ブラッドロード~紅き雪が積もる道~   作:橘田 露草

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ぶらばんわ~!(^◇^)
くーさんこと露草です。

最近リアルの友人から、面白いと言っていただきました~♪(≧ω≦)
リア友に読まれるのはめっちゃ恥ずかしいですが、めっちゃ嬉しいですよね~。
もちろん、ここで感想いただける皆さまにも大感謝&観覧車しております(*^^*)

ゆっくり更新ですが、お付き合いくださいな(笑)

では、「ぶらろー」7話スタートです(^_-)-☆


第7話   協力者

夜の歩積邸。

初雪は2人をリビングに招いた。

 

「――――それであの時、いっくんが怒ったんだよね~。」

「あはは、そうだったね。」

 

珠の入れた紅茶を飲みながら2人は思い出話に花を咲かせる。

壱夜は、黙ってブランデーを飲んでいる。

 

「いや~、久し振りに会ったけど元気そうでよかったよ。」

「椎崎さんも元気そうで何より。もちろん神薙くんもね。」

 

初雪が壱夜に笑いかけるが、壱夜は黙ったまま無視している。

 

「……それで。」

 

ティーカップを置き、真剣な顔になる。

 

「東京からこんな田舎までわざわざ遊びにきたってことはないよね。」

「……できればその方がよかったんだけどね~。」

 

霧雨もティーカップを置く。

 

「”死神”のことは知ってる?」

「ニュースや新聞で知っている程度なら。」

「それなら話が早いね。実は私はね。」

 

そう言いながら、上着のポケットから手帳を取り出す。

それを一瞥し、軽く驚いた顔をする。

 

「国家警備局・情報統括室長……。ずいぶん出世したね。」

 

何気なく初雪が言った言葉。

だが、霧雨は少し嫌そうな顔をする。

それをごまかすように笑う。

 

「それでね、うちは半獣を警護することになったの。えっと、一応確認するけどその2人が半獣ってことでいいよね?」

 

使用人のため、後ろで控えていた鈴音と珠をチラッと見る。

霧雨に見られて鈴音はビクッとなる。

 

「見てのとおりだよ。」

 

初雪が2人に笑いかけながら言う。

珠は元から、鈴音も室内では耳隠し用の帽子は被らせていない。

半獣であることは一目瞭然だろう。

霧雨は顔を前に戻す。

 

「後、彼女もかな?」

 

霧雨の視線は初雪の隣、透葉の方を向いていた。

室内にも関わらず、ニット帽を被っている。

初雪が保護者になっているのは鈴音と珠の2人だけ。

半獣を無許可で保護することは禁止されている。

幼なじみとはいえ、違法なら見逃すわけにはいかない。

 

表情には出さないが、透葉も緊張する。

だが、初雪はにこにこと笑ったままだ。

 

「この子は、半獣じゃないよ。」

 

そう否定した。

安心する透葉だが、初雪はさらに言葉を続けた。

 

「この子は――――ガルディオスだよ。」

 

初雪がそう言った途端、空気が変わる。

透葉は驚いた顔で初雪を見る。

 

「ハツ……。」

「大丈夫だよ、透葉ちゃん。」

 

震える透葉の頭を撫で、にっこりと笑う。

 

「……じょ、冗談にしてはつまんないよ歩積くん。」

 

霧雨は、さっきまでの笑顔を消しそう言う。

その言葉は震えた。

だが、頭ではわかっていた。

冗談好きの初雪だが、冗談の時の笑顔と今の笑顔は全く違う。

 

「冗談じゃないよ。……透葉ちゃんはガルディオスだ。」

 

そして、霧雨の考えを肯定した。

だが、にわかには信じられなかった。

 

「この子がガルディオス……?だって、どう見ても人間だよ……。」

 

受け入れられないのも当然だ。

ガルディオスは黒い動物の姿で触手を持っている。

だが、目の前にいるのはただの女の子だ。

まれに人間から半獣が生まれることはある。

だが、人がガルディオスを生むことはあり得ないというのが常識だ。

 

「僕もわからない。なぜガルディオスが人間の姿をしているのか。そして、獣のはずなのに話せるのか……。」

 

隣の少女を横目で見る。

ガルディオスが言語を話せないのは今までの研究で明らかだ。

彼らは言語ではなく、鳴き声による音波で会話する。

だからこそ、この少女が自分たちと会話できているのが信じられない。

 

「勘違いってことは?証拠はあるの?」

「……透葉ちゃん。」

 

霧雨の言葉を受け、初雪は透葉の方を向いた。

名前を呼ばれただけだが、なぜか初雪の言いたいことがわかった。

そして。

 

「んっ。」

 

透葉が小さく声を出した時、前腕から何かが飛び出る。

 

「う、嘘……。」

「……!?」

 

霧雨が小さく呟き、壱夜ですら驚いた顔をする。

ぬらぬらとした粘液に包まれたそれは、明らかに触手だった。

 

その時、壱夜がソファから立ち上がる。

そして、腰の刀を抜いた。

 

「……どういうつもりだ、歩積。」

 

刀を抜いた壱夜の目の前。

初雪も腰からリボルバーを抜いて構えていた。

 

「どういうつもりだはこっちのセリフだよ。どういうつもり神薙くん?」

 

初雪は顔にはまだ笑みを浮かべていた。

壱夜そんな様子を訝しげに見る。

 

「知らないわけじゃだろ?ガルディオスを発見した場合、即座に討滅する。」

「知っているっていうか、昨日透葉ちゃんに言ったばかりのセリフだね。」

「ならどけ。そいつは僕が斬る。」

「斬らせるわけにはいかないね。」

 

刀と銃を突きつけあい話す2人。

どちらかが動けば状況は一変するだろう。

鈴音も珠も透葉も目の前の状況に驚き、動けずにいた。

だが。

 

「こら、2人とも!」

 

突如、この緊迫した状況には不釣り合いな鈍い音がした。

霧雨が壱夜の脛を殴ったのだ。

足を抑えて蹲る壱夜。

 

「てめぇ、霧雨!何しやがる!?」

 

涙目で言う壱夜。

霧雨は立ち上がり腰に手を当てている。

 

「まだ何も聞いてないのに勝手なことしないの!透葉ちゃんのことも私たちは何も知らないんだから。」

 

そう言われ、壱夜は黙らざるを得ない。

初雪はといえば、すでに銃を仕舞い素知らぬ顔をしていた。

もはやさっきまでの緊迫した空気はない。

壱夜はため息をついて刀を収めた。

それを見て、霧雨は透葉の方を向いた。

 

「透葉ちゃん……って呼んでもいいかな?」

 

霧雨の問いにうなづきだけ返す透葉。

 

「よければ事情を話してもらってもいいかな?あなたがなぜこの街に来たのかとか。」

 

そう問われ、透葉は迷ったように初雪を見た。

初雪はにっこりと笑う。

 

「大丈夫。椎崎さんは信用できるよ。」

 

初雪の言葉を聞き、霧雨に向き直る。

そして、昨日初雪に話したことと同じことを話した。

話の間、霧雨も壱夜も黙って聞いていた。

 

紅茶が完全に冷める頃、透葉の話は終わった。

話し疲れたのか、透葉は深く息を吐いた。

 

「お兄さんを探すため……か。」

 

霧雨もまた小さく息を吐く。

もちろん彼女の話が本当だという保証はない。

むしろ、ガルディオスだというのなら油断させるために嘘をついていても不思議じゃない。

人類にとってガルディオスというものはそれだけの絶対的な悪なのだ。

だが、彼女の話には真に迫るものがあり、信用せざるを得なかった。

 

「それ以上に歩積くんの体のことが気になるけど。」

 

霧雨にジト目で見られ、初雪も困ったように笑った。

透葉の話をする以上、初雪の獣化を防ぐ力も話さなければならなかった。

とはいえ、キスして獣化を防ぐことができるなんて透葉の話以上に信じられない。

 

「どっかの童話の王子様みたいだね。この力の名前王子様の口づけ(プリンス・キス)とかどう?」

「あはは、意外といいかも。じゃあ、これからそれでよろしく。」

 

冗談めかして2人が話す。

と、不意に霧雨は真剣な顔になる。

 

「これからどうするの?”死神”に狙われているんでしょ?」

 

さっき死神に襲われたことも話した。

東京にいると思われていた死神がこっちにいることを聞いて霧雨は驚いていた。

もはや一般人の初雪が巻き込まれるべきではないだろう。

 

「もちろん、透葉ちゃんのお兄さんを探すよ。」

 

だが初雪の答えは違った。

初雪ならそう言うだろうなと霧雨もわかっていた。

 

「どうして私たちにこの話をしたの?」

 

霧雨は軍の所属だ。

ガルディオスは即座に討滅しなければならない。

初雪もまた、ガルディオス隠匿の罪で逮捕しなればならない。

この話をするにはあまりにリスキーだと思うのだが。

 

「椎崎さんと神薙くんは信用ができるから。」

 

真剣な目で彼はそう言った。

 

「それだけじゃダメかな?」

 

さらに言葉を重ねる。

完全に信用した目でそう言われているのに、裏切ることはできるならそれは友達じゃないだろう。

 

「後は軍の力を借りれたら楽だからかな?さすがに僕1人じゃ大変だし。」

「……それを言わなきゃかっこよかったのにな~。」

 

霧雨は苦笑し、頷いた。

 

「わかった。このことは誰にも話さないし、協力もするよ。」

 

そして、さっきから全くしゃべらない隣の少年を見る。

 

「いっくんがね♪」

「……は?」

 

急に振られ、間抜けな声が出る壱夜。

 

「ちょっと待ておまえ!なんで僕が……。」

 

当然文句を言う壱夜。

 

「暇でしょ?仕事もないし。後、小学生の時何回も歩積くんに宿題見せてもらってたじゃん。」

「あ~、懐かしいね。」

「いつの話してるんだよ!」

 

ちなみにこれは事実だ。

授業のほとんどを寝ていた壱夜はよく初雪からノートを借りていた。

 

「僕は僕でやることがあるんだよ!」

「ふ~ん、そんな態度とるんだ。」

「あ?」

 

なぜか不敵な笑みを浮かべる霧雨。

そして、手のひらを出す。

 

「じゃあ、貸していた7万円返してくれるかな?」

「うっ!?」

 

痛いところを突かれ、のけぞる壱夜。

というか、2歳年下の少女にお金を借りて情けなくないのだろうか。

 

「ひ、卑怯だぞ!?」

「実際問題、死神に狙われている以上、見捨てるわけにはいかないでしょう?」

「それは、おまえらの仕事だろ!」

「よかったね~、透葉ちゃん。このお兄さんが助けてくれるって。」

「人の話を聞け!」

 

無視をされ、激昂する壱夜。

だが、福沢諭吉(7万)を人質に取られている以上、壱夜に逆らう術はない。

文句の行き所がなく、初雪と透葉をにらむ。

2人は壱夜を見て。

 

「「よろしく。」」

 

口をそろえてそう言った。

 

「ああもう、わかったよ!その代わりどっちもこれでチャラだからな!」

 

諦めて悔し紛れの一言を言う壱夜。

そんな3人を霧雨は楽しそうに見ていた。




次回はできるだけ早くあげます(*^^*)
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