ブラッドロード~紅き雪が積もる道~   作:橘田 露草

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ぶらばんわ(^◇^)
くーさんこと露草です。

今回は宣伝です!
このブラローと同時間に短編を投稿します。
もしかしたら短編ではなくなるかもしれませんがね……(笑)
なので、ぜひとも読んでみてください(*^^*)

では、「ブラロー」12話どうぞ!(≧ω≦)



第12話  メイドの矜持

小暮慶太(こぐれ けいた)は目の前のことが受け入れず、茫然としていた。

 

「くそ……俺たちが女ごときに……。」

 

地面に倒れたピアスの男が呻く。

目の前にいるのは、狩猟に使う針のような武器を構えた女性。

腕利きのはずの彼の仲間は全員無数の針を刺されて地面に倒れ伏している。

 

「なんでこんなことに……。」

 

慶太がつぶやく。

 

遡ること数分前。

透葉と壱夜が街を逃走していた時のことだった。

 

慶太たち4人は穂積邸の前に集まっていた。

全員黒衣に身を包み、仮面を手にしている。

慶太が電話を切り、他の3人に向く。

 

「黒木からだ。屋敷の中の半獣を始末しろだと。」

 

その言葉にピアスの男が嫌そうな顔をする。

 

「いい女なんだろ。殺しちまうのはもったいないじゃん。」

「俺はガキの方がいいな。泣き叫ぶ姿が楽しみだ。」

「ケッ、お前は相変わらずロリコン趣味だな。」

 

めいめい勝手なことを言う男たち。

 

「確かに殺す前に遊ぶ権利ぐらいは俺らにもあるだろうな。」

 

慶太がそう言うとピアスはヒューと口笛を吹いた。

彼らこそ、啓吾とともに半獣を殺していた死神の一味だった。

とはいえ資産家の出身の啓吾とは違い、ただのゴロツキだ。

啓吾からお金をもらうだけの関係で、当然のことながら敬う気持ちなんて欠片もない。

 

仮面をつけ素顔を隠した4人は門を開け、屋敷に侵入した。

その時のことだった。

 

「どちら様でしょうか?」

 

凛とした声が響いた。

男たちがそっちを向くと、20代ほどの美人の女性がいた。

頭には犬のような獣耳がある。

始末対象の半獣だ。

 

「こちらは穂積初雪さまのお屋敷ですが、あなた方はどちら様でしょうか?」

 

彼女は男たちを見ても怯えたりせず、落ち着いたままだった。

慶太はその様子に疑問を覚えたが、他の男たちはこの後彼女を好きにできることしか考えていなかったた。

ピアスにいたっては、彼女の豊満な胸に舌なめずりをしている。

 

「女、大人しくガキを連れてこい。」

「……おっしゃってる意味がよくわかりませんが。」

 

丸腰の上、相手は女だ。

自分たちが本気になれば逆らえないだろう。

 

「いいからさっさと呼んで来いよ!」

「お前の主人死なせたくないだろ!」

 

他の男たちも口汚く言う。

だが彼女は落ち着いたままだ。

と、ピアスの男が彼女に近づいた。

 

「ああ、もう我慢できねぇ!女なんてさっさと」

 

そう言いながら彼女の肩を掴もうとした時だった。

 

「おか……ぐぎゃ!?」

 

天地が逆転し頭を強か打った。

彼女に投げられたと気が付いたのはすぐ後だった。

 

「なるほど。」

 

彼女は小さく呟いた。

 

「つまりあなた方は初雪さまの敵ということですね?」

 

ゾクッと男たちに怖気が走った。

慌てて剣を抜く。

 

「銃は初雪さまに差し上げてしまいましたし、透葉さまには申し訳ないですがこれを貸していただきましょう。」

 

彼女は布袋から長い針を取り出した。

そしてメイド服の裾を持ち礼をした。

 

「では、どうぞ。」

「なめやがって……しね!」

 

男たちがとびかかる。

手足の一本も奪えば大人しくなるだろう、そう考えていた。

彼女が目の前から消えるまでは。

 

「……ぐはっ!?」

 

突如、悲鳴が響いた。

慶太がそっちを向くと、肩に針を刺した男が地面を転がっていた。

 

「い、痛ぇ!?」

「……騒がないでください。ただの麻痺毒です。」

 

男を見下ろし、冷たい目を向ける彼女。

 

「な、何が……!?」

 

ピアスの男が呟く。

乱れたスカートを整え、ほこりをはらう。

 

「説明してもあなた方のような残念な頭脳では理解できないと思いますが。」

 

あくまでも優雅に彼女は言う。

 

「くそが……!」

「なら2人がかりで……!」

 

飛びかかるピアスともう一人。

だが、それすら彼女はいなす。

振られた剣は彼女の体どころか、服にすら触れることなく空振りする。

逆に男たちに刺し傷ばかりがついていく。

やがて麻痺毒が回った彼らは動けなくなってしまった。

 

「……あなた様はかかってこないのですか?」

「ひぃ!?」

 

彼女に話しかけられ、慶太は情けなくも悲鳴をあげてしまう。

震える体を奮い立たせ、慌てて剣を構える。

 

「うぇりゃあああ!」

 

目を瞑り叫びながら振った剣は。

 

「さようなら。」

 

膝に突き刺さった鋭い痛みとともに彼の手から滑り落ちカランと音を立てた。

 

男たちが倒れて数分後、タタタッと小さな足音が響いた。

そして、メイド服姿の女の子が来た。

彼女の娘の鈴音だ。

 

「あ、お母さんさっき透葉さんが……って何これ!?」

 

鈴音は倒れ伏した男とそのすぐそばに立つ珠に目を見開いた。

 

「鈴、警備隊に連絡してください。それから初雪さまにも。」

「え?あ、うんわかった。」

 

状況が呑み込めていないながらも、母親の指示に従い屋敷の中に駆け出す鈴音。

そんな娘を見送りながら珠はどこからかほうきを取り出した。

 

「さて、お掃除をしましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――了解。ありがとね、鈴ちゃん。珠さんにお疲れ様って伝えておいて。」

 

ピッと電話を切る初雪。 

そしてボロボロの啓吾の方を向く。

 

「残念だけど、死神さんの仲間は全員やられたみたいだよ。」

 

それを聞き、愕然とした顔をする啓吾。

少し驚いたような顔をする壱夜。

 

「あの女なかなか強いんだな。」

「ん、それを見込んでもあるしね。警備隊を呼んだみたいだから大丈夫でしょ。」

 

そして、初雪は透葉の頭に手を置いた。

それに気づいた透葉が顔を上げる。

 

「終わったよ、透葉ちゃん。」

「……ん。」

 

小さく透葉が呟いた。

死神が捕まっても彼女の兄は帰ってこない。

結局、透葉は自分の兄と一度も話すことなく死別することになってしまった。

それでも彼女の中で何かが終わったはず。

初雪はそう信じていた。

 

「ん?ああ、やっと来たみたいだな。」

 

壱夜が顔を向けた方から集団がやってきた。

先頭には、愛槍『絆』を背中に下げた霧雨と彼女の部下の深谷恭平が、その後ろからは青い制服姿の警官がかけてくる。

 

「おせーよ、霧雨。」

「仕方ないじゃん!逮捕状降りるまで時間かかったんだから!」

 

ジト目を向ける壱夜に焦ったように答える霧雨。

そして、啓吾の前に立ち、手に持つ書類を広げる。

 

「黒木啓吾さん。死神事件の容疑者として逮捕します。」

「ま、待て!!」

 

ギリっと目を剥く啓吾。

 

「私は黒木の人間だぞ!私を逮捕する意味をわかって……!」

「あなたのお父上……黒木会長ですが、あなたを勘当するとのことです。もはや、あなたは黒木ではないということです。」

「な、何……!?」

 

ついに家族からも見放された啓吾。

その姿はもはや哀れになるほどだった。

 

「お願いします。」

「はっ!」

 

霧雨の命令を受け、2人の警官が彼を取り押さえる。

 

「ほら、立て。」

 

その時だった。

 

「……くはっ!くははっはははははは!」

 

突如笑い出す啓吾。

その様子に全員が怪訝そうな顔を向ける。

 

「殺してやる……。殺してやる殺してやる!」

 

警官の手を払い、胸元に手を入れる。

そして、赤色の液体の入った注射器を取り出した。

 

「貴様何をして……!」

 

警官の制止も間に合わず、啓吾は腕に突き刺した。

 

「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

叫ぶ啓吾。

そして、ありえないことが起きた。

 

体が肥大化し、腕も足も太くなる。

先端には研ぎ澄まされた爪。

そして皮膚がどんどん黒ずんでいく。

何より、うねうねと動く触手。

 

その姿はまるで。

 

「が、ガルディオス……!?」

 

誰かの呟きがその場に伝染していく。

数十年振りに日本にガルディオスが出現した瞬間だった。

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