インフィニット・ストラトス~紡いだ想い、再び~   作:サウス零

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いよいよ、クラス代表決定戦

EP5…参ります


EP5 再誕・赤き鋼鉄VS蒼雫の令嬢

Main view

いよいよ月曜日、今日が決闘当日。

セシリア嬢との一時同室の生活は、それはもう無言ばかりの毎日、生活リズムはほとんど彼女のペースであった。

ま、荷物だけを片隅に置いておいて、就寝以外は部屋に近づかないでおいたのは前回の話。

それも、今日で終わり。

勝利の二文字と共に新たな部屋に行くぜ~!

と、気合い入れる俺。

 

さてと、昨日までの振り返ってみると一夏の操縦技術は皆無に等しい、授業でさえ手こずるのだから……

放課後は箒との剣道特訓、毎日、三時間はやると豪語していたそうだ。

その頃の俺は格納庫でパーツ探しをしていた時の話だった。

 

 

そして、一夏とセシリア嬢の対決が始まる。

一夏専用IS『白式』が開始時間ギリギリで届いたのはいいが初期化は愚か、最適化もすませていないと言う

しかもフォーマットとフィッティングを実戦にやれと織斑先生の無茶振り、とことん弟に遠慮しない人だ……。

だが、ここで終わるような男じゃなかった。

セシリア嬢の操るIS『ブルー・ティアーズ』のビットは自身が指示を送らないと動かない、さらに制御に集中しているため、自分自身の攻撃が出来ない欠点を見抜き追い込んだか、ビームタイプのビット以外にミサイルタイプのを展開した。

直撃かと思ったが白式の設定が完了し反撃開始だ~!

と盛り上がりを見せたがシールドエネルギーが急速に減少して0になり、一夏は負けてしまった。

ピットに戻ってきた一夏はまたもや織斑先生にいびられる。

どうも、白式唯一の装備『雪片弐式』の特殊能力『零落白夜』を知らずに使ったのが原因だそうだ。零落白夜はISの絶対防御を発動させてシールドエネルギーを大幅に削る強力な攻撃だが、発動の際に自分のシールドエネルギーをも消費する諸刃の剣と言ったところだろう。

だが、使い処を見極めれば全ISのトップクラスの攻撃力だ。

 

「綾月、次はお前の番だ。準備しろ」

織斑先生の声が俺に向けられる。

 

 

 

Other view

「了解。山田先生、スタンバイお願いします。」

ごごんとピット搬入口が鈍い音と共に開くその先には……。

 

学園指定の訓練機の一機『ラファール・リヴァイヴ』。

 

しかし、基本のカラーとは違い、赤い色に変更されている。

リヴァイヴを見上げた将は制服のジャケットを脱ぎ、眼鏡と一緒にピットの片隅に置くとリヴァイヴに搭乗。

 

「じゃ、行ってくる!」

「行ってくるって、お前、何の補助なしに!?」

「しかも、スーツさえも着替えてないのか!?」

さっきから驚いてばかりいる二人。

驚くのはこれからだと言う事に将は苦笑する。

 

リヴァイヴをまとった将はアリーナの空へ駈け昇る……。

 

 

 

アリーナ上空、将のアクロバット飛行での登場に、見学している全ての女子生徒達が静まりかえっている。

 

「ようやく来ましたわね…」

「ん…どうした。一夏と戦う前みたいに見せた威勢がないぞ?」

 

「どうもしていませんわ……」

否定するセシリアには覇気がなく、腰に手を当てるポーズさえせずに、愛用のレーザーライフル《スターライトmkⅢ》が握られている。

「初期設定の機体での初陣、さらに自分のウイークポイントを突かれた……圧倒的な勝利とは程遠い結果に戸惑い、若しくはご立腹って感じかな?」

装甲で表情の見えない将の発言にセシリアの右目尻がひきつる。

図星のようだ。

開始アラームのカウントダウンが鳴り響く、後10秒を切った。

「一夏のお陰で目的の半分は達成したものだ……だが、白黒ははっきりさせないとな……」

5

「あら、強がりは恥を上乗せするだけですわ」

4

「強がりなのはどっちかな?」

3

「わたくしのウイークポイントを見つけたからと言って、あなたの勝利になるとは限りませんわ」

2

「それなら、やることは決まっている…」

1

GO!!

「その概念、俺が斬る!」

「斬れるものならば斬ってみなさい!」

将は左腰に装備されたレーザーガンを、セシリアはスターライトmkⅢの引き金を同時に引く。

独特の音と共に走る閃光は互いに激突、さらなる閃光が生まれる。

「ちい…、エネルギー出力は同等にされている、なら!」

リヴァイヴの背中のスラスターユニットが展開、浮遊してブルー・ティアーズの周辺を迂回する。将の行動にセシリアは構わず射撃を続けるその狙い先は確実に将を捉えていた。

 

「さあ、あなたも踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

射撃、射撃、射撃、とレーザーの雨が降り注ぐ。しかし、セシリア自慢の狙撃力に対して将の加速力が僅かに上であった。

 

「円舞曲か、なら俺は!!」

レーザーガンの銃身に新たな砲塔が装着して別のライフルが形成される。

そして、僅かなチャージ音から、最初に撃ったエネルギー弾とは違い螺旋の渦を描いたビームを発射した。

「なっ!?」

捉えていたつもりが今度はこちらを捉えられたセシリアは一時射撃を止めて回避する。

「ついてこれるか?俺の月光奏鳴曲(ムーンライトソナタ)を……」

「!?」

追加装備の【ドリミング・ライフル】を連射するが間一髪で回避するセシリアは再び距離が出来る。

「なるほど、それが再試験するほどの力というわけですわね。しかし、ここで閉幕(フィナーレ)と参りましょう」

ブルー・ティアーズのレーザービット4機が展開し、セシリアの周りに浮いた。

笑みを見せると共に右腕をかざす。

命令を受けたレーザービット2機が多角形をかたどるように高速移動しながら動く。

「くっ、そこっ!」

 

ビットの先端が発光、レーザーが放たれる。将はドリミング・ライフルを連射、連射、とマシンガンの様に撃ち迎撃、ビットの1機が当たり機能が停止する。

「見えた!」

続けてもう1機を撃ち落とす、そして一気に距離を詰める。

「その動き、待っていましたわ!」

残りのビットを動かすと同時に腰部から広がるスカート状のアーマーがミサイルビットが放たれる。

「いただきましたわ!」

レーザービットとの同時射撃、撃つ抜かれたミサイルビットの爆風によって視界を奪われ、

 

煙が晴れたと同時に将の前に飛び込んだ。

 

「やられる!?」

 

もう一基のミサイルが将に直撃し炸裂音がアリーナに響いた。

 

 

 

『ふぅ~やっと動けるようになったよ…』

「やっと起きたか、寝ぼすけ」

『ひどっ!?時間がかかるって最初に言ったのに!』

「言ってみただけだ」

 

 

「そんな……貴方までファースト・シフトを…それにその機体はあの時の!?」

セシリアの驚きに将はふふんと笑みを浮かべる。

もっとも、全身装甲の頭部では、その表情は見えないが……

「1つ謝っておく、最初に見せたあの姿はただのデコイさ、これが本当の俺達のIS『ロボマルス・R(アール(リザレクション))』さ!」

 

そう言いながら、構えを変える将。

新たに現れた機体の姿は赤と白を基本色とした全身装甲とウサギの様なアンテナを頭部、腕部と脚部は他のISとは異なり細いアーマースタイルに、、

背中のスラスターは小型の赤いブースターユニットに変化していた。

光に反射する装甲は傷1つ付いていない。

 

「それにもうお前のワルツは見えた…ファイア・ナックル!!」

 

将の言葉と同時に放たれた炎の拳がブルー・ティアーズのレーザービットが2基破壊した。

 

 

試合開始から30分、将の奮闘にピットにいた一夏と箒は微動たり出来ずにモニターを見ていた。

「すげぇ……すげぇよ、将の奴すげぇよ!」

興奮する一夏はただ凄いと言い続ける。いや、それしか言葉に出ないのだ。

その隣にいる箒はただ無言でモニターに映る将の姿を見ている。

 

 

「先生はあの姿は見たことがあります?」

オペレーションルームにいる真耶は傍にいる千冬に話しかける。

「ああ、あの時の姿であいつと戦った。……それよりあの馬鹿者はどういうつもりかオルコットに弱点を克服させる為に加減している。」

 

「え、そうなんですか?」

「二人のシールドエネルギーを見てみろ、二人とも掠めた程度でダメージがほとんど無い、オルコットの弱点をわかっていて攻めていないのがいい証拠だ」

 

千冬の言う通り、ブルー・ティアーズとロボマルス・Rのシールドエネルギーは僅かしか減っていない。

 

「た、確かに凄いです……でも、綾月君もISを動かすのは織斑君と同じぐらいでは?」

真耶の問いかけに千冬の視線が鋭くなる。

「ISはな……綾月の再試験結果は山田先生も知ってるだろ?」

「知ってるもなにも、私自身も担当したんですから……織斑先生、綾月君は………」

「山田先生、その結論は考えるな……私だって何も掴んでいないのだから……そろそろ決着が付くぞ」

「はい……すみません」

真耶はそのままオペレートに戻る。

メインモニターには赤のISと蒼のISが互いに向かい立って浮遊している。

(綾月……いずれは問わなければならないな、お前自身の事を……)

そう心の奥で呟く千冬だった。

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ本当のフィナーレでいく」

 

将は両腕を左右に広げると背中のブースターが形を変えて鋭い形状になる。

 

そして、両足のフットユニットの一部分が展開、小型ブースターノズルが姿を現す。

 

轟音がアリーナに響き加速する。

 

その加速力はさっきまでの攻防とは段違いだった。

 

 

(スピードが……早い!?)

セシリアは将の行動にまたもや驚く、しかも加速力は自身もしたことのない速さなのだから……。

不意にセシリアの脳裏には自分の過去が浮かんでくる。

自分が何のためにISに乗り、たくさんの努力の結果で掴んだイギリスの代表候補生の称号、その想いをたった一週間しか起動経験のない、しかも男二人に砕かれようとする。

わたくしは……

 

わたくしは……

 

わたくしは!

「こんなところで負ける訳にはいかないのですわ!!!」

 

格納していたレーザービットが展開、さらにミサイルビットも続く動きは将と同様に鋭くなっていた。

レーザービット2機がレーザーを放つ、撃ってからの放熱・充填の流れが短縮されており、2機でさえも驚異の武器に変わっている。

さらにスターライトmkⅢのレーザーまで加わり、セシリアは一時的に潜在能力を発現させていた。

 

セシリアの反撃に将は回避行動は取らずに一点突破を目指す為にシールドエネルギーはどんどん削れていく。

 

『ファイアとファイアを合わせて!』

「ナパーム・ナックル、いっけぇぇぇ――!!!」

両腕を前に掲げると炎のエネルギーに包まれてスピードを最大にあげて急速ターンを交えてセシリアに接近する。

しかし……

 

「やらせませんわ!! ティアーズ!!」

「何……!?」

待ち構えていたのはミサイルビットの爆炎、ミサイルの展開は気付いていたが反応力が上がったのはミサイルビットも同じだったのだ。

爆炎の煙の中から、スターライトmkⅢを構えるセシリアの姿が見える。

「うおぉぉ――!」

「ああっ!?」

しかし、将は加速を止めずに右の拳ををおもいっきり振り込んだ。

 

 

両者が背中合わせとなり、しばらく静寂がアリーナに包まれる。

 

 

 

 

そして、終了のアラームが鳴った。

会場にいる全ての生徒が結果を待つ……。

 

 

 

 

『試合終了。両者シールドエネルギー0の為、引き分けとします』

 

 

 

Main view

 

アリーナの決戦から数時間後、俺は寮の部屋に戻っていた。ピットに戻ると一夏から凄い闘いだったと嬉しい出迎え、箒さんはなかなかの闘いだったと褒めの言葉。

織斑先生はやっぱりと言うか、まだまだ訓練の必要があるとダメだしのお言葉であったが……。

「余計なおせっかいをするからだ……。」

と言い残し、ピットから出ていくのだった。

そして、ようやくの部屋が完成したと山田先生から知らせを受けて部屋の鍵を貰い、すぐに寮の部屋に戻った。

もっとも、一週間と短い期間なので荷物はショルダーバック一つ分で済んだ。

荷物を肩に掛けて部屋を出ると……。

「あっ……」

セシリア嬢だ……。

でも、アリーナで対決する前に見せていた高慢な態度ではなかった。

俺の持つ荷物を見て不思議に思ったがすぐに思い出す。

「確かお部屋が出来上がるのは今日でしたわね……。」

「そうゆうこと。一週間ありがとう、んじゃまた明日な」

廊下に出て歩こうとしたら……。

「待ってください!」

急に止められる。

こころなしかおどおどした表情だまるで悪いことした子どもが謝りに来た感じだった。

「あの。この後は何かご私用の用事はありますか?」

「いや、後は晩御飯食べるだけだけど…?」

「それでしたら、一時間いえ、30分後でいいです、わたくしの部屋に来てもらえませんか?」

唐突な発言に俺は目が点になる。

 

どうしたの?今日まで散々人を見下す態度でいたのに、どういう風のふきまわしだ…?

「わかった。って言っても、俺も部屋の整理とかしたいから、一時間後にしてくれないか?」

「それは構いませんわ、お願いしているのはわたくしの方ですから……ではお待ちしておりますわね」

一礼をして自室に入ったセシリア嬢。

どゆこと……?

 

訳のわからないまま俺は自分の部屋に向かう。

そして、一時間後に俺はセシリア嬢の部屋に招かれた。

部屋の中は相変わらずゴージャスだった。セシリア嬢に案内されてソファに座る。

「綾月さん、紅茶はいかがですか?」

紅茶を淹れると彼女の言葉に俺はあるものを思い出す。

「あ、そう言えばあれがあったな」

「あれ……?」

 

「ちょっと待っててくれ、紅茶はストレートで頼む」

 

 

 

俺は自分の部屋にもどり、冷蔵庫からあるもの取り出した。

 

そして、セシリア嬢の部屋に戻ると丁度、紅茶も淹れる所だった。

「なにをなさっていたの……ってそれは!」

俺の持ってきたものにすぐに気が付く、それはそうだろう彼女にとって最も良く知る食べ物だから……

「そのスコーンはどうしたのですか?」

「昨日、食堂でマフィンと一緒に作っていたんだけど…クラスのみんなに見つかって全部食べられてしまったんだ……で僅かに残っていたのをここに隠して置いたんだけど、思い出してさ、お一ついかが?」

「で、でもあなたはイギリスの事を……」

「それ言ったのはイッチーであって、俺は不味いなんて一言も言ってないけどな…」

「あ、そうでしたわね」

どうやら思い出してくれたようだ。

ソファに座り、セシリア嬢が向かい合わせで座る。

「それで話ってのは?」

本題を聞く俺に少し躊躇うが意を決して話始める。

一つ目は今日までの自身が言った屈辱の言葉に対する謝罪。

二つ目は自分の両親について話す……。実家は名家である事……

母はとても強い人で女尊男卑以前の社会からいくつもの会社経営を成功した尊敬する人である事……

対する父は婿養子で母の顔色をうかがうばかりで情けない人物である事……

 

そして、事故で二人とも他界してしまった事……

セシリアの話を一字一句逃さずに聞いた。

「そっか、たくさん頑張ってきたんだ……俺には到底真似出来ないよ……俺にはそんな立派な目標なんてない。俺には過去が無いんだから」

「過去が……無い?」

 

今度は俺の語る番、俺は自分の生まれた故郷の記憶を放棄した。それにより世界を渡り歩いてきた。

 

世界は世界でも次元を越えたあらゆる世界に呼ばれた。まるで異世界から召喚された勇者のように…

 

話の内容そのままでは言えず、ただ日本中を回っていたと話すことにした。

「そんな事が……わたくしは何も知らずに……。」

「気にしないでくれ、記憶が無くても生きるには問題無いし、先生達のお陰でこうして学園生活をさせてもらってる」

「でも、どうしてそんな大事な事をわたくしに…?」

確かに自分でも不思議だ彼女が自分の過去を教えたから自分も……いや、そんなの関係ない。

「わからない、でもセシリアさんは信じられる人だから……かな?」

「でも、わたくしは最悪な事をしてしまいましたわ……」

「なら、今一度俺と『友達』になってくれないか?」

「わたくしでよろしいのですか?」

彼女の不安な瞳に笑顔になる俺。

「あぁ、それに俺の勘が君とは『いい親友関係』になるって確信してる」

 

いい親友関係ですか?と答えるセシリア嬢に俺は黙って頷いた。

「わかりましたわ、改めてお友達としてよろしくお願いしますわね!」

そう言って、右手を差し出す彼女に……

 

「こちらこそよろしく!」

 

しっかりと握手をする。

「わたくしの事はセシリアとお呼びくださいな♪」

「なら、俺は将と呼んでくれ」

「わかりましたわ、将さん♪」

 

こうしてクラス代表決定戦の終わり、俺は新たな友情の絆が出来た。

 

 

そして、彼女にスコーンを食べて貰ったが……。

「スコーンはおいしいのですが、ジャムがあれば良かったのですのに……」

ガッテム、ジャムを忘れちまったぜ!

 

Next…




セシリアと和解、授業も実技が本格的に始まる。

ふと、お隣の二組から転校生が来たとの知らせ。

その転校生は一夏とは顔見知りらしい話なのだが…

ん?一緒にいるあいつは……まさか!?

次回「EP6 天真爛漫・百合と鈴」

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」
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