「あら、かわい・・くはないけど、そこそこ見所のありそうなマスターね」
えーと、これは何とも言えない第一声を上げたサーヴァントを嗜めるべきか、英霊に見所があると言われたことを喜ぶべきか。
・・・後者かな。
「これはこれは。神代にその名を馳せる魔術師メディアに見込まれるとは光栄だな」
「・・・何故一目で私の真名を?貴方何者なのかしら?」
あ、これアカンやつや。元々隠すつもり皆無だけど言わないと消される。
「詳しくは後程語るが、私は『石詠み』という異能持ちでね。かつて極東で起きた儀式についてその土地の遺物から記録を覗かせてもらった。貴方の腕前も名もその時に刻ませてもらった」
「・・『石詠み』ねえ。成る程。過去という概念の薄い神代では存在し無い現代ならではの奇跡ね。嘘を吐いている訳でもなさそうだし。まあ良いわ。それより、聖杯戦争が起きた訳でも無いのに、何故私は現代の地に?」
「ああ、それについてはーーー」
言い掛けたところで、直後、
ーーカルデアが揺れたーー
「とある目的で貴方の助力を願いたかったのだが、優先順位が変わったらしい。取り敢えず私が呼ぶまではずっと霊体化し、状況を俯瞰して欲しい」
「構わないけど、理由を聞いてもよろしくて?」
「なに、すぐにわかる」
事態の全容はさっぱりだが、上手く使えば損なだけでは終わらなさそうな状況にほくそ笑む。
「取り敢えず指示には従って上げる。けれどその代わりその顔は私に見せないで。その気が無いのが分かっていても保身に走りたくなるわ」
うん。取り敢えず俺は心から笑ってはダメみたいだ。取り敢えず生き残りがまず向かいそうな場所に行きますか。
「ーーーおお!13番君!?良かった!無z「挨拶は後で。とにかく状況を」 あ、ああそうだね。掻い摘んで言うと正体不明の爆発事故だ。所長と48番君、それからマシュ君がレイシフトに巻き込まれて特異点に異動した。取り敢えず今は生き残りを掻き集めて彼等と連絡を取る手段を早急に整えているところさ」
ふむ。何も分からん状態か。しかし、こうなると・・・
「では私がこれからすべきは」
「うん。今すぐレイシフトの準備を整えるから特異点へ異動。所長達と合流して欲しいんだ」
まあ、そう来るだろうな。というよりこの事態を想定して俺がここに残ってる設定だからな。働く事には異存は無いが、この博士、テンパり過ぎて色々抜けてないか?
「その前に一つ大事なプロセスが抜けている。貴方は私に無手で死地に迎えと?」
「え?・・・あ、ああ!も、勿論だとも。サーヴァントの召喚だね。忘れてなんかいないよ。ただ、召喚の触媒がマシュ君と一緒に向こうにあるからなぁ」
やはり向こう側か。まあ、現地での召喚を考えていた訳だし当然か。だが妙だな。何故計画の最重要遺物を所長クラスではなく一職員に?
「問題ない。触媒については私が何とかする。時間がないので速やかに移動しよう」
「あ、あちょっと!ねぇ、何で召喚できるの!?ていうかフェイトの場所知ってるの!!? お願いします。移動するから話を聞いて〜!」
『そういう事ね。緊急事態にかこつけて召喚するだけでなく、初手からサーヴァント2騎で挑みたいから私の存在を秘匿したのね』
『他にも理由は幾つかあるが、これが主な理由だ。ただ、キャスター。この施設にもサーヴァントが常駐している。特異点に移るまでは念話も控えよう』
姿は見えないが何となく首肯したのは気配で感じた。
「それではこれより英霊召喚を始める。少し離れていてくれ。分かっているとは思うが、余計な干渉その他何某は勘弁してもらうぞ。下手な詮索もだ。他人の魔術への追求はプライバシー以前の問題だからな」
念の為釘を刺しておく。こいつらも科学者風だが中身は魔術師気質だからな。
「分かってるよ。今この状況で君と決裂するのはマズいからね。君が僕等に協力してくれている以上は僕としても君とは良い付き合いでいたいね」
「僕としては」か。上からの指示や状況何如では反故にするということか。こいつの言は話半分で聞いて置くべきだな。どうにもこの手合いは信用できんな。抜け作面の下で何が飛び出てくるかわからん。まあ、ともかく公式上では私にとって初の召喚を行うとしよう満ちる。
『素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
されど汝はその身に影を羽織りて侍るべし。汝、現世の闇に沈みし者。我はその明暗から掬いし者
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』
満ちる。光が、音が、魔力が、部屋を満たして溢れていく。さあ、我が手に来たれ。暗殺者の英霊よ!!
『ーーーゲッ!?』
うん?キャスターから女性が出してはいけない声をキャッチしたが、いったい?
「ほう?私が召喚される側になるとは驚きだ。ただ問いかけることしか能のないこの身に英霊などという称号は役者不足も甚しいのだが・・・。成る程。故あって出てこれぬ英霊の代用品というわけか。これはこれで愉しめそうだ。」
そう言ってゆっくりとこちらにやってくるのは紫のカソック、さらにその内側には傍目からも分かる程の筋肉に身を包んだ男。歳は明らかに全盛期ではないが、衰えを微塵も感じさせない覇気が頬を伝う。
「サーヴァント・アサシン、ここに現界した。真名は 李 書文・・・ではなくその役と能力を引き継いだ凡俗だ。人であった頃の名は 言峰 綺礼 だ。私の愉悦が君の趣向に合えば良いのだが。君が私のマスターかね?名は何と言う?」
・・・なんか凄いのが来た。
「私の名前は蘇芳。 蘇芳 漸次だ。貴方を召喚したマスターに相違ない」
「・・・・」
おい、何とか言え。お前が聞いてきたんだろうが。ていうかさっきから後ろに控えてる(多分)キャスターから殺気と警戒を感じる。やめろ、それ以上はお前の存在がバレる!
「被るな・・」
( ゚д゚)
「1人称が私と被る。読者への配慮が足りんな。迅速かつ完璧な対応、あと泰山の麻婆を所望する」
・・・どういうことなの?
ここまでご覧いただきありがとうございました。