IS‐のんびり屋な天才‐   作:石っこ

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難産。展開がおかしいなど思った点があればご指摘ください。


第44話

しばらくして。いつも通りに授業を受ける。チラと一夏くんの方を見ると、楯無さんの猛特訓のせいか、ちょっぴりやつれているように見えた。そんな姿にも関わらず、箒さんやセシリアさんが一夏くんに向ける目はどこか非難がましい。

 

「大変だなあ、一夏くんも……」

 

なんとも言えない気持ちになりながら、ため息を吐く。きっと今日の放課後も一夏くんは楯無さんとの特訓が待っているんだろうなあ、と考えつつ。

他人事といえば他人事ではあるのだけれど、楯無さんの性格がなんとなくわかってしまっているせいか心配だ。

そんなこんなで上の空になりつつも授業は進行していくのだった。

 

一夏くんの問題については置いておくとして。ボクらに共通して差し迫る問題と言えば学園祭だ。本格的な準備はもうちょっと先だけれど、使うものなどはリストアップしておき、どこからどのように手配するかも考えておかなければならない。

制服は@クルーズのものが借りられることとなったし、クラスのみんなにアテがあると言ったラウラの面目は潰れずに済んだ。どこから借りるかを話したら、驚いていたけど。確かにラウラの印象からはイメージしにくいかもしれないね。

 

さて、問題は机や椅子などだろう。さすがにそれを@クルーズに頼むというのは無茶がすぎる。毒を食らわば皿まで……なんて言葉もあるし、頼んでしまうのもアリといえばアリなのかもしれないけど。ってそれはちょっと違うか。

さておき。教室の机や椅子を使うのは、雰囲気に合わないし却下。とはいえ、ラウラのように喫茶店への知り合いを求めるのは難しい。IS学園の特性上バイトができないためだ。一般の学校だったらバイト先の喫茶店の伝手を頼って――なんてこともあっただろうから素直に羨ましい気もする。

 

「残念だなあ……」

「なにがだ?」

 

いつの間にか傍らにいたラウラがボクのつぶやきを拾った。

 

「いや、テーブルや椅子をどうやって調達しようかなって」

 

先程のつぶやきに関連して、ぼやいてみる。3人寄らば文殊の知恵だ。ボク1人がうんうん唸っても仕方ない。まあ、3人もいないんだけど。

ラウラは手を口元にあてて思案する様子を見せた。

 

「ふむ……確かに問題だな。雰囲気にそぐわないものを用意するわけにもいくまい。いっそテーブル類も頼むのもアリか……?」

 

ラウラが同じ結論に至ったところで苦笑する。そしてさすがに迷惑をかけすぎではないかと言うと、納得したようだった。

 

「しかし、それならばどうする? 我々で作るにしても中々に骨が折れる作業だと思うぞ。私自身、机を作れないこともないが、なにぶん想定している状況が状況なのでな。喫茶店らしいものにはならないだろう」

 

ラウラが問いかけてくる。野外での活動はお手の物というか、机を作るくらいはできるらしい。

 

「そうだね……まあボク達だけが頭を悩ますこともないだろうし、皆の協力を仰いでみようか」

 

ラウラと話し込んでいたけど、よく見ればもう放課後だ。一夏くんはすでに席にいない。そういえばシャルロットさんはどこだろう。

きょろきょろと辺りを見回すと、ボクがなにを探しているのかわかったようでラウラが口を開いた。

 

「シャルロットなら一夏の特訓に付き合いにいったぞ。あの女から頼まれたらしい」

 

なるほど。疑問は解けたわけだけど、あの女って……ちょっとトゲのある呼び名だなあ。

そんな思いで浮かべた苦笑の意味を、ラウラは正確に理解したらしく、弁解するように続けてきた。

 

「その、なんだ。私はアイツが単純に少し苦手なのだ」

 

私をちゃん付けで呼んでくるし、と小声で付け足す。確かにラウラの周りにはいなかったタイプかもしれない。軍人仲間であのノリで接してくる人はいないだろうし、IS学園に来てからも、ラウラはクールというか、ちょっと冷たい感じだからちゃん付けで呼ぶ人はいない。

 

「でも、ちゃん付けされるのが嫌そうには見えないけど」

 

と、正直に思ったことを口にすると、ラウラは顔を赤らめながら咳払いをしてごまかした。

 

「私のことはいいだろう! 話題をすり替えるんじゃない」

 

彼女自身よく知らない感覚に戸惑っているのかもしれない、と勝手に結論付けてうんうんと頷く。そんなボクをラウラはジト目でにらんでたけど……。

ラウラの無言の圧力にちょっと耐えられなくなってきたので、話を進めようと思う。

 

「鷹月さん! ちょっといいかな?」

 

ボクが声をかけたのは鷹月(たかつき)静寐(しずね)さんだ。真面目で委員長気質(もちろん悪い意味じゃない)な彼女は頼るのに適任だと思ったからだ。それに静寐さんは箒さんのルームメイトなので、ボク達ともそれなりに接点があり、話しやすいという理由もある。

 

「なに? 彩花くん」

 

振り向いた静寐さんは、料理に必要そうな材料など、ボク達のクラスの出し物に必要そうなものをリストアップしているところだった。仕事を増やすことになるので申し訳ないという気持ちになりつつ、お願いを口にする。

 

「その、できればでいいんだけど。喫茶店に合うテーブルや椅子を貸してくれる人たちに心当たりがないか、クラスに伝えてもらえないかな?」

 

ボクが動くよりも、落ち着いた空気で取りまとめる静寐さんに動いてもらった方がよさそうという考えだ。

 

「確かに、テーブルや椅子は必要になりそうね。そう考えると食器も何か特別なものを用意した方がいいのかしら?」

 

西洋の陶磁器とか、とつぶやく静寐さん。思いもよらぬ方向へと話が広がっているけど、想像してみると確かに良い気がする。

 

「承ったわ。明日までにはクラスに周知できるよう配布物を作成しておくから、任せておいて」

 

と笑顔で承諾してくれた。そしてリストアップする作業に戻った。それを見てラウラと顔を見合わせる。考えることは一緒のようで、手伝いを申し出たのだった。

 

 

 

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