IS‐のんびり屋な天才‐   作:石っこ

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第3話

「あそこでいくら想定になかった行動をとられたとはいえ、対応が遅れたのは駄目だったかなぁ」

 

 ボクはあの試合のあと、軽く自己反省をしていた。驚愕しつつも接近戦武器を用意するところまでは出来ていたんだ。けれど、それを構える暇をくれなかったあの試験官を素直に称讃するべきなのかもしれない。

 他の人の動きを見ていないので確信できる要素はないけれど、あの人はどう考えても試験官というには充分すぎる強さをもっていたと思う。

 

「まだ頭が覚醒しないなぁ……」

 

 大して気にした風もなく呟く。ボクの頭が、もやがかかったように胡乱げになっているのなんていつものことだし、特に気にするほどのことでもない。むしろボクの頭が完全覚醒する時の方がよっぽど少ないし珍しいだろう。

 

 とりあえず今日はこの試験を終わらせたところで、帰っていいらしい。

 IS学園の見学ができないか聞いてみたが、今のところは部外者に近い状態で、正式に来れるのは明日からになるらしいので難しいとのこと。

 別にこの話題を引っ張る必要もなかったので、あの試験官――山田真耶(やまだまや)と言うらしい――との話を早々に切り上げボクはぶらぶらと歩くことにしたんだ。

 

 後ろから「私があなたの担任になりますのでー! 明日来たらまず私のところに顔を出してくださいねー!」と聞こえたので、ボクはコンソールを操作してちょっと無駄なことをしてそれに返答を返す。

 ボクがやったことはイルミネーションのようなものを映し出し、後ろに向けて「わかりましたー♪」という文字を見せるといもの。こういった無駄なことをするのはボクの得意分野です! えっへん。

 …褒めてないって? またまたぁ。……すいません。

 

 

 そんなこんなでボクはIS学園から、もとい試験会場から出た。

 っとその前に、収集した情報をまとめておく。誰かに見せるようにしてわざわざまとめているのが自分でも不思議だ。なんでだろう。

 

 まとめるといっても、そういろんな情報があるわけではない。昨日が織斑一夏くんが登校した日で、初日早々に…えーっと? イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさんと問題を起こしたとかどうとか。あはは。何をやってるんだろうねー。

 明日ボクはそんなヘマはしない! うん必ず!

 

 脱線しかけた。えっとあとは2つくらいかな? まず1つ目。1つ目はボクと一夏くんの専用機についてだ。

 男でISを使えるボクらは珍しいので、そのデータ収集の一環としてボクたちに専用機をくれるらしい。一夏くんはセシリアさんとの試合の日にその専用機が届くらしいね。ボクの方はといえば、容姿が女で違和感をもたれなかったせいで、男という通達がいくのが遅れて専用機開発が遅くなったとか。なんだろうそれ…? 悲しんだ方がいいのかな。男として。

 

 次に2つ目。部屋割りについてだ。

 本来なら男2人が入るのだからボクと一夏くんが同室になるべきだと思うのだが、これまたボクの容姿が問題でストップがかかったらしい。なにやら多分他の女子が妄想するからだとか。なんですか? それ?

 さらにこれをいった山田麻耶先生の顔が真っ赤だったので心配になったけれど、大丈夫ですと何度も言われたので仕方なく引き下がった。とりあえず、体調悪いなら休んだ方がいいですよ。とだけは言っておいたけど。

 また、一夏くんには幼馴染がいるそうで、そこのところも決めての1つになったそうだ。

 

 

 

 手に入れた情報はこんなところかな。まとめ終わりっと!

 

 と、大体ボクの脳内は結構働いている。寝ながらにしてやるな、ボクの頭。いや、実際はそんな稼働率は高くないんだけどね。

 

 とりあえず暇になったボクは、家に戻ることに決めた。なんて、言ってたのはいい思い出かな。一応今日からボクも寮生活なんだ。明日から登校するわけだし、わざわざ時間とお金をかけて電車を乗り継ぐのも馬鹿らしい。

 

 部屋は今のところボクの1人部屋と聞いている。ちなみに2人部屋に1人なんじゃなくて、1人部屋に1人だ。寮生活にわざわざそんな無駄ともいえる1部屋なんてあっていいのかなと疑問に思ったけれど、1人でボクがごろごろ出来るぶんにはなにも問題がないし、むしろ大歓迎と言わざるを得ない。

 いやぁ1人だなんて残念だなぁ、さびしいなぁ(棒) え? いや、1人でのびのびできることを喜んでなんかいませんよ? 本当です本当です嘘です。

 

 部屋につくなりボクはベッドに飛びこみ、その柔らかさを体一杯に堪能した。

 

「あうぁ~あう~」

 

 そんな言葉にならない声を発しながらごろごろ回る。はしたない行為だといわれるかもしれないが、ここは1人部屋だから構わないでしょう。そうでしょう。

 

ごろごろごろ。

 

ごろごろごろ。

 

ごろごろ…ゴツッ!!!

 

「ふぎゃっ!!」

 

 ごろごろしすぎたせいでボクはベッドから落ちるだけでなく、ついでに頭も打った。

 ボクは頭をさすりさすりとしながらもう1度ベッドに飛びこむ。変わらない柔らかさがボクを受け止めてくれる。あぁベッドは最高だなぁー。突っ伏して寝るのも味があるけれどやっぱりベッドだよねベッド。この柔らかさは何者をも変わらず優しく包み込んで………

 

 

※長々と脳内で語り始めたのでカット※

 

 

 こうベッドの素晴らしさを語ったわけだけど、やっぱり突っ伏して寝るのも………

 

 

 

 ……というわけで戻り戻ってベッドは最高だということだね!

 どうやら語りまくっていたおかげか陽も暮れていたようだ。ボクは結局なんだかんだで寝なかったことを残念に思ったけど、ベッドの柔らかさを堪能するという至高のひとときは楽しめたので、一応満足。夕食はもちろん学食だね~。IS学園の学食はおいしいと評判だし。

 そう決めるとボクは素早く移動する。そう、それはまるで捕食する動物のように!

※と彩花は思っていますが、傍から見るとちょろちょろ動くかわいい小動物です※

 

 

任務完了(みっしょんこんぷりーと)!」

 

 ボクはそんな風に、誰に向かって言っているのかもさだかじゃない軍隊の報告みたいなことをする。

食堂にはまだ誰もおらず、ボク1人……訂正。学生はボク1人だった。学食の食券を受け取ってくれる人はいるし、奥には調理人さんもいるのだろうし。

 

 ボクはカウンターぎりぎりの身長なので、食券を出すのも一苦労だ。ボクは小さくここでも任務完了と声を漏らす。

 

「あれ? いつの間にやら食券が……」

 

!?

 

 なぜか気づいてもらえてなかったみたいで、慌ててぴょんぴょん飛び跳ねる。

 カウンターの人はボクに向けて怪訝な顔を向けたが、数瞬の後笑顔を向けると食券に書いてある品を奥に伝えてくれた。

 

 ボクは料理がくるのを待つ間、なぜ怪訝な顔をしたのか考えてみた。

 う~んと唸って、ボクは気づいた!

 よく考えたらボクはIS学園の制服を今は着ていなかった! 制服はもらったけど、一日ももうすぐ終わるし必要ないかと考えていたのだ。それは確かに疑いの目を向けるよねぇうんうん。

 

 ちなみに補足だけれど、うんうんの部分で頷いたりはしていない。どこか眠たそうな顔で顎に手を当てて小首を傾げた感じになっているだけだ。

 

 考え事が終わった時くらいに注文した料理が来たので、手を伸ばす。手は届くのだけれど、カウンターの人が見かねたのか、かわりにトレイをとってくれて、テーブルまで運んでくれた。

 その際にボクはお礼を伝えるべく、出てきたお姉さんに向かって頭を下げてお礼を言い笑顔を向ける。笑顔は大事! 笑顔は最大のコミュニケーションツール!

 にぱ~。後日談。この時の彩花の笑顔の周りにひよこがとんでいるのを妄想したという…。

 

「はぅっ! ………かわいいわぁ……」

 

 お姉さんがその時顔を紅潮させて何か言っていたけれど、あいにくボクは はぅっ! という良く分からない奇声の部分しか聞こえなかった。

 

 戻っていくお姉さんにボクは再度お礼を言い手を振る。手を振り返してくれたし、あの人はいい人だなぁとか思ったりする。

 もたもたしてると料理のおいしい時を逃してしまうので、小声で挨拶をする。小声にした理由は特にあるわけじゃない。なんとなく気分です。

 

「いただきま~ふ」

 

 「す」じゃなくて「ふ」の発音になってしまったけど、ボク1人しかいないし、ばれてないばれてない。と、そんなことはわかっているのだけれど、なんとなく気恥ずかしくなってボクは気持ち急いで料理を食べた。もともとそんなに量を食べないので手早く完食する。

 トレイをカウンターに返し、上機嫌で寮の自室に戻る。帰り際、喧騒が聞こえてきたのでおそらくみんな戻ってきたのだろう。ボクの紹介は明日だし、今日顔見せするよりも明日の方がいいよね、と微妙に気を使ってボクは急ぎ足になった。

 

 

 

~女子生徒~

 

「あれ? なんかあっちに小柄な女の子が見えたんだけど…」

 

 これくらいの。という風に女子生徒は手を水平に払って、その大きさを表現する。

 

「気のせいじゃない? 寮にそこまで小柄な女の子なんているはずないじゃない」

 

 違う女子生徒はきっと気のせいだろう、と決めてこの話題を流し違う話題を振る。

 

「でさー、織斑君って格好いいよねー」

 

 それに相槌を打ちつつも女子生徒は首をかしげる

 

「確かにいたと思ったんだけどなぁ………?」

 

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