セシリアさんと一夏くんの戦いが終わった後、結局クラス代表は一夏くんになった。一夏くんは「俺負けたんだけど!?」みたいなことを言ってたけど、セシリアさんが辞退したんだから仕方ない。嫌ならボクが出ようかともいったんだけど、クラスの人に止められたし一夏くんにも顔を逸らされつつ、「いや、お前にいかせるくらいだったら俺がいくから安心しろ」と言ったので諦めた。面白そうだと思ったけどなぁ。
セシリアさんが辞退した理由だけど、突然で何が何だか……。一夏くん自身も驚いてたし。クラスの人は多少わかってるみたいだったから、聞いてみたけど曖昧な返事しか返してくれない。さらには聞いた後ついでというように抱きしめられるし。みんな忘れてるのか知らないけどボクは男なんだけどなぁ……
で。クラス代表就任パーティーが行われることになったんだけど……。
「…すぅ……すぅ……」
ボクは眠ってたんだ。いや、祝い事とかは好きなんだけどね? ちょっと前日夜更かししてしまったものだから…。なんかみんなに申し訳なかった。
とりあえず起こされた時みんなに謝ったんだけど、「いいよいいよ、むしろ眼福…ゴホッゴホッ」って感じだった。こんなボクを許してくれるなんて嬉しいなぁ。風邪ひいたりしてないよね?
そういえば来てた新聞部の人にも謝ったんだ。新聞部の人は「話題の織斑君とセシリアさんの専用機持ちのショットも撮れたし、……君の寝顔も撮れたしね」とか言ってたのでちょっと照れた。まさかボクの寝顔が撮られたなんて……需要あるのかな? あったらあったでどこか問題な気がするけど。
次の日
はい。どうも、緋桜宮彩花です。今クラス内では転校生が2組に来てクラス代表をかっさらったらしいって噂が流れてるんだけど……
「なんだそれ? この時期に転校生か?」
と一夏くんがいってたけど、確かにこの時期に転校生っていうのは中々ないよね。簡単に予想できるところとしては、IS男性起動者である一夏くんの偵察のようなものが、各国からきたって考えるのが妥当かな。といってもまだ1人目だから各国とはいわないかもしれないけど。
そんな風に思考を巡らしていたんだけど……
「その情報古いよ!」
という声と共に教室の扉が開け放たれた。
みんなが何事かと思ってそっちの方を向く。ボクからは見えないんですけど…身長的に。
話の要点を抜粋すると、
・2組には中国の代表候補生である、
・一夏くんとは旧知の仲らしい、これは要点とは違うかな?
ま、こんなところかな。その鈴音さんなんだけど、千冬先生に軽く叩かれて、自分のクラスに戻っていったらしいのがみんなの反応と遠ざかる足音でわかった。結局ボクは鈴音さんを見れなかったんだけど……
で。その日の昼。
鈴音さんと一夏くんが相席でご飯を食べてます。箒さんとセシリアさんがしきりにそっちを気にしてるんだけど。うんうん。わかるよその気持ち。突然やってきた鈴音さんの専用機が気になるんだよね? ん? なんかクラスの人の反応が悪い。
――え? 違うって? じゃあ気になる要因ってなんかあるっけ? クラス代表になったことの方かな? あ。みんなが子供を見るような目でボクを見てくるよ…。
「そういえばもう1人の男ってのはどこにいるのよ?」
鈴音さんが一夏くんに疑問をぶつけているようだ。当事者であるボクが自らでていった方がいいかなぁ。
「ああ。それならそこに……伸びてる奴がそうだ」
「え? どこにいるのよ?」
一夏くんの指先はボクを指しているのだけれど鈴音さんは探すような仕草をしている。ボクがちっちゃいから視界に入らないのかと思って軽い自己アピールをしてみる。自分の真上に矢印のディスプレイを作ったといった感じのアピールで。
「…………何これ?」
「「「………さぁ…?」」」
みんなが一様に微妙な反応を返してくる。その反応がボクの心に響くよぉ……。
ボクのネタ才能を発揮する時だと思ったのになぁ。タイミング間違えたかなぁ。
「……もしかして。この子がそうなの!? どうみても女の子じゃない!?」
む。またボクを女の子に間違える輩か? いや、ボクを一目で男と見抜くような人とあったことないんだけどね。いつか会ってみたい。というか誰かそういう人来てください!
「あぁ。それは俺も常々疑問に思ってるんだが……先生たちの扱いからしてどうやら本当らしいぞ」
一夏くんが鈴音さんの言葉を聞きながら、ボクを見てうんうんと頷く。失礼な。一夏くんまでボクのことをそういう風にみてたのかい? 同じ男じゃないか。
「あ、鈴音さん。ボクが第2の男の起動者、緋桜宮彩花です。よろしくお願いしますねー」
反応を返さなきゃ失礼だと思うので寝ぼけ眼で、ぐで~んとした姿勢のまま手を振る。
姿勢が失礼かもしれないけどそこは勘弁してほしいです。
「は…はぁ……? というか何このかわいい物体!!」
「駄目です! 彩ちゃんは私たちクラスの宝物なんですっ!」
どこかボクの預かりしらぬところでボクに関する争いが発生してる気がするけど………まあ、ボクが気にする必要も多分ないよね。
それと一夏くん。女の子を紹介する時にファーストだとかセカンドだとか言うのは感心しないなぁ。もっとしっかり紹介してあげないと。フルネームでしっかりと。ちなみに愛称で紹介したりするのは厳禁ね。
その会話の中で。
一夏くんの訓練がどうとかいっていたので。「あ、ボクもそれ参加…見学していいかな?」と聞いたら、セシリアさんと箒さんはボクの方を勢いよく振り向いた。この反応的に無理かなとボクは思ったんだけど、2人とも「「う……」」という感じにたじろいだと思ったらいつの間にか許可されてた。よかったよかったぁ。
訓練はなんだかんだで2対1になっていた。もちろん一夏くんが1だ。一夏くんって1って数字に縁があるねー。ボクも入って2対2にしてあげたい気持ちは山々だったのだけれど、ISは事前に結構な量の手続きが必要なうえに、提出してさらに少しの期間待たなければならないので現実的に不可能だった。
…どうみてもセシリアさんと箒さんのタッグは連携がなってなかったけれど、まだ始めたばかりの一夏くんじゃあ無理だろう。なんせセシリアさんは国家の代表でもあるのだし。BT兵器の試作運用という情報も手に入ってるけど、それを言うのは野暮というものです。実際IS適性も高いようだし。
というかなんであそこまで連携が駄目なのか逆に不思議だ。その中で一夏くんに攻撃する時のリズムだけがぴたりと合ってるのも。
そんな風に3人を見てたら辺りももう暗くなってるし、終わりにするようで箒さんとセシリアさんが戻ってきた。
「彩花。訓練は終わりだから上がっても大丈夫だぞ」
「彩花さん。終わりでしてよ? どうでしたか? 私とブルー・ティアーズは」
「うん。とても勉強になったよ。箒さんの剣とかセシリアさんの射撃・ビット操作とか」
「そ、そうか(ですか)……」
あれ? 2人の頬が赤くなってる。運動したからかな。
「2人ともお疲れ様! これどうぞ」
と言ってボクはお手製の飲料水を渡す。一応準備していたもので一夏くんの分もある。これに配合しているものは……説明が面倒になるので省きたい。とにかく疲れた体に効くようなものだと思ってくれれば間違いないと思う。
「あ、ありがとう……」
「あ、ありがとうございます……」
「どういたしまして~」
別に大したことをしたわけでもないので、軽く応対だけしておく。
その後2人は戻っていったのであとは一夏くんだけだ。そんな風に控室で待っていたボクなのだけれど……人の気配を感じたのでなんとなく隠れる。
「お疲れ一夏っ!」
「おう」
声から察するに鈴音さんみたいだ。
「飲み物はこれでいいよね? あと、はい。タオル」
「ありがとな」
ん~。ボクが凄く出辛い。お邪魔するのも悪いのでこのドリンクはボクが飲むことにして、退散させていただきますね。では、よい時間を~。
「ん? そういえば彩花が見学してたはずなんだけど…終わってからしばらく経つし、もう帰っちまったかな?」
「そうなんじゃない?」
あ、今帰るところです。お邪魔はしませんのでご安心くださいね!
その日一夏くんと箒さんの部屋で一騒動あったらしい………。