fate/GO カスタマイズ   作:章介

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今回は主人公とは別視点です。なので地の文も三人称視点でお送りします。


第4話

(in大聖杯の空洞)

 

 

 

 

「ーーー極光を呑め!『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!!」

 

 

「宝具、展開します!!ーーーッ!?う、あああああぁぁ!!!!!」

 

黒の閃光と無色の盾が激突する。凄まじい魔力と暴風を撒き散らしながら、それでも盾の英霊はその死の稲光を余すことなく受け止める。何もかもを掻き消す衝撃の後、マシュ達は自分達の無事に安堵の息を吐く。

 

『よし、やったぞ禅城君!防げ「『約束された(エクス)ーーー」え!?』

 

ーーーしかし、間髪入れず黒に濡れた聖剣が再び威を放つ。騎士王は再び溢れ出る黒を掲げ真名を謳う

 

 

「!マズイ!?令呪解放、マシュ!!」

 

「く、うぅっ。ロ、『ロード・カルデアス』展開!!!」

 

「ーーー勝利の剣(カリバー・モルガン)』!!」

 

轟音と共に再度ぶつかり合う剣閃と巨盾。しかし、結果は同じにはならなかった。令呪によるバックアップこそあれど、宝具の連続発動という前代未聞の事態に身体が着いていかず、不完全な起動を遂げた盾は受け切ることなく霧散した。幸い、向こうもチャージが足りなかったこと、そしてキャスターが咄嗟に防御のルーンを敷いたお陰で、全員軽傷とまでは行かないが、重大な負傷を負うことはなかった。

 

「〜〜〜っ!!はぁ、危機一髪だったな坊主。あそこで即座に切札を切れるとは大した・・・・・。」

 

言葉は最後まで続かなかった。三度目の正直と言わんばかりに『黒』が洞穴を埋め尽くしていく。しかもまるで勢いは変わらない。悪い冗談の様にその脅威は衰えを見せない。

 

『そんな、馬鹿な!?幾ら聖杯で魔力を補えても、あれだけの神秘を連続して発動したら、身体の方が持つはずが・・・』

 

「その通りだ。宝具開帳とはただの神秘ではない。その英霊が生涯を賭けて辿り着いた極致。代償は魔力だけではない。正直なところ私も限界が近い」

 

頭上から降るのは騎士王の名に相応しい凛とした声。だがそれにも少し翳りが見える。良く眼を凝らせば僅かだが呼吸も乱れている。

 

「本音を言えば貴公等のその興味深い宝具と武芸をもっと堪能したかった。だが、私の『直感』が今すぐ事を進めろと喚くのでな。」

 

ーーー『直感』。誰しもが偶に見せる閃きや悪寒、条件反射。だが、英霊のスキルにまで昇りつめたそれは時に未来予知のレベルに至る。

自分で言うのもアレだが、今の自分達に彼の騎士王を突き動かせる程の戦力はない。ではいったい?

黒髪の少年ーーー禅城 切嗣ーーーは思考を巡らせるが長くは続かなかった。騎士王がまた聖剣を掲げたからだ。

 

「 貴公等には感服する他無い。まさか我が宝具を二度に渡り凌ぎきるとは。

キャスター、貴公が私にこのまま倒され聖杯戦争を終わらせるというならば、其方のメイガス達の無事は約束する。その業と勇猛さに敬意を評して、我が剣に賭けて誓おう」

 

騎士王は高らかに言い放つ。その眼にも、その声にも嘘偽りは見えず、これだけを見ればかつての彼女と変わらないだろう。しかし、颶風と共に周囲を彩る漆黒が恐怖と恭順を強いる。

迫られた二択。しかし結末はどちらも大差ない。もしキャスターが彼女の言葉に首肯する、または彼女の前に躍り出れば禅定達は生き残るだろう。しかし、その時点で人理定礎を修復する手段は完全に消滅し、人類史は2016年で滅びを迎える。かといって、それ以外の行動に出れば彼女は迷わず聖剣を振り抜き、聖杯戦争を終結させる。自分達が死ぬのが遅いか早いかの差で、状況は絶望的である。

 

「へっ。こいつはマジでヤバいな。諦めるなんざ死んでも御免だが正直なところ手詰まりだ。窮鼠猫を噛むといきたかったが、まさか獅子の方が窮していたとはな。想定外も良いところだ」

 

確かに、当初は聖杯戦争の後を想定して闘うであろうセイバーに相性の利を押し付けて流れを掴み、そのまま押し切る算段だった。実際相性の方は想像以上に良く、あの対城宝具を二度に渡り凌いで見せた。しかし、最初から全力以上の捨て身でこちらを仕留めに来るなど誰が予想しただろうか。しかも、かの有名なアーサー王が無名の英雄たるデミ・サーヴァント相手に。

 

現存戦力はキャスターとマシュと自分の3名。キャスターは幸い軽傷で魔力供給で傷は癒えている。宝具に関しても何時でも撃てる。しかし問題はマシュだ。令呪の補助と治癒魔術の恩恵で辛うじて戦闘に支障は出ないが、宝具はもう使えない。騎士王すら3度目の開帳で身体が限界に至るのに彼女にはそれは不可能だろう。令呪2画と彼女の五体満足を棄てればあるいは、だが彼にはその選択肢は選べない。彼にとって犠牲とは理想を追い求めてもなお溢れ落ちた存在であり、強いられるものでも、ましてや望まれるものではない。犠牲を代償にした未来など彼にとって無価値に等しい。それにーーー。

 

「ま・・だ・・・・まだ、です」

 

少女が立ち上がる。宝具の反動で喀血し、盾を杖代わりにした満身創痍の身で、それでも眼に強い意志を宿らせて騎士王と対峙する。

 

「限定的な未来予知すら可能にする『直感』が危機を知らせているなら、例え討ち果たせ無くても、必ず勝機が訪れるはずです。センパイの令呪はあと2画。キャスターさんもほぼ万全。私達はまだ負けてはいません!!」

 

それにーーー彼女が、マシュが諦めていないのに、折れる訳にはいかない。あの頼りなさそうでとても強い彼女を一人で闘わせるわけにはいかない。

 

「ったく。マスター運は最悪だってのに、英霊になってからこの形、こと女でハズレくじ引いたことは一度もねえな。あの嬢ちゃんといい、月のそっくりさんといい、現代の嬢ちゃんはみんな英霊予備軍なのか?これじゃ嫌でも格好付けたくなってきたなあ!!」

 

キャスターにも覇気が戻る。いや、これまで見た中でも最高の力を感じる。圧倒される気迫、全身に漲る闘志、セイバーの魔力放出にも負けない魔力の奔流。これがクランの猛犬と言わしめたアイルランドの光の神子か、と思わせる立ち姿である。

 

「そうか、それが貴公らの返答か。惜しくもあるが、嬉しくも感じる。ならば我が渾身の一振り。見事越えてみせろ!!!」

 

ーーー極光すら呑み込む『黒』が逆巻く。現状彼等になす術はなく、ただ蹂躙される他ない。けれど、最後の最後まで諦めはしない、と3人は覚悟を決める。

 

「『約束された(エクス)ーーー』っ!?何だ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、騎士王目掛けて数多の紫の弾丸が飛来、着弾と同時に大爆発を起こす。数十発にも及ぶ魔弾はしかし、そのどれもが彼女を傷付けることができない。

 

「これほどの数の大魔術を?けれど、西洋の魔術では私を傷付けることなど出来ない」

 

そう、彼女の対魔力はAランク。キャスターのような呪術ならともかく、西洋魔術では例え神代の魔術でも意味を成さない。それが分かっているから騎士王も泰然としている。しかし、間もなく異変が表れる。

 

「これは・・毒?竜の因子を持つ私にすら効く毒とは見事だが、この程度では指一本緩めることは無いーーくっ!?」

 

「■■■■■■■!!!」

 

突如、煙幕と化した土煙の中から狂鬼が姿を見せる。それはかつて彼女が降し、配下とした中でも最強の一角。未だ紫の煙に包まれながらも、完全にセイバーの支配から放たれ、その脅威を示す。咄嗟に鍔迫り合い、これを押し返す。宝具開帳のための魔力は四散したが蓄えられた力と類稀なる剣才は狂戦士の不意打ちを捌ききるには充分だった。しかし、彼女にとっての脅威はそれだけでは無い。

 

「馬鹿な、貴様どうやって聖杯か・・あ・・・?」

 

瞬間、身体の内側から雷が落ちたかの如き衝撃が走る。後ろに立つのは平行世界で幾度と無く相見えた『神すら問い殺す男』。

 

「衰えたな、セイバー。如何な騎士王と雖も数多の無辜の返り血にはその御霊も錆び付いたと見える」

 

英霊の能力と名を借りた神父は嘗ての仇敵に嘲笑とも憐れみとも取れる笑みを浮かべる。当然この瞬間にも狂戦士の斧剣が迫る。騎士王は為す術なく崩れ落ーーー

 

「貴様が何故、いや、そんなことはどうでも良い!」

 

ーーちることなく暴風を巻き起こす。全力全開の魔力放出。今まさに両断しようとしていたバーサーカーはたたらを踏むことすら出来ず吹き飛ばされる。そして、何事も無かったかのように(・・・・・・・・・・・・)立ち上がる。

 

「聞き捨てならん!必殺の一撃を決め損ねる貴様が私を錆びたと断ずるか、外道神父!!」

激昂し、そのまま聖剣を一閃する。何故彼女が即座に復帰出来たかと言えば、神父の放った宝具と彼女の能力による。

二の打ち要らずと謳われた李 書文の宝具たる絶招『无二打』 は西洋魔術風に言えば、相手の魔術回路に自信の魔力を打ち込み破壊し、霊核を機能停止にする業。なので直撃さえ避ければ肉体その物のダメージは少なくなる。そして彼女には高ランクの『耐久』ステータスと『直感』がある

つまり、一撃を食らう直前に察知して打点をズラし、竜の因子と聖杯からの魔力供給で瞬時に傷を修復したのである。

 

迫り来る剣閃。この距離では圏境を使おうとも直感スキルで察知され、それが無くても魔力放出によって大幅に攻撃範囲が増大している剣閃を前にしては死ぬより他は無い。

にも関わらず、神父は先程の笑みを浮かべたまま、一言言い放った。

 

「ところで騎士王、先程の直感の警報とやらは未だ鳴り響いているかね?」

 

「ーーーーえ?」

 

思考が白く塗り潰される。この闘いが始まる前から感じた今迄に無いほどの悪寒。何としてでも事を進めろ、それしか無いと急き立ててきたそうおんが今や何も言ってこない。

それはつまりーーー?

 

「既に避け得なくなった『幕引き』にはさしもの『直感』も働きはしない。つまりはそういうことだ」

 

 

 

 

その言葉を最後に彼女の視界は光に掻き消え、意識も消え去った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでご覧いただきありがとうございます。
え、バーサーカー戦はって?
あ、えーと、はい。主人公のネタバレ防止という名のカットです。どっかの紅茶と同じです(笑)
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