caliber of king   作:消失ちゃん

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消失と申します。
お気に入り登録して下さった方々、本当にありがとうございます。
初めての方も多いとは思いますが、ぜひ読んでいただければ幸いです。評価、感想等何でも受け付けております。
それでは、caliber of king 2話 をお楽しみください。



王たる才

「こんな偶然も、あるもんなんだな…」

「そうですね…」

 

同部屋となった蓮と千羽矢は、部屋に付いたきり気まずい雰囲気になってしまっていた。

無理もない。知り合ったばかりの若い男女が2人、同じ部屋で3年間を過ごすのだ。

 

(正直、まいったな。風呂やトイレのタイミングに気を使わなきゃならないし、何かと大変そうだ。いや、もちろん一緒にいること自体は全く問題ないんだけど…色々我慢できるのかな、俺…)

 

蓮はこれからの生活の仕方に頭を抱えている。

 

(うぅ…どうしよう…男の人と同じ部屋で3年間も過ごすなんて…しかもあの才能だもん…私なんかが一緒にいて、大丈夫なのかな……迷惑じゃないかな…)

 

千羽矢に至っては、今にも泣きそうな表情だ。

 

「ち、千羽矢さん、大丈夫?ごめんね、俺なんかが一緒の部屋になってしまって。」

「えっ!?ううん、私は大丈夫…むしろ、蓮さんに迷惑かからないかなって…私って得意なこと何もないし…」

「そんなことはないよ。君の才能はランクSなんだから。それに、俺は千羽矢さんが一緒で良かったと思ってるよ。」

「!?そ、それってどういう意味ですか…?」

「い、いや、深い意味はないよ。単純に仲良くやっていけそうだなって思ったんだ。俺に出来ることなら何だってやるからさ、これから2人で頑張っていこう」

(ーー!やっぱり、優しいんだなぁ、蓮さんは。本当にこの人が同部屋でよかった。)

 

「それにしても、かなり豪華な部屋だな。1階と2階に分かれてるし。そのへんのリゾートホテルより、はるかにいい部屋だよ…」

「そ、そうですね…私も驚きました…」

 

周囲を見渡す。キッチンに調理器具、冷蔵庫、テレビ、電話、ソファー、ベッド、あとは衣類やタオル等の入ったタンス、クローゼットだろうか。これだけのものが完備されている。

結局、1階が千羽矢、2階が蓮の部屋ということになった。

 

「とりあえず、どうしようか。まだ午後の4時だし、買出しにでも行く?」

「そ、そうですね。晩御飯作らないと…って、お金はどうしましょう…」

「あぁ、お金なら今月分だけは学校が無条件で支給してくれるらしいよ。その後は成績等に応じてお金が支給されるみたいだね。ほら、あそこに。」

 

クローゼットの下に、金庫があった。初回のみ開放されており、茶封筒が顔を出している。

 

「えーっと…15万円相当の学園内通貨か。当面はこれで生活しろってことだね。」

 

この学園領では、領内専用通貨が用いられる。とはいえ、単位は円で通るようだ。

光熱費や水道代、宿泊費等は出さなくても良いので、2人でも月15万もあればゆうに生活できる。

 

「とりあえず、近くのモールに行こうか。生活必需品から食料品まで調達しないとね。」

 

―――――――――――――――――

「晩御飯、何か食べたいものはある?」

「えっ!?えーっと、私は何でも…」

「まあまあ、遠慮せずに。一応料理は心得てるんだ。」

「じゃ、じゃあ…きつね、うどん…」

「了解!それじゃダシと麺を…」

 

―――――――――――――――――

「よし、一通り必要なものは揃ったな。それじゃ、帰ろうか。」

「はいっ。」

 

(……ん?)

何やら広場の方が騒がしい。

どうやら、学園の生徒同士のいざこざのようだ。

「おいてめぇ、何してくれてんだ!」

「あんだとコラァ!やるってのか!?」

見ると、2人の男が顔を真っ赤にして怒鳴りあっていた。

野次馬も相当数おり、通行の妨げになっている。

 

(まったく…アホなやつら。いきり立ちやがって。人の迷惑も考えろよ…って、あいつら邪魔で俺たちも帰れないじゃん。仕方ないな…)

 

「おい」

「「誰だてめぇは!」」

「跪け」

 

そう蓮が言い放った瞬間、2人は尻餅をついた。

「「…え?」」

「千羽矢さん、行こう」

「……!は、はいっ!」

 

圧倒的な威圧感、圧迫感を受けた2人は、蓮の姿が見えなくなるまで瞬きすることすら許されなかった。

 

「まさか…あいつが、噂の…」

 

(こんな奴らに王の力を使うまでもない。)

蓮はそう呟きながら、千羽矢と共に自室へと帰っていった。

そう、この威圧感は王の力とは無関係。ただ単に才能の差によって感じるもの。

それがこの学園の頂点に君臨するEXランクの才能たる所以であった。

 

―――――――――――――――――

「…ありがとうございますっ!すっごくおいしかったです、きつねうどん!」

「それはよかった。俺も久々にきつねうどん食べたよ。」

「ところで、お風呂どうなさいますか?」

 

時刻は既に夜の9時を指している。

 

「ああ、先に入ってくれていいよ。俺は荷物整理でもしておくから。」

「わかりました。それでは、お先に失礼しますね。」

 

「ふう…」

蓮は、自室のベッドに寝そべり、天井を見つめていた。

千羽矢との出会い。

ここまで偶然が重なるのはどういうわけなのだろう。隣の席で、同部屋同士。

(おまけにあの胸に容姿だもんなぁ…さすがに苦行を強いすぎだよ…俺だって年頃なんだよ…)

事実、買出しの時も10人のうち9人の男は千羽矢を見て振り返っていた。

それほど千羽矢は魅力的な女性といえる。

 

(うぅ…蓮さんはああ言ってくれたけど、さっきの圧倒的な才能見せられたら、どう考えても足でまといだよ…)

 

千羽矢は千羽矢で、浴槽に浸かりながら学園生活の行く末を案じていた。

 

(それに、蓮さんは、……かっ、かっこいいもんね…絶対、私なんかが釣り合うわけないよね…他の女の子の目の敵にされたりしないかなぁ…私、本当にうまくやっていけるのかな……)

 

蓮も才能のみならず、容姿においても優れたものを持っていた。

こちらも先述の通り(1話参照)、学園内で早くも噂になるほどだ。

 

それぞれに不安を胸に抱えながら、二人ともが床につこうとした夜の11時、事件は起きた。

 

(ーーーー!!!!ない、ない!あれがないと、眠れないのに……!)

 

千羽矢が愛用している、等身大サイズの抱き枕がない。

どうやら実家に忘れたようだ。

彼女はこの枕がないと、眠ることができない。

 

(どうしよう、、、どうしよう、、、)

 

焦りから目に涙を浮かべる千羽矢。

明日も学校があるのだ。ちゃんと眠っておかなければ、倒れてしまうことだってある。ただでさえ、新しい環境に疲れているのだから。

 

(もう……恥をしのんで、お願いするしかないよね…でも、きっと嫌われちゃうよね……気持ち悪いよね…どうしてこうなっちゃったんだろう…)

 

気づけば、千羽矢はぐすぐすと声をあげてすすり泣いていた。

それに気付いた蓮は、何事かと階段を駆け下りる。

 

「千羽矢さん!?どうしたの!?」

「!!…………」

 

千羽矢は膝を抱え込み、顔を埋める。

ものすごいスピードで心臓が脈打っているのが分かる。

 

「だ、大丈夫?」

「……と、……て…」

「え…?」

 

すうっと息を吸い、意を決したように。

彼女は言った。

 

「…私と一緒に、寝て下さいませんか…?」

「…………は?」

 

……何を言ってるんだ、この子は。

 




主人公の蓮君は王の才能を持っていますが、どれくらいすごいのか、などが序盤では分かりにくいかと思います。
物語が進むにつれて、バトルシーンも多くなっていく…予定です……
登場人物を増やしていったりすることも考えていますが、基本的にこの2人の視点から物語を展開していきます。
ヒロインの千羽矢ちゃんとの恋愛要素、というのも大事にしていきたいと思いますので、駄文ではありますがこれからもよろしくお願いいたします。
手に取っていただき、ありがとうございました。
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