蒼空を駆るは誰がためか   作:無勝の最弱

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第十話

 

「今日は転校生を紹介します。しかも二人で、うち一人は男子です!」

「「「きゃぁぁぁ!!」」」

 

山田先生の報告に一気に盛り上がる一組女子たち。

早くも「部屋は!?」とか「どこから!?」とか「一×辰以外の……」とかいろいろ騒ぎ始めている。最後のは聞かなかったことにしよう。うん、絶対そうした方がいい……。

 

そんな中、ドアが開き、二人が入ってきた。

入ってきたのは中世的な顔立ちで金髪、『貴公子』という言葉が似合いそうだ。もう一人の方はロングの銀髪と眼帯が印象的だったが、纏う空気は『軍人』のそれだった。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました、よろしくお願いします」

「「「金髪の貴公子様きたぁぁぁ」」」

「お前ら静かにしろ!」

「「「はいっ!!」

 

織斑先生の一声で静まる女子たち、鶴の一声ってこういうのを言うんだろうなぁ。

 

「織斑、デュノアは聞いた通り男子だ。ゆえにお前と同室になるからな」

「君が織斑君?よろしくね」

「ああ、よろしく頼む」

 

デュノア君は一夏と同室になるらしい。

「ゆえに」って言ったはずなのに俺には見向きもしないんですか……。悲しいことに俺はいつまでたっても俺に安住の時は訪れないのだろうか……?

 

「……」

 

対照的にもう一人の銀髪少女は腕を組んだまま、クラスの人間など気にせず織斑先生にのみ視線を向けていた。

 

「……挨拶をしろ、ラウラ」

「はい教官」

「ここではそう呼ぶな。もう私は教官でもない。ここでは織斑先生と呼べ」

「了解しました――ラウラ・ボーデビィッヒだ」

 

ほんとにただただ名乗っただけだった。

そしてその視線は一夏に向かい、歩み寄る。そして――

 

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」

 

平手打ち、クラス全員が固まる中、ラウラはクラスの奥の空いている席に座って目を閉じ、再び腕を組む。

しばらく沈黙が続いたが、織斑先生が号令をかけて授業が始まった。

 

「…………」

 

ふと視線を動かすと、エスデスさんが一人で別のことを考えているようにも見えた。

 

 

 

「あのラウラってやつと知り合いなのか?」

「いんや、まったくの初対面」

 

今は放課後。

さっきの実習でセシリアと鈴のタッグが山田先生と2対1の模擬戦をしていたが、結果は山田先生の圧勝。二人は専用機だったのに対して山田先生は量産型IS『ラファール・リヴァイヴ』を使っていた。山田先生は元日本の代表候補生だったらしくとても高い技量を見せつけ、連携が全く取れていなかった専用機ペアを倒した。

食堂で一夏、タツミ、エスデスの三人(最初は鈴とセシリアがいたが、けんかを始めたのでエスデスにつまみ出された)は今日の実習について話し合った後、ラウラの話になった。

 

「あいつが俺を認めないって言った理由は俺が千冬姉の弟だからだろうな」

「どうゆうことだ?」

「……オフレコで頼む。世間一般には公開されていないけど、第二回モンドグロッソの決勝戦。その日、俺は何者かに誘拐された。多分、目的は俺を人質にして千冬姉の二連覇を阻止すること。だけど千冬姉は二連覇という偉業を捨ててまで俺を助けに来てくれた」

「それがあいつとどうつながる?」

「千冬姉に俺の情報を教えたのがドイツ軍で、その礼として千冬姉は現役を引退した後にドイツ軍でISの指導を一年間することになったんだ。あいつは千冬姉の経歴に傷をつけた俺を憎んでいるんだろうな」

「そんなのただの八つ当たりだ!」

「タツミ。事実俺も、あの時の…自分の無力さが、今でも憎い」

 

一夏の言葉は偽らざる本音だった。その証拠に拳は強く握られている。

 

「何があったかは知らないが、奴は織斑教諭に心酔――いや、盲信しているな。やれやれ、面倒なことになりそうだ」

「こいつは俺の問題だ。二人にはできるだけ迷惑がかからないようにしますよ」

「一夏……」

 

努めて表情を作っている一夏に対してタツミには返す言葉がなく、その日はそのままお開きとなった。

 

 

 

「―――では、頼むぞ。楯無」

『人使いが悪いわね~。でも、こっちとしても気になっていたから、探ってみるわね』

「ではな」

「ふう。エスデスさん、誰と話してたんですか?」

「やきもちか?」

「ブッー!?ち、違いますよ!!」

 

部屋でシャワーを浴び終えたタツミが脱衣所から出てきたとき、ちょうどエスデスが通信を切っていたから気になったのだが……

 

「そうかそうか。タツミは私が自分以外の誰かと話していたということにやきもちを焼いていたんだな」

「だから違いまs――ムグッ!?」

「心配するなタツミ。私はお前だけだから……」

「んーんーんっ(なんだとうっ)!?」

 

今までにないやさしい抱擁、そして感じるエスデスの体温と顔に当たっている柔らかい感触。加えて、彼女の言葉。これらの要素はタツミの中に何かを沸かせた。

 

(いや、待て待て待て!静まれ俺の心!!)

 

タツミは己が何かをつなぎとめるのに必死になっていた――が、それも長くは続かなかった。

 

「…………」

「タツミ?」

 

情けないことに、思考のオーバーヒートで意識を手放してしまったからだ。

 

 

 

「う……」

 

あれ?何があったんだっけ……。

確か、エスデスさんにからかわれて……!?!?

 

気絶前の記憶がよみがえり、顔を赤くするタツミ。

 

「なんでベッドに…って、エスデスさんがやってくれたんだろうな」

 

時刻を見てみると、深夜の二時半を指していた。随分と長く気を失ってたんだな、俺。

 

「……んん、タツ…ミ……」

「!?!?」

 

慌てて声のした方を見てみると、ベッドの傍で椅子に座って寝ている自分の同居人の姿があった。

おそらく、ずっと目を覚ますのを待っていたが、眠ってしまったのだろう。

 

「あの頃には考えられなかったな、こんなの」

 

自分たちにとって最強の敵であった人物が今、敵であった自分のすぐそばで無防備に寝ている。血や死の絶えない中にいた頃には考えられなかったことだ。

 

(アカメやレオーネのあねさんたち、みんなは今頃何をしているかな)

 

俺の脳裏をよぎるのはかつての世界の仲間たちや敵として戦った者達の顔。

自分は今、その世界とは別の世界にいる。しかも、隣にいるのはあのエスデスさんだ。

 

「何をどう間違えたらこうなるんだよ……」

 

苦笑しながらも彼女をベッドに移動させ、布団をかけてやる。

その際にきわどいところが見えてしまったが、今度は無事(?)だった。

そして自分もベッドにくるまる(もちろん自分の寝ていた、ですよ)。

 

「……//////」

 

その顔は赤くなっていたが……

 

 

 




ふぅ~何とか今日中にあげられました~。

と言ってもかなり内容のないただの駄文ですがね(笑)

連休が明ければまた忙しい大学生活が待っているわけですが、その中でも話をアップできれるようにがんばりたいと考えています。

では、また次話を待っていてください!
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