生が質問していた。

 それは高級将校に試験が通って、教育を受けに行く時に習うと言っていた。

 他にも、もっと変なやつがいた。

 戦術の授業で、勝てないと判断し「戦略的に撤退します」と学生が言い出し呆れた。

 その時は、今まで習ってきた事の応用を試される時間だった。

 最初は諭す口調だった教官も、しつこく持論を捨てない生徒がしまいには馬鹿を見るような目つきで教官に視線を放って来るので激怒した。

「戦術は勝ち負けを言ってるのではない。仮にそういう状況になって、どこでどう対処するかを習っているんだ」

 教官の言葉を聴きながら僕は、反発していた生徒に対して内心で馬鹿さ加減に大爆笑をしていた。

(空気読めよ。今は戦術の授業だぞ。馬鹿はお前だ)

 例えるならば、家庭科の授業で「今から調理実習を教えます」と教師が言って、「でも私は外食しかしません」と答える生徒のような物だ。お前が外食をしようが、調理をしようがどうでも良い。今は調理を習う時間だと言う事だ。

 付与された状況に「撤退」は今の段階で、条件に入ってない。

「攻撃」「防御」「後退行動」「遅滞行動」それぞれの戦術行動が分かれて教えられる意味が、理解されていないようだ。授業の目的を取り違えている。

(秀才を気取っている訳でもないだろうが、腹立たしい)

「おい、ルパート」

 一緒に入校できたハルオが後から囁いてきた。

「ん?」

「あいつ生意気だよな」

「ああ。任務分析もできない素人のミリオタみたいなカスだな」

 僕の言葉にハルオが頷く気配がいた。

(ハルオでも理解できてる事が分からない馬鹿め)

「あとで、しめるか」

 ハルオの言葉に苦笑を浮かべる。

 柵の外の空気が抜けないようだが、ここは学校ではない。軍隊は階級で動き、上の者は責任を負う。それを実践する士官候補生が教官に対して、あの態度では示しが付かない。

(確かに看過できないな。一度、話でもして見るか)

 指導の必要はあると思った。

(それに、素人が調子に乗って軍事を語るのは、耳にしていて気分が悪い)

 おそらく幼年学校出の者は全員賛同するだろう。

 私刑になるが、生徒の中で異物を浄化しようと言う動きはいつの時代でも普通にある。出る杭は打たれる。協調性の無い者は組織にとって有害だ。

 

 

 

 休む時もしっかり休んでいる。休日は外出証を受領して出かけることができ、外泊したいときは事前に休暇申請を出しておけばいける。

 そういえば去年、父さんから連絡が着た。何でも宗教団体の資金援助で新しい事業を始めるとのことだ。変な風に洗脳されなければいいが、心配だ。

 今日はミッターマイヤー家に帰省し、午前中は荷物の整理をし午後から続きをしたあとのんびりと過ごしている。

 士官学校にある委託売店の本屋で暇つぶしに買った本が、溜まったのでこっちに送っていたが凄い量になっていた。

(あっちでは、食べるか本を読むかしか暇つぶしがないからなぁ)

 いささか、後悔しながら古本屋に売りに行き処分する物と、残しておく物に分ける。

 ようやく荷物の整理も終り、一息つこうとベットで横になってると、姉さんが呼ぶ声が聴こえた。

「ルパート~」

 エヴァンゼリン姉さんは従姉で19歳。

 この家の長男ウォルフガング兄さんが惚れている。玉子さんとの出会った頃を思い出し、若者はいいなぁと、年寄りじみたことを考えながら二人の事は温かく見守ってあげている。

「伯父さんが、腰を痛めたので手伝ってくれない?」

 この家の主人である伯父さんは、造園業者を営んでおり貴族の家にも出入りする職人で、食事時はワインを片手にいつも楽しげに園芸について語ってくれる優しい人だ。

 僕も庭石を運ぶのを手伝ったことがあるけど、あれはなかなか肉体労働だ。もちろんセンスもいるけどね。

 本当は兄さんに家業を継がせたかったようだ。

 今日は肥料の腐葉土を準備していたところ、ぎっくり腰で腰を痛めてしまった。

(伯父さん、言ってくれたら手伝ったのに)

 納品だけならぼくたち二人だけでも行けるだろうということだ。

「了解」

 この家の人は皆、家族として分け隔てなく接してくれる。だから僕もすぐに打ち解けられた。

 比較的に年齢の近い姉さんは、幼くしてこっちにやって来た僕に気を使ってくれたのか、よく買い物とかに連れ出される事があった。そのおかげで、街の道もしっかり頭に入ってる。

 僕と姉さんで、憲兵隊司令部のあるノイエ・プリンツ・アルブレヒト通りに面したマリーンドルフ家の屋敷を訪ねる。

 貴族らしい立派なお屋敷だけど、勘違いした何処かのラブホテルかというほど華美ではなく、落ち着いた雰囲気が良い感じだ。

「あなたはだぁれ?」

 可愛らしい活発そうな女の子が迎えてくれた。幼児好きにはたまらないのだろうが、僕にその趣味は無い。見るからに質の良い生地の服を着ておりこの家の御息女だろう。

 すぐに、執事の男性が応対に出てきた。

「失礼いたします。ミッターマイヤーの代理の者です。お屋敷に園芸用の肥料を納品させて頂きに参りました」

「伺っております。御苦労さま」

 お庭の納屋に商品を納めると、姉さんが小切手を受け取り会釈していた。

 御息女が帰る時に手を振ってくれたので、会釈し軽く手を振る。

 のんびり歩いて帰る途中、姉さんが提案した。

「この後、夕飯にまだ時間もあるし、カフェに寄らない?」

 確かに小腹が空いた。

「姉さん奢ってよ」

 学生は色々と物入りでいつの時代も貧乏だ。

 カフェまでの道を、街路樹の木漏れ日を浴びながら僕たちはとりとめも無い話をしながら歩く。

 お使いを終え、二人で近所のカフェでケーキとお茶で休憩していると、黄色い花束と紙箱を抱えて長男が走って家に帰る姿が見えた。

(ああ、なるほど)

「ルパート?」

 僕の笑顔に気付いて姉さんが、ティーカップを片手に不思議そうに見詰めてくる。

 長男を視界に留めた僕は、紅茶を飲むと姉さんと別行動をとることにした。

「姉さん。先に帰っていてもらえませんか。僕は、本屋に注文していた本を確認に行きたいので」

(頑張れ兄さん。若者に幸あれ)

 手を振る姉さんと別れ、画材屋に入り数点、画材を購入し本屋に入った。本の独特の臭いがする。

 姉さんに言った事の半分は本当。本は注文していないので、手ぶらでは帰りにくい。

 将来は本に囲まれて過ごすのもいいなぁ、などと考えながら適当にぶらつく。

 

 

 

 本屋に入った。紙に印刷された本独特の臭いがある。

 良さそうな本を見つけた。目当ての本は棚の一番上。

「う~」

 背を伸ばしてとろうとするが、届かない。

「これかい」

「あ」

 赤毛の青年がそれを手に取ってくれた。

 礼を述べた。

「ありがとうございます」

 赤毛の青年は気さくな笑顔を浮かべ応じる。

「いや」

 そこに声がかけられる。

「行くぞキルヒアイス」

「はい。ラインハルト様」

 赤毛の青年は連れの金髪の青年と店を出ていく。僕とそれほど歳も離れていないだろうが、二人とも絵になるような美男子だ。

(うん。今日はいい物見た)

 眼福、眼福と本を買い家に戻ると、長男は魂の抜け殻のように茫然自失していた。

(何があった?)

 伯父さんに訊いてみると、姉さんに告白して振られたらしい。

(なぜだ……)

 伯父さんは残念そうにため息をついた。かけるべき言葉もない。

 二人は上手くいくと思っていたんだけどな。

 家に入るとキッチンで女性陣は黄色い声ではしゃぎながら夕食の支度をしている。う~ん。まったく外と家の中は正反対だな。

「ただいま」

 一言声をかけた。

 僕をちらちら見ながら母さんが伯母さんと意味ありげな笑みを浮かべている。

(何だ? まぁ、用事があれば言うだろうし、夕食まで一眠りしよう)

 

 

 

 ああ。またあの夢だ。

 最近の忙しい生活で、思い出すことも少なくなった、「家族」の夢。

 それを僕は見ている。

 いや、でも実際にあった事だから、思い出していると言っても良いかな。

 夕食を家族四人でとっている。のび太、玉子さん、ドラざえもん、そして僕だ。

 食事の箸を止めて、のび太が離しかけてくる。

「ねぇ。パパ」

「うん?」

「今度の夏休み、何処かに連れて行ってよ」

「なんだい。藪から棒に」

「友達は皆、海とか山に行くんだって。僕も何処か旅行に行きたいよ」

 スネオは海外に行くんだよ、と言うのび太の言葉を聞き流しながら考える。

 家族旅行か。

 たしかにここ数年、そう言った事をした事が無いな。

 僕には、家族を食べさせるという仕事がある。それに今からだと厳しいな。

「ホテルや旅館。そう言う所は、今から予約を取るのが大変なんだよ」

 がっかりさせて申し訳ないと思う。

 食事を終え、居間で寛いでいると2階から声が聞こえてきた。

「ああ~っ!僕は日本一不幸な少年だ!」

 大げさな言葉を言う息子に、玉子さんと顔を見合わせて苦笑した。

 ああ。あの時はすまなかった。

 もし戻れたら、今度こそ家族一緒に旅行をしよう。

 そう思った所で、自分のベットで目が覚めた。

 

 

 

7.3月の戦争

 

 僕は士官学校の教育が修了して装甲擲弾兵としての道を歩み始めた。それですぐ少尉任官するわけではない。

 士官候補生としての教育をフォン・コルプト中尉の中隊で受け、学校に半年ほど入校し各種教育を受けた後、新米少尉は誕生する。

 新米少尉は古参兵の下士官からしたら、ヒヨッコのような物だ。帝国軍創設期は、少尉2年、中尉3年と言われており、士官学校を卒業してから一人前の大尉になるのは9年や10年かかると言われていた。

 今の有力貴族の子弟達は昇進速度が異常だが、長い戦争は教育に時間を割く余裕もなくなり、少尉半年、中尉半年と昇進速度が短縮されている。そうなると教育も十分に出来ていないのが現状だ。

 中隊長であるコルプト中尉の顔を見ながら、この人とは腐れ縁なのかと思った。

 着任の申告をすると小隊の1つを任されて、「まあ宜しく頼むよ」と嬉しそうに肩なんかたたかれ、課業終了後は飲みに連れて行かれた。

(この人、友達が居ないのかな?)

 普段の中隊での課業は、官舎から駐屯地に登庁して営外用更衣室で着替えることから始まる。

 官舎から徒歩5分。

 駐屯地警衛に身分証を見せて、敬礼して通る。

 自分の中隊が警衛の担当の場合、「お疲れ様」と声をかけたり、差し入れを渡す。

 制服から作業着に着替え、事務所でのんびりとコーヒーを飲みながら、仕事の準備をする。気の早いというか、仕事の溜まっている下士官はすでに仕事に取り掛かっている。

(まぁ僕は、任官したてでそれほど忙しい仕事は回ってこない)

 朝礼の時間が近付くと隊舎の裏側に集まる。

 朝礼台に立った中隊長に敬礼する。

「おはよう」と中隊長が言い、全員が『おはようございます』と一斉に返事する。

「季節の変わり目なので、風邪等ひかないように各自、体調管理に気をつけるように」

 中隊付准尉の先任が、健康状態の確認をとったあと、古参の各係を担当する下士官から連絡事項が伝えられる。

 中隊長としてコルプト中尉が「安全管理・事故防止の徹底」を念押しするといった決まり文句を聞いた後、国旗掲揚がされ一日が始まる。

 小隊ごとまとまって作業するということはあまりなく、補給・武器・通信・車両整備といった各係の長の下で別れて、機材整備を行う。

 大体それが15時ぐらいまで行われ、その後、体力錬成の持続走をして終礼という形だ。

 そうして毎日が過ぎていき、週末司令点検、月末司令点検、期末司令点検などに備え、整理整頓・備品管理に追われている。

 

 

 

 帝国暦485年。それまで平穏だった日々は唐突に終わり、新たな戦闘参加の機会がやってくる。

 春は学生が社会人として就職する季節だ。 軍隊と言う組織も同様で、1年を4期に分けた1/4期は部内移動、部外移動の他に新兵が入隊してくる。

 これから過ごすことになる組織での生活。身につけるのは躾としての礼節や服従の義務と言った精神面での基本的な事ばかりだ。ここで挫折する者は、この後本格的になる教育で、安全管理などの点で事故を起こしてしまうかもしれない。

(にこっと笑うだけの余裕が無ければ駄目だな)

 新兵の困った様な顔を見ながらそう思った。

 嫌々では成長はしない。自発的意思が成長の糧となる。

 駐屯地の道路を挟んだ向かい側に在る訓練場。

 機銃の銃座から放たれた銃弾がぎりぎり頭上を掠めるように通過する中、僕は堆積された土に向け匍匐前進で移動する。

(カミナリの奴。ここぞとばかりに撃ってくるな)

 泥に汚れるのも気にせず小隊長自らの見本を展示していた。

 新兵相手の時はもう少し高めの弾道で撃つが、お互い相手の技量が解っているからこそ出来る内容だ。

 小隊付准尉で先任のカミナリ曹長とは下士官候補生の頃からの付き合いで、助教と生徒と言う関係だった。だから気心は知れている。

 他の各分隊長も特に慌てることなく眺めている。

「実戦の時、敵は遠慮をしてくれない。よく頭を下げろよ」

 そんな風に班員に解説を入れている。

 突撃発揮位置に着いた。火薬式小銃に銃剣を付け、号令を待つ。

「前へ!」

 伏せていた地面から起き上がり、腰だめに小銃を構え喚声をあげて駆ける。

 標的の白い布を銃剣で突き刺す。

 状況終了。

 各班事に分かれて、訓練開始の指示をする。

 僕は装甲服のヘルメットを取り、用意していたタオルで汗を拭う。

 自転車に乗って駐屯地から、中隊本部の下士官が物凄い速度でやって来た。

「あれ。どうしたんですか、そんなに慌てて」

 何だか、嫌な予感がした。

「甲1種!非常呼集です」

 訓練中止。急いで駐屯地に帰り武器庫に武器を返納させる。

「下士官は中隊本部に集合。兵は営内で準備と待機」

 中隊長の顔色はあまり宜しく無かった。

「事前の通達が無く準備が出来なかったが、急遽うちの連隊はイゼルローン方面に移動する事になった」

 声のないざわめきが広がった。

「フォン・リューネブルク准将の通達によれば、叛徒の勢力圏内での地上戦もあり得るとの事だ」

 慌しくも、移動命令が下った。重火器や弾薬などはイゼルローン要塞に事前にある程度備蓄されているので、こう言う唐突な動員の際は便利だなと実感できる。

 イゼルローンまでは一ヶ月程、輸送船の中で揺られた。僕らの出番があるとしても、艦隊決戦の後で、制宙権を握ってからだ。

 

 

 

 3月21日。イゼルローン回廊の同盟側出口周辺に位置する恒星系であるヴァンフリート星系において、銀河帝国軍と自由惑星同盟軍は砲火を交わし戦闘を開始した。

 世にいうヴァンフリート星系の会戦である。

 帝国側の戦略目的は一貫して敵支配地域における敵戦力の撃滅であり、対反乱鎮圧作戦から一歩も出ていない。対する同盟側は自国領内に侵攻した敵戦力の迎撃を企図している。

 同盟側の艦隊は前面に戦艦群を集中し両翼に巡航艦を展開させ、突破機動に重点を置いた縦陣の凸形陣形で、帝国軍宇宙艦隊司令長官グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥は一言、「阿呆」と言い放った。

 スクリーンに現された両軍の陣形。中央突破を企図しているのは明白だ。

 敵陣を一撃で瓦解させれば、華々しい戦果だし満足できる物だろう。しかし現状は彼我の戦力が拮抗しており力押しで崩せるほど帝国軍も脆くは無い。

 0700時。戦況は大きく変わろうとしていた。

『グリンメルスハウゼン。卿の艦隊は迂回して敵後背を叩け』

 ミュッケンベルガー元帥の意を受けて、最左翼を指揮する老練なリヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン中将率いる12,200隻は、急速に同盟軍戦列を突き崩そうとした。目的は包囲遮断である。

 その麾下で、ラインハルト・フォン・ミューゼルは若干18歳にして准将であり、巡航艦40隻、駆逐艦130隻、砲艦25隻、ミサイル艦10隻の分艦隊を率いて参加していた。

 副官を務める赤毛の青年、ジークフリード・キルヒアイスにとってラインハルトは、幼い頃からの友人であり同志である。その忠誠心は、刷り込まれた物ではあるが、純粋な物だった。

 対人関係が上手く出来ず、周りの反感を買い敵ばかり作るラインハルト。彼を補佐し、少しでも火の粉を被らせない様努力してきた。

 今回の上官であるグリンメルスハウゼン提督は人柄もよく、好々爺が孫に接すると言った感じでラインハルトを敵視したりはしなかった。キルヒアイスにとっては喜ばしい事だが、ラインハルトは痴呆気味の老人と呼んでいた。

「ラインハルト様。あまり悪し様に他人を罵るのは如何かと思いますが」

 キルヒアイスの諫言にラインハルトは拗ねた様に眉をひそめた。

 そんな子供じみたラインハルトの態度を、キルヒアイスは人の苦労も知らずにと疎ましく思う。全ては皇帝の寵姫となったアンネローゼの為、彼女との約束を果たす為だ。

『ジーク。あの馬鹿で傲慢でろくでなしで周りに敵ばかり作る、顔しか取り得の無い虚栄心の強い目立ちたがり屋で出来損ないの弟を守ってあげてね』

 ラインハルトが席を外した時、アンネローゼはキルヒアイスの手を握り頼んだ。その遠慮のない言い様にキルヒアイスは引きつった笑みを浮かべた。

(アンネローゼ様。確かにその通りですが、実の弟に対して酷過ぎませんか……)

 確かにキルヒアイスが居なければ、ラインハルトは幾度死んでいたか分からない。その要因の多くはラインハルト側に問題があり、他者との軋轢でだ。

(上級司令部とは問題ない。あとは麾下の指揮官達が動いてくれるかだな)

 今回与えられた分艦隊にしても、司令部幕僚、各戦隊司令とラインハルトの関係は協力どころか険悪な物だった。

「卿らは頭を使わなくて良い。考えるのは私だ。ただ命令に従う事を望む」

 今思い出しても頭を抱えたくなる、ラインハルトの着任挨拶。

(何と言うか、もっと他にも言い方があるでしょう)

 隣で聞いていてラインハルトに突き刺さる敵意を感じた。だからこそ、大人しくしていて欲しかった。

 今の所、ラインハルトは大人しくグリンメルスハウゼンの指揮に従っていた。

 ラインハルトは、自分から見て下らない命令を出せば無視して指示に従う気は無かった。しかしながら、グリンメルスハウゼンは昼行灯どころか卓越した指揮を見せていた。

「旗艦より入電。砲撃開始」

 通信士がグリンメルスハウゼンからの指示を伝えてくる。その言葉にラインハルとは頷くと命じた。

「各戦隊に発令、射撃開始。撃て(ファイエル)

 ラインハルトが今まで参加した艦隊戦の中で、今回の友軍は指揮・連動が一番良い。同じ帝国軍とは思えないぐらいだ。

(宇宙艦隊司令長官が直接指揮をしてるからだろうか? 我が軍の動きは良い。それに、あの老人の指揮も申し分ない)

 熟練した上官の前では、自分も経験不足なただの孺子(こぞう)に過ぎないと今回大きく知らされた。それでも気分が良い。

「キルヒアイス、俺たちは圧倒的だな」

 ラインハルトは上機嫌で言った。今まで散々、無能な上官と同僚に足を引っ張られてきた。自分が全知全能をかけて戦い、武勲を上げようとしても邪魔が入った。

(今回は違う)

 心地の良い艦隊運動と指揮。納得の出来る命令だと、俄然としてやる気になる。

「はい、ラインハルトさま」

 キルヒアイスは高揚しているラインハルトに対し、いささか複雑な心境であった。有能な上官の下では、ラインハルトの勝利と成功は目立たず、立場が強化されない。

 ラインハルトにそれを言ったとしても、杞憂だと笑った事だろう。彼らはまだ若い。そして、老人達の寿命も長くは無い。その事をラインハルトは知っていたからだ。

 彼らの目標はアンネローゼを皇帝から取り戻す事であり、ゴールデンバウム王朝の打倒する事にある。しかし、現実にはゴールデンバウム王朝を倒した後の具体的政治体制などは考えてもいない。それまでの過程も漠然としており、ただ昇進する事しか考えていない。

 今は目の前の敵を倒し武勲を上げる事。その後は、それなりの地位についてから考えれば良いと思っていた。

 帝国軍にとって戦闘は掃討戦に移りつつあり、同盟軍の脱出は著しく困難になっている。

 ビュコックの第5艦隊は崩壊した第6、第10艦隊の残存戦力を収容しつつ応援を待つ姿勢をとった。ロボス元帥はこれに対して自軍が劣性であることを認識し、予備戦力として温存していたボロディン中将の第12艦隊を解囲のため急行させる。

 一方、帝国軍ミュッケンベルガー元帥は、ビュコックの立て籠もったヴァンフリート星系第4惑星にある第2衛星に、3ヶ月前から同盟軍が後方拠点を築いていたとの報告を受け、グリンメルスハウゼン艦隊にヴァンフリート4=2の制圧を命令下達した。

 地上部隊の指揮はヘルマン・フォン・リューネブルク准将がこれにあたる。

 リューネブルクは、地上に足をつけて闘う戦場なら優れた指揮官の分類に入る。また私人としては、ハルテンベルク伯爵の一門に連なる女性と結ばれ、夫婦仲も睦ましく子宝に恵まれており順風満帆な生活を送っている。まさに人が羨む生活だ。

 ラインハルトがリューネブルクの下で、副将に任じられたことを知ったキルヒアイスは考える。

(ラインハルトさまが、リューネブルク准将の人となりを知ったら余計にリューネブルク准将を嫌われるだろう)

 自分は皇帝に姉を奪われた可哀想な男。対する相手は親しい者に囲まれ幸せに暮らしている。ラインハルトが敵意を持つには十分な理由だ。

(何しろ、恋や愛という言葉は軟弱だと否定されるお方だ)

 ラインハルト自身は皇帝から密かに目をかけられている事を知らない。特別扱いはされている。でなければ十八歳で提督など在り得ない。寵姫の弟であるから出世も早いのだ。隣の芝は青く見えると言うが、自分達の境遇も羨む物であるとキルヒアイスも気付いていなかった。

 

 

 僕らの連隊はグリンメルスハウゼン艦隊に配属されていた。

 過去の経験から「頻繁に変わる上の解釈と指示」というものに慣れていた。だが、今回は特に酷かった。 

 僕の所属する中隊は陸戦に不慣れであろう提督、ラインハルト・フォン・ミューゼル准将の警護を命ぜられた。僕はあまり詳しくは知らなかったが、聞いた話ではグリューネワルト伯爵夫人の弟だという。

(寵姫の弟? だからどうした。そんなに大事なら前線に出さなければいいのに)

 敵の弾は遠慮してくれないぞと、内心毒づいていた。

 それに指揮系統上の問題点もあった。元は叛徒の軍勢とは言え、陸戦を経験してきたリューネブルクや装甲擲弾兵の指揮官達がいるのに、艦隊の指揮官であるラインハルトに陸戦で副将の地位を与えている。

(指揮系統を乱しているのは、司令部の判断も同じか)

 ラインハルトに経験を積ませようと言うグリンメルスハウゼンの好意だったが、現場での心象は良くなく双方にとって不快なものとなった。

 今回、自軍は敵の補給物資も可能なら奪取しようとしていた。そのため事前の艦砲射撃も行わなかった。実際、艦砲射撃に加えてワルキューレの対地攻撃を行っても、何%かの防空火器は残り降下時に反撃してくることが多い。

 危険見積もりし安全管理の観点から、空挺堡は同盟軍の拠点から直線で約2400キロメートル離れた北半球が選ばれた。

 3月27日、降下に先立ち中隊本部に小隊長以上が集まり顔見せの挨拶をした。

 どう見てもまだ子供のような青年が将官の階級章をつけて中隊長の隣に立っていた。自分たちの直属の上官である中隊長に対して生意気に接している金髪の青年がミューゼル准将だと知らされて、集められた男達は驚きの表情を浮かべた。

(正直な感想として、上から目線で無礼な糞餓鬼だな)

 僕はその様に思った。

「おや君は」

 そんな事を考えていると、ラインハルトの副官である赤毛の大尉が話しかけてきた。

(ん。どこかで見た顔だな)

「あ。貴方は」

 思い出した。

 数年前、本屋で会った赤毛の青年だ。お互いに自己紹介をした。

「今回はお世話になります」

「こちらこそ。本分を尽くします」

(キルヒアイス大尉は気さくで良い感じだな)

 キルヒアイスに対しては比較的好印象を受けた。

 だがラインハルトは僕とキルヒアイスが会話していると「俺のキルヒアイスに話かけるな」と言わんばかりに睨みつけ、割り込んでくる。

「キルヒアイス。あのような者を相手にするな」とか、「お前は俺と姉上だけを見ていれば良い」とか言っている。

(あの~。聴こえてるんですけどねぇ……。もしかしてホ○ですか?)

 ラインハルトは人の好き嫌いが激しい。上に立つ者として、それは損な性格だった。

 区別はするのも仕方が無いが、露骨に行われると誰しも気分が悪い。問題はそこだけではない。

 さらに指揮系統の無視もしていた。

「この中隊は、私が指揮する」

「は?」

 突然の言葉に中隊長以下、各士官・下士官は言葉を失った。

 数回の会話だけでフォン・コルプト中尉を無能と判断し、ラインハルト自身で直接、中隊を指揮して前線に出ようとした。

(あんた、装甲擲弾兵じゃ無いだろう)

 全員が、異口同音で脳裏にその事を思い描いた。その視線を物ともせず、ラインハルトは呟いた。

「『無能な働き者は射殺しろ』だ」

 その呟きを、ルパートは近くに居た事もあり聞き取れた。

 無能な働き者は射殺しろ。真実かは知らないが、ハンス・フォン・ゼークトの言葉として広く知れ渡ってる言葉で、軍人を四つに分類した物だ。有能な怠け者は司令官に。有能な働き者は参謀に。無能な怠け者は兵士に。無能な働き者は処刑すると言う内容だ。

 僕個人は、このカビの生えたような組織理論に納得していない。

 楽をして勝つなら有能な怠け者でも良いが、手を抜き過ぎるといざと言うときに跳ね返ってくるのは自分たちだ。やる気の無い人間は、周りにも悪影響を与える。有能な働き者の方が安心できる。

 無能な働き者については考えてしまう。もし、すべての人間が無能な働き者だったら切り捨てるのだろうか? そんな事は無いはずだ。指揮官に向いてないと言うなら周りで守り立ててあげれば良い。

(切り捨てるよりも、拾うことを考えるべきだ)

 優しさではない。やる気さえあれば幾らでも使い道はあるのだ。無能だろうが、使いこなすのが周りの責任だ。

 この一件で、ラインハルトの腹積もりはわかった。能力の高低だけで部下をより分ける人間だ。

 部下からしてみれば、評価もしてくれない上官では忠誠心も沸かない。負の連鎖だ。

(使いこなせないあんたが、実は一番無能なのかもな……)

 内心で辛辣に評価していた。

 どちらにしても、指揮系統のラインを無視されると混乱するのでやめてほしい。

 この評価は僕だけではない。ラインハルトは反感を買ったようで古参兵の下士官も皆、敵意に満ちた視線を放った。

(おいおい。仮にも准将相手なんだから、敵意丸出しで睨むのは止めろよ。お前ら)

「貴族としての格も知れている。姉の七光りめ……」

 誰かが呟いたその言葉にラインハルトはきっと強い眼差しで反応した。

「あの金髪の小僧生意気ですね」と、先任まで言ってくる。

 そんな中隊の空気にぞっとした。コネも実力のうちだ。万が一、ラインハルトに何かあれば姉が報復するだろう。

 まぁ若気の至りだよと僕がフォローすると、小隊長も十分若いでしょうと笑われた。

(頼むから、後ろからミューゼル准将を撃つなよ)

 などと祈るが下士官の一人が「小隊長。撃っていいですか?」何て囁く。

(そんな声は聴こえない。気のせいだ)

 キルヒアイス大尉も苦労人らしく、退席時、申し訳なさそうに僕達へ頭を下げていた。

(まぁ、あの人がいるなら、ミューゼル准将の背中も大丈夫だろう)

 問題はもう一つあった。

 装甲擲弾兵総監のオフレッサー上級大将が、お忍び(?)で僕の小隊に付いて来た。

「暇だから自分も参加させろ。指揮権には口に出さない」と、グリンメルスハウゼン中将にねじり込んできたそうだ。それに対して、グリンメルスハウゼン中将は苦笑しながら好きにさせろと許可を与えたそうだ。

 厄介事は新米少尉に任せる。

(まぁ任官したての少尉など使い走りに過ぎないが……)

 何を考えているんだろうと、オフレッサーの頭を疑った。

 装甲擲弾兵総監といえば、ルパート達にとって神様のような位置にいる役職だ。

(本当に勘弁してほしい……)

「小僧。俺の事は気にしなくて良いぞ」

「いやしかし、そういうわけにもいきません」

 オフレッサー上級大将は敵にも勇猛で名高く知れ渡っており、ルパートが護衛を気にするほどでもないと後で知る事になる。

(生まれる時代を間違えたのじゃないか、こいつ……)

 想像以上に戦闘技能も桁違い、生粋の武人、戦士といえた。

 フォン・コルプト中尉にオフレッサーが脅しに近い口止めをしていた為、彼が中隊に随行する事を、リューネブルクやラインハルトには知らせてない。 

(中隊長が、オフレッサーの迫力に耐えて断れるわけがないよな)

 ぼんやりと、中隊長のひょろりとした顔と、装甲擲弾兵総監の凄みのある顔を思い浮かべて、苦笑した。

(さて、今回はどんな戦いになるやら)

 4月1日。帝国軍は4個増強大隊の戦闘団に分かれて動き出した。

 急遽、白と灰色の冬季迷彩に塗装された車両の列が集結地から南に向かう。

 目標まで車両で約30時間~40時間。

 敵の陣地防禦は配置にもよるが、中央は火力を集中し易く、翼側は手薄になりがちになる。そのため、翼側掩護の部隊の配置で補完されていると考えられた。

 敵兵力は増援が来ない限り防禦縦深は変わらない。要は敵を捕捉撃滅するか降伏させるのが目標だ。

 リューネブルクはラインハルトに偵察を命じた。

(おいおい、附いていくのは僕たちなんだぞ)

 その事を聞いて僕はうんざりした表情を浮かべた。

「楽しい遠足になりそうじゃないか。小隊長殿」

 そんな事を気にせず、オフレッサーはルパートの肩を掴み凄みのある笑みを浮かべ囁く。わざと普段使わない『殿』なんて付けている。

 大柄なオフレッサーと小柄なルパートでは、傍目には恫喝されているようにしか見えない。

 一般兵と同じ装甲服を着ていてもおふれっさーから覇気というものを感じるのか、ラインハルトやキルヒアイスが度々、何か問いたげにルパートへ視線を向けて来ていた。

(こっちを見ないでくれ!)

「ケッセルリンク少尉」

「は、はひぃっ?!」

 突然、ミューゼル准将に名指しされ声が裏返る。

「ケッセルリンク少尉の小隊から偵察を出してもらうことにする」

 哀れむように周りの人間がルパートに視線を向ける。

 人選はルパートに任された。オフレッサー上級大将は当然のようについてくる。

(畜生。厄介事を押し付けられた。ええ、視線を感じた時点で、予想してましたよ……)

「ちなみにミューゼル閣下。陸戦に於ける偵察は経験ありますか?」

 僕がそう尋ねた所、ラインハルトは憮然とした表情を浮かべた。

 別に侮ったつもりは無いが、若造だと舐められた。そんな風に誤解したのかもしれない。

(何だか、過敏な若者だからな。怒らせたかな)

「82年にカプチェランカのBⅢ(ベードライ)にいたころ、一度敵情偵察の命令を受けたことがある」

 惑星カプチェランカはイゼルローン要塞から自由惑星同盟領の方向へ8.6光年の宙域に位置する帝国と同盟の歴史的争奪地の一つで、毎年のように地上戦が繰り広げられている。

「ほう。あそこに居たのですか」

 だが実際のところは基地司令ヘルダー大佐の陰謀で謀殺されそうになり、帰還しただけで偵察任務は遂行していない言う事だった。

「激戦で大変だったでしょう」

「まぁな」

 視線が若干、横に逸れている。

(少し嘘があるな)

 ラインハルトを見て僕は悟った。ラインハルトから発散される空気は、野戦指揮官として戦場の硝煙を潜り抜けたものではない。

 インドシナ、ローデシア、アンゴラの戦場で何たるかを身をもって習得した者として、それはすぐに分かった。

 陣地攻撃において偵察隊は攻撃準備段階の状況として、リューネブルクの攻撃構想の決定、計画の策定及び攻撃実施間の戦闘指導に関する情報資料を収集する。

 とても大事な仕事だ。

 そのため、うちの小隊は敵第1線陣地地域付近の偵察を行う。

(今回は偵察というものを教えてやろう)

 ご存知かも知れませんが、と一応断りをいれ確認しておく。

「本来なら後方地域や後続部隊も調べなくてはいけません。ですが、ここは後方拠点ですぐに敵の増援が到着など在り得ないので除外されます」

 そんな事、当然だという挑戦的な目でラインハルトは強い眼差しを向ける。

(睨んでるんじゃねえよ、糞ガキ。ぶち殺すぞ)

 苛立ちを覚えたが説明を進める。

 まずは積極的に行動し、敵の配備状況──特にその主陣地を決められた時期までに解明することが重要だ。

(下手に手柄を立てようと、戦闘を始められても困るという意味だが、分かってるのか、こいつは)

 その後、僕は各斥候班が分散し潜入して偵察が始められるよう、監視区域や監視要領など指示を与える。

「基本に忠実で在れ」いかなる国の軍隊も基本は存在する。行動や思考の基本である教範は、無駄な事を書いていない。

「①敵第1線部隊の位置②敵防御地域、特に障害の位置・種類・規模③敵戦闘車両、火砲等の位置・数・種類──」

 注意をキルヒアイスはしっかりとメモしている。

(良い子だ)

 素直に学び取ろうと言う姿勢は好感を持てる。

 各分隊・班に必要な統制事項である攻撃方向の中心軸、攻撃隊形、火力の射撃要求、灯火管制、通信管制などを伝える。質問を受け付けてから、時刻規制で時計の時間を合わせる。

「偵察の各行動間、任務を遂行するため独立で戦闘行動を行うことがある。状況は流動変転する。状況を把握し適時適切な行動で、無理をするなよ。以上」

 僕の説明が終わると先任が号令をかける。

「小隊長に敬礼。頭ぁ~中っ!」

 各斥候班が所定の目標に向かい動き出す。

(ミューゼル准将は今一、理解してるようには見えないな)

 子供を躾ける役目は大人の務めだ。直接、実地で教えるしかないなと、先行きを考えて溜め息を吐く。

 

 

 

8.月の戦争(2)

 

 揺り動かされ眠りから覚めようとする。

「ちょっとあなた。いつまで寝ているんですか」

(玉子さんか)

「うーん……」

 布団から出たくない。もう少し寝かせて欲しい。

「もう、あなたったら」

 仕方がない人ねぇ、と言いながら去っていく気配がする。

(ん、玉子さん?)

 そう思った瞬間、意識が覚醒する。

 

 夢の中でのび助だった意識が、ルパート・ケッセルリンクに切り替えられる。

 車両で揺られていた僕は眠りについていた。車両の移動時は、全員が警戒を始終行っている訳ではない。今のように敵との交戦が想定され無い場合は、休めるだけ休んでいた。

 意識の覚醒に肉体が付いてくるのは染み付いた習慣だ。

 体にかけていた雑毛布を押しのけ、辺りに視線を向ける。

(やれやれ、起きたら戦場か)

 僕は水筒に手を伸ばして寝起きで乾いた喉を潤す。

 他の皆と同じように、ミューゼル准将やキルヒアイス大尉も装甲服を着て休んでいた。

(起きている時は生意気だけど、寝顔だけ見たらただの子供だな)

「小隊長。まもなく、監視所予定位置です」

「わかった」

 必要事項は徹底させている。それでも確認するのは僕の仕事だ。

 赤毛の若者はともかく、金髪の閣下は自分の命令一つで兵が死地へと向かう残されたの悲しみを背負う覚悟があるのかと思った。

 

 

 

 監視所は短時間の維持ができればよかったので前方重視の配備をとっていた。もちろん敵の警戒部隊や偵察が出てくることは想定していた。

 突如として陣地内で爆発が起きる。

 擲弾が撃ち込まれた。

 偽装網が吹き飛び装甲車に敵の銃撃が降り注ぐ。

(早すぎるぞ!)

 忌々しいことに先手を打たれた。やるべきことは敵の突撃破砕だ。

「敵を近付けるな!」

 火網を掻い潜り素早く陣地内に侵入してきた一団があった。数はそれ程多くは無い。

 しかし鍛え上げられた戦技で、容赦なく味方を屠っていく敵兵がいた。

(何だと!)

 味方の損害に舌打ちする。動きから敵の指揮官だろうと判断する。

「各組長は人員掌握後、報告を」

 その時、ラインハルトは戦斧を片手に僕の傍らから飛び出した。

(は?)

 あの馬鹿が何する積もりかは分かった。だがあれでも提督で、守るべき対称だった。

「ミューゼル准将!」

 呼び止める声に振り向かずまっしぐらに突き進む。

 

 

 

(俺だってやれるんだ!)

 機敏に味方を倒した敵の指揮に向かってラインハルトは戦斧を振るった。

「鬱陶しいハエめ」

 ラインハルトは傲岸不遜な人格破綻者だが、腕に自信はあった。しかし相手はさらに上手だった。訓練で成績を残そうとも、鮮血にまみれた戦場で殺し合いをした事の無い小僧の攻撃など敵の前では遊戯も同然だった。

 渾身の力を振り絞った一撃だった戦斧(トマホーク)の斬撃を受け止められる。

「悪くは無い一撃だ」

 敵の指揮官は笑みを浮かべると、そのまま柄の部分でヘルメットで覆われたラインハルトの顔面を殴打した。

「当たればな」

 その言葉がラインハルトの耳に入ると同時に衝撃が来た。

「がっ!」

 ラインハルトは衝撃で頭がシェイクされたみたいにフラフラし、口の中を切ったようで血の味を覚えた。嫌になるほど叩きのめされた士官学校での教育を思い出す。

 微塵の躊躇も無く容赦無く叩きつけられる殺気。ラインハルトに立ち直る隙を与えずさらに一撃が放たれた。

「うっ……」

 受け止めきれずに肩から胸にかけての装甲服が割れ、皮膚が切断され骨と筋肉の繊維が見える。

(何て強い一撃だ)

 不思議と後悔は覚えない。相手の戦技に尊敬すら覚えた。

 

 

 

 ラインハルトが敵に倒される瞬間を目撃した。

「ラインハルト様!」

 キルヒアイスは堪えきれず塹壕から飛び出た。

(ラインハルト様が殺される!)

 その思いで駆け寄った。その姿は主人の危機に対して反応した忠犬の様だ。

(させない! アンネローゼ様との約束を守る為にも!)

 キルヒアイスが憎悪に燃える瞳で敵を睨み切りかかるが、戦斧(トマホーク)が一閃され吹き飛ばされる。

 敵はラインハルトに視線を戻し、正確で綺麗な帝国公用語が敵の口から洩れる。

「筋はいいがな。まだまだ未熟だったな」

「くっ」

「名を聞きたいな」

 一瞬ためらったが、相手に敬意を表して素直に名乗る事にした。

「ラインハルト・フォン・ミューゼル……」

「そうか。俺はワルター・フォン・シェーンコップ」

 シェーンコップは同盟軍陸戦隊でも名高い薔薇の騎士連隊に所属する勇士で、指揮官陣頭で偵察に来ていた。

 

 

 

 僕はキルヒアイスも倒されるの確認した。自分の力量を把握できない子供は死ぬ。勇気と蛮勇は異なる。心底うんざりした。

(まったく、あの金髪の小僧は迷惑な)

 溜め息混じりに頭を振る。

(キルヒアイス大尉も、目の前でどんな出来事が起きようが副官ならもっと屹然としていないと。醜態を晒すようではまだまだ若いな)

 初めて見た時から2人の距離が近過ぎると感じていた。直属の上官では無いので他人事だが、司令部幕僚に採用されたら頭を悩ませるのだろうと思った。その点でも配慮に欠けており、ラインハルトに対する評価がさらに下がった。

(ミューゼル准将はともかく、キルヒアイス大尉は好感を持てる男だ。死なせるには惜しい)

「オフレッサー閣下、お願いしてもいいですか」

 出し惜しみも遠慮もしない。取って置きの切り札を使うことにした。

 オフレッサーは武力だけではなく、裏表の無い男だから信頼できる。

「おう」

 オフレッサーは愉しげに笑って応じた。

 獲物はあの、威勢の良い指揮官だ。

 

 

 

 シェーンコップは急速に接近してくる殺気に気付いた。しかし避けきることが出来なかった。

 オフレッサーはラインハルトを倒した男に体当たりする。

 2人は絡み合うように地面に倒れた。

 体勢を立て直そうとした次の瞬間には次の一撃が来る。

「フフフ……」

 オフレッサーは青タヌキの様に心底楽しそうに笑い声を洩らす。シェーンコップも知らず知らずのうちに笑みを浮かべていた。喉の奥から低い笑い声を洩らす。

 キルヒアイスが腰のホルスターからブラスターを取り出し、シェーンコップを狙おうとするが吐き捨てるようにオフレッサーが言った。

「邪魔をするな小僧。これは俺の獲物だ」

 血が(たぎ)(たか)ぶる強者との闘争。その愉悦をオフレッサーは貪欲に貪りたい。これこそ求めていた物だ。後方の、事務机の前で安穏と座っているなど俺の趣味ではない。

「さあ来い!」

 シェーンコップは嬉しくなっていた。

 美女との一夜は格別だが、強者との闘いも甲乙付けがたい。

 もっと力を出せ。お前の力を見せろと、二人はぶつかり合う。

 そんな二人を見て畏怖を覚え身震いしながらも、キルヒアイスはラインハルトを引きずっていく。

 ラインハルトはアドレナリンが分泌され痛みは麻痺していた。

 彼らは自分とは違う野獣だ。

 あの二人を見ていると闘争本能が刺激されたが、自分とは違うレヴェルを見せ付けられる。

 シェーンコップとオフレッサーの闘争はお互いの技量を確かめ合い、まるで試合を楽しむかのような競り合いをしている。

 大丈夫ですかとキルヒアイスが圧迫止血をしながら尋ねてくるが視線は二人に向いたままだ。

 

「キルヒアイス俺は強くなりたい」

 緊張感から乾いた唇を噛んで告げた。そこに悔しさが滲んでいる。

 真の兵士の前では、あまりにも無力だった。

 

 デア・デッケンは陣地内での戦闘に移ると自分の支援グループも前進させる。

(敵もよく訓練されているようだ)

 相手の反応で、その様に感じた。

 視線を近接戦闘している自分達の指揮官に向けた。シェーンコップを相手に互角以上に戦っている敵兵が目に付いた。

(いや、連隊長が少し押されているか!)

 一騎打ちに割り込む事を無粋だなどと考えも浮かばなかった。シェーンコップの危険に体が反応した。

「シェーンコップ中佐、離れてください!」

 デア・デッケンから見て、おそらくこの戦場で一番の脅威であろうオフレッサーに向け銃を構え照準した。激しく躍動し戦う二人は、体が重なり合い上手く狙えない。だが牽制にはなる。

 二人の足元に銃撃が走り土煙をあげるが、気にも止めない。

 シェーンコップはデア・デッケンの言葉が耳に届いていたが目の前の相手は気が抜けない。

「下がってろ!」

 怒鳴り返すシェーンコップの声に殺気が混ざっていた。頭に血が昇るとしょうがない、とデア・デッケンは思いながら支援射撃を継続していた。

 ルパートは構えていた荷電粒子ライフルで投擲しようとしていたデア・デッケンを狙い撃つ。胸を撃たれ倒れその手から手榴弾が、シェーンコップとオフレッサーの二人の間に転がった。

 視認した2人は飛び上がり回避する。炸裂が起き衝撃と爆風が二人を分かつ。

 ルパートの指示で反撃が始まる。

 水を差された。興醒めだ。

 そのままシェーンコップは「撤収!」と引き揚げを命じる。熱くなりすぎたともいささか後悔していた。カール・フォン・デア・デッケン中尉、まだ23歳にしかなっていないのに。

 

 

 

 引き上げていく同盟軍を見て僕も陣地変換の指示を出す。ここが発見されたのでもう使えない。

「今回はここまでです」

「もう少し遊びたかったがな」

 オフレッサー上級大将はいささか不満そうだった。

「まだ基地制圧の時に機会がありますよ」

「では、もうしばらく世話になるとしよう」

 よろしく頼むぞ、小隊長殿と背中を叩かれた。

 高笑いをしていたが、二人の闘いを中断され不満らしく叩かれた背中が痛んだ。

 僕はこの豪胆な装甲擲弾兵総監が少し気に入りはじめていた。

 負傷したミューゼル准将はキルヒアイス大尉に付き添われて後送され、僕の斥候班は引き続き偵察拠点を変え任務を遂行した。

 警護対称のミューゼル准将の負傷に関し中隊長は真っ青になったという事だが、偵察任務中であり、上から責められることは無かった。

(文句があるならあいつの暴走を止めろよ)

 

 

 

 4月6日。敵基地外周の攻撃開始線(LD)に攻撃準備を終え、主力の戦闘展開完了した帝国軍は降伏勧告を実施すべく通信回線を開いた。

 しかし、先手を打たれ敵から降伏勧告を受けた。

 敵いわく、無駄な攻撃をやめ両手をあげ引き返せ。生命だけは助けてやる。

 人を食った話だ。

「シェーンコップか、あいつらしい」

 リューネブルク准将も苦笑いをしていたが、内心(はらわた)の煮え繰り返る思いだったのだろう。

 日付が変わると「戦果拡張の可否時期」、つまり総攻撃予定だったのを繰り上げて、いきなり全力の戦闘加入が決定された。

 激しい砲撃が基地に加えられている。

 敵の補給物資も可能なら奪取となっていたが、地形が変わるほど念入りな突撃準備射撃が行われた。

 撃たれる側の同盟軍の新兵の中には、降り注ぐ砲弾で恐怖の叫び声を上げ錯乱するものもいた。

 制圧から破壊命令に変わり、圧倒的戦力を集中投入した戦闘は殆ど一方的となった。

 突破口の形成に対し、敵は組織の復元(逆襲)と組織の補強(予備陣地の占領等)を試みるが分断され、現防御組織の修復・収縮に失敗。続けて、新防御組織の応急編成に失敗。

 シェーンコップはなんとか戦力の温存(後退行動)を行うという有様だった。

 オフレッサー上級大将はここでも本領を発揮し暴れまわった。

 屍山血河といった状況で進む先で彼の前に立ちふさがる敵は確実に倒されて、死体が通路を塞いで行く。探す獲物は先日の好敵手だった。血を滾らせ全力でぶつかり合える相手は中々居ない。

 オフレッサーが尖兵となり乱戦に入っていった中、うちの中隊は敵の指揮所の一つに突入した。

 女性が数名と高級士官らしい男性がいる。装甲服ではなく通常の気密服を着ていたので陸戦隊員ではないのだろう。

「手を上げろ!」

 殺気立った部下を抑えながら僕は警告をした。

 こういう場合、静止する士官が居ないと虐殺や暴行が発生するので、後々、問題に発展する場合が多い。

(僕が居てよかったな、感謝しろよ)

 この中で一番上位と思われる男性が答えた。

「女性には手出しをしないで欲しい」

 当然だな。

「貴官の官姓名を述べられよ」

「自由惑星同盟軍中将、シンクレア・セレブレッゼ。役職は基地司令だ」

 基地司令という言葉に驚いた。そして自分よりも部下の女性たちの安全を保障するよう願い出てきた姿勢に敵ながら感心した。

 オフレッサー上級大将もその辺りが気に入ったようだ。

「よろしい、セレブレッゼ中将。卿達の身柄は装甲擲弾兵総監の俺が補償しよう」

 相手がオフレッサー上級大将と知って、セレブレッゼ中将は驚いていた。それは当然だ。上級大将の階級を持つ人間が前線で戦っていたのだから。

 そこでの抵抗はなく全員を武装解除し捕虜にした。

 ヴァンフリート4=2での地上戦は敵の司令官を捕虜にした所をピークに終了する。何故なら、同盟軍艦隊の接近を知ったグリンスメルスハウゼン艦隊司令部から攻撃中止および撤退の指示がだされたからだ。

 その後も、艦隊戦はしばらく続いたようで、最終的には帝国軍が第6、第10艦隊を撃破しヴァンフリート4=2の地上戦でも勝利した戦果に満足して引き揚げて行き、同盟軍も敵を撃退したことで納得しヴァンフリート星系の戦いは終わった。「今回は世話になったな」と、オフレッサー上級大将は満足そうに帰っていった。

 

 

 

 イゼルローン要塞を経て僕たちがオーディンに帰還したのは5月19日のことだった。再編成や転出や部内移動で人の出入りが激しくなった。中隊長フォン・コルプト中尉がブラウンシュバイク公の私兵である領地の警備隊に転出することになり、ルパートにも中尉への昇任と移動の辞令が出た。

(駆逐艦「ミステル」艦長に任ず……だと?)

 中隊の人事担当に「船の動かし方なんてわかりませんよ!」と抗議をしたが、「異例のことだが軍務省から通達があった。諦めていってくれ」と言われた。普通は移動の内示が事前にあるが、急すぎる。

 軍務省の知り合いに調べてもらうとミューゼル准将の強い要望があったと言う。

(えっ、どう言う事だ?)

 地に足を着けての戦闘なら自身もあるが、駆逐艦の指揮など未知の体験だ。

「何かやったんじゃないか?」

「と言いますと」

 上に目を付けられた下っ端の人事異動では珍しい事でもないらしい。

「諦めるんだな」

 同情の眼差しでそう締め括られた。

 結局、上の指示を覆せるわけもなくラインハルトの麾下に移動となった。

 数日後、旗艦「ブリュンヒルト」に着任の申告に行った。他にも数十人の艦長職に任ぜられた男達がいて会議室に通された。前回の戦闘での補充艦艇を指揮する男達だ。

 隣に居た者に話しかけてみるが、操艦の素人は自分だけだと気付かされた。

(樹を隠すには森の中か。良く考えている)

 多数居る人事異動での着任者に混ざり、ルパートの移動命令も目立つ物ではなかった。だからこそ、そこに隠された裏の意味を考えてしまう。

 本来は一斉に纏めて着任の挨拶をするのが通常だが、ラインハルトは麾下に加わる人物を面談して見極める習慣があった。

 そして僕の番が来て呼び出される。

 負傷も回復したようでラインハルトの顔色は良かった。キルヒアイスが複雑な表情をしている。

「ルパート・ケッセルリンク中尉は駆逐艦『ミステル』艦長に任じられました」

 敬礼し申告する僕をラインハルトは答礼しながら、何だかいたぶる様な表情を浮かべていた。

 その表情を見て、お前が上に余計な事を言わなければと恨めしく思う。

「ケッセルリンク中尉は、操艦の方は経験があるのか」

 楽しい玩具を与えられたような口調で言われた。

「宇宙ヨットの経験しかありません」

 士官学校でかじった程度だ。

 その時、僕は見逃さなかった。ラインハルトの口元に満足そうな笑みが浮かんでいた。

 その瞬間全てを理解した。もしかして、と思っていた事を確信した。

(金髪の小僧。やはりあの時の仕返しのつもりか。なんて恐ろしい奴だ)

 今はラインハルトの手のひらで踊る事を覚悟した。しかし簡単に死ぬ心算はない。

 インドシナでも黄色人種と言うだけで「グーク」と舐められた。その時の上官達を思い出す。

 正直、殺意すら沸いた。

(背中に気をつけろよ小僧)

 

 

 

 ラインハルトに対するキルヒアイスの献身的忠誠心は、幼い頃からの刷り込みの様な物だがその洗脳効果は強く、彼に対して害意を持つ者には敏感に反応した。

 キルヒアイスは、ルパートの瞳に今までと異なり剣呑な物が含まれており、ラインハルトが新たに敵を増やした事に気付き眉をひそめた。

(ラインハルト様も酷な事をなさる)

 ルパートに対して個人的恨みは無い。前回の負傷は自分達の自業自得だ。

 今回の移動も、諌めはしたが聞いてもらえなかった。申し訳ないという思いがある。

(だが、ラインハルト様の障害になるなら排除するだけだ)

 退室するルパートの背中を見詰めながら決意を再確認した。

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