IS‐のんびり屋な天才‐   作:石っこ

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第16話

 

 さて。ボクの専用機には武装がないわけだけど……

 とりあえずスペックの確認。

 

「うわ……なんか凄い極端なスペックになってる」

 

 ボクのISは速度だけが特化していて、装甲も何もかも削られている状態だった。つまりボクに攻撃が当たる時は必ずSEを消費するってことだね。今は。

 ボクのISの見た目はかなりやせっぽっちのフォルムが細身で……というか何もつけていない! っていう状態になっている。

 

「一夏くーんちょっと待っててねー」

「おう」

 

 とりあえず武装がないと始まらないのでボクは拡張領域に後付装備を登録する。ん……? これは……。そうか。ボクの機体はそういうことか。

 

 とりあえずボクは剣を展開させる。ベースは打鉄の剣で、ちょこちょこ改良を加えたものだ。切り替え1つで剣をチェーンソーみたいに細かく振動させたりとか。

 

「じゃあ一夏くん、いつでもいいよ~」

「そうか? ……ならいくぜ!」

 

 先ほどと同じようにして一夏くんと斬り結ぶ。さっきまではついていた装甲で流したりもしてたんだけど、今はないからそんなこと出来ない。けれどとりあえずは問題なくボクは剣だけで流していた。

 

「うわぁ……反応速いなぁ」

 

 ボクはボク自身のISの反応に驚く。動作が速くてボクが動こうとした時に動いてくれるって感じだ。

 

「お前……さっきよりもっ、守りが硬くなってるな!」

 

 互いに剣を打ちつけ合いながら一夏くんが言う。ボクに最適化されてるから動かしやすいし、さっきよりも結果的な防御力では上がってるのかもしれない。

 

「ボクからもいくよっ!」

 

 ずっと守りに入っているのもなんなので、強引に剣を弾いてブレークする。これは一夏くんにとっても予想外だったのか、多少態勢を崩した。そうしてボクは一夏くんに向かい剣を振り下ろす。

 

「おっと!」

 

 それを一夏くんは剣を斜めに構えることで逸らし、逆にボクの方に隙をつくる。

 

「うわっとと……」

 

 結構強めに振ったせいで流された時にできた隙がそこそこ大きい。それを一夏くんも見逃さず大きくはないコンパクトな振りを出してくる。

 ボクは強引に身体をひねってその剣を避けようとするけど、さすがに避けきることはできなかった。けれど、一夏くんの方はといえば充分驚いているようで、

 

「お前……無茶苦茶な動きするな……」

「え? そう?」

 

 などと話し合っていた。いくらある程度避けれたとは言え、ボクのISはシールドを使った時のSEの減りがとんでもない。稼働するのに必要な量、それと今受けた量をあわせるとボクのSEは半分を切っていた。

 

「くそぉ……ボクからもどんどん攻めるぞ~」

 

 そう宣言するとボクは再びとびかかる。さっきみたいな大振りはださず、流されてもリカバー出来る程度の振りを連発していく。

 

「くっ!」

 

 一夏くんも徐々に余裕がなくなってきたみたいだ。この機体は身軽なこともあってこういう面ではかなりのものを発揮しているからね。直線的な移動ではスラスターとかの面で負けても、こういった小回りなら白式にも負けない。

 そんな感じで一夏くんを追い詰めていく。一夏くんもたまらずこの連打を止めるために強打をしてくる。それに対してボクは力を抜き後ろに流される力を利用して、そのまま剣を回転させることで突きの構えまでもってくる。

 

「ていっ!」

 

 そして胴体めがけて高速の突きを繰り出す。白式は絶対防御が発動したみたいだから、かなりのSEが削れたと思う。

 

「ふっふっふ~。どうだ!」

 

 思わず自慢気になってしまった。あまり調子に乗るのはよくないことだとわかってはいるのだけれど、やっと専用機が持てたということで気持ちが昂ぶっているのかもしれない。

 

「彩花。本気でいくぜ!」

 

 そんなボクの鼻っ柱をへし折るように一夏くんが白式の単一仕様能力である【零落白夜】を発動する。

 

「え、あ、う……」

 

 さっきと違って流すのにも神経を張り詰める。なんせあの1撃があたったらボクは即アウトだ。守る手も必死になる。剣の振動で弾いたり、攻撃を予測して避けたりするけど、どんどん追い詰められてくる。

 あの1撃への焦りから徐々に軌道の予測もうまくいかなくなってきて、迷いを生じさせたまま、武器を守りに構える。

 そこへ一夏くんは剣の軌道を振りおろしから変化させ、下から持ち手の部分でボクの剣を打ち上げる。

 

「あっ……」

 

 もちろんボクの剣は空高くへと舞い、そのままボクは斬り上げを食らって試合終了となった。

 

 

 

 

 

「ふぃ~。疲れたー」

「お疲れ。しかし何なんだ? お前のIS」

 

 一夏くんがボクへと声をかけてくる。

 

「あー。あれはねー……」

「彩花! 何なんだあのISは!?」

 

 箒さんの声から続き、シャルロットさん、鈴音さん、セシリアさんがボクに向かって疑問の視線をぶつけてくる。

 

「えっと、説明するよ。ボクのISは……。ボクのISに武装がないのは、後付装備(イコライザ)で全てを補う仕様になってるからなんだ」

「「「「……は?」」」」

 

 一斉に呆けたような顔になるみんな。は? って言われても……

 

「つまりはボクの拡張領域(パススロット)は馬鹿みたいに大容量で、無茶苦茶な量の後付装備が登録できるってこと」

「な、何よそれ!?」

 

鈴音さんが疑問をぶつけてくるけど――

 

「簡単にいえばシャルロットさんの高速切替(ラピッドスイッチ)と似たような事ができるってことだと思う」

「へ~」

 

 一夏くん、本当にわかってる?

 

「おう、つまりはシャルルのISと似たような形の戦いになるってことだよな?」

「厳密にはボクの戦い方はもっと一風変わった風になると思うけど……。まぁそんなところかな」

 

 ボクの戦い方は多分、未だかつて誰もしない……できなかったような戦い方になると思う。ボクのISの戦い方はきっと……

 

「まぁ、一夏くんありがとう。それで良ければでいいんだけどセシリアさんとかシャルロットさんも付き合ってくれないかな?」

「わ、私がですか?」

「うん、そう」

 

 さすがにこの流れで間違えられたりはしないね。

 

「僕はいいけど」

「じゃあシャルロットさん、頼むよ~」

 

 ボクは再びISを出現させる。シャルロットさんもISを出現させて、試合開始!

 

 

 

 

 

~シャルロット・デュノア~

 

「くっ!」

 

 ライフルを彩花君に向かって射撃。するけど、今は同じ近接装備だけでも一夏とはずいぶん違う。彩花君は射撃武器の特性をわかりきってる。風の流れとかの調整をすましたところでたまに大きく剣を振り、それをかき乱したりもしてくる。

 

 それに撃ったところで、軌道が完全に読まれていて……斬鉄っていうのかな? それを簡単に銃弾にやられてしまう。マシンガンは狙いがブレやすいし、彩花君のIS持ち前の機動力で避けられてしまう事が多いから、使いづらい。

 ボクはたびたび追い詰められ、迫りくる剣を回避してまた距離をとるけれど、僕の方が劣勢なのはあきらかだ。

 

「彩花君はどこでこんなに強くなったのかなぁ」

 

 それが若干疑問ではあるけれど、ずっとそれを考えている余裕はない。今はもう近接戦闘の状態にはいっていて、射撃系の装備は軽いもの以外はしまっている。

 高速で振られる剣を盾で流して、胴に向かって撃とうとする。その狙いを蹴られることによって逸らされ見当違いの方向へと弾が飛んでいく。

 

 最終的に剣を流して体当たりを当てて体勢を崩したところで、盾殺しを当てようとしたんだけどそれすらも読まれていたのか、バックステップで当たらないぎりぎりの距離をとり、射出されたパイルバンカーを避ける。こんなぎりぎりというのは信じられない。

 パイルバンカーは連続で射出できる機構になっているけど、多少の隙はつくられる。そこへと連撃を食らい、僕のSEは0になった。

 

 

 

 

~緋桜宮 彩花~

 

「彩花君は上達具合が凄いね」

 

 対戦が終わったあとシャルロットさんからそう声がかけられる。

 

「そ、そうかな?」

 

 褒められてたので少してれてしまう。自分の感覚としてはボクが上達したんじゃなくて、ISの性能だと思ってたんだけど。

 

「おう。俺とやってた時よりも動きがよくなってたな。やっぱISに慣れてきてるせいか?」

 

 さっき戦った一夏くんもそういうのできっと上達してるのだろう。そう思うと嬉しいものがある。

 

「次はわたくしの番ですわね!」

 

 さっきまではそこまで意欲的ではなかったけど、見学していて熱くなったのか、もう完全に戦闘態勢に入ったセシリアさんがボクへと声をかけてくる。

 

「うん!お願いするよ!」

 

 そう言ってボクは再び空へと飛び立った。

 

 

 

 セシリアさんのエネルギー射撃に合わせて、こちらも対エネルギーシールドを展開する。こちらは、戦闘前に組みこんだものだ。セシリアさんはエネルギー系がほとんどだから対策もしやすい。エネルギー射撃を斬ることはできないからね……

 

「さっきとっ、武装が変わりましたのねっ!」

 

 ビットから飛んでくる射撃にシールドを向け、無効化する。無効化した後はビットを切りつけ、破壊しようとするけど一夏くんの時の経験もあるのか中々当たらない。

 

「その手はもう食らいませんわよ!」

 

 そうはいっても完全にタイミングを合わせれば斬れるもんだよっと! 一機のビットをようやく撃破する。というかこれ修理するの大変そうだね……。

 

 でもさすがにセシリアさんの射撃はお手のものだ。BT兵器にあるとされる偏向射撃(フレキシブル)こそないものの狙いは正確で、ボクの機体への直撃コースをしっかりととってくる。

 エネルギー系兵器には周囲の環境の状態はあまり関係ないというのもあり、いくらか狙いはつけやすいだろう。

 

「む~。このままじゃ近付き辛いし、ジリ貧だよ……」

 

 という訳でボクは後付武装を生み出す。戦闘中にこの作業をやるのはかなりしんどいけど、距離があれば避けるのはそう難しくないし、別にデータをつくるとこからやるわけでもないしね。

 

 ボクはシャルロットさんが使っていたようなスナイパーライフルを呼びだす。

 

「なっ!?」

「もらったよ!」

 

 ボクはスナイパーライフルを突然出現させたことに驚いているセシリアさんへ、照準を素早くあわせ引き金を引く。

 狙いは寸分違わずセシリアさんへと向かい、直撃。それで混乱し始めたセシリアさんへと射撃を当てていき、勝ちとなった。

 

 

 

 

「わたくしの時だけ武装を突然増やすなんて……ずるいですわ」

「あ、あはは……」

 

 その言葉を言われるとちょっと困る。ISの戦闘ではデータが結構重要視されるからね。近接だけだと思って作戦をつくっていたら突然武装が増えた! なんてのはたまったもんじゃない。

 

「次は私ね!」

 

 最後に鈴音さんが出てくる。

 

「そこの2人と違って私は負けないよ!」

 

 その発言にじとっとした視線を向けるセシリアさんが確認できたけど、鈴音さんに気にした様子はない。シャルロットさんの方はといえば、控えめな苦笑いを浮かべているだけで別に怒ってはいないようだ。

 

「鈴音さんだってボクは負かしてみせる!」

 

 ある意味こういった会話も売り言葉に買い言葉っていうのだろうか。お互いに負けない宣言をして、対抗心を燃やしあう。

 そうして戦いの火蓋は再び切って落とされたのだった。

 

 

 

 

 鈴音さん相手には空間圧兵器もあるので、追加装甲をふやしてみた。これで守ることで衝撃砲とかを避けれない事態になってもへっちゃらだね! といってもほとんど避けるんだけど。

 

 砲台が向いている射角を読み、発射される寸前くらいに自分の体を動かして避ける。

 

「あ~! どうしてあたんないのよ!」

「そう簡単にあたらないよ!」

 

 鈴音さんにボクは接近戦、遠距離戦ともに両方こなす。鈴音さん自身も接近戦を得意としているし、衝撃砲もあるしでバランスとれてるからね。

 そういえば鈴音さんって、双天牙月を投げていたのを思い出すなぁ。――そうだ!

 

 ボクは閃いたという風に急いで後付武装を増やしていく。

 

 増やしたのは剣、剣、剣。

 

 まずはボクが今もっている剣を鈴音さんへと投擲。

 

「はっ!? あんたなにやってん……」

 

 驚愕した表情をむけつつも、大した苦労もなく回避する鈴音さん。けれどその続きを紡がせることなく、ボクは新たな剣を展開、投擲。

 

「くぅっ!」

 

 投擲、投擲、投擲……。ってなんか楽しくなってきちゃった。といっても剣だと攻撃範囲が微妙なので、途中からは結局刃の部分だけ展開させて横向きで投げたりした。

 

「「「「無茶苦茶だな……」」」」

 

 下から見ている4人の呟きが聞こえる。確かに無茶苦茶なことやってる気がするね。きっとボクのISも嘆いていると思う。本来の運用方法とは違うしね。といってもまだそんなに後付武装を登録してないんだから許してほしい。ボクのISは後付武装があって初めて活きるものだから。

 

「調子に乗ってんじゃ……ないわよ!」

 

 衝撃砲の照準がボクにぴったりと合い、撃たれる。けれどこの時のための追加装甲。追加装甲が威力を軽減し、ダメージを少なくすませる。追加装甲装備のおかげで機動力は少し落ちたけど。そのためにもともとの速さが高かったんだろうね。

 

「あ~もうっ! むかつく!」

 

 鈴音さん。焦ったら負けだよ~。ボクと一夏くんの試合みたいに。頭に血が上った鈴音さんは回避が疎かになっていて、そこにスナイパーライフルをあて、双天牙月を弾きながら斬撃をカウンターで加えて、勝敗はついた。

 

 

 

 

「「ま、負けた……」」

 

 セシリアさんと鈴音さんが落ち込んでいる。

 シャルロットさんはボクの力量を褒めてくれているので別に落ち込んではいない。

 

「あ~! 一夏には負けたくせにあたしたちには勝つってのがむかつく!」

 

「おいおい、そりゃないだろ」

 

 一夏くんが鈴音さんの言葉に軽く突っ込みを入れる。確かに結構失礼な発言の気もする。

 

「そうですわ! またいつか再戦を要求しますわ! 負けたままではいられませんもの! そうですわよね鈴さん!?」

「そうよ! 次はぜーったいに負かしてやるんだから!」

「あ、あはは……」

 

 次……か……。その時のためにボクも武装増やしとかないと。

 




彩花が戦闘中に武装を増やしているのは、元々量子化されたデータを持っており、それを複製、インストールを繰り返したという背景があったりします。
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