異世界に召喚って……   作:カボチャ!!

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 薄暗い洞窟で、少女が一人。

 砂遊びか、木の棒で地面に何かを描いている。

 

 

「―――ふんふっふふーん♪」

 

 

 楽しそうな鼻唄が、洞窟内にこだましている。

 洞窟の壁に掛けられている(たいまつ)が、少女の金色の髪を妖しく揺らす。

 

 

「うん、描けた。上出来じゃない?♪」

 

 

 

 

 

 

 

 桜井(さくらい)雨斗(あまと)は、無口である。

 趣味は無く、他人に無関心。

 外出を極力しないのは、何かに巻き込まれたり、自身の生活に変化が起こるのを嫌がっていた。

 

 だからこの後、日常が壊される等、想像もしていなかった。

 

 雨斗は、十三歳の中学生である。

 色素の薄い茶髪が目を隠し、愛用の大きめのパーカーのせいで、根暗な印象を他人に与えている。

 そのせいか分からないが、雨斗には友達がいない。学校の先生ですら、彼に近寄らず遠巻きで見 ている。

 だが、彼が気にしているという事は、全くといって無かった。

 彼にとって、独りは大歓迎である。

 遊びに誘われることもないし、無駄に気を使う必要もない。

 

 ただその日を漂う。

 

 ……幸せなどいらない。

 自分はただ生きてさえいればいい。

 

 ―――それが俺の罰だから。

 

 

 

 

 

「――――て、世と世を繋げなさい!」

 

 

 薄桜の唇から、鈴とした声が紡がれる。

 円形の紋章が発光し、浮かび上がっていく。

 膝だちをし、慎ましい胸の位置で両手を握っている。

 その姿はまるで、神に祈りを捧げる聖女。

 

 やがて、光は止み―――銀色の玉が宙残った。

 

 

「我の求める者を映し出しなさいっ!」

 

 

 銀色の玉は突如、波打つように歪みだすと――。

 銀色の液体と化し、地面に拡がる。

 

 

「―――さて、何処にいるのかな」

 

 

 少女の視線は、地面に釘付けである。

 そこにあるのは銀色の鏡。

 

 やがて、鏡に一つの景色が映し出された。

 

 

「―――見付けた♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、雪が降っていた。

 白い世界の中、彼は静かに手を合わせる。

 お墓参りである。

 刻まれている名前は、桜井陽菜(ひな)

 雨斗の六歳上の姉である。

 二年前、十七歳という若さで、亡くなった。

 遺書を遺し、毒も傷も何もなくただ眠っているかの様に死んでいた。

 遺書にはただ一言『暫く生きろ!』それだけ。

 

 ―――陽菜姉、俺はいつまで生きればいい。

 

 問い掛けるが返事はない。

 それでも雨斗はひたすら、お墓の前で手を合わせ続ける。

 

 

 ―――…………。

 

 ………………………………。

 

 …………カァ~カァ~。

 

 

 カラスの鳴き声が、耳に入る。

 どれだけ時間がたったのだろう、既に空は紅く染まっていた。

 

 ―――帰るか。

 

 姉に「また来るよ」とつげ、踵をかえそうと振り返った瞬間―――。

 

 

 バシュッッ――!

 

 

「えっ……?」

 

 

 雨斗の首が空中に投げ出された。

 比喩でもなんでもない。

 物理的に胴体と首が、切り離されたのだ。

 一瞬の衝撃だけで、激痛も何もなく夜音の意識は首とともに堕ちていく。

 

 墜ちる刹那―――

 

 

『―――見付けた♪』

 

 

 聞き覚えのある、懐かしい声が聴こえた気がした。

 

 

 

 

 

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