インフィニット・ストラトス~紡いだ想い、再び~ 作:サウス零
ここからはもう終盤ストーリーとなります
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臨海学校当日、俺は海中にいた…
正確には、エアバイク型ビークルに変形した『バハムート・チェイサー』に乗り込んでの潜行中である。
「だから、何度も言うように俺が寝坊しただけなんです。綾月及びロボまるは現地へ向かいますので、よろしく!」
《現地に向かうって、本気なんですか!?》
「本気ですよ、織斑先生にはちょっと遅れるって報告しておいてくれればいいです。では!!」
《綾月くん。そんな勝手なこと許されると!!……》
電話通信を切って操縦に戻る。連絡相手は山田先生だ。
うん、さすがの山田先生でも怒るだろうな。『遅刻宣言』『別行動』
織斑先生にも話が届くはずだから、行ったら説教が待ってるだけだな……
だがあえて、こんな行動をした理由はある。
現在、俺の部屋とされている生徒寮の一室のドアはゲートシステムを接続することで『アトリエ』に入ることができる。
これにより、接続先を変えれば空間を跳躍していろんな場所に出る事が出来る。
だが、それを施すには下準備が必要である。
今回の場合は臨海学校の宿泊先である『花月荘』に到着した俺は女将さんに使われていない部屋があるかどうか聞いてみた。
最初はどうしてかと疑問に思われたがIS学園の事情を知っている女将さんに男子操縦者の保護の為と答えたら、納得してもらい案内してもらった。
半分騙す様な事をしてしまうが半分は間違ってはいない。
案内された場所は昔から使われていた家屋を倉庫に改修して使っていたのだが、今は全く使う機会がないとの事。
早速、ゲートのプログラムをドアに打ち込む。
これで、アトリエを通して学園と花月荘を往復が簡単にできるようになった。
時間を確認すると10時30分前、臨海学校の予定ではこの日は自由時間。
この日は遊んで疲れを癒し、二日目から課外訓練本番の予定である。
ふと、携帯の着信が鳴る。番号は織斑千冬と表示されていた。
「はい、綾月……」
《貴様、今何処にいる?》
大変ご立腹な声で問いただしてくる織斑先生
「何処って…何処でしょうね?」
《茶番に付き合う気はない、学園の寮にいるとは言わせんぞ》
どうやら、寮の部屋に乗り込んだようだ。
あの光景を見てどう思ったのやら…
「確かにいませんよ……何せ、もう」
電話しながら歩くその先には織斑先生と山田先生。
そして、ようやく到着したバスがあり生徒達が下車していた。
「ここにいるんですから……」
「綾月君!?」
山田先生が驚きの声を上げる。どうやら、遅れて出発した俺が追い越したようだ。
あちらはバスでの陸路だから渋滞に巻き込まれたかそんな所だろう。
「この場合、欠席扱いになるんでしょうかね?」
「……好きにしろ」
そう言い残し、旅館の方へと向かう織斑先生であった。
その後、一夏達一行と合流し、文句を受ける事になるが…
「俺の事より、考える事があるんじゃないのか?」
そう言って女性陣を黙らせた。
そして、海水浴一式を入れたナップサック片手に更衣室がある別館を目指していた。
途中、百合と合流して向かっていると
「のわっ!?」
何故か一夏がひっくり返って転がっている。
近くにはセシィも茫然と一夏を見ていた。
キィィィィィィィン……。
!?
「百合!!」
「ガッテン!!」ヘイヘイピッチャー、ビビッテル!!(ミギウチ)
「行くぜっ!!」オラオラバッター、オビエテル!!(ヒダリウチ)
何かが落ちてくる音に俺と百合が唐突に取り出した木製バット(+釘付き)を構えた。
カッキーン!!!
飛び込んできた謎の飛行物体を同時に振り込んで打ち上げる。
ポチャ…
やがて、飛行体は海に落ちて行った……マルッ!
「ミッションコンプリート!」
「これで地球の平和は守られた!!」
「「イエッス!!」」
パンッとハイタッチを決める俺と百合、それを見ていた一夏とセシィは…
「「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
うん、なんかのフラグがブレイク成功したと感じた気がする…
それからそれから……
妙なお邪魔が入ったが、水着に着替えた俺は砂浜に立つ。
場所は生徒たちがいる浜辺とはかなり離れた砂浜にいる。
「海……それは乙女の心を弾けさせる魅力な場所。それは誰もがパッションになれる場所でもある」
「何を言い出すの…?」
思わず独り言を呟いていると後ろからツッコミの声が入ってくる。
「お、来たな…」
ロボまるに連れてきてもらった寧が隣に立つ。
寧の水着は以前の世界で禊ぎ用に使用した水着そのままである。
その時はロボットのモニターから見ていたが、いざこう近くで見ると意識してしまうのが男のサガだな…
「ん? どうかしたの?」
「いや、その水着姿が懐かしいなって感じてさ」
「そ、そうかな……でも、懐かしいってはちょっとオーバーじゃない?」
「ははは、まあ何度見ても、寧の水着姿は扇情だなって事で~」
「ふえっ!!!…………もう!そういうのを自然に言うの反則だよ~!」
顔を真っ赤に染めて、駄々っ子パンチをしてくる寧。
ホント、癒されてるって感じるな~
「はいはい、二人ともイチャイチャする前に浮き輪膨らませて海に入るわよ」
その隣で百合とロボまるが持ってきた浮き輪を手押し式の空気ポンプで膨らませていた。
はいはい、悪かったからその「リア充め、いねい!!!」的な顔はやめなさい……
それから俺達は俺達だけの海水浴を楽しんだ。
集合時間が近くになったので、先に旅館に向かい、アトリエに戻った。
寧とロボまるをアトリエに入れた後はアーマーを使って浜辺に向かい、さりげなく集合場所に入ると
生徒達の大半が「あれ、いつの間に綾月君いたの?」と言うようなリアクションをしていた。
どうやら、この世界での維持が限界を近いな……
Other view
時は夕焼けも沈み、夜の満月が光り輝く頃。
夕食を済ませ、それぞれの部屋などで各々がくつろぐ中、『教員室』と札の付いた織斑姉弟が寝泊まりする一室にて
箒、鈴音、セシリア、シャルロット、ラウラがその場にいた。
千冬は一夏を風呂に入れと促して、その場を外し、彼女ら5人に一夏に対する気持ちを聞いていた。
『く、くれるんですか!?』
「やるかバカ」
『えぇ~っ!!?』
などとビール片手に話を盛り上げていく中、次の話題が出てきた。
「なら、次は綾月だ。あいつはどう思う?」
聞かれた女子5人はふと互いを見る。
「正直、よくわかりません。彼とは会話する機会が少ないので…」
物悲しげに答える箒、彼女の場合は何かと対立した内容が多いからだ。
「料理の腕はピカイチよね。前に食べたゴマ団子なかなかいけてたし」
一夏との再会早々に起きたケンカでの出来事を思い出す鈴音。
もっとも、これに対して鈴音を諭したのは将ではないが…
「世界のお菓子を網羅しているって聞いたことあるよ僕。普段はのんびり屋だけど、料理してる時はかっこいいかな~って」
「確かにうっかりさんな時がありますが、時折差し入れを持ってきてくれたりと結構世話焼きなお方ですわね」
「先週、私も試食を頼まれた事がある…確か『レープグーヘン』だったな。あれは美味だった」
「今度フランスのがあったら、教えてもらおうかな?」
「次は『フランスの』と言っていた。おそらくお前に声がかかるだろう」
「そうなんだ、ちょっと楽しみ」
セシリアとシャルロットとラウラはつい最近有った交流のひと時を語る。
「なら、ISのパイロットとしてはどうだ?」
「パイロットとしては未知数です…綾月とはあの時以来、『自主訓練』はおろか『模擬戦』さえもしていません」
次なる質問にはラウラが代表で答える。全員が頷き千冬を見ている。
「あの織斑先生……急に将さんの事を聞いてどうかしたのですか?」
不思議に思い、セシリアが思い切って質問する。自分の弟の話題をするときに対してかなり複雑な表情をしていたからだ。
「……出発の時間、綾月は来ていなかっただろ?」
「はい、そうですわね」
「あいつの部屋に乗り込んで叩き起こそうとしたんだが……いなかった」
「いなかった?」
「ああ……それどころか……変わっていなかった」
千冬の言葉に一同は混乱した。なぜ彼女が複雑な表情を浮かばせていたのかを…
「……どういう意味ですの?」
「入った部屋は整理されたままの状態だった…」
「つまり、IS学園に『綾月将』という『生徒』は存在していないんだ」
Next…
少しずつ消えていく己の存在。
目的を果たせぬままの中、一発逆転のカードが届く。
そして、天災の接触と暴走ISの出現。
この世界の物語は終焉の時を迎える…
次回「EP16 疑惑・解放されしモノ」
「俺は降りるぜ、そんな作戦に出る義務はない」