IS‐のんびり屋な天才‐   作:石っこ

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そういえば報告を。

ここら辺はアニメ準拠やら原作準拠やらが入り乱れていますので、もしあれっ? と思った点があれば、それはおそらくアニメ設定です。

優柔不断(?)で申し訳ありません。


第21話

 

「おい、一夏。飲み物を買ってこい」

 

 それぞれのマッサージが終わったあとに千冬先生がそう言い放つ。一夏くんは突然の指令に怪訝そうな顔を向けながらも、

 

「え? あ、ああ……」

 

 と、どことなく良く分かってなさそうな返事を返して立ち上がり、部屋からでていった。それを確認すると千冬先生は備え付けの冷蔵庫からビールを持ち出す。

 一応勤務中のはずじゃあ――などというツッコミが浮かんだものの、すると大変なことになりそうなので自重。触らぬ神に祟りなし。

 

「おい、いつもの馬鹿騒ぎはどうした?」

 

 ど、どういう質問なんだ……。少し疑問に思いつつもボクはそれに便乗してっ

 

「騒いでいいんですか!?」

「あー。緋桜宮は静かにしろ」

 

 そんなにべもない……。

 

「い、いえ……その……」

「織斑先生とこうして話すのは初めてですし……」

 

 シャルロットさんそんなに緊張することないよ~。ほらほらこんなことしても大丈夫だよ! そう考えながらボクは千冬先生の目の前で手をひらひらとする。

 

「…………」

 

 ガシッ!

 

 ボクの腕が千冬先生の手にがっしりと掴まれる。

 

「あ、あの……千冬先生?」

「さっきから私の前でなぜ手を振る」

 

 純粋な疑問のようには見えない、若干の怒りがこもった声で問われる。

 

「いや、和ませようと思って……」

 

 ボクのこの心遣いをわかってくれないなんてっ。千冬先生ってば酷いなぁ。

 

「何を考えているか知らんがなぜかイライラするな……。お前の考えなどわかるか馬鹿者が」

 

 そう言って千冬先生はボクの腕を放した。あ、痣っぽいのが残ってるよぅ……。

 

 続いてカキッとビールの缶から音がした。きっとプルタブを引いて開けたのだろう。

 

「まぁいい。そろそろ肝心な話をする、か」

 

 千冬先生は言い終わった後にビールの缶を傾けてそれを飲む。

 

「ぷはぁー。くぅー」

「あ。なんだかこういう千冬先生も新鮮でなんだかかわいく感じますね」

 

 いつもの凛々しい先生とは違ってこういうちょっとだらしなさげなギャップは大きい。珍しいし、今言った通り美しいとは真逆の感情を抱いてしまった。

 言われた千冬先生は相当驚いたようで、口に入ったビールを一瞬吹き出しかけていた。

 

「な、な……緋桜宮、お前はなにをいっているんだ」

 

 少しの間動揺をみせて、千冬先生がボクに尋ねてくる。

 

「いや~。こういうギャップの差があると、いつも綺麗だなぁと思ってた感情が逆方向にいった……ってところだと思います」

「「「「……………………」」」」

 

 あれ? なぜかボクの発言のあと場が静まった。

 

「ご、ゴホン! ……ところでお前らあいつのどこがいいんだ?」

 

 千冬先生が一回咳払いをして、みんなに聞く。あいつって―― 一夏くんのことかな?

 

「まあ、確かにあいつは役に立つ。家事も料理も中々だしマッサージもうまい。付き合える女は得だな」

 

 へぇ~。一夏くんって料理とかうまいんだね。以前お菓子作りのこと尋ねてきたことがあった時、みんながお弁当作ってきてたし作れないのかと思ったんだけど。

 そんな事を考えていたら千冬先生が一息おいて言った。

 

「どうだ、欲しいか?」

「「「「くれるんですか!?」」」」

 

 なぜかボクまで返事をしてしまう。いや、でもボクってばお菓子は作れても普通の料理が苦手なもので、そういうの作ってくれる人がいると嬉しいなぁとか思ったり……。

 

「やるか、馬鹿」

 

 え、えぇ……。なんだか上げて落とされた感じだ。ボク以外のみんなも若干落ち込んだ雰囲気を見せている。

 

「女ならな、奪うくらいの気持ちでいかなくてどうする。自分を磨けよ? ガキども」

 

 ……いや、ボクは男なんですけどね? 女が奪うだとすると男はどんな気慨を持てばいいのかな? 奪うの反対で与える……? いや、与えるって何を。

 ………………。はっ! そうか! ボクから一夏くんに与えられるもの……それはっ!

 

「一夏くんにISの戦闘経験を与えてあげればいいんですね!?」

「「「「……どうしてそうなった?」」」」

 

 みんながボクを一様に疑問のこもった視線でみてくる。お、おかしいな……。ボクがどこで間違えたんだろ。

 

「えっと……女は奪うって言ったよね?」

「「「「そうだな」」」」

 

 みんなが続きを促すようにボクの顔を覗く。たじろぎながらもボクはなんとか口を開いた。

 

「だから男のボクの場合逆の与えるのかもしれないなって思ってだよ? ボクから与えられるのはなんだろうって考えてISの戦いかなぁって」

「……友情とかでもいいんじゃないか?」

 

 若干呆れ気味な顔をしながらも、そう助言をしてくれる。

 そっ、その発想はなかったよ箒さん!

 

「というかお前も一夏を……?」

「え? あぁ……欲しいなぁって」

 

 一夏くんにボクを養ってほしいよね! じゃなくてボクに料理を作ってほしいよね。やっぱり手料理は違うと思うんです。ボクは。

 ――学食とかが手料理じゃないってわけじゃないんだけどね? 説明しづらいです。

 

「「「「!!!」」」」

 

 みんながボクの発言に息をのむ。え? なんで? 料理作ってくれる人とかいたらいいなぁって思わない?

 

「……私の嫁はそういう考えだったのか?」

 

 そういう考えってどういう考え? みんなおいしい料理を作ってくれる人とかいてほしくないの!?

 ボクとみんながみごとにすれ違って夜は終わりを迎え……

 

 

 

 

 

 なんてことはなかった。ここから先はボクとラウラさんが部屋に戻った話。一夏くんが戻ってきて飲み物をもらって、少し会話を楽しんだけど、飲み終わった後はなんだか居づらくなって出てきたんだ。

 ラウラさんは千冬先生に敬礼してたけど。まだ軍隊のあれが抜けないのかなぁ……

 

「お帰り~さーやちゃ~ん。およ? ラウラちゃんもいるの?」

「ああ。上がらせてもらうぞ」

 

 ボクが帰ってきたところにお出迎えしてくれる本音さん。そういえば彼女を待たせてたみたいだし、ちょっと悪いことしたかなぁ。

 ラウラさんに対する本音さんの対応は単なる好奇心で、いやがる様子は全くなかったので、少しほっとした。

 

「どうぞどうぞ~」

 

 

 

……………………

 

 

 

 

「ど、どうしてこうなっているんだ……」

 

 ラウラさん、現実を見よう。

 

「そうだよ~」

 

 ちょっと時を戻してみよう。このままじゃ何が何だかわからないからね。

 

 

 

 

 

 

 ラウラさんがボクたちの部屋に上がってボクたちは何をするか考えたんだ。そしたら本音さんが――

 

「そうだ~ラウラちゃんの愛称を考えようよ~」

「あ、それいいかもですね~」

「愛称?」

 

 ボクは本音さんに賛同し、頷く。ラウラさんはこの展開についていけていないようで、オウム返しに聞き返している。顔に映る色は疑問というより未知のものにたいするもの?

 

「ほら~さーやちゃんみたいな親しみを込めた名前だよ~」

「そうだよ~ラウラ~」

「…………あ、愛称……」

 

 どうしてかラウラさんの顔が赤くなってきているような―― 照れているのかな?

 

「じゃあ意見をだしていこ~」

 

 本音さんの合図と共に考えはじめ、

 

「はい!」

 

 ボクは宣言して手を高く上げる。

 

「はいさーやちゃん~」

「ラウラの愛称はボーデヴィッヒからとってボーちゃんがいいと思います!」

 

 ――瞬間。本音さんか底冷えのするような瞳を向けられた。あの本音さんがここまでの視線を向けるなんてただごとではない。

 ボクはだまって本音さんが口を開くのを待つ。

 

「さーやちゃん……それはないよ……」

「……あれ? ……す、すいませんでした……」

 

 あえなく撃沈。確かに思い返してみればあまり良い名前じゃないような……。ごめんねラウラさん。

 

「じゃあ次は私~。ラウラちゃんはぁ、ララちゃんがいいと思いま~す」

「ララちゃん……なんかいいような……」

 

 ちょっと違和感はあるものの、言いやすく親しみやすい。愛称としては結構いいものなのではないかと思った。

 

「や、止めてくれっ!」

 

 

 

 といった感じでさっきのに至る――と。

 

「ら、ララちゃんは止めてほしい……。ラウラでいいんだ。むしろラウラと呼んでほしい」

「ほぇ~? そうなの?」

「そうだったの?」

 

 ボクも初耳である。名前について議論したのは初めてだから、当たり前といったら当たり前なのだけど。

 

「あ、ああ……。――初めにそう思わせてくれたのはお前なのだがな……」

「うん? ラウラなにかいった?」

 

 切なげな顔をして何かをつぶやいたラウラさんに、反射的に問いかける。するとラウラさんはあわてながら首を振った。

 

「い、いや。なんでもない」

 

 否定を返してきたので深くは追求しない。多分どうでもいいことだったのだろう。

 

「じゃあこれまで通りラウラちゃんで~」

「あ、ボクもラウラちゃんにしよ……」

「ラウラと呼べ」

 

 ボクの顔近くにプラズマ手刀が出現する。サーッと血の気が引くような感覚を覚えるが、ここはボクの要求を伝えたい。

 

「こ、怖いよラウラ……で、でもっボクだってそうよんでみたいんだよ! わかってよラウラちゃん!」

 

 精一杯の気持ちをこめてボクの思いをぶつけた。

 ――すると、ボンッと弾けるようにラウラさんの顔が赤くなる。そ、そんなに怒っちゃうほど……? ご、ごめんね。

 

「ご、ごめんねラウラ……。悪気があったわけじゃ……」

「い、いや……べ、別にいい」

 

 あれだけ顔を真っ赤にするほど怒ってたのに許してくれるなんてラウラさんは優しいなぁ

 

「ありがと~!」

 

 感極まったボクは思わずラウラさんに抱きついてしまう。感情の発露の一種ではあるけども、後々思い返せば中々迷惑かもしれない。

 

「う? ……あ…」

 

 ラウラさんがさっきとは違ったような顔の赤くなり方をする。

 

「あ、私も私も~。みんなで抱き合っちゃお~」

 

 と、そこに本音さんも追加してボクたち3人はお互いのぬくもりを感じながら気分がよくなった……はず。

 ……途中でラウラさんが逃げてしまったので終わったけど。嫌そうには見えなかったんだけどなぁ……。

 

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