くーさんこと露草です。
いやあ、ということでブラッドロードもついに1話ですよ~。
この前、小学校で生徒が先生に「ぶらばんわ!」と挨拶をしているのを見かけましてね。
そこで私は思いましたよ。
こらこら、朝なんだから「ぶらようございます!」だろってね。
……はい、そんな小噺から始まりました(笑)
事実かどうかはあなた次第ですってことで(*ゝω・*)
では、ブラロー1話スタートです(^^)
大きな市の北の方にある小さな平地、そこに
町長自らが「この町には何もない。だけど自由だけはある。」というほど大した特産品があるわけではない。
そんな町長に呆れても出ていく者はいない。
発展から取り残されたこの町は町民みんながのんびりとした空気を醸し出している。
周りの町は「おとぼけ街」と馬鹿にしたが、むしろ町民自らそれを自称しているほどだ。
そんな街の一角を小さな少女が走っていた。
10歳ぐらいだろう、ニットの帽子にメイド服姿のかわいらしい少女だった。
小さな少女は、家で待つ母親の怒りを我慢した笑顔を思い出し、軽く震えさらに速く走り出す。
その少女に気づき、八百屋のおばさんが声をかける。
「
鈴音と呼ばれた少女は立ち止まりおばさんのもとに歩く。
リンゴは彼女の大好物なのだ。
「ありがとうございます八百屋のおばさま!」
「これから
「はい!夕食がもうできてしまうのに初雪さまったら……。」
「まあまあ、あの子も頑張っているのさ。ほらリンゴ。」
おばさんが袋を渡してくれる。
だが、その中には明らかに5個以上入っていた。
「え!?こんなにもらえませんよ!」
「いいからいいから。いつも買ってくれるお礼だよ。早く行きな。」
太った体に似合わないウインクをされ少し苦笑いする鈴音。
がばっと90度以上のおじぎをし、駆け出す。
早くしないと。
家で待っている彼女を怒らせるのは恐いのだ。
町の中心部にある小さな研究所、そこが鈴音の目的地、"吹声研究所"だった。
いつもの守衛さんに一礼して中に入る。
本来なら一般人ば手続きを踏まないと入れないのだが、毎日のように来ている鈴音はもはや顔パスなのだ。
廊下を歩き、階段を2階分上り、すぐの部屋。
「副所長室」と書かれた部屋に入る。
「失礼します。初雪様ここですか~?」
返事はない。
「もうこの間片づけたばかりなのに!」
掃除好きの彼女がきれいにしたはずの部屋は見る影のないほどに散らかっていた。
そのほとんどが本。
専門書のようなものから鈴音には読めないような言語で書かれた本もある。
それらが山のように積み重なっていた。
と、ソファーのところで人影が動いた。
「あ、鈴ちゃんだ。」
そこでは、1人の少年が寝っ転がって1冊の本を読んでいた。
真っ白な髪に緑目、よれよれの白衣を着ている。
何より特筆するべきはその身長だ。
とにかく小さい。
150センチぎりぎりあるかどうかというところだろう。
だが、これでも一応19歳なのだ。
「鈴ちゃんだ、じゃないですよ!大学の入学式が終わったらすぐ帰るって言ってたじゃないですか!」
「だから3時頃まで研究室にいるってメールしたよ?」
「もう夕方です!」
「え、嘘?」
窓を見てようやく空が赤くなっていることに気が付いた。
本に集中していて全く気が付かなかった。
「ごめんなさい。」
初雪は正座してぺこりと謝る。
反省する時はちゃんと反省する、それが彼女との約束だ。
ソファーの上なのは足の踏み場のない部屋だから許して欲しい。
鈴音は溜息をついて諦めたように笑った。
「それ大学から借りてきたんですか?」
さっきまで初雪が読んでいた本を見る。
いつの間にか読み終わったようで初雪の横に置いてある。
「うん。有名大学の図書室だから期待してたけど、全然だよ。まあ、ガルディオスについて書かれた本は禁書扱いになっているから仕方ないかな。」
それは数十年前に遺伝子工学に優れた中東の国家が開発した、世界最悪の生物兵器の通称である。
約100万人を1年のうちに殺害した。
最も、日本国内では出現頻度は低く、ガルディオス自体20年以上出現していない。
軍事機密となっており、一般人が知れるのはわずかな情報しかなく、判明しているのは、硬度と長さを変えられる触手があること、様々な作用を持つ粘液を吐き出すこと、表皮が黒ずんでいること。
そして、動物の姿をしていること、その4つだけだった。
文献によると、鳴き声は違うものの声の音波が共通のもので、個体間のコミュニケーション手段となっているらしい。
「っとごめん。早くしなきゃ
そう言って扉に向かおうとする初雪。
「鈴ちゃん?どうしたの?」
鈴音は動こうとしない。
心なしかもじもじしていて顔が赤くなっているような。
「あの……初雪さま。ち、
小さな声でそう呟いた。
「え?ここで?」
「はい……。実はそろそろ危なくて……。」
そう言われ彼女の目を見る。
彼女の紫の目は、端の方がわずかに赤くなっていた。
確かにそろそろ危ない。
「わかった。こっち来て。」
「は、はい!」
緊張でカチコチと歩く鈴音。
近くまで来たところで彼女を抱きしめる。
「じゃあ、いくよ。」
ぎゅっと目を閉じたのを肯定と受け取る。
そして初雪は―――――彼女に口づけをした。
「んっ。」
小さく鈴音の吐息が零れる。
初雪はじっと彼女を見つめていた。
そこには、恋人というより家族に対する愛情が感じられた。
そして、キスをすること1分。
「ぷはっ!」
口を離した途端、はあはあと激しく息をする鈴音。
キスをするとわかっていても緊張からどうしても息が苦しくなってしまうのだ。
「鈴ちゃん、目を見せて。」
「はあはあ……あ、はい!」
彼女の目を再度見つめる。
彼女の目にはもうさっきのような赤い部分はなかった。
「うん、もう大丈夫。」
にっこりと笑う初雪。
だが、なぜか鈴音は不満そうだ。
「……なんで初雪さまはそんなに余裕そうなんですか。」
ほおをぷくっと膨らめ怒る鈴音。
初雪には理由がわからない。
「なんでって、もう何回もしてるじゃん。」
彼女と出会ってすでに3年。
すでに700回近くキスをしているはずだ。
それだけしていて慣れないはずがない。
「そうですけど……うう、何か納得がいかないです。」
初雪の言うことも最もだが、鈴音としてはもっと緊張して欲しいのだ。
自分は今でも顔を真っ赤にするほど緊張するのに。
「えっと……ごめんごめん。」
帽子を外し、優しく彼女の深緑色の髪を撫でる。
「んっ。」
気持ちよさそうに頬を緩める彼女。
その髪の中にある2枚の獣耳。
それは人間には本来あるはずのないものだった。
彼女のような者はそう呼ばれる。
ガルディオスの遺伝子を持って生まれた人間と獣のハーフを意味する。
基本的にはガルディオスの細菌に感染した親から生まれるが、まれに子供だけに現れることもある。
彼女たちには、ガルディオスとして変身することはない。
だが、同時として人間としても扱われることはない。
そんな彼女たちは、辛い運命を背負って生きていかなければならないのだ。
そして、彼女たちにはもう一つの辛い運命があった。
それが獣化だ。
半獣がガルディオスにならないことは研究で明らかにされている。
だが、彼女たちは時して、人間の姿を保ったまま獣になってしまうのだ。
触手こそ出せないものの、獣として変質した牙や爪に殺された人も少なくない。
その条件が『目が深紅に染まること』だった。
だが、それを治せる可能性を持つ者がいた。
それが若き研究者、歩積初雪だった。
初雪は偶然から自身に獣の侵食を抑える力があることを知った。
そんな彼は、ガルディオスの研究をすることを決めたのは、ある意味必然だったのだ。
彼は、病死した父親の研究室の後を継ぎガルディオスの研究を続けた。
そんな中で出会った鈴音を引き取ることになったのは偶然か、あるいは。
「ごめんね、鈴ちゃん。まだ君を治してあげられない。」
申し訳なさそうに初雪が呟く。
彼女は完全に治っているわけではない。
あくまでも一時処置だ。
定期的にキスをし、侵食を防がなければ彼女はいずれ獣になってしまう。
彼は、もう4年も研究しているというのに何も進めずにいるのだ。
それが彼女に申し訳ない。
「大丈夫ですよ。」
鈴音は優しく微笑む。
「鈴音は初雪さまといられて幸せです。ずっと日陰で生きてきた鈴音たちがこうやって元気でいられるのはすべて初雪さまのおかげですから。」
にっこり笑う鈴音に思わず涙腺が潤みそうになる。
10歳にも関わらず、彼女は辛い目に合ってきたのだ。
それが健気に笑っている。
初雪は、彼にしては珍しくそれが誇らしくなった。
「じゃあ、帰ろっか。」
「はい、帰りましょう。」
手を繋ぎ研究室を出る2人。
その姿はまるで兄妹のようだった。
というわけで、次回は未定ですが近いうちに投稿したいなぁ~と思ったり思わなかったりします。
のんびりとやっていく感じなのでお付き合いいただけたらと思います(笑)
では、この辺で失礼します<(_ _)>
よい週末を!まあ、後2時間ですけどね(笑)
感想・評価お待ちしています(*^ω^*)