インフィニット・ストラトス~紡いだ想い、再び~   作:サウス零

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今回はあのマスコットキャラの登場…
本来の姿(使い方)はそちらを参照してください…


EP10 戦慄・黒き雨の超者

Main view

 

「ええと、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握していないからだよ」

「そ、そうなのか? 一応わかっているつもりだったんだが……」

時は数日後の土曜日。

学園の授業は午前中のみで、午後は完全な自由時間。

それと、土曜日はアリーナが全開放になっているので、ほとんどの生徒が実習に使っている。

当然の如く、俺達も参加している。

今は途中参加のシャルルが一夏に戦闘のレクチャーをしていた。

シャルルの言葉に一夏はしっかり聞き、頷いた。

 

何せ彼の説明はわかりやすいのだ。端から見ている俺でもわかりやすい。

『こう、ずばーっとやってから、がきんっ!どかんっ!という感じだ』

『なんとなくわかるでしょ? 感覚よ感覚。……はあ? なんでわかんないのよバカ』

『防御の時は右半身を斜め上前方へ五度傾けて、回避の時は後方二十度反転ですわ』

『あの……率直に言う――全然わからん!!』

シャルルが来るまでに教えた自称コーチ達との会話、一人に対して、三人連続の発言。

三人が三人とも教え方がバラバラなので行き詰まっていたと聞いたがこれはあんまりだ。

シャルルの参戦は一夏にとって救い主だろう……その証拠に俺の前には自称一夏の専属コーチ三人が愚痴っていた。

「ふん。私のアドバイスをちゃんと聞かないからだ」

「聞こうにも擬音語だらけの内容じゃわかるわけないだろ……」

 

「あんなにわかりやすく教えてやったのに、なによ」

「具体的なやり方詳しく述べないのはアドバイスとは言いません」

 

「わたくしの理路整然とした説明の何が不満だというのかしら」

「だからと言って、実戦でいちいち数値を気にしてたらきりがないから……『ガコンッ!!!』あいたっ!!!」

ぐおっ!

 

顔面にしゃもじが!!

 

「綾月、お前は……」

「一体、どっちの!!」

「味方なのですか!?」

投げたのは鈴……どこから持ってきやがったそのしゃもじ?

それから、一夏の射撃武器の練習をしている。

白式には射撃武器は無いのでシャルルのIS『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』の装備、五五口径アサルトライフル『ヴェント』借りていた。

所有者が対象者に使用許諾アンロックすれば他の装備が使えるのだ。

 

「ねえ、ちょっとアレ……」

「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いたけど……」

急にアリーナ内がざわめく、注目の的なのは黒い機体だった。

「…………」

そこにいたのはドイツ代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒ。

転校初日以来、クラスの誰にもつるまず会話さえもかわさない孤高の女子。

無論、俺も話していない。

初日にイッチーに平手打ちしようと止めて、睨みあっただけ――

「おい」

 

ISの開放回線オープン・チャネルで声が飛ぶ。相手は一夏のようだ。

「……なんだよ」

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」

ブハッ!

いきなり何言い出すのよ、この子。 どこぞのバトルマニア侍かよ!?

「断る。理由がない」

「貴様になくても私にはある」

妙だな、いつになく一夏の歯切れが悪い、あの軍人さんと何かあったのか?

「今月末に学年別トーナメントがある。 そこで戦う事になるだろ?」

「ふん。ならば――戦わざるを得ないようにしてやる!」

言う否や、ラウラは漆黒のISを戦闘状態へとシフトさせる。その刹那、左肩に装備された大型の実弾砲が火を噴いた。

「!」

ゴカキンッ!

「こんな密集空間でいきなり戦闘を始めようとするなんて、ドイツの人はずいぶんと沸点が低いんだね?」

「貴様……」

横合いから割り込んできたシャルルがシールドを展開して実弾を弾く、それと同時に右腕にアサルトカノンを装備してして銃口をラウラに向ける。

 

「フランスの第二世代ごときで私の前にたちふさがるとはな」

「未だ量産化の目処が立たないドイツの第三世代よりは動けるだろうからね」

シャルルの割り込みには驚いたが、それ以上に装備の呼び出しの早さが凄かった。

ISの装備を量子構成を時間のロスを起こすことなく、しかも照準を合わせも同時にだ……。

なるほど、この方法があるから二十個の武器搭載を可能にしたのか。

互いに涼しい顔で睨み合いが続く中、俺は……。

「おーい!軍人さんよ~!そこに突っ立ていると……」

 

「ん……?」

「ぶつかるぜ?」

すると、ラウラの頭上に影が入り……

「なっ!!」

 

ヒュ~・・・・・

ガンっ!!!

彼女の頭を何かが落ちてきた。

その反動でラウラはバランスを崩し、尻餅をつく形で転げたのだ。

「くっ、今のは?」

『そこの生徒! 何をやっている! 学年とクラス、出席番号を言え!』

アリーナにあるスピーカーから声が響いた。どうやら騒ぎに気付いた担当の教師だろう。

「……ふん。今日は引こう」

横やりが二度も入ったので興が削がれたのか、ラウラはそのまま戦闘態勢を解除してアリーナを立ち去る。その向こうではおそらくは教師がカンカンになって待っているだろうが彼女の性格からして無視するだろう。

心なしか顔がわずかに赤いのが見えた。

 

それはそうだろうな、落ちてきたのは金タライなのだから…

本当なら5羽で絨毯金タライをしたかったが、範囲が広すぎる為に断念。

 

「ショウ、どうだった?」

後ろからロボまるが声をかけてくる。

ラウラが来た時に咄嗟にピットの入口の陰に隠れてもらい、メタモルアームを使ってもらったのだ。

 

 

何の5羽だって?

 

 

 

 

《ちゅんぴ》だよ…

 

 

 

 

 

 

「一夏、大丈夫?」

「あ、ああ。助かったよ」

 

つい数秒前までラウラと対峙していた鋭い眼差しはもうない。

普段の人懐っこい顔となったシャルルが一夏の顔をのぞき込んでいた。

時間もアリーナの閉館時間になったので、この場は解散となり俺達は更衣室に向かおうとするが……

「えっと……じゃあ、二人とも先に着替えて戻ってて」

どうも、妙であったが、いつもこうなのだ。

シャルルはIS実習後の着替えを一緒にする事が一度なかった。

実習前の着替えも転校初日以来、あの一回しかない。

以後は前もってISスーツを着ていたり、俺達が来るまでに着替え終わっていた。

一度、一夏が説得していたが、かたくなに断られていた。

「行くぞ、イッチー」

「あ、ああっ。じゃあ先行ってるぞ」

「あ、うん」

一夏はシャルルにそう言い残し、俺は何も言わずにゲートから更衣室の道を進む。

「はー、風呂に入りてえ……」

無言でスーツを脱ぐ俺、一夏はベンチに腰掛けそう呟きながら着替えていた。

「なぁ、一つ聞いていいか?」

「なんだ?」

「最近、お前シャルルとしゃべってないだろ。 何でだ?」

そう、俺はラウラの転校初日あれからを境にシャルルとは挨拶以外にまともな会話を交わしてない。

明確的な理由はあるわけじゃないが、シャルルには何処か違和感を感じていた。

「なんでて言われてもな、基本的にお前らは一緒に行動しているだろ? それに俺は機体の調整とかでいつも別行動しているだけでお前の気のせいだ」

「そうなのか?」

「そうなんだよ、イッチーの考えすぎだ」

「そうとは思えないような……よし、着替え終わり」

制服に着替えた一夏が立ち上がる。

 

男の着替えは早い、俺はとっくに終了している。

「あのー、織斑君に綾月君とデュノア君はいますか?」

ドア越しに声が聞こえた。声の主は山田先生である。

着替えは済んでいる為、入ってもらうとなにやらいい知らせがあるとの事。

内容は今月下旬から大浴場の使用日がもうけられたとの事、俺はシャワーだけで十分だったが、さっきも風呂に入りたいとぼやいていたから、いいタイミングである。イッチーのやつ感激のあまり山田先生の手をとって感謝の言葉を述べていたが当の山田先生はイッチーの行動に固まっていた。

こういう時に録な事が起きかねない……

 

「……一夏? 何しているの?」

トゲを感じそうな声に一夏は驚いたが、相手はシャルルであった。

「まだ更衣室にいたんだ。それで、先生の手を握って何してるの?」

「あ、いや。なんでもない」

ぱっと握っていた手を離す一夏。

山田先生もシャルルに言われて急に恥ずかしくなったのだろう、離れると同時に背中を向けている。

「一夏、先に戻ってって言ったよね」

「お、おう。すまん」

やっぱりこの違和感……何かが違う。

「喜べシャルル。今月下旬から大浴場が使えるらしいぞ!」

「そう」

やや興奮気味な一夏を横目にシャルルはタオルで頭を拭き始める。

「ああ、そういえば織斑君にはもう一件用事があるんです。ちょっと書いて欲しい書類があるんで、職員室まで来てもらえませんか? 白式の正式な登録に関する書類なのでちょっと枚数が多いですけど」

「わかりました――じゃあシャルル、ちょっと長くなりそうだから今日は先にシャワーを使っててくれよ」

「うん。わかった」

「じゃ山田先生、行きましょうか」

 

それから、俺は一夏と山田先生が部屋から出ていく事にした。

 

 

部屋に戻った俺はずっと感じていた違和感を考える。

シャルルは本当に男なのだろうか?

屈託のないあの微笑みに呆気に取られる事もあった。

が、先の一夏と山田先生の姿を見て、現れた表情。

俺の勘がある結論を導く……

急いで俺は一夏の部屋に向かいドアをノックすると、呆然とした一夏が出てくる。

「一夏、ちょっと話が……って、どうした?」

「……」

問いかけても、呆然としたままの一夏に俺は先の結論を言ってみた。

「シャルルが女だったのか?」

「なっ――!?」

まさか、こんなにも早く結論に辿りつくなんてな……

 

 

 

しばらくして、シャルルが出てくる。

改めて見るその姿は女子そのものであった。

最初は俺の姿があったことに驚いていたが、そのままベッドに腰掛ける。

しばらく静寂を見守っていたが、一夏がお茶を作り、シャルルに渡すがお茶をこぼしてしまい、慌てて冷やす一夏。

それを心配してシャルルが気を遣うがラヴコメ展開になっていた。

「一夏のえっち……」

「なあっ!?」

「やれやれ……」

 

ようやく話は本題に進み、シャルルは話始める。

男のフリをしていた理由はなんと実家のしかも社長でもある父親からの命令。

いくら親子だからって無茶苦茶だ。

しかし、シャルルは……

「僕はね、愛人の子なんだよ」

俺も一夏も絶句する。

話の展開が一気に重くなった。

二年前に母親が亡くなり、父親に引き取られたが検査をしていくなか、IS適応が高い為、密かにテストパイロットをすることになった。

だがそれでは男装の理由が分からない。

ここからが本題、デュノア社が経営危機に陥ったのだ。

第三世代型の開発が他の国より圧倒的遅れを取ったために機体の形がままならぬ為、政府からIS開発許可が剥奪される流れになっていた。

なるほど……だいたい状況が読めてきた。

その後は、ドタバタな流れとなった。

ここにいろと一夏の懸命な説得にシャルルは笑顔を浮かばせいい雰囲気になる。

が、セシリアの来訪に慌てるが辛うじて誤魔化し風邪の看病のフリをして一夏を追い出すかのように食堂に行かせる。

「そ、それじゃ、シャルルの事頼んだぜ」

「おう、任せとけ」

「デュノアさん、お大事に。さあ一夏さん、参りましょう」

一夏はセシリアと出ていき、ほっとため息をついた俺はシャルルと視線がぶつかる。

 

一夏とのやりとりをただ傍観していたのでどう話そうか迷っている感じだ。

だから、俺は先に答える。

「俺から聞きたい内容は一夏が全て聞いた。今日の事は心の奥に閉まっておく、一夏がさっきも言ったが決めるは君だ。

 

君の人生は君のものだからね」

「……うん。」

「それにシャルルがいなくなられたら、一夏の特訓がちゃんと進まない。三人とも独占欲が凄いからな。今の一夏にはシャルルの存在が必要だ」

「あ、あはは……」

「それに、俺自身が三年いられる保証は無いからな」

「えっ……何?」

「いや、これからもダチとしてよろしく頼んだって言ったんだ。」

「うん、こちらこそよろしくね、将」

「じゃあ、俺は戻るからまた明日な」

「うん、またね」

友情の握手を交わした俺はそのまま部屋を後にした……

 

 

 

 

 

「「あ」」

月曜の放課後、場所は第三アリーナ。人物は鈴とセシリアの二人。

「奇遇ね。アタシ達はこれから月末の学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど」

「奇遇ですわね。わたくし達も全く同じですわ」

「そうですわよね、将さん」

「そうよね、百合」

それぞれのパートナーに言われる俺と百合。

因みにセシリアに俺。鈴は百合。

いきなり拉致紛いの如く、ここに連れて来られてしまったのだ。

「ピットから百合の使うリヴァイヴ取りに行くから、先に始めてくれ」

「わかったわ、さっさとしなさいよ」

鈴ちゃんに急かされつつもピットへとのんびり向かう。

ハンガーに到着すると、ラファール・リヴァイヴの前に立つ、そのそばにロボまるが待っていてくれた。

「俺達もだいぶISに馴染んできたな……」

「そうだね。寧さんから、アクアのソフトも作ってもらえたからIS戦での戦法も増えてきたよ」

「しっかし、調べれば調べるほどロボまるって不思議よね~」

スペックリストが表示されてロボまるの性能にびっくりする百合。

「ISコアが俺のフェイタルアーマーを学習しているのかアーマーがISに適応させているのか、俺にも詳細はわからない」

そう言いながら俺はアーマー装着、そして、ロボマルス・Rを起動させた。

ゲートを開いてアリーナの中に入るとそこは壮絶な光景が広がっていた。

目の前には倒れていた鈴とセシリア。

白式を展開した一夏がラウラのシュヴァルツェア・レーゲンと戦っていた。

「百合。織斑先生を呼んで来てくれ」

 

「オーケー…将にいもやり過ぎないでね?」

 

「善処はする…」

 

職員室へ向かう百合を見送った後、俺はそっと右腕を構えた。

「ロボまる、フォース&フォース…セット」

 

『了解、ソフトセレクト。フォース&フォース……装備完了!』

 

ブースターを噴かせて、一気にラウラのいる場所に突っ込んだ…

 

 

「やはり敵ではないな。この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、貴様も有象無象の一つし「それはどうかな?」――!?」

勝ち誇った顔で油断していたラウラの右後方から俺は飛び込み構えた拳に光が宿る。

「将!!」

 

気合い一閃、竜神掌をラウラの腹部に叩き込む。

それにより、ラウラは明後日の方向へ弾き飛ばした。

「全く、今度は安全無視の暴走か…何やってるのかねぇ~?」

「き、貴様は――」

「そんなに戦いたいなら戦ってやる。かかってこい!」

 

黒い雨と赤き鋼鉄――

戦いの火蓋が切って降ろされる…

 

Next…

 




ついに激突する将とラウラ

だが、千冬の介入が間に合い。

事態の収拾がつくことになる

そして、開かれる学年別トーナメントの開催

ルールはタッグトーナメントと変更され、出場にはパートナーを探す必要となった。

しかも、優勝者には見知らぬ副賞があるという…

果たして、ラウラとの決着はつくのだろうか?

次回「EP11 混乱・トーナメントルール変更」


「お~の~れ~い~ち~か~!」

「ひっ!出た――!!」
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