東方縁伝   作:OFF豚骨

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今回は白玉楼に遊びに行くお話です。

読者の皆様には申し訳ないのですが、私が就職する為、更新速度が週1回のペースになりそうです。
本当にごめんなさい。


吸血鬼異変〜紅魔郷に至るまでの三年間のお話
ちっちぇえな


私は今、紫と共に白玉楼に来ている。紫は幽々子(ゆゆこ)と縁側でお茶を嗜み、私は庭で妖夢(ようむ)と話していた。

 

「だからぁ、妖夢の半霊を私の中に入れて憑依合体ごっこしたいからお願いしてるの!」

 

「いや意味が分からないし、何よ憑依合体ごっこって!が、合体なんて卑猥過ぎる!」

 

顔を真っ赤にしながら妖夢が怒ってくる。私は妖夢にシャーマンキングの憑依合体が出来ないか試してみたい衝動に駆られている。

 

半霊を見ると阿弥陀丸を思い出してならない。ただ妖夢の性格的に『なんとかなるさ』では無く『なんとかせねば』の方が似合っているのが残念だが。

 

「ならばせめて半霊を楼観剣に憑依合体させて私の言う台詞を言って!」

 

「だから憑依合体って何、楼観剣に何をしたいのよ!?」

 

私と妖夢がそんな言い合いをしていると幽々子が近付いて来た。

 

「良いじゃない妖夢。縁ちゃんの好きにさせてあげなさいな」

 

幽々子は柔和な笑みを私達に向ける。妖夢が『うー』と唸りながら半霊を渡してくる。流石幽々子様だ、分かってらっしゃる!私は幽々子に礼を言って妖夢の半霊を手に持つ。

 

そして『憑依合体!』と叫びながら私の身体の中に入れる。スポッと音が鳴りそうな感じで後ろから抜けた。

 

「失敗かぁ」

 

「うふふ、残念だったわね縁ちゃん」

 

幽々子が微笑みながら言う隣で半霊を大事そうに抱える妖夢が見えた。

 

「次は楼観剣にオーバソウルさせて妖夢!」

 

妖夢はもう好きにしろと言わんばかりに半霊と楼観剣を渡してきた。私は一呼吸置いてまた叫ぶ。

 

「憑依合体妖夢の半霊in楼観剣!」

 

楼観剣に向けて半霊を当てたが、ゴム風船の様に横に半霊が広がるだけだった。

 

「無理か」

 

「残念ね〜」

 

幽々子と私が残念そうに妖夢を見ると妖夢はふざけんなよ?という顔で睨んできた。幽々子が『妖夢ちゃん怖〜い』と言ってたので私も真似して言ってみる。

 

「縁、斬るわよ?」

 

斬られたくないので謝る。その光景を紫が笑いながら見ていた。幽々子が主だったら気が合いそうなのに、どうしてウチの主は胡散臭いスキマ妖怪なんだろう?

 

一応レミリアも主なのかな?メイドはバイトみたいなものだし、基本咲夜さんのお手伝いだしなぁ。

 

八雲の式から庭師に転職ってのも面白そうだけど紫が許さないだろうなぁ。

 

「あら縁、何か良からぬ事を考えてるのかしら?」

 

紫が胡散臭い笑顔で近寄ってきた。お前は覚妖怪か!ってツッコミを入れたくなるほど勘が鋭いな。まあ私は『別に』とだけ答えておく。

 

「相変わらず仲が良いわねぇ。私達も負けてられないわね。妖夢?」

 

別に仲良くはない。しかも妖夢が話振られると思ってなかったのか驚いた顔してるし。

 

「私は幽々子様に尽くしているつもりです!」

 

妖夢が慌てて言った。私はそれにボケをかます事にした。

 

「そうか、私はどうでも良いんだ・・・、妖夢の中では私は友達でも何でもないだね」

 

「そ、それは違う!」

 

また慌て出した。面白い。妖夢がこちらを向いて誤解を解こうと必死になっている後ろで、幽々子が親指を立ててこちらに頷いている。どうやら良くやったと、褒めてくれているようだ。

 

「だからそういう訳で、別に縁は大切な友達と思ってるから!」

 

恥ずかしげも無く堂々と言ってくれるなぁこの半人半霊は。嬉しい半面恥ずかしさ半面だわ。

 

「妖夢って本当器大きいよね」

 

「きゅ、急にどうしたの!?」

 

私は妖夢に対する悪戯を最終段階に移す。

 

私は胸を張り、妖夢の胸を見ながらシャーマンキングのハオの名言を呟く。

 

「ちっちぇえな」

 

その瞬間刀の斬撃が飛んできた。

 

「言ってはならぬ事を、絶対に触れてはいけない事を、言ったなぁぁぁぁぁ!!」

 

まるで阿弥陀流真空仏陀切(あみだりゅうしんくうぶったぎ)りのように斬撃が次から次へと飛んでくる。

 

妖夢は怒りに任せて振り回しているので私に斬撃が当たる気配がない。

 

「この楼観剣に斬れぬ乳などあんまり無いんだぁぁぁぁ!!」

 

たまに飛んでくる斬撃を避ける私、そしてところ構わず斬撃を飛ばしまくる妖夢。だがその間に突如邪魔が入る。

 

「縁、いい加減になさい!」

 

「妖夢、それ以上はダメよ〜」

 

その言葉で妖夢と私の動きは止まった。私は扇子で叩かれたけど・・・

 

そして周りを見渡すと桜の木や、庭石なんかがぐちゃぐちゃになっていた。

 

「妖夢、縁ちゃん、片付け頑張りなさいね〜」

 

いつもの柔和な笑みなのにとても黒い笑顔に見える。怖い。

 

「縁は帰ったらお仕置きもあるのを忘れてはダメよ?」

 

クソ、片付けだけで充分お仕置きなのに!私はその日の夕方まで妖夢と共に庭掃除をした。その後疲れて少し寝ていたけど紫は起こしに来なかったし、もうひと眠りする事にした。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「縁がごめんなさいね」

 

「別にいいのよ。妖夢が楽しそうだったし」

 

私は幽々子に謝ったが、幽々子は別段気にしてないようだ。幽々子のこういう懐の深さには敵わない。

 

「縁ちゃんと妖夢を見てると私達を見てるみたいに思わない?」

 

「そうかしら?」

 

縁はおふざけが過ぎるし、妖夢は真面目だし、全然似てないと思うのだが。

 

「何でも言い合える対等な関係がね、似てると思って」

 

「私達に?」

 

幽々子は頷きながら居間で寝ている2人を見る。確かに私は幽々子にだけは愚痴を言ったり、今後の幻想郷について話したりしてる。

 

「妖夢いつも言ってるのよ?縁ちゃんは誰よりも強くなれる素質があるのに努力をしないって」

 

「そうねぇ、能力のコントロールを完璧に出来る様になればあの娘が次の幻想郷の賢者になれるのだけど」

 

事実最強に近い能力を持ちながら修業は不真面目、たまに力を入れて修業してると思えば全く教えてない事をやりだす。この前なんか『八卦掌、回天!』なんて言って、コマのように回りながら全身から妖力を放出してたし。あの技を使うくらいなら普通に私や藍が教えた結界術の方が妖力の燃費が良い。ホント馬鹿なんだから・・・

 

「妖夢には縁ちゃんが必要だし、縁ちゃんにも妖夢が必要だと思うの」

 

「どうしてかしら?」

 

「だって息抜き出来る相手が居なかったらこの世界は凄く窮屈よ?」

 

幽々子は微笑みながら私に言ってきた。確かに私も幽々子が居なければ幻想郷を作ろうなどとは思わなかっただろう。消える運命に身を任せ、そのまま消滅していた。だが幽々子には私と初めて出会った時の人としての記憶はない。それでも私達は幻想郷でまた出会いそして親友となった。

 

「不思議なものね。(えん)っていうのは」

 

「うふふ、紫まるでおばあちゃんみたいよ?」

 

「なによぅ」

 

私は少し頬を膨らませ幽々子をジト目で睨む。たまには昔の様に子供っぽくしても良いか。今は縁も妖夢も寝てる。ここには昔馴染みの友人しかいない。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「あれ?私寝ちゃってた?」

 

私は居間で寝ていたらしく誰かが布団を掛けてくれていた。横には私と同じように寝ている縁がいる。

 

縁の顔を見ていると良く思う、私はまだまだ未熟者だと。縁は私の斬撃を確実に当たりそうなものだけ読んで避けてた。怒りに任せて放っていたとはいえ、あの量の斬撃を避けるのは至難の技だ。

 

私なら物量に動じてどれかに当たるか、剣で無理矢理叩き斬っていただろう。

 

「・・・・精進せねば」

 

私は寝ていた横に置いてあった楼観剣を持ち、庭に出た。縁側に座って酒を飲んでいる幽々子様と紫様が声を掛けてきた。

 

「あらあら妖夢、これから稽古?」

 

「ウチの娘も見習って欲しいものね」

 

「今のままでは縁に遠く及ばないので。集中するので話掛けないでくださいね」

 

2人は頷くと、また酒を飲みながら会話を始めた。

 

私は楼観剣を鞘から抜き、素振りを始める。

 

1、2、3

心の中で数を数えながらただひたすら剣を振る。

 

この剣に斬れぬもの無しと、言えるほどに強くなってみせる。縁は私の親友であり、目標であり、ライバルだ!

 

剣の師はもう居ないけど、縁の様に自分で技を開発してさらなる高みを目指す。気持ちが入り、剣の振る速度も速くなる。

 

30、31、32

 

たとえ何があろうとも、幽々子様をお護り出来るくらいに強くならなければな。

 

私はその晩、1000回の素振りをした。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「じゃあ私達は帰るわ」

 

「そう、それじゃあね紫」

 

そう言って自分の従者をスキマに落としながら帰る友人を見送った。

 

「妖夢まだ続けてるわねぇ」

 

縁ちゃんが妖夢の良い火薬になってくれている。

 

妖忌(ようき)が居なくなってからは修業に身が入らず庭師としての仕事と私のお世話ばかりに意識を割いていたけど、縁ちゃんと出会って自分の弱さを教えられたおかげで修業もしっかり励みだした。

 

「今でもあの時の縁ちゃんと妖夢の戦いを思い出すわ〜」

 

私は記憶の映像を思い出す。

 

「貴女が八雲の式ですか?紫様の式としての妖力しか感じませんが本当に式にするほど強いのですか?」

 

あの頃の妖夢は見える力が全てだと思っていた。だから縁ちゃんの事も下に見てたわね。だけど縁ちゃんは日頃、紫や藍ちゃんに実戦形式の修業をしてもらっていたから妖夢を圧倒した。

 

そして妖夢に今日も言ったあの一言を浴びせた。

 

「ちっちぇえな」

 

その言葉は胸に対してではなく妖夢の器や能力全てを含めて言ったのだろう。その日から妖夢は変わった。

 

「幽々子様、今日はいつもより長く修業しますのでお夕飯は1人で食べておいて下さい」

 

妖夢は縁ちゃんの背中を追いかけてどこまでも強くなろうと努力した。

 

そして何度も戦ったりしていつの間にかお互いに敬語を止めて仲良くするようになった。

 

今思い出すだけでも懐かしい。妖夢を変えてくれた縁ちゃんにはお礼を返しきれないほどの恩を貰った。

 

だからいずれ縁ちゃんに困った事があったらこの白玉楼の主である私が助けよう。ついでに妖夢にも助けさせようかしら?

 

「うふふ、気持ちのいい夜風ねぇ」

 

冥界の風は季節に左右されず暖かくも無ければ冷たくも無い。そんな風が亡霊の私にはちょうどいい。

 




今日はちょっと少なめです。
前書きにも書きましたが、投稿ペースが落ちるので、毎日更新を楽しみにしている方はごめんなさい!

妖夢は縁のマブダチだー!
次回はどうすっかなぁ〜
ほのぼの系と伏線系、どれを出すか迷っちまうぜ!
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