fate/GO カスタマイズ   作:章介

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第6話

 

side 蘇芳

 

みなさん、お久しぶりです。ここ2話ほど出番皆無だった蘇芳です。現在、2騎のサーヴァントを先行させ、セイバーらしき黒いのを潰したのは良いが、そこから息つく暇もなく急展開。私は全く面識がなかったが、カルデア所属にしてオルガマリー所長の腹心のレイ何とかが今回の爆発の黒幕とのこと。今もキャスターとのパスを通じて会話は全て押さえているが、敵は馬鹿なのか阿呆なのか器が小さいのか、先程からかなり重要なキーワードを垂れ流し続けている。「複数に渡る聖杯」、「今回も『また』君の責任で」「王の寵愛の消失による破滅」、「フラウロス」か。こんなうっかり八兵衛が幹部では、こいつの言う「我が王」とやらの底も知れるな。

 

それは兎も角、この状況はマズイな。残念所長は馬鹿ウロスの懐に入るせいであの「他称:一般人」が動けないな。何とか隙を突こうと伺っているが、あの仮面のチビが邪魔だな。アレは馬鹿ウロスと違って慢心も油断もしていない。面と向かってではどんな奇襲でも即応してくるだろう。先程のセイバー(仮)を地面に引きずり込んだ魔術の事もある。手の内が分からない内から此方の手札は切りたくない。

 

・・・む?どうやら馬鹿ウロスが飽きて所長の始末にかかったな。正直アレがどうなろうが知った事ではないが、あれでも一応クライアントだ。依頼そのものは取り敢えず終わらせてからでないと気持ち良く手を切れないな。それに状況が状況だ。人手は幾らあっても足りん。幸い「容れ物」についての充てはある。あの逸般人も捨て身で動くようなら、此方も少しばかり助太刀と洒落込もう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 禅定

 

くそっ!!何とかならないのか!?所長はあの間合いでは逃げようがない。彼女の身体は喪われているらしいが、知った事じゃない!此の儘手をこまねいて見ているより悪い事はない!

 

流れを引き寄せられるだけの切札はある。けれど問題は目の前の仮面の少年だ。口元はにまにまと子供の様な笑みを浮かべているが、注意は一度も揺らがせていない。此方が切札を切ってレフ・ライノールを所長から引き剥がしても、確実にこいつは安全圏に逃げ切るだろう。そして次からは確実に警戒される。

 

マシュも迂闊には前線に出せない。あの騎士王の対魔力を何も無かったかのように無視して引きずり込んだあの影。あれは魔術ではなく、対サーヴァントに特化した『ナニカ』だろう。もしそんなものにデミ・サーヴァントの彼女が触れたら・・・。

 

 

 

「まだ誰にも認めてもらえてない!!唯の一度も褒められてないのに!!!」

 

 

 

ッ!マズい!?もう時間がない、手段を選んではいられないか!こうなったら一か八か!!

 

即座に前へと飛び出す。後ろの後輩からの制止の声も無視して一気に接近する。やはり仮面の男が動いた。足下から無数の影が肉迫する。触手などと可愛らしい規模ではない。アレではまるで黒い海だ。くそ、足を止めていては間に合わない。ならば、こうだ!

 

ich bin (体はーーー)

 

撃鉄を起こすイメージ。一気に魔術回路をフル回転させ最大級の弾丸をブチかます!狙いを絞り、想像を創造へと昇華し、トリガーを弾く。そしてーーー。

 

 

「「「!!???」」」

 

 

ーーー瞬間、視界が「紅」に染まった。血よりも禍々しくてドス黒い「紅」。其れだけでも相当な異常だが、当然それだけでは無かった。

 

 

「ぐ、かっはああぁ!?ゴボッ!!」

 

「〜〜〜〜!?こ、これは魔力を・・引きずり・だして!!?」

 

突如として眼前の敵達が苦しみ出す。どうやらこの赤いのは魔力を奪い取る結界らしい。統制が取れなくなったのか、それとも魔力切れなのかあの影は消え去った。もう前を塞ぐものはない。あとは所長の手を掴んで離さないあの薄汚い裏切り者の腕だけだ!!

 

ich bin das Bein von meinem Schwert(ーーー体は剣で出来ているーーー)

 

引き鉄を弾く。俺のナカから弾き出された一振りの途轍もなく長い太刀。余りの長さから、物干し竿とか言われたらしいが、詳しい事は良く知らん!必要なのはこの切れ味とこの必殺の魔剣!

 

「・・秘剣ーーー」

 

呟きに反応したのか、仮面の男が距離を取る。あの状態であれだけ素早く動けるとは、身体能力はあの外見とはかなり剥離しているらしい。

だが今はそんな事にかまっていられない。今すべきは、この太刀に刻まれた記憶のままに身体を任せること・・・。

 

「ーーー燕返し!!!」

 

一呼吸に二振りの斬撃が同時に襲い掛かる。一の太刀で腕を断ち切り、ニの太刀で裏切り者を斬りつけ吹き飛ばす。

本来の秘剣からは遥かに劣るが、その速さと鋭さは何とか形に出来た俺の切札その一。暗示に死ぬほど弱い父の記憶をチューチューして記録し、夜も寝ないで昼寝して習得した我が必殺技!所長の窮地を救い、さっきからマジでイラッ☆とさせてくれた馬鹿ウロスをバッサリ出来たし当に一石二鳥!

・・・・・・・成功して良かった(ぼそっ)

 

「うっっっギャアアアァァァ!!!!!??腕が、私の腕があぁぁ!!

貴様、貴様、きさま、キサマアァァァ!!!」

 

・・・うわ、凄く荒ぶってらっしゃる。だが、良い感じに我を忘れている。このまま何とかこちらのペースに乗せられれば。

 

「コロス、コロス、キサマはこのワタシが八つ裂きにs「うるさいですよ」ブフゥッ!?」

 

今正に飛び掛らんとしていた馬鹿ウロスの前に現れたのは先程まで退避していた仮面の男。しかも来たと思ったら黒い触手でいきなり馬鹿を引っ叩いた。なにごと?

 

「舐めきっていた相手に良いようにされただけでも赤っ恥なのに、そんな我を忘れた状態で挑んで君の大好きな王様の顔に泥を塗りたいのですか?どうせ暫くは君の仕切りなんだから、後でゆっくり報復したらどうですか?」

 

「〜〜〜〜〜っ!!!」

 

物凄く表情を歪めているけど、何とか踏み止まったようだ。まぁ、手負いの状態で『これ以上煩わせたらぶっ殺す』って雰囲気で言われたら流石に止まらざるを得ないか。

 

「殺す、貴様は私自らコロしてやる。くだらない人間の分際で、くだらない計画を立てに乗ったことを死ぬ程後悔させてやる!」

 

・・・うん、まごうことなき三下台詞を吐いて消えていった。まるで融けるように。これも聖杯とやらのチカラか。やっぱり規格外の魔力だな。今度は突然の強襲も警戒していかなければな。

 

「・・・やれやれ。身内の醜態を晒して申し訳ありません。しかしこれで彼も少しは慢心せずにキビキビと仕事に励んでくれることでしょう。鼻っ柱を折って下さりありがとうございます」

 

こちらに向き直り、慇懃に頭を下げる仮面の男。馬鹿が消えた今、たった一人で複数のサーヴァントに囲まれているというのに、まるで恐れることなく、何時でも勝てる、と言わんばかりの風貌だ。

 

「・・・さて、合理的にいくならあなた達をこの時空の修正に呑み込ませてしまうのが正解でしょう。しかし、あの逆境を誰一人欠ける事なく乗り越えたあなた達の散り様には相応しくない。僕があちら側に帰して差し上げましょう」

 

まるでその一言が合図とでもいうかの如く、突如地響きと共に街が消えていく。そんな中でも我関せずとばかりにマイペースに何かの端末のような機械を仮面が弄ると、視界がゆっくりとホワイトアウトしていく。

 

「・・・どういうつもりです。あなた達にとって我々は敵対する不確定要素なのでは?」

 

俺たちは警戒を最大限にして様子を伺う。こちらからしてみれば放っておけば修正の波に消える連中にわざわざ手を伸ばすというのだ。罠を疑わない方がおかしい。

 

けれど、目の前の少年は本当に可笑しそうに微笑みながら何でもないことかのように呟く。

 

「ふふっ、そんなにピリピリしないで下さい。だって僕の趣味半分、利害半分ですから。ほら、僕の周りって皆あんなのですから、例え敵側でも人間さんがいるのって新鮮で面白いですもん。それに退屈な一人遊びよりも煩わしくても誰かとの真剣勝負の方が燃えるでしょ?ライノールさんとかその典型ですけど、彼は王様には忠実で熱心でも王様からの仕事には割と不真面目ですし。不穏分子が居てくれた方が捗って良いんですよ」

 

そういって丁寧にお辞儀してから、何処か遠くへと振り向いて手を振る。この仕草だけなら友達を見送る子供のようだ。燃え盛る廃墟の景色と黒い影がそれを台無しにしているが。

 

「じゃあね、優しいお兄さん達。おっかない方のお兄さんには今度にでも顔を見せて欲しいな。その時まで貴方達が生けていればだけど、僕にお鉢が回って来た時は、いっぱい遊ぼうね(殺し合おうね)!」

 

辺りが白に包まれて自分という存在が一度世界から消える感覚。こちらに飛ばされて来た時と同じだ。どうやら本当に罠とかではないらしい。

ーーーこうして、俺たちのファーストオーダーは幕を降ろした。何とか犠牲は出なかったが、次もこうだとは限らない。何とか一つでも対抗手段を見つけていかないと。

それに、陰から加勢してくれた、俺以外の唯一の候補者。彼の腹積りは分からないが、何とか協力関係は確立させないと。碌に手の内は分からなかったが、それでも彼の一手はどれもズバ抜けて強力だった。彼の協力無くしては俺たちはこの特異点ですら生き残れなかっただろう。何とかして取っ掛かりを作りたい。問題は山積みだが、一つずつ解決していこう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・あれ?何か、というか誰か忘れているような??

 

 




ここまでご覧いただきありがとうございました。

次回、もしくは次々回はちょっとこじつけ回というか、ご都合回があります。申し訳ありません。
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