東方縁伝   作:OFF豚骨

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昨日から風邪引いてキツイ作者です。
今回はメイドバトルだー!


メイドvsメイド

ふぅ、お嬢様の食事の準備は大体終わったわね。あとはデザートの用意をしなくちゃ。

私は冷蔵庫を開け、中を確認する。

 

「今日は血のカラメルソースを使ったプリンでも作ろうかしら?」

 

私が独り言を喋りながら作業をしていると廊下へ出る扉が開いた。

 

「咲夜さん、今日からお仕事はお休みになりました。お食事ももう必要ありません。さようならです」

 

声からして恐らく縁であろう人物の方に振り返ると一瞬で間合いを詰められていた。これは千鳥とかいう技だったかしら?目からして正気でないのは確かだが何があったのだろう?とりあえず時を止めて離れるか。

 

「ザ・ワールド、時よ止まれ」

 

私の力にはたとえ縁ですら逆らえない。と言っても触られれば能力は封じられるが。

 

さて、ナイフで足を刺して動きを止めておきましょう。話はそれから聞けばいい、私と同じでお嬢様の寵愛を受ける者だから殺せないのが面倒なところかしら。

 

出来の良い後輩だし、別に殺す気は元から無いけどお嬢様に敵対する者は殺した方が早い。今までだってそうしてきたもの。たまにお嬢様に逆らうメイドを殺すのも仕事のうちだった頃を思い出す。物思いにふけってしまったけど、今はそんなことより時を動かして話を聞くべきね。

 

「そして時は動き出す」

 

時が動き出し、足に刺したナイフの刃先から大量に血が滴り落ちる。

 

「ぐぁっ、流石ですね。やはり時を止める能力はチート過ぎます」

 

「貴女の能力も充分チートだと思うけど、それより何で私を本気で殺そうとしてるのかしら?」

 

「全ては愛すべきフラン様の為に、紅魔館を制圧させてもらいます」

 

縁の目に光は無い。妹様に操られてるのは明白だろう。縁を倒して正気に戻すか、操ってる妹様を倒すか、選択肢的にこの二つしかない。なら妹様の相手よりは縁の相手の方がだいぶ楽ね。

 

方針は決まった。私は縁に向かって言い放つ。

 

「貴女の時間も私のモノ、未熟なメイドに勝利はない」

 

「やってみないと分からないものですよ?」

 

その会話が開始の合図だったかの様にお互いに動きだす。多くのナイフを投擲し、縁が回天で弾く。

足を怪我しているせいで先ほどよりキレがなくなっている。これなら勝てそうね。

 

そう思っていると縁が動きを止めた。

 

「降参かしら?」

 

「いえ、ただ試作中の技を出さないと勝てそうに無い事が分かったのでここからは紫様に与えられた妖力を全て使い切ることにします」

 

試作中の技か、警戒するべきね。そう思い距離を取ろうと少し下がる。縁は左手で右手を抑え妖力を放出し始める。これはマズイ時を止めて邪魔をしなくては、そう思った瞬間。縁は技名らしき言葉を発していた。

 

「ブラッドカイン!!」

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

今宵も良い月ね。そろそろ満月かしら?私は今、満月の夜に向けて準備している。

 

私の妖力で出来た紅い霧を幻想郷中に散布し、あの晩の時の様な紅い月を空に浮かべることが目的の一つ。縁は覚えているだろうか?私と初めて出会った運命の夜を。あれから三年も時が経ち、私はこの幻想郷の生活に満足させられている。この平穏は心を腐らせる。縁を手に入れる為とはいえ、随分と私も甘くなった。

 

人間のメイド達を恐怖で支配していた頃が懐かしい。今では間に合わせに妖精のメイドを雇う始末だ。

 

この霧に覆われていく空は私の心の様だ。どうにも気持ちが晴れない。

 

「レミィ、貴女にお願いがあって来たわ」

 

振り返るとそこには私の親友がいた。

 

「パチェからお願いとは珍しいな」

 

何の用だろうか?私の親友の願いだ。叶えてやれるものなら叶えてやりたい。

 

「私からのお願いはとても簡単な事よ。レミィ、死んでちょうだい」

 

私はその言葉に絶句した。この魔女は何を言ってるんだ?

 

「パチェ、その冗談は笑えないから止めてくれないか?」

 

私は少し訝しげにパチェを見る。だがパチェの目には迷いはなかった。

 

「ごめんなさいレミィ、こうするしか方法が無いの」

 

「・・・・・」

 

私は黙って自分の能力を使う。私の運命はまだ途切れてはいない。今はパチェの言葉を信じよう。

 

私はパチェに『親友に殺されるのは初めてだ』とだけ言い、両手を広げてパチェに近づく。

 

パチェが何かの呪文を唱えると魔方陣が現れ、私の身体は魔方陣から出てきた鎖によって貫かれる。

 

力が抜けていく。痛みも徐々に感じなくなり私は朦朧とする意識の中でパチェが『必ず助ける』と言うのを聞き取り意識を手放した。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

「咲夜さんどうしたんですか?動きが鈍くなり始めましたよ」

 

まだ妖力の減りが早いからブラッドカインはあんまり使いたくなかったんだけどしょうがない。これも全てはフラン様の為。

 

私の攻撃が当たる度に咲夜さんの体力が削れ、私の体力が回復する。そろそろ咲夜さんの体力も限界だろう。

 

ブラッドカインと言ったらそれに続く技はこれだよね。

 

「闇に喰われろ」

 

「くっ!時よ止まれ」

 

その言葉を聞いた瞬間目の前に居た咲夜さんが消え、私の攻撃は空を切り脇腹にナイフが刺さる。

 

「っ、お互い決定打に欠けるのがツライですね」

 

「私の体力が尽きるのが先か、貴女の妖力が尽きるのが先か、時間のかかる持久戦ね」

 

ナイフが飛び、拳が空振る。お互い勢いが落ちているせいか技のキレも力も無い。

 

「いい加減目を覚ましなさい。貴女の主人はレミリアお嬢様でしょう?」

 

「レミ・・リ・・・ア?」

 

私の主はレミリア?

記憶を思い出そうとする。『どうかな、私の下で働いてみる気はないか?』私にその言葉を発した者の顔を見ようとするが顔がボヤける。

ふと、フラン様の顔が浮かぶ。『貴女は私のモノよ』そうだ。私はフラン様の従者だ。レミリアは関係無い。一度心を落ち着かせ、咲夜さんの方を見る。

 

「今ので正気に戻るかと期待したのだけれど、まだまだ忠誠心が足りないわね」

 

「忠誠心ならフラン様に全て捧げてますよ」

 

「他者に無理矢理植え付けられた心を忠誠心とは呼ばないわ」

 

咲夜さんの動きにキレが戻った?いや、私の動きが鈍くなってきているのか。

 

「偽りの心で戦う貴女に負けはしない。私は完全で瀟洒な従者だから」

 

このままでは負ける。クソ!フラン様に申し訳が立たない。こんな所で負ける訳にはいかない。『使ってはダメよ』紫に止められてたけど使うしかない。主でもない紫の命令に従う義理は無いのだから。

 

私は咲夜さんに拳を突き出す。それを当たる寸前で咲夜さんが避けるが、それでは避けれない。拳が空間に罅を作りその空間を割る。

 

割れた瞬間室内で地震が起き、周りの物が壊れていく。咲夜さんも例外ではなく、掠っただけで腕の骨が軋みだす。揺れが収まりボロボロになった調理室の中で私と咲夜さんだけが立っている。

 

「ぐぅ、こんな技まで持っていたとは迂闊だったわ」

 

「これで終わりですね。さようなら咲夜さん」

 

私が咲夜さんに止めを刺そうと拳に力を込めていると『あとは私に任せてちょうだい』と扉があった場所から声がした。

 

「パチュリー様!早く逃げて下さい!」

 

咲夜さんが現れたパチュリーに逃げるよう叫ぶ。だがパチュリーは逃げずに私達の方へ向かってくる。

 

パチュリーが相手なら私は負けない。相性が良いからだ。来るなら来ればいい、咲夜さんと一緒に消えてもらう。

 

「咲夜、貴女は重大な勘違いをしているわ」

 

どういうことだ?私と同じ疑問を咲夜さんも持ったようで私達は訝しげにパチュリーを見る。

 

「そこから先の説明は私がするよパチェ」

 

「フラン様!?」

「妹様!?」

 

 

私と咲夜さんが同時に驚きの声を上げた。パチュリーの後ろから出てきたのは紛れもなくフラン様だ。しかも妙に機嫌が良さそう。

 

「さて、結論から言うと紅魔館制圧は完了したの。パチェがお姉様を殺してくれたおかげでね」

 

そう言うとフラン様は背中に隠していたレミリアの頭を目の前に落として見せた。

 

「お、お嬢様・・・そんな」

 

「レミリア・・・」

 

紅魔館の制圧だけなら別に殺さなくても良かったんじゃないかな?いや、私にそんな事を言える権利は無い。小悪魔や咲夜さんを傷付けたのは自分なのだから。

 

私は気持ちを切り替えるために顔を上げる。するとフラン様が近づいて来て耳打ちしてきた。

 

「これから私は異変を起こそうと思うの、その為にまた縁には頑張ってもらいたい。私の従者として」

 

私は小さく頷き咲夜さんの方を見る。咲夜さんは目に光を無くし、座り込んでいる。そこにパチュリーが近付き話をし始めたようだ。

 

私は近いうちにあるであろう異変を想像する。紅霧異変、レミリアが死んでしまった今では、その異変が起きるのか怪しくなってしまった。私がこの世界に生まれてしまったせいだろうか?

 

レミリアの頭の前で私は小さな声で『ごめんなさい』と呟いた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

咲夜の目から光が消えたわね。教える気はなかったのだけれどあれじゃあいくらなんでも可哀想よね。

 

私は咲夜に近付き話しかける。

 

「咲夜大丈夫?」

 

「・・さま・お嬢様・・わた・しは・わた」

 

ダメね。レミィの事になると本当に脆い。

 

「咲夜よく聞きなさい。レミィはまだ死んではいない。これは私が考えた作戦なの。だから黙って紅魔館から去りなさい。紅魔館の外に藍が用意してくれたスキマがあるからそれに入ってマヨヒガに向かいなさい。詳しい話は美鈴や藍がしてくれるわ」

 

それを聞いた咲夜の目にはまた光が戻り『本当ですか?』と聞いてくる。私は『本当よ』と返して肩を叩きフラン達の元へ戻る。

 

「フラン、先ずは紅い霧を出して幻想郷の管理者を呼び出しましょう。管理者を倒したあとは幻想郷を征服する」

 

「うふふ、今から楽しみね。パチェが私の味方になるとは思っても見なかったわ。ありがと」

 

フランが子供の様な笑顔で私を見る。笑顔は見た目相応の可愛さがあるが内面はとても恐ろしいものだ。それはさて置き、フランに取り入るのは成功ね。あとは隙を見て縁に魔法薬の解毒剤を与えて正気に戻さなくちゃいけない。

 

それに博麗の巫女とやらもタイミング良く動いてくれれば良いけれど。

 

藍が言うには感が鋭いから多分大丈夫だとか。あとは任せたわよ藍。




咲夜さんは東方のキャラの中で2番目に好きなキャラなので、簡単には負けさせたくない。って気持ちが入ってしまいダラダラ戦闘させ過ぎたかな?
ちなみに一番好きなのは古明地さとりです。小五ロリはいいぞ〜
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