IS‐のんびり屋な天才‐   作:石っこ

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祭り 1

「あ、彩花さん! こっちですこっちです!」

 

きょろきょろと辺りを見回しているボクに声がかかる。現在ボクは絶賛出張中でございます。……ただお祭りにきただけだけどね! ちなみに場所は篠ノ之神社。名前を聞いてまさかとは思ったけれど、あまり聞かない名字でもあるし、多分箒さんの実家? のようなところだろう。

この祭りが開催されるということの情報ソースはこの人!

 

「へっ? な、なんですか?」

「こんばんは、蘭ちゃん」

 

 突然蘭ちゃんの方を指さしたのはボクにも関わらず、続いてとった至って通常の応対がボクたちの間に温度差を感じさせる。見れば蘭ちゃんは「えっ? ……えぇ?」といった感じになっていて、なんだか面白い。

 

「……酷いですよ彩花さん」

「あはは、ごめんごめん。蘭ちゃんその格好似合ってるね」

「そ、そうですか? ありがとうございます」

 

 ちなみに蘭ちゃんはボクに対して敬語っぽくなっている。身長的にもボクの方が小さいし、年齢も同じなのだから呼び捨てでもいいのではないかと思うのだけど、なんだか学校が厳しいという事情と、ボクが一応高校に通っていることから少し恐縮してしまうらしい。

 そんなに緊張しなくてもいいのにね。

 

「……って、彩花さん! はぐらかさないでください!」

「えっ、何が?」

「突然私を指さした理由ですっ!」

「え……と。あっと……その……。なんだかそうしなきゃいけないような気がしたから?」

「えぇー……」

 

 ボクの返したそのまんますぎる応対に、気疲れでもしたかのようにため息を漏らす蘭ちゃん。そんなに落ち込まないでよ~。えっと、原因はボク? なんかごめん。

 

「あ。そういえばなんですが私の方の友達と一緒に来てまして……もうすぐ戻ってくるとおもうんですが……友達が変な態度とったらごめんなさい!」

「え? 変な態度って……」

「それはですね……「お、会長の近くに誰かいるぞ? あれは誰だー!?」……」

「ん?」

 

 気がつけばボクたちのもとへと歩みよってくる4人組。それぞれみんなが浴衣姿で、とても可愛らしく見える。って、こんな表現しておいてなんだけど、ボクも同年代なんだよね。

 

「む? 誰だこの可愛い女の子はー! 会長の知り合いにこんな子がいたのかー!」

「んー、どこかで見たことあるような……」

「あ、それ私も思ったー」

「確かにどこかで……? でも、どこだろ」

 

 そのそれぞれがボクを見て、思い思いの感想を言う。最初の人はボクのことを完全に知らない……もしくは覚えていないようだけど、あとの3人はどこかで見たことあると言っているし……。

 もしかして、以前報道された時のかー、あれで見たとか言われるとちょっと恥ずかしくなっちゃうね……うぅ……

と、自らもそんな思考の波に入り込みつつ、その流れを蘭ちゃんが打ち切る。

 

「この人は緋桜宮彩花さんって言って! IS学園に通ってる人で、ちょっとした知り合いなの!」

「「「「そうなの、会長?」」」」

「えっ……ボクは友達だと思ってたけど、蘭ちゃんは違ったの……?」

 

 その紹介に若干涙目になりつつもボクは蘭ちゃんに問う。ボクは完全に友達だと思ってたから、予想外だ。

 

「えっと……も、もちろん私もそう思ってますよ!」

「そ、そっかぁ……」

 

 思わず安心した吐息が漏れる。夏であるが故に、冬のようにそれが白くなって見えることはないが、どこか色づいて見えたような気がした。

 

「か、か」

「「「「かわいいーー!!!」」」」

「う?」

「ちょ、あなたたち!」

 

 気がつけばボクは、その4人組に囲まれて触られたり抱かれたりしていた。なんだかこういった光景も慣れてきたような気もする。いや、女の子の体に触ってしまうのは慣れてしまうわけにはいかないんだけど。

 

「これって本当に年上!? 私たちよりちっちゃーい!」

「ほんとほんと! それに肌もきめ細やかで……うらやましい!」

「髪もつややかだし、天は二物を与えたのか!」

「ボクは年上じゃなくて同年代なんだけど……」

 

 IS学園に通っているということで、どこか勘違いしているようなので補足しておく。髪の毛とか肌とかを褒められて悪い気がする人はいないと思う。といってもやっぱり勘違いされてるんだろうなぁ……

 

「同年代!? ってことは……」

 

 その4人組が蘭ちゃんの方を凝視する。どうやらそのことに関するコメントを待っているようだ。

 

「えっと……彩花さんは頭も良くて……繰り上げみたいな形で入学したらしいの。飛び級の話は彩花さんから聞いたんだけどね」

「褒めてくれてありがとー」

 

 ボクの頭が良いかどうかはわからないが、とにかく褒められているので純粋にうれしい。

 

「これで頭も良いというのか……」

「天は3も4も与えるのですね」

 

 目の前ではよよよと嘆く4つの屍が。そんな4人を蘭ちゃんが軽く叩いて現実に引き戻している。

 

「だって会長! ずるいと思いませんか!?」

「そうですよ! こんな綺麗な容姿をもっていてそれでなおかつ頭も良いなんて!」

「……彩花さんは別格だもんね……でもそんなに卑下しなくてもあなたたちだって充分でしょ!」

「会長がそれを言いますかー」

「そうだそうだー」

 

 目の前では若干コントのようなものが出来上がっていて、話に入るに入れない。そんな様子に気づいたのか蘭ちゃんが声をかける。

 

「じゃ、じゃあ彩花さん! いきましょうか!」

「あー、会長はぐらかしたー」

「い、いいじゃない!」

「にしても男っ気がない集団だねぇ」

 

 その一言でボクと蘭ちゃんが黙った。ボクの方はああ、やっぱりという気持ちを抱いていて、蘭ちゃんの方はおそらく、そういえば説明してなかった といった感じだろう。

 

「そ、その……」

「? どしたの会長?」

「彩花さんは……男……だよ?」

「え」

 

 一瞬の沈黙が訪れ、これを好機とみたボクは無駄才能を発揮すべく、宙に指を躍らせる。久しぶりだなぁ。これも。

 起こした行動は『(おとこ)』と書かれたディスプレイを投影するぐらいだったけど。え? 漢字が違うって? 男って言ったらこれじゃないの? ……ボクのイメージと合いませんかそうですか。

 

「「「「えええぇぇぇぇ!?」」」」

 

 さすがに驚かれるのも慣れた。

 




今まで長かった分、反動のように短くなりはじめました(笑)
次話は4000文字程度に調整してありますので、そこそこ暇をつぶせるのではないかなと。
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