Muv-Luv 〜赤き翼を持つ者は悲劇を回避せんがため〜 作:すのうぃ
一つはガチNGでもう一個は勢いに任せて書いたネタです。
最近になって一言の付いた評価を発見しましたので、その際見つけた
『斯衛なのに不知火乗ってる』というコメントの補足をします。イェイ。
確かに斯衛軍の戦術機は武御雷ですが、実は
唯依姫がシミュレータで不知火に乗ってる描写があったんですよ。電磁投射砲の。
なので今回主人公にもシミュレータでは不知火に乗ってもらいました。
補足おわち。
「イブラヒム中尉………。今日はもう座っててもいいか………?」
「え、えぇ。どうぞ。」
「すまんな………」
作戦指令室。
演習中はCP将校以外の人間は立ってモニターを見ているのが基本なのだが、昨日の腹パンと正座+3時間耐久お説教のせいで俺は立つ事すら中々出来ずに居た。
なので今はイブラヒム中尉に出して貰った簡易椅子に座っている。
もうね、足がガクガクいってるんですよ。産まれての子鹿かってぐらい。
「皆の模範ともあるべき上官が、そのような姿ではお笑い種ですね。」
「篁中尉………」
フンッ、と言いながらそっぽを向く唯依。相当怒ってらっしゃるようだ。どうしよう。
「中尉………。いい加減機嫌を直してくれないか?もし直してくれたら……そうだな。今度から唯依ではなく唯依にゃんと「静かにしてください演習中ですよ大尉」はい。」
台詞の途中で遮られた。どうやら唯依にゃんという呼び名はお気に召さなかったようだ。
コラ、オペ子達。そんな残念な人を見るような目を俺に向けるんじゃない。
「そ、それにしてもソ連が合同演習を申し出てくるとはな。」
取り敢えず話題を変えるべく、今回の演習内容を振る。
「えぇ。意外でしたね。まさか大尉が本当に幼女趣味をお持ちだったなんて。」
「話が噛み合ってない!?」
何で!? ただ単に合同ブリーフィングでイーニァが俺に手を振ってただけじゃんか!! ちなみにその時彼女の隣に居たクリスカ(何故かすでに呼び捨て)はこちらをジッと見ていた。
あぁ、 唯依の俺を見る目がドンドン冷めていくのを感じる。
コレどんな話題を振っても地雷と化すんじゃないだろうか。
「はぁ……。不幸だ…………」
「元はと言えば大尉が私との約束をすっぽかしたのが原因でしょうに。」
二回目となる幻想殺しネタを言った俺にズバッと切り込んでくる。
やめて!! 冬夜のライフはもうゼロよ!!
「分かったよ………何個でもいいから、言う事聞くからさぁ……。」
何でも、というワードにピクリと反応する唯依。
良し。コレでいこう。
「本当に何でも良いのですか?」
「あぁ。斯衛の誇りに誓ってもいい。」
「……………分かりました。そこまで言うならそれで手を打ちましょう。」
「はぁ……。良かった。なら」
「ですが…………」
ホッとしたのも束の間。
唯依が俺の肩に手をのせる。
そして小声で…………
「次また同じ事をすれば、どうなるのか…………解っているな?」
ハイライトの消えた目で言う彼女に、俺はただ首を縦に振るしかなかった。
「アルゴス小隊、演習区域に到達。」
「【JIVES】起動。演習を開始して下さい。」
そんな上官2人の様子を気に留める事なくテキパキと仕事をこなす
オペレーター達。
何だかスルースキルが一段と高くなった気がする。
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JIVESによって生み出されるBETAを、アルゴス小隊が担当する地区とソ連のイーダル小隊の担当する地区に分かれて掃討していく。
だが……………
「ブリッジス少尉…………弱いな」
そう。
ユウヤの駆る機体は未だ吹雪なのだが、機体制御が不安定で射撃が全くと言っていいほど当たっていないのだ。
慣熟はやっている筈だったのだが、やはり米軍機のクセが強すぎるのか、それとも日本の機体という点が気に入らないのか。
…………両方なんだろうなぁ。
「篁中尉。」
「何でしょうか?」
俺は唯依に問い掛ける。
「今度、私が吹雪に乗っていいか?」
「……………はい?」
突然の申し出に意味が理解出来ない、といった顔をする唯依。
「いやな? どうせ来月辺りまで不知火は組み上がらないだろ?
となると必然的に彼奴はずっと吹雪にお世話になる訳だ。だがな…………」
「アルゴス01、左腕部にエラー。出力が低下しています。」
言葉を続けようとすると、早速わ吹雪の損傷報告が入る。てか本当に早いな。まだ10分経ってないぞ。
「ブリッジス少尉は、自分の腕のせいではなく、吹雪が欠陥機だと思い込んでいる節がある。」
この前偶然、慣熟から戻ったユウヤが吹雪を欠陥機だと言っているのをこの耳で聞いた+ヴィンセントからも、プライベートの時に報告を受けた。
これは聞き捨てならない。
いくら主席衛士が機体の不具合などの問題点を指摘するのも仕事の内だと言っても、自身が制御出来ないのを機体のせいにするのはお門違いも甚だしい。
というわけで、日頃のフラストレーション発散も兼ねて俺が吹雪に乗って活躍する姿を見せる。
一応これでも斯衛軍で中隊長をやってるんだ。多少の自信はある。
「荒治療になるが、口だけで言うより効果は多少あるだろう。」
まぁ俺が平然と動かしてるのを見てユウヤが『帝国のインペリアルなんだから当然だろ』とか『俺が乗りこなせてない事への当て付けか!!』なんて言われたらお終いなんだけど。
「アルゴス01、脚部及び右跳躍ユニット損傷。中破です。」
益々ボロボロになる吹雪。
ただでさえ跳躍ユニットの出力で無理矢理押さえ込もうとしてたのに、それがやられてしまってはただでさえ酷かった動きがより駄目になる。
「………そうですね。では大尉。明日にでもお願い出来ますでしょうか?」
今の被害報告が決め手になったようで、唯依から許可が下りた。
てか明日ですか。結構急だな、別に良いけど。
「内容はどうする?」
「模擬戦はどうでしょうか?仮想敵はブリッジス少尉以外の衛士にして。」
「3対1か?それは少々厳しいものが………」
アクティブ2機にイーグルは厳しいぞ…………
「おや? 大尉、先のご自身の発言をお忘れでしょうか?」
は? 何か言いましたっけ?
「何個でも言う事を聞く…………。では、一つ目をここで使わせて頂きます。」
なにぃ!? さっそくか!?
唯依の顔には『せいぜい苦労して来い』と書いてある。そうまでして俺を虐めるか。
「イブラヒム中尉、貴様はどう思う?」
期待をこめてイブラヒム中尉に助けを求める。だが、返って来た返事は俺の予想を裏切るモノだった。
「いいのではないでしょうか?インペリアルの力を見せるのに丁度良い機会かと。」
イブラヒム中尉ぃぃぃい!?
ま、まさかのお墨付きが出てしまった。しかも顔が若干笑ってる。
くそぅ、2人して上官で遊びやがって……!!
「…………良いだろう。そこまで言うなら、やってやろうじゃないか。」
こうなりゃヤケだ。3人には悪いが、この2人を目にもの言わせる為だ。踏み台になって貰うぜ……。
「担当地区に存在するBETAの殲滅を確認。」
「状況終了。全機、帰投せよ。」
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演習が終わると、すぐに自室に帰って睡眠を摂る。
暗い笑みを浮かべながら布団に潜る様は、周りに人が居たらさぞかし不気味に映っただろう。だが、戦術機に乗る衛士に必要なのは体力。だったら今寝ないという選択肢は自然と無くなるのだ。
べ、別に書類整理やらの後片付けが面倒くさいからってコレを建前になんかしてなんかないんだからねっ。
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ボツシーン。
唯依たんイジメ。
冬夜の「言い過ぎだ」の辺りから。
「!?な、何を仰るのです大尉!!私は計画の事を思って」
「なら何故計画の要である主席衛士と無駄な言い争いなんぞしている?」
「それは………」
口ごもる唯依。しかし、ここで妥協する程『軍人黒田 冬夜大尉』は甘くない。
「相手を罵倒して焚き付けようとするのは構わない。実際訓練校の教官は訓練兵を罵倒する事で自分を恨み役にしているのだからな。
だが、それはBETA戦の経験ではなく人生経験が豊富だから出来ることだ。」
「…………」
「それをたかが17歳の小娘が教官の真似事など………片腹痛いわ」
「ぅ、くぅぅ……………」
「何だ?泣けば許してもらえるとでも思っているのか?ハッ!!貴様こそ他人の出自を侮辱しただろう?それなのにも関わらず、自分が言われたらそうやっているのか。
良いか?罵倒していいのは罵倒される事を覚悟している奴だけだ!!
大体だな…………………
この調子で暫く悪口言い続ける。
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暗号を考えてみた。
『セレン・ヘイズは俺の嫁。(シルバー目線)』
よし。我ながら完璧だな。
ん? でも巌谷中佐にコレを横浜に送って下さい、なんて言っても混乱するだけか。仕方ない、中佐には暗号の意味を教えて………
「全く、何の為の暗号だ。馬鹿馬鹿しい!!」
「!?」
突然の声に驚いた俺は咄嗟に後ろを振り向く。すると…………
「お前には山ほど説教がある。楽しみに待っていろよ…………」
「え!? 何で!? 何で貴女がこの世界にぃー!?」
ーーシステム、戦闘モードへ移行します。
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お知らせがあります。
2月27日 20:11現在
パソコンが、お亡くなりになられました。
いえ、データとかは残ってる筈なんですけどね。
ただ出てきたエラーコードが問題で。
【0000218】ですって。
調べてみるとこのエラー。【死のエラー】なんて呼ばれてるではありませんか。
暫く呆然としていた私でしたが、大丈夫です。いえ大丈夫ではありませんが。
これからはiPhoneからの投稿となりますが、頑張って続けさせて頂きます。
今回は一応ご報告を、と思い後書きに載せさせて頂きました。
これからもこのSSをよろしくお願いします。