インフィニット・ストラトス~紡いだ想い、再び~   作:サウス零

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ここから、戦士の挑戦が始まるのだった…


EP3 対抗・女尊男卑

Main view

 

「であるからして、ISの基本的な運用は現時点で―――」

 

時は二時間目、教科書片手に山田先生が内容を音読していく。

 

しかし、俺は全くついて行けてない。

 

朝早くもらった目の前にある教科書五冊。一番上にある本のページをめくるが不可視な語源ばかりならんでおり、目が回りそうだった。

 

ともかく、前に書かれた文章をひたすらノートに書き込もう…考えるのは後にする…

 

「織斑くん、何かわからないところがありますか?」

 

一夏が山田先生に質問でもしたのだろうか、声をかけられる。

 

「わからないところがあったら訊いてくださいね。何せ私は先生ですから」

 

えっへんとでも言いたそうに胸を張る先生、よっぽど周りには先生と見られなかったのだろうかな……?

 

「先生!」

「はい、織斑くん!」

 

おっ、元気いいね。何の質問をするんだ?

 

「ほとんど全部わかりません」

 

「え?…全部、ですか……?」

 

まさかの宣言に山田先生も目が点になっている。

 

「え、えっと……織斑くん以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」

 

挙手を促す山田先生だが、誰も手を挙げない。

 

うわっ、前から変なプレッシャーが……もしかなくとも一夏の『お前もそうだよな?』的な心の叫びが聞こえた。

 

くぅ…仕方ない、この現実は俺も切り抜ける事は出来ないからな…

 

「山田先生、俺もです!」

 

「あ、綾月君もですね…?」

 

「はい、ノートに書き込むのが精一杯ですので…」

 

スッと挙手をして立ち上がり山田先生に言うと、前からのプレッシャーが穏やかな感覚に変わった。

 

はいはい、俺も同志だから安心しとけ…全く。

 

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

そこへ教室の端に控えた千冬先生が一夏に問うと。

 

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

パアンっ!!

 

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者」

 

うわ…出席簿が頭に…直撃だぞあれは? ええっと、教本、教本っと…

 

おっ、あったあった。これは確かに電話帳だよこれ……おや?これはこれは…

 

「綾月、お前はどうなんだ?」

 

「読みましたよ……はい、真っ白!」(ドーン!)

 

先生に教本をページめくって見せる。

 

これは見事なくらい真っ白である。まさかの印刷ミスだとはたまげた。

 

バシッ!!

 

「おかしいのなら、なぜ報告しない!?」

 

「ぐぐぐ…今見たばっかりで報告もないでしょうが!? 第一この教本含めて、朝渡したの織斑先生でしょうが!!

 そのまま教室に来てすぐに授業、そんな時間あ・り・ま・す・かっ!?」

 

「う…」

 

俺にも出席簿を叩き込もうとするが印刷ミスの教本を盾に受け止めてにらみ合うが今朝の状況を思い出してくれたか直ぐに体勢を解く。

 

ホントに無責任だ…渡してさっさと教室に行けと言って確かめてさせてもくれない。

 

なんだよ、このスットコ姉ちゃんは…?

 

「あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな」

 

「い、いや、一週間であの分厚さはちょっと…」

 

そうだそうだ。ほかの皆は一か月以上はあるのに全くの初心者マークの俺達に出来ると思ってるのか?

 

「やれと言っている」

 

「「…はい。やります」」

 

ギロッと睨む俺達への視線はもう鬼軍曹以上におっかない。もはや教師じゃないぞこれ…

 

確かにISは過去の兵器に対して全ての要素を凌ぐ性能を持っている。

 

そう言った『兵器』を正しく知らなければ事故になるのは必須だろう…きちんと理解し守らなければいけない規則もあるだろう

 

内容は正論だが、俺は彼女の言い方に対して良い印象が感じられない。

 

そして、次の言葉が俺の心に残る彼女に対しての印象を決定付けた。

 

「……貴様、『自分は望んでここにいるわけではない』と思っているな?」

 

一夏がギクリといった感じで目を見開く。どうやら考えていることが見抜かれたようだ。

 

「望む望まざるにかかわらず、人は集団の中で生きていくしかならない。それすら放棄するなら、まず人であることを辞めるのだな」

 

よし、わかった…

 

「じゃあ人間辞めたら、学園辞めれるんですか? つまり自由に生きてもいいってことですよね?」

 

どうやら、俺もまだ人間の要素を残しているようだ。

 

「貴様、何が言いたい…?」

 

「言葉通りですよ。もし、本当に人間を辞める奴がいたらどうします?」

 

「どうもしない、人は人であることを辞める事など不可能だ。」

 

「へぇー案外先生もロマンチストな人ですな~?」

 

「いい加減にしろ…さもなければ」

 

「はいはい、失礼しましたっと…」

 

それだけを言い残して、俺は席に座りノートの書き込みを続けた。

 

内容は正論だがあんたのやり方が気に食わねえよ……織斑千冬先生。

 

 

 

 

そして休み時間、俺はまたもやうずくまっている一夏と話していた。

結局、織斑先生の天誅で教本再発行後、一週間で全て覚えろとの命令は決定事項になった……。

あぁ、イッチー哀れナリ……。

あ、イッチーとは俺が付けた心のアダ名だ。何処かで被っているが気にしないように。

「まぁ、人間その気になったら、何とかなるって」

「ったく、他人事のように言わないでくれよ…将だって同じだろ?」

 

「……そうだな、ここで愚痴っても仕方ない。二人で何とかやろうぜ一夏」

 

「おお、困った時は助け合いが一番だ」

 

「ちょっと、よろしくて?」

「へ?」

「ほ?」

突然に声に俺と一夏は振り向く。

 

そこには地毛が金髪の鮮やかな女子生徒だ。

 

透き通ったブルーの瞳が、ややつり上がった風貌がいかにもお嬢様という感じ。

 

ブルーのフリル付きのカチューシャがちょっとチャーミングと思ったのは内緒だ。

「訊いています?お返事は?」

 

「あ、ああ。訊いているけど……どういう用件だ?」

 

「うんうん」

一夏の返答に同意する意味で俺は頷いた。

 

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけるだけで光栄なのですから、

それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」

「悪いな。俺、君が「ああぁ、確か君は!!」」

一夏の一言を遮る俺。

だって面倒事はごめんだからね。

「えぇっと、イギリス代表候補生の……。セシリア…」

咄嗟に出した彼女のキーワードに本人からの視線が突き刺さる。

「セシリア…セシリア……セシリア………」

「……」

ヤバい、名字が出てこない。

 

「コルセットさん!!!」

 

ズゴッ!!

 

 

セシリアさんがずっこける。

 

ヤベッ!!!

やっちゃった?

 

ワザとじゃないんだぁぁ!!

 

 

「違います!!オルコットですわ、

オ・ル・コッ・ト!!因みにイギリスにはステイズと言うものがありますが、

全くもって違いますわよ!!」

思わずやっちゃったけど、しっかりとツッコミを入れてくれた。しかもミニ解説付きでありがとう……。

「そんなに間違うか?」

「じゃあコルセット十回言ってみそ」

「 コルセット、コルセット、コルセット、コルセット、コルセット、コルセット、コルセット、コルセット、コルセット、コルセット」

「はいっ、この人の名字は?」

「コルセット! ……。あっ……確かに」

「だろう?」

 

「そこ、納得しない!しかもそれ誘導ですわよ!誘導!!」

「と、まあコルセットはおいといて、こりゃまた未来の大物さんがクラスメイトにいたもんだ……。HAHAHAHAー♪」

あなたが最初に言い出したのですわと怒る人がいるけど知りません。

「なあ、将」

「ん?」

「代表候補生って、何?」

 

ズゴッ!!

 

一夏の質問にまたもや転ける音、俺とオルコット嬢以外にクラスの皆もズッコケた。

 

「あ、あ、あ……」

「『あ』?」

「『いうえおさむく~ん』?」

「誰だよそれ?」

「誰だろ?」

「あなた、本気でおっしゃっていますの?」

 

もの凄い剣幕だ。

マンガなら怒りマークが三つはあるな…。

 

「おう、知らん」

「…………」

何とも素直なイッチー、わかるけど…ちょっとなあ…。

とまあ、一夏はオルコット嬢から説明されるが高貴な態度のまま。

でもって入試試験の話になり、教官を倒したかないかで揉めている。

倒したのは自分だけと豪語していたが一夏があっさりと俺も倒したとの事

「わ、わたくしだけと聞きましたが?」

「女子ではってオチじゃないのか?」

ピシッと氷にヒビが走ったような音が聞こえた。

「つ、つまり、わたくしだけではないと…?」

「いや、知らないけど」

「あなた!あなたも教官を倒したって言うの!?」

「うん、まあ。たぶん……将も、だよな?」

ここで俺に振るのか、イッチーよ!

「なんですって!あなたまで、教官を!?」

「まあな、しかも確認の為に再試験。しかも1対12で戦う事になったな~ さらにお前の姉ちゃんとガチバトルもしたぜ」

「千冬姉と!? マジかよ!?」

 

うん、これあの時の逃走戦の事。

実力ならこれでもう示したと織斑先生がこじつけた内容である。

教員用のIS「12機」壊した弁償代わりにいろいろ雑用をする羽目になった…

 

「な、な、な…?たぶんに1対12ってどういう意味ですか!?」

 

「えーと、落ち着けよ。な?」

 

「こ、これが落ち着いていられ――」

話に割って入るかのように授業開始のチャイムがなった。

「つ……!またあとで来ますわ!逃げないことね! そちらのメガネさんもですからね、よくって!?」

そう言って、オルコット嬢は自分の席に戻る。

その後、一夏から眼鏡の事を聞かれる

 

「なんか、雰囲気違うと思ったら、眼鏡掛けてたのか」

 

「まあな。どうよ、知的に見えるだろ?」

 

「う~ん。あんまり変わらないと思うぞ?」

 

わ~い……ひでぇ!!

それからのHR、織斑先生が教卓に立つ。クラス代表を決める事となった。

一言で言えば、クラス委員長という事らしい……。

しかも一度選ばれると、一年間は変更出来ないと……。

「はーい、織斑くんを推薦します!」

あぁ、やっぱりイッチーは犠牲となったか…

「はーい、私は綾月君がいいで~す♪」

「では候補者は織斑一夏と綾月将……他にはいないか?自薦他薦は問わないぞ」

 

そうか、そうか、綾月君も推薦ですか……って

 

「お、俺!?」

 

「なんですと――!?」

 

タイミングよく一夏と共に立ち上がってしまうと同時に視線の一斉射撃を受ける。

 

「織斑先生!」

 

「なんだ?」

 

「辞退はアリですか?」

 

「あるわけないだろ、自薦他薦問わないと言った。他薦された者に拒否権はない。選ばれた以上は覚悟しろ」

 

「い、いやでも――俺達若葉マー…」

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

バンッと机を叩いて立ち上がるオルコット嬢、止めてくれるのか?

だとすれば、助かるけど…

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!

わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

オルコット嬢が実力ならば自分がふさわしいと自薦するが、ヒートアップした彼女は日本に対して侮辱の言葉を走らせる。

「大体、文化としても後進的な国に暮らなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で……。」

はいはい、そこまで言うのであったら代表になってくださいよ、それで決まるしね。

 

カチン

あれ、何か妙な音が?

「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

 

イィィィィィッチィィィィィィィィー!!?

 

 

何対抗してるんDAYO!?

Next…




母国の侮辱に始まり、決まってしまった試合。

代表候補性であるセシリアは勝利を確信…

しかし、その運命は彼が変わることを知らないで…

次回「EP4 挑戦・蒼雫の令嬢」

「俺は『あの機体』で登録します、いいですよね?」
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