インフィニット・ストラトス~紡いだ想い、再び~ 作:サウス零
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織斑一夏
つい、言ってしまった。こう、つるっと口を滑ってしまった。
恐る恐る振り向くと
怒髪天をつくと言わんばかりのセシリアが顔を真っ赤にして怒りを示していた。
うわぁ……やってしまった……。
しかも、将。その顔はなんだよ?
どこぞの絵にいる叫んでる人みたいだぞ?
「い、イギリスにもおいしい料理はありますわ!あ、あなたねえ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
あ―、もうこうなったら仕方ない。
覆水盤は返らず。
転がりだした石は止まらない。
「決闘ですわ!」
ダンッと机を叩くセシリア。
ついでに白い手袋を投げるのか?
でもその方法はイタリアだったような…?
「ISでか?おう、いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」
「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い――いえ、奴隷にしますわよ」
「侮るなよ、真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」
「そう?何にせよちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」
流れとはいえ勝負をすることになってしまった。
しかし、男が本気で女子と力比べをするわけにはいかない、どうするか……?
「ハンデはどのくらいつける?」
「あら、早速お願いかしら?お好きなだけ付けてもよろしくてよ」
「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなーと」
と、そこまで言ってクラスからドッと爆笑が巻き起こった。
「お、織斑くん、それ本気で言っているの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
「織斑くんは、確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ。」
みんな本気で笑っている。
――しまった、そうだった。
ISの存在で今、男は圧倒的に弱い。
限られた一部の人間しか扱えないが、女子は潜在的に全員が扱える。
もし、男女差別で戦争になってしまったら、男陣営は三日と持たないだろう……
それぐらいISは強力な兵器だから……
「……じゃあ、ハンデはいい」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男子はジョークセンスがあるのね」
「……本気でそう思っているのか?」
そこへ待ったの声が……
眼鏡を外した将がセシリアを睨む。
さっきまでの、のんびりとした雰囲気が一遍にも感じない。
まるで千冬姉みたいだ……。
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確かにこの世界は女性が優遇されている。
だがそれはISを使えるからのことだ。
だからと言って俺は『男尊女卑』や『女尊男卑』がいいとは思わない。
それ相応の実力があれば男だろうが女だろうが関係無い。
「男は女に絶対勝てない……。そう言い切れるのだな、セシリア・オルコット?」
「と、当然ですわ。」
さっきの嘲笑がすっかり消えている。
こちらも退くつもりは無い。
「なら、決闘は最初に一夏と、次に俺との連戦……代表候補生なら、これぐらい楽勝だろ……?」
代表候補生を強調しての挑発、見事に彼女はかかってくれた。
「かまいませんわ、あなたみたいな無知な人の一人や二人、わたくしにはハンデにもなりませんわ。」
「わかった、山田先生。」
「は、はい?」
「俺は『あの機体』で登録します、いいですよね?」
「え、えぇ~っ!?」
山田先生が慌てて声をあげる。ここでの『あの機体』の意味を知っているのは、俺を除くと織斑先生と山田先生だけだ。
「あ、あ、綾月君。ほ、本気なんですか?」
「本気ですよ。それと量産機の標準武装は一応載せてください。」
「で、でもですね~!綾月君の機体は~」
「わかった、私から学園に登録準備させよう」
「織斑先生!?」
(あのまま、他の訓練機を貸し出して機能停止されるよりあの機体を貸し出す方が融通は利く、元々あの機体は学園のISだからな)
(ですが…)
(しかも訓練機のスペックをチューニングしても、綾月の技能には機体がついて行けないのも事実だ…)
織斑先生と山田先生が相談中の中、周りは静まりみんなが俺を見ている。
「将、お前…」
「一夏、言葉だけじゃ誰も信じない、だから……。勝ちに行くぞ」
「!……ああっ、同じIS乗り同士の戦いだ…俺達と君、条件は五分だろ?」
「これでいいな、オルコット嬢?」
「ええ、問題ありませんわ……」
「話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコットはそれぞれ用意しておくように。綾月は放課後、山田先生と手続きに行くこと。」
それから放課後。
俺は山田先生の所に向かい、機体の手続きの書類作成を手伝いをした。
「はい、これで提出すれば、登録完了です。」
「随分、あっさりしてますね。色々と書類があった気がしますけど…」
「そうなんですけど…織斑先生がある程度作っていたんです、後は綾月君がどうするかでしたので……。」
苦笑いを浮かべる山田先生に俺も苦笑いを浮かべる。
どうやら織斑先生にはお見通しだったようだ。
「ところで先生、俺の泊まる場所は出来たのですか?」
「ああぁ~!」
またもや声をあげる山田先生と一緒に教室へ戻ると、グロッキー状態の一夏がいた。
それから、山田先生に俺と一夏が学生寮に住む事を説明を受ける。
しかし、しかし、しか~し、問題はここからだった。
「それ、マジですか?」
一夏がそう問う、俺も同じ考えだ。
「は、はい……」
「いやいや、何かの間違いでしょう…?」
「ご、ごめんなさい~!」
「嘘だって言ってよ、マ~ニィ!グハッ!?」
突然の衝撃に俺は怯む、この衝撃は……。
「それ以上、山田先生を困らすな」
織斑先生から、理由を説明される。
寮の部屋は改装中であったが、まだ出来上がっていないの事。
完成は一週間後のクラス代表決定戦の日まで、相部屋ですごすしかない。
しかも浴室は共同の大浴場のみ、現状は使用不可との事……
会議に向かった先生二人を見送りした後、俺と一夏はため息つくしかなかった。
「ここか……」
一夏と別れて俺は指定された部屋のドアに立った。
受け取った鍵を差し込む。
ん?開いてるのか…?
「うおぉっ!!!」
先に入ったはずの一夏が部屋から飛び出してきた。
「おい、イッチーどうした?」
「将、実は箒が同室でタオルで木刀で!!」
「話の流れがわからんぞ、それ」
と言った瞬間…
ズドン!
一夏の顔の右横を木刀の切っ先がドアから飛び出した。
って、待てい! そのドア木製だろ? どんな木を使って作っているんだの木刀は!?
ズズズ…っと戻っていくと、今度は頭や背中と一夏がいた場所に打突を加えてきた。
何やってんだあの子は!!?
騒ぎに気付いて他の生徒たちが集まって来る。
「一夏、こっちにこい!」
「んあっ!?」
すかさず一夏の手を引っ張りドアから離れさせた俺は次の打突で出てきた木刀を掴む。
「!!」
「はぁぁぁぁぁ…おらっしゃぁぁぁ!!!」
ズボッっ!!!
そして、その木刀を一気に引きずり出したのだ。
「部屋の中の奴、きちんと服着て出てきやがれ!!!」
「……」
しばらくの沈黙の後、2~3分が経過する。周りも俺の行動に唖然としている…
仕方ない、いったん俺の部屋に一夏を連れて行こうかと思った時にドアが開いた。
「貴様、私の木刀を!!」
「アンッ!?」
「うっ!?」
「………とっとと入れ。」
箒がようやく出てきて文句を言うとしたが睨みつけて黙らせ、一夏に入るよう促す。
「お、おう……」
「やれやれ……はい終わり終わり、解散!」
一夏に木刀を渡して部屋に入るところを見届けた俺は再度自分の部屋に向かうことにした。
部屋に入った瞬間…
「いったたたた…イタイ…」
先程の木刀を掴んで引っ張り出した手にものすごい痛みが襲ってきた。
そのままベッドに倒れ込んでしまう。
ふと隣を見ると屋根が付いたベッドにシャンデリアが……
資料で見た寮の部屋の写真にはこんなに豪華じゃなかった。
つまり、誰かの私物ということ、誰だよこんな無駄なゴージャス持って来たのは?
「あら、同室の方ですわね?」
背後から、聞き覚えのある声が……
ま!
さ!
か!
「あ、あ、あ、あなたは!?」
「聞き覚えがあると思えば……。やっぱり君だったのか」
頭痛くなってきた~!
出てきたのは一週間後の決闘相手、セシリア・オルコット。
「な、何故、ここにいるのですか?」
「いるもなにも、しばらくここに寝泊まりするからさ…」
「な、な、なんですってぇぇぇ~!?」
大騒ぎの中、一週間後までだと懸命の説得にしぶしぶ納得するオルコット嬢、
念入りの線引きを説明され、ようやくの就寝に入るのだった。
土曜日の放課後…
俺は夕食とシャワーを済ませて、相棒の待つアリーナのIS格納庫で作業していた。
「よし、これでフレームの動きが滑らかになったはず……よし、ロボまる テスト稼働してみてくれ」
《了解!》
ISモードになったロボまるにより両腕が左右上下と動きまわる。
最初の戦闘で破損した部品を交換して調整が完了した。
ロボまるのISフレームはなんと学園の所持機体である「ラファール・リヴァイヴ」ほとんど共有ができた。
そのおかげで、予備パーツを使い修理にあて、金曜日で終わった今は翌週の対戦に備えるのであった。
「とりあえず、あの隠れ倉庫から回収できたのはこの『ファイア』のソフトと特殊なアームパーツ何だが…こっちのパーツは何らかの加工しないと使えないな…」
あの倉庫はどうも学園には見つかっていないらしく、放課後の合間に潜入していて何か使えるものを探していたおかげで対セシリア戦の対策はロボまるにほとんど任せてしまった。
で、今はロボまると対策ミーティングをしている。
《セシリア・オルコットさんの専用IS『ブルー・ティアーズ』は第三世代に属しており、BT兵装の搭載試用一号機になるって…》
ロボまるが収集した情報を立体モニターに表示される。今のロボまるの姿は本体が動けないので立体映像を使って動いている
その姿はかなりディフォルメされた赤いウサギのような感じだった(漫画版のあのSD状態)
「BT兵装?」
《操縦者のイメージを反映させて具現させることにより、高機動の独立可動ユニットを操るシステムの事、イギリスが独自に開発した新技術と情報が公開してた》
「いわゆる遠隔武装か…おっと、もうこんな時間かもうじき閉鎖時間だ。」
《じゃあ続きが明日に?》
「そうだな、修理したことで機体もファースト・シフトがキャンセルになってしまったからな…もう一度しないと」
《うん、始めるとしばらく動けないんだよね…》
「最悪はアーマーのシステムに頼るか…」
《とりあえず、明日の朝からやってみる》
「ああっ、無理はするなよ?」
《大丈夫、ボクが頑丈なのはショウも知ってるでしょ?》
「それはそうなんだが…」
《ありがと、でも無理してる気はないから気にしないで。おやすみ、ショウ》
「おう、おやすみ」
そう言い、ロボまるはモニターを切りスリープモードになるのを確認した後。俺は寮の自室に戻るのだった。
「本当に就寝時間以外に来ないのですね…?」
部屋に戻ってきたと同時に寝間着姿のセシリア嬢が俺を出迎えた。
出迎えたというより、待ち構えていたと言うべきだろう…
「ん? 起きてたのか…ってもシャワーとか使っているぞ?」
「わたくしがいない時にですけど……」
「おいおい、俺に何が言いたいんだ?」
何故だかご機嫌斜めのセシリア嬢。何かしたか俺?
「あなた。この一週間何をしていましたの? 放課後いつも教室を飛び出しては就寝時間前まで姿を見せずに…」
「何って。無論、機体の修理だよ」
「機体の修理って…訓練などは?」
「ISが借りれないのに出来るわけないでしょ?」
「あなた、代表候補生であるわたくしをなめているんじゃありませんか?」
「なめる気はない、だが教える立場である教師陣と闘った俺には結構拍子抜けしていてね…」
「拍子抜けですって……!?」
「どんな優秀な機械でも、操る人間が何とやらさ……あっそうだ」
確かに今日までロボまるの修理やパーツ捜索優先していて訓練のクもしていなかったのは事実だ。
ふと思い出した俺はカバンの中から一枚のメモリーチップを取り出し、セシリア嬢に渡す。
「君の機体情報は粗方見せてもらった……お返しってのは変だけど、中にある映像を見てほしい…初日にあった時に聞いた答えがそこにある」
「初日って…」
「まあ、見ればわかる。メモリーはそこの机に置いておいてくれ、映像データはコピーしてもいいけど他人に渡すのは勘弁な、先生からは機密情報だって言われて怒られたくないから」
「き、機密情報!?」
「じゃ、俺はもう寝る。おっやす~!」
何か言いかける彼女を無視して、俺はそのまま眠りにつくのだった……
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セシリア・オルコット
本当にわからないですわ…
この一週間、二人の男性の様子を見ていましたが、織斑先生の弟である彼は剣道場で剣道の訓練ばかりの毎日でした。
それに対して、この男は…
確かに訓練機を使うのはこの短期間では不可能でしょう、しかし見学など他の訓練をするなどと何かやりようがあったはず…
こんなもの、見た所で大した情報ではありませんわ……どうせ、その場での誤魔化した物でしょう
でも、あの時にこの男は……
【しかも1対12で戦う事になったな~ さらにお前の姉ちゃんとガチバトルもしたぜ】
「見せてもらいますわ。嘘か真かなんて直ぐに解る事…」
わたくしはすぐにノートパソコンを立ち上げメモリーチップをリーダーに繋げて、映像を再生した…
な!?
そ、そんな!?
み、認めませんわ!!
これは、作り物なのですわ!!!
再生された映像には驚愕の事実が映されていました……
あの男の言うとおり、先生方が搭乗したISを容易く撃破していました。
しかも、あの織斑先生までが武器を破壊されて墜落させるという決定的瞬間まで…
思わず、あの男を見てしまいました。
「この男……一体なんですの……?」
わたくし、セシリア・オルコットは日本に来て初めて戦慄というのを感じた日になりました……
Next…
いよいよクラス代表決定戦の開催。
まともな訓練が出来なかった一夏はどう挑むか…
そして、将の実力を知ったセシリアは何を思って挑む?
次回「EP5 再誕・赤き鋼鉄VS蒼雫の令嬢」
赤き戦士の拳に炎は再び宿る…
「その概念、俺が斬る!」
「斬れるものならば斬ってみなさい!」