くーさんこと露草です。
やっと投稿できました~(^^;
3月は忙しすぎますよね(笑)
と、連絡です!
今回から国家警備局の表記を国家中央警備局に訂正します。
そんな感じでお願いします(笑)
では、「ブラロー」10話スタートです!(≧ω≦)
チュンチュン――――。
鳥のさえずりで透葉は目が覚めた。
ゆっくり起き上がるとわずかにめまいがした。
だが、昨日よりも調子はいい。
時計を見ると、すでにお昼近くだった。
昨夜看病してくれた珠もいない。
恐らく家の仕事をしているのだろう。
台の上にある体温計をとって脇に挟む。
音が鳴り確認すると、もう熱は下がっていた。
起き上がり、部屋を出る。
リビングにいくと、掃除をしていた鈴音がいた。
「あっ、透葉さん!おはようございます。」
「おはよ鈴音。」
元気よく挨拶する彼女に挨拶を返す。
まだ会って4日にも関わらず仲良くなった半獣の少女。
事情は知らないが、彼女もまた初雪に助けられたのだろう。
「朝……じゃなくてお昼ご飯食べられますか?用意しますよ。」
「ありがと。」
「いえ。あっ、良かったらこれに着替えてください。」
そう言って鈴音は自分の服と濡れたタオルを差し出した。
熱のせいか、寝汗がひどくて気持ち悪かったのだ。
有り難く受け取り、その場で服を脱ぐと鈴音が「もう……」と困った笑顔をした。
羞恥心が薄いため別に見られても気にならない。
昨日風呂に入ってないからか、タオルで拭くとさっぱりした。
胸部を拭く時に、なだらかともいえないほど膨らみのない胸にため息をついたがそれは未来に期待するしかない。
と、透葉はこの場にいない人に気が付いた。
「ハツとイチは?」
そうこの家の主の初雪がいなかったのだ。
帰ったのはかなり遅かったから恐らく壱夜も泊まっただろう。
「初雪さまは今朝早くに出かけられましたよ。」
「大学?」
「いえ、カバンを持ってませんでしたから恐らく研究所だと思います。神薙さまは先程帰られました。」
「……そう。」
汗を拭きながらそう答える。
なぜか沈んだような声が出てしまった。
着替えてさっぱりした透葉は、鈴音の作ってくれたおじやを食べる。
「……おいしい。」
「ありがとうございます。母にはまだ敵わないんですけどね。」
そう謙遜する鈴音。
さすが珠の娘というところか、料理は絶品だった。
食べながらポツリと言葉を零す。
「……鈴音。」
「はい?どうしましたか?」
「わたし明日帰るね。」
そう言うと、驚きと悲しみの顔をする透葉。
「そう……ですか。」
「うん、これ以上迷惑をかけられないし。」
透葉の兄探しは終わった。
結果は悲しいものだったが、透葉の中で何かが一区切りついた気がする。
親戚はどんな人かわからないが、祖母との思い出とここで過ごした4日間の思い出があれば十分生きていけると思った。
「じゃ……じゃあ、今日は盛大に送別会しましょうか!」
無理やり明るい声を出す鈴音。
そんな優しい少女に思わず笑みが零れた。
食事を終え、やることもなくのんびりとくつろぐ。
帰るのは明日。
それまでは時間があった。
「そうだ。」
お世話になった初雪たちに何かしよう。
宿代や食事代にと持ってきたお金は結局使わなかったため、そこそこ余裕がある。
感謝の印にプレゼントをすれば喜んでもらえるかもしれない。
それに、親戚の家に行ったらもう二度と会えないかもしれないから。
同時刻、東京の国家中央警備局。
霧雨は最上階の局長室を目指し歩いていた。
霧雨は呼び出した彼女のことを考え首を傾げていた。
いつもなら直接情報統括室に来るのに今日は電話だったからだ。
局長室についた霧雨はノックをする。
「どうぞ」と短い声が返ってくる。
「失礼します。」
部屋に入ると、まず局長室には似つかわしくない大きな熊のぬいぐるみが目に入る。
応接セットの横を素通りし、奥の机に向かう。
霧雨を呼び出した張本人はパソコン作業を中断し、かけていた眼鏡をはずした。
「く~もさん!。」
「もう霧ちゃん……。その呼び方やめてよ~。」
いつも通り元気でフレンドリーな相手は苦笑しながら霧雨を見る。
彼女の名前は、
22の若さにして国家中央警備局の局長になった才女だ。
そして霧雨の親友にして、1年前まだ15歳だった彼女を室長に推してくれた恩人だ。
短い黒髪に大きな目、小柄なその体躯はきれいというよりかわいいという印象だろう。
彼女自身はその幼過ぎる外見を気にしているのだが。
そして特筆すべきは彼女が座る車椅子。
前にとある事件で足を傷つけた彼女は、車椅子なしでは移動できなくなっていた。
「で、雲さんどうしたの?わざわざ呼び出しなんて。」
霧雨は呼ばれた理由がわからず首を傾げる。
色々やらかすこともあるが呼び出されるようなことはしてないと思うが。
雲里はなぜか困った顔をしている。
「あ……うん。えっとね、霧ちゃんって死神事件担当してるんだよね。」
「え?あ、うん。」
「犯人も探してるんだよね。」
「もちろんだよ。」
なぜか歯切れの悪い雲里。
そして意を決したように言った。
「この事件は終了ってことにしてくれないかな?」
「……え?」
「もし次に半獣が殺されたとしても事故として処理して欲しいな。」
雲里の言葉が間抜けな声が漏れる。
そしてすぐに理解した。
「……誰からの圧力?」
人だろうが半獣だろうが曇里がそんなこと言うはずがない。
ならば答えは決まってる。
「霧ちゃんやあたしよりずーっと偉い人だよ。」
そう言うと、また曇里は困った顔をした。
やはり霧雨の予想通りだった。
「はぁ……。つまり犯人は軍に関わる人の親族ってことだよね。」
初雪と壱夜も言っていたが、霧雨も犯人は国家中央警備局の誰かだと思っていた。
そして、警備局には大企業や軍の上層部の子供なども所属している。
別にガルディオスがにくい訳ではない。
日本のことを大事に考えているというネームが欲しいだけだ。
圧力をかけてきたのは恐らく犯人の親。
以上のことを考えれば犯人は数人に絞り込めた。
そして霧雨は。
「申し訳ありませんが、今やめることはできません。」
そう宣言した。
狙われているかもしれない透葉のためにもこの事件は解決しないといけない。
すると、雲里は小さく笑った。
「霧ちゃんならそう言うと思ってたよ。」
「……ごめんね雲さん。」
霧雨は頭を下げる。
霧雨が止まらないとなれば、霧雨だけでなく、雲里も処罰されるだろう。
ただでさえ、若くして偉くなった霧雨と雲里には敵が多い。
すると、雲里は手を振った。
「霧ちゃんのためだから全然だよ。」
にっこり笑う雲里。
だが、突如にやっと笑った。
「それにしても、霧ちゃんがそんな必死になるなんてその初恋の人相当かっこいいんだね~。」
「うぇ!?」
思いがけない言葉に変な声が出る霧雨。
みるみるうちに顔が赤くなる。
前に2人で残業をしていた時、うっかり初雪のことを話してしまったのだ。
「その子のために頑張ってあげてね。」
「……うん!」
雲里の言葉に力強いうなずきを返す。
一礼し、部屋を出る。
室長室に向かおうとした時だった。
霧雨のスマホが着信音を鳴らした。
「ん?歩積くんからメール?」
名前を見てメールを開く。
10秒後、読み終えた霧雨は廊下を駆け出した。
出かけることを決めた透葉は鈴音に一声掛け外に出る。
とはいえ、一昨日初めて街をゆっくり見た透葉にはどこに何があるかまだわからない。
適当に探そうかと思ったその時。
「姫乃透葉だな?」
突然名前を呼ばれ振り向く。
そこにいたのは、腰に剣を下げた男が2人。
一瞬驚いた透葉は慌てて身構える。
「……だったら?」
自分を助けてくれた少年みたいな言い方をする。
付け焼刃だが、余裕があるフリだ。
「死んでもらう。」
透葉はその言葉を聞き終える前に走り出す。
目指す先は歩積の屋敷。
「……!?」
だが、屋敷までもうすぐというところで目の前に新たな男が2人現れた。
後ろからはさっきの男たち。
透葉はやむなく方向転換し、別の道に行く。
もはや屋敷には逃げられない。
「はあ、はあ……!」
体力には自信があったがさすがに大人の男と追いかけっこはきつい。
曲がれ道をうまく使い、ようやく商店街まで逃げたがついに追いつかれてしまう。
男が剣を抜く。
「悪く思うな。ガルディオスに生まれたお前が悪い。」
そして、男が剣を振ろうとする。
思わず透葉が目を瞑る。
だが、剣が当たることはなかった。
「……ったく、結局巻き込まれるんじゃねぇか!」
聞き覚えのある声にはっと目を開く。
するとそこには、長い銀髪と季節に合わないコートを着た少年が見えた。
透葉を斬ろうとした剣に自らの刀を合わせている。
「イチ……?」
「お前もお前だ!1人で出歩くんじゃねぇよ!」
透葉に怒鳴りながら相手を突き飛ばし、真っ白な刀を構え直す壱夜。
男たちは突然現れた少年に困惑した顔をしている。
「なんだ貴様は。こいつがガルディオスだと知っての行動か?」
男の1人がそう言う。
「あ?知ってるよ。だけど、見捨てるわけにはいかねぇだろうが。」
その顔は本気でめんどくさそうだ。
だがここを退く気もないらしい。
「ならお前も死ね。」
リーダーと思われる1人以外の3人が剣を抜き壱夜のもとに駈けてくる。
壱夜は刀を一度仕舞う。
そして。
「遅せぇよ!」
居合からの三閃。
コートを翻しながら男たちの額に峰打ちを加える。
「ガッ!?」
「グッ!?」
「ゴッ!?」
短い悲鳴を上げ、男たちは倒れる。
当たる直前刀を裏返したので、殺してはいない。
頭への打撃のため後遺症が残るかもしれないが、自分たちを殺そうとした相手にそこまで気遣いする必要はないだろう。
リーダーの男は壱夜の動きを見て目を見開く。
「き、貴様なんなんだ!?」
「さあな。」
聞こえた返事はすぐ目の前。
いつの間にか目の前に壱夜がいた。
「お前も寝てろ。」
ゴンっと鈍い打撃音。
リーダーはフラフラと倒れる。
一部始終を見ていた透葉は驚いた顔で壱夜を見ていた。
「イチすごい……。」
「そいつはどーも。」
男が気絶していることを確信し、男の所持品を検める。
そして、胸ポケットから手帳を見つけた。
「やっぱりな。軍の連中だ。」
ポケットから出てきたのは軍の身分証明手帳だった。
所属を確認し、確信を得る。
武器を持っていることから軍人か闇社会の人間のどちらかだ。
「軍って霧雨のところの情報何とか?」
「いや支部の警備隊だ。」
透葉に答えながら、手帳を男の胸ポケットに戻す。
国家警備隊には犯罪対策室や情報統括室のある中央警備隊のほかに、東西南北の支部がある。
北方警備隊は北海道、東方警備隊は本州の東側、西方警備隊は本州の西側、南方警備隊は沖縄が担当だ。
書かれた所属と手帳の淵が青くなっているのをみるに東方警備隊に間違いない。
「さてどうする?これでお前は正式に軍から追われる立場になったわけだが。」
にやりと笑う壱夜。
透葉の答えは決まっている。
「ハツは研究所にいるって。イチ守ってくれる?」
このままおとなしく殺されるつもりはない。
最後の最後まで2人に迷惑かけてしまうが、最後のわがままとして許してほしい。
「僕は高いぞ。」
「ツケでよろしく。」
「言うねぇ。」
冗談に冗談で返す透葉に、壱夜も思わず笑みがこぼれる。
昨日泣くじゃくっていた時は大丈夫かと思ったが、これなら大丈夫だ。
「走るぞ。僕はアイツみたいに背負わないからな。」
「りょーかい。」
にやりと笑いあい前を向く。
そして2人は研究所に向け走り出した。
今週中に全小説2回以上の更新が目標です(^^)
がんばるでぇ~!(^◇^)