IS‐のんびり屋な天才‐   作:石っこ

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第10話

「本日から実習を開始する「「「はい!」」」まずは戦闘を実演してもらおう。(ファン)! オルコット!」

「「はい」」

「専用機持ちならすぐに始められるだろう。前に出ろ!」

 

 うん。どうみてもいやいやながらって感じを醸し出しながら2人がでていく。……ん? その様子を見かねたのか、千冬先生が何か2人に話しかけてるみたいだけど……。あれ? 2人が急にやる気を出し始めた? 千冬先生は一体なんていったんだろう。

 

「慌てるな、馬鹿ども。対戦相手は……」

 

 対戦相手は……ん? なんだろう。上から落下音が聞こえるような…?

 

「ぁぁぁあああああ~! ど、どいてくださーい!」

 

 落下音だけじゃなくて悲鳴のオマケ付きだったね。あはは。

 落下する真耶先生は(ボクは試験でみたからあれが真耶先生だとわかる)一夏くんの方に向かって落下していく。

 

 ちゅどーん!

 

「あぁ……。一夏くん……南無」

「いや、死んでないと思うよ?」

 

 ボクが一夏くんへ黙祷するとクラスメートから声がかかる。うん、わかってる。ちょっとふざけただけだよ。え? 洒落にならないからやめてって? 大袈裟だなぁ。

 

 砂煙が晴れたころ一夏くんは――

 

「一夏くん……」

 

 ボクは一夏くんをジト目で見ていた。だってそうだろう? 一夏くんはなにがどうなったのか知らないけど真耶先生の胸の上に手を置いているんだ。

 

 その2人の間にどんなやりとりがあったのかはわからないけど、一夏くんが赤い顔をして、その場からばっと飛び退き、その目の前をビームが通過する。あ、あぶないなぁセシリアさん……あたったら一夏くんが死んじゃうよ……。

 

「い ち かぁぁぁぁ!!」

 

 お次はそう叫ぶとともに鈴音さんの双天牙月が一夏くんに向かって飛んでくる。けれどそれが一夏くんに届くことはなかった。なぜなら伏射姿勢になった真耶先生が撃ち落としたからだ。凄いなぁ~。あれってそんな簡単に当てれるのかな?

 

「山田先生がお前らの相手を務める」

「2、2対1ですの……?」

「いやさすがにそれは……」

 

 明らかに2人とも戸惑ったような反応を返している。

 

「安心しろ。今のお前たちならすぐ負ける」

 

 そんなところに千冬先生が2人を煽るような発言をする。狙ってやってるんだろうなぁ。

 事実2人ともむっとした雰囲気になった。

 

「では……始め!」

 

 千冬先生の声とともに3機のISが空へと飛び立つ。その間千冬先生はシャルルさんに真耶先生の使うIS、『ラファール・リヴァイヴ』の説明をさせていた。

 さらにボクが短くして軽く説明します!

ラファールリヴァイヴは後期の第2世代ISにもかかわらず世界シェア率3位で、拡張領域(パススロット)が多く後付装備(イコライザ)がたくさんつけれます!

 こんなところかな? もっと細かく説明してもいいんだけれど、そこまで重要な情報でもないと思うしね。

 

 そんな説明をしていると、真耶先生がセシリアさんの回避先を読みつつ銃弾を撃ち、鈴音さんと衝突させ隙をつくったところにグレネードを撃ちこんでいた。グレネードは見事に2人に着弾。上空で煙があがり、2機のISが地面に向かって落っこちてきた。

 

「おぉ~。真耶先生凄いなぁ~」

 

 ボクは軽く拍手をする。みんなは驚きとともに少し固まっているようだったよ。

 

「これで教員の実力はわかっただろう。以後は敬意をもって接するように。次にグループで実習を行う。リーダーは専用機持ちがやること。……そうだ、緋桜宮。「はい?」お前もだ」

「………え? ボクもですか?」

 

 思わぬ展開に思わず聞き返してしまう。

 

「ああ。理由なら教えてやる。お前のISの知識は全学年でもトップだ。どれだけ頑張ったのかはしらんがな。それにお前は近いうちに専用機を手に入れるだろう。だが主な理由は知識の方だな。まぁそういったところだ。では別れろ!」

 

 全学年のところでざわめきが起こり、千冬先生が目線で黙らせる。もうちょっと優しくしませんか? 千冬先生。……ボクに厳しくあたっていいのなら優しくしてやる……ですか? すいません、それは遠慮させてください!

 

 実習が始まり主にボク、シャルルさん、一夏くんのところに人が集まる。やっぱり男だからだろうか。(シャルルさんは今のところクラスでは男っていう認識だしね)

 

「お願いします!」

 

 なにかと思って一夏くんとシャルルさんの方を見ると、2人に向かってみんなが手を出していた。ボクは微笑ましいものをみたなぁと思いつつ、向き直ると。

 

 

 ボクの方にも手が差し出されていた。

 

 

「あ、あはは……」

 

 微笑ましいのはボクもでしたかそうですか……。

 

 

 

 いざ始まってみると一夏くんの方ではISを立たせたまま降りるという問題が発生していた。しかも必ず。そして一夏くんが人を抱き上げてISのところまで運ぶのだが……ボクの方は……

 

「キャーやっぱり彩ちゃんかわいいー!」

「………………」

 

 ボクがISに乗った人に抱きあげられていた。うん、それもボクの方も一夏くんと同じで必ず。

 結局千冬先生がボクたちの方にきて注意(おしおき)することで事態は収束した。

 

 

 

 お昼だよっ!

 

 

 お昼ご飯。ボク達、6人は屋上にご飯を食べにきていた。

 メンバーはボク、一夏くん、シャルルさん、箒さん、セシリアさん、鈴音さんだ。

 箒さんは見るからにむすっとした表情をしているけど……。

 

「飯はみんなで食った方がうまいだろ?」

「そうだよね~。みんなで食べるご飯はおいしいよね~」

 

 といってもボクはお弁当もってないんだけど。一夏くんにお呼ばれしたんだ。ボクお弁当もってないよ? って言ったけど「多分くれるから大丈夫だ」と言ったのでそのままついていったんだよね。

 

 鈴音さんは酢豚、セシリアさんはサンドイッチ、箒さんは手作りお弁当のようだ。

 

 ぴきーん!!

 む!? ボクの本能がささやきかけている!? ……なになに。あ の サ ン ド イ ッ チ は や ば い ? ――これは一体……?

 

 ボクがお弁当をもっていないのを見ると鈴音さんは酢豚をくれた。それでもって箒さんのお弁当をみてだらーっとよだれを垂らしてたら、「こっ、これは一夏のために……う。ううぅ、そんな目を私に向けるな……」と言ってからあげとかをくれた。なんか悪いことしちゃったかな。

 

 そしてセシリアさんのサンドイッチなんだけど……

 

 まず初めに食べた一夏くんの顔色がかなり悪くなった。見た目はいいのに。セシリアさんはそれに気づいていない……。セッ、セシリアさん! 気づいてあげてえぇぇぇ!!

 

そしてボクの番。ボクはサンドイッチを口に含む。

 

「むぐっ!?!? あうぁぐあぁぁ?」

 

 ボクの口から奇声が漏れる。でも言わない。絶対に ま と ず と い のあの言葉だけは女の子が作った手作り料理に言ってはいけない。ボクは脳を必死に働かせ脳内麻薬を分泌し、味覚をなくすように試みる。

 

「くっ……。お、おいしかった……よ……? あ、ありがとうセシリアさん……」

 

 やった……。ボクはやったんだ……。

 

 しばらくの休憩をはさんだ後にボクは思いだす。

 

「あ、そういえばみんな。ボクはお弁当はないけどデザートならあるんだ~。良かったら食べない?」

 

 そういってボクはクッキーやらケーキやらを出していく。

 

「お、うまそうだな! じゃあ俺がまずもらうぞ。……むぐっもぐもぐ……」

「ど、どう……かな……?」

 

 さすがに自分が作ったお菓子を人に食べてもらったことはないので緊張する。

 ボクの顔は上気し、とても恥ずかしい顔になっていると思う。はうぅ…。ちょっと恥ずかしいよぉ……。

 

「「「はぅあっ!」」」

 

 ……? シャルルさんと一夏くん以外の人が倒れてしまった。……何かあったかな?

 

「うまっ! うまいよ彩花! これは一体どこで買ったんだ?」

「おっおいしい!? ありがとう!! ……? 買う? それはボクが作ったものだけど……? みんなどうしたの?」

 

 みんながボクの言葉を聞き、少しの間硬直する。

 

「はっ、はぁぁぁぁぁぁ!?(えええぇぇぇぇ!?)」

 

 うあー。ちょっと急に叫ばないでよぉ。

 

「これを? お前が作ったのか?」

 

「うん。そうだよ。あまりやらないんだけど、ボクは一応自分の為にお菓子作りをやったりしててね」

 

 ―― 一夏たちが驚くのも無理はない。なぜならケーキは綺麗にデコレーションされているし、味もすでに折り紙つきだと判明。クッキーもどうみても高級品にしかみえない雰囲気を出している――

 

「へぇ……。なぁ。良かったら俺に作り方教えてくれないか? 俺も作ってみたくてさ」

「うん。もちろんいいよ。といってもボクは結構勘でやったりしてるからわかりづらいかもしれないんだけど」

 

 こういうところでなぜかボクは理論通りに作ってなかったりする。おかしいなぁ。まあ自作のものもあるせいかもしれないね。

 

「「「う……うぅ」」」

(((なんでこいつは私たち女よりも女らしいのよ!)))

「ささっ。どうぞどうぞ。みんなの口にあえばいいんだけどね」

 

 結局彩花のデザートには文句のつけどころなど一切なく、むしろ褒めるところしか出てこなかったが、それを口で言って認めてしまうのは癪なので女性陣は黙々と食べていた――

 

 

 

 昼食も終わったころ、ボクとシャルルさんは少しの間屋上に2人で残っていた。

 

「あの……」

 

「うん? 何かな?」

 

「どうして僕が女だってわかったの?」

 

「ん~。ボク自身がこういう容姿で見る目がついたっていうのもあるし、あとは勘だね」

 

「それでなんだけど……」

 

 シャルルさんが続きを言いだす前にボクがそれを遮る。

 

「あぁボクはこの事を誰かにばらす気は一切ないから。シャルルさんにも嫌われたくないしね~。こんなところでいいかな?」

 

「………」

 

「いいってことだよね? それじゃぁ、教室に戻ろうか~」

 

 そういってボクはシャルルさんを先導して教室に戻ることにした。

 

 

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