IS‐のんびり屋な天才‐   作:石っこ

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長らく書いていなかったため文章力(笑)がさらに強化されている気がします

ご指摘いただきました話を適当に書いてみました。


閑話 VS織斑先生!

1学期も終わって2学期へと入り、2日目ほど。千冬のことをお姉さまと呼び、妄執するように慕っていた生徒たちの温度も徐々に冷えてきた。

 

一部は今も変わらず千冬のことを慕って(罵ってもらう?)いるが。

 

「私たちは対策を考える必要があると思うの!」

 

 夏休みが明けたとはいえ、まだまだ暑さにバラつきがあって、真夏のような日も多い中1年1組の教室でひとりの女生徒が宣言した。

 その近くにいた人たちは皆一様にぽかんとした表情を向けていたが、その女生徒の熱意を感じ取ったのか、詳しく聞き始めた。

 

「必要ってなんの?」

 

まずひとりが先陣をきって尋ねる。最初はなんの騒ぎだと遠巻きに見ていた人も、気になりだしていつの間にか輪に加わっている。

 

「うん。私たちの共通認識として彩ちゃんはかわいい、これは正しいわね?」

「う、うん……」

 

 頷いてはいるものの、その女生徒との温度差を感じずにはいられないメンバーもちらほら。

別に彩花のことをかわいいと思っていないわけではないのだが、ここまで固執するほどでもないとも思っているのだ。――まぁ、それでも度々彼の仕草にやられてしまってたりするわけなのだが。

 

無論その反対に、強く同調をしめすメンバーも多くいた。こちらは何を考えているのか、頬を朱に染めている人もいたりして、そうでない人には少しだけ引かれている。

 

「いくら千冬お姉さまでも彩ちゃんをあそこまで……うぅっ」

 

 なんだか泣きまねのような妙な演出まで加えている。一部は正直、若干顔を引きつらせるものの、その意見には概ね同意出来たため頷いた。

 

「確かにねー。あんなちっちゃな彩ちゃんを、ああも遠慮なく叩くのをみてると……」

 

そんな風な発言を聞いて、周りが同調。千冬と彩花、両方とも好きな人物も数多く、その辺りは複雑な表情を作っていた。

 

「ましてや一緒に通ってるから忘れがちだけど、彩ちゃんはまだ本来中学生なのよ!?」

 

 途端にその集団はハッとした表情を作り始める。確かに彼女たちは彩花の異常ともいえる成績のよさ、それにどう足掻いても勝てないことに少しだけ劣等感を感じるとともに、どこか同年代以下とは思えなくなってしまっていた。

 

 しかし、今ここで指摘されたことによって彼女らの中には、本能ともいえるべき感情が沸き上がってきていた。幼子を守ろうとする母性本能である。自分よりも年下であること、容姿が明確に小さな子としての定義を満たしていることが、確実に起因している。

 

「でもでも~、さーやちゃんも辛そうじゃないしいいんじゃないかな~?」

 

 本音が今ここにはいない彩花の意思を汲む形で発言をするものの、数秒もかからず黙殺。ちょっと険悪になったムードのせいで、本音は輪から抜けて机に突っ伏してしまった。

(ふえ~。さーやちゃんごめんね~。さーやちゃんならそういうと思ったんだけど私じゃ無理だったよ~)

 

「それで具体的に私たちは何をしたらいいの?」

 

 初めに対策がどうのこうのと言いだした女生徒に尋ねた。他も興味津々の様子でずずいと詰め寄っている。

 一呼吸タメを置いたあとに口を開いて出てきた言葉は――

 

「それを今から考えようとしてるんじゃない」

 

 確かに最初から考える必要がある……とはいっていたものの、これだけ熱心に言うのだからすでに何かしら決まっているのだろうと思っていた。そのせいか誰もが落胆の表情を見せ、それを見て女生徒はちょっとだけ狼狽。

 

「な、なによ! だから最初にいったじゃない! 考える必要があると思うって! た、確かに一応私自身だけで考えてはいるけど……」

 

 勢いそのままに捲し立ててついでにポロッとこぼした言葉。ふといつの間にか俯いていた顔を上げれば、目の前には好奇心に輝くいくつもの瞳が。

 

「うっ……い、言えばいいんでしょ」

 

 うんうんと頷く他の人たちのせいで女生徒は涙目になりそうになったが、それを懸命にこらえた。

 

「織斑先生が彩ちゃんに繰り出す体罰を止めてみようと思うの」

 

 途端、辺りががやがやと騒ぎ始めた。「そんなことできるの?」「それって私たちに矛先が向くってこと?」などなど。千冬の行動を見てきているせいか、さすがに皆気後れしてしまっていた。――しかし、

 

「みんな、私たちの彩ちゃんに対する気持ちを思い出しなさい!」

 

 さきほどまでの雰囲気はどこへやら、女生徒は自信をもった顔つきで言った。その言葉でハッとなる人々と――

 

「……なんかちょっとついていけないかも……」

 

当然こうなる人もいたのだった。

 

 

 

 

作戦自体は至極単純で、割って入るというものだった。穴がありすぎる計画ではあるものの、足りない部分は各自アドリブでなんとかするということになっている。

――発案者が考える責任を放棄しているともいえるが――

 

 時は変わって実習の時間。近々2学期初の実戦訓練もあるということで、基礎的な訓練に熱も入る。そんな時、彩花は予定にない行動をしでかしてしまったため、千冬に嬉々として何かをされそうになっていた。

 

 一応なにがあったかを語ってみよう――

 

「緋桜宮。今日の演習の内容を言ってみろ」

 

 嘘は許さないといった雰囲気で、毅然として言い放った千冬。対して彩花は焦りからか、いつもはにこやか、もしくはねむたげな表情をわずかに変化させている。

 目線はそこかしこへ揺れ動き、どう見ても何かをしでかしたと語っているようなものだった。

 

「え、えっと……敵の攻撃を避けながら接近するための移動法の練習……ですよね?」

 

 だんだんと語気が弱くなりながら言い終えた彩花に、千冬はまるで感心したといわんばかりの顔を向けた。

 

「ほう。正解だ」

「で、ですよね」

 

 ――しかし、これで終わるわけがない。千冬はさきほどまで浮かべていた表情を真逆に変化させた。つまりは冷酷無慈悲な鬼教官の表情に。

 

「で。お前はなにをやっていたか言ってみろ」

 

 途端に凍りつく空気と、押し黙る彩花。周囲にいたクラスメイトもこの空気に緊張して、身体を固まらせている。

 

「そうか、言えないか。ならば私が言ってやろう。お前がやったことは実際に仮想の敵機を展開。のちにそれに攻撃させ、自分がそれを避けて接近する風景を見せるというものだ」

 

 罪人の罪状を読み上げるかのように淡々と話していく。そこに情がこもる余地はなく、この先の展開を容易に予想させた。

 

「教師陣の誰かに許可をとったのならまだいい。だが、お前は自分で勝手な判断をし、それを実行した。これがどういうことか……わかるな?」

「え、えっと……」

 

 と、そこまで言ったところで、ふいに数名の女子生徒が間に入ってきた。まるで彩花を守るように。今までになかった展開に眼を見開く千冬と彩花。

 

「……なんだお前らは」

 

 一応こうなった経緯を聞くつもりでそう問いかける。

 

「織斑先生は毎回ちょっと酷いと思います!」

 

 対して返ってきた答えはあまりに予想外で、千冬と彩花は思わず顔を見合わせた。

 

「なにがどうなっている緋桜宮」

「ボクもなにがなにやら……」

 

 今までこんなことはなかったため、この急変化をとりあえず彩花が関わっているのではないかと思いこんだ千冬に、彩花は否定を返す。結局お互い何も分からず疑問だけが自身の中でループしていた。

 

「彩ちゃんだってよかれと思ってやったことじゃないですか!」

 

 今回のケースはやったことが問題なのではなくて、事前にそういった許可をとらなかったことが問題なのだが、その会話をしていたところにいなかったため、知るよしもない。

 千冬もいちいちさきほどの会話の説明をするのも馬鹿らしいので、いつものように威圧してみる。

 

「お前がこいつの代わりに罰を受けるとでも?」

 

 思わず怯んだ生徒に、まあこんなものかと思い彩花の方に向き直ろうとしたが……

 

「う、受けます! 私が彩ちゃんの代わりに罰を」

「ええ!?」

 

 千冬は思わず頭を抱えそうになった。さすがになにもしていない生徒を叩くのは、色々良くない事態を引き起こす恐れがある。また、彩花だからこそ容赦がなかったという側面もあるので、この展開には頭を悩まされた。

 

 彩花本人はそんなことより他人に迷惑をかけるのが嫌だったようで、なんとか収拾をつけようと頭を巡らせる。しかし、色々な思惑がすれ違った結果のこの展開を容易に収拾するのは不可能だった。

 

「……緋桜宮、あとで反省文でも書いて提出しておけ」

「あ、はい」

 

 とりあえずは体罰以外の方向にすることで、その生徒からの反論もなくなったため、よしとするのだった。

 

 

――以降千冬は度々間に入ってくる数多くの女生徒に悩まされることになった――

 

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