では、どうぞ!
「いやー、ちーちゃんも大変だね~」
「まったくだ、あいつがISを動かすなぞ、誰が想像できたものか。で、ほんとにお前は今回の件にはかかわっていないのだな」
「も~しつこいよ、ちーちゃん。さっきから束さんはノータッチだって言ってるでしょ~」
ここはある家のリビング。
そこではISの開発者にして『天災』篠ノ之束、その幼馴染であり,第一回IS世界大会《モンド・グロッソ》の優勝者『
「まあいい、そういうことにしておこう。私も忙しいのでな。今日は急に呼んですまなかったな」
「べっつに~、束さんも久しぶりにちーちゃんと話せてよかったし~。でも、次はいっくんのいるときに呼んでほしいな」
「機会があればな」
そう言って切り上げようとする千冬の持っていた端末が呼び出し音を鳴らした。
「なんだ、山田先生。今日は休暇を取っていると言っておいただろう。………なに?わかった。すぐ行く」
「どうしたのちーちゃん?」
「どうやら、学園の近くにいきなり人の反応が出たらしい」
「ん~この後暇だし、ついて行っていい~?」
「どうせ許可ももらわず来るんだろう?好きにしろ」
「ん……」
タツミは目を覚ます。
目の前には人の肌。
(なんか、既――)
「起きたか!タツミ!」
抱きしめられる力が強くなり、手をじたばたさせタツミは放すように懇願したら力が抜かれ、やっと空気が吸えたタツミは犯人を見る。
「エスデスさん!いきなり殺す気ですか!?」
件のエスデスは「だってタツミが横で寝てたんだもん」と悪びれる様子もなく言った。
「見たことのない景色だな。てことはやっぱり、ここは――あの小娘の言っていた『インフィニット・ストラトス』なる世界なのだろうな」
「はあ~、本当に異世界に来ちまった……。俺たち」
「どうやらそうらし――む、人が来たようだぞ」
近くに人の気配を感じたエスデスは視線でタツミに問う「どうする?」と。
「物々しい気配じゃないので話を聞きましょう」
「それもそうだな」
二人はこちらにまっすぐ来る二人に若干の警戒をもって接触することに決めた。
「どうやら、この距離でもこちらの気配に気づいたようだな」
「すごいね~、そんじょそこらのとは違うみたいだね」
こちらの束と千冬もタツミたちの気配に気づいていた。
タツミたちとは違って、気配を消して歩いていたが気づかれたので気配を消すことをやめ、二人は歩を早める。
「「あの二人だな」」
二組が相手の姿を見て出した言葉は奇しくも一緒だった。
「まず、失礼だが、貴様らは何者だ?」
最初に問いかけたのは千冬だった。
「俺の名前はタツミです」「私はエスデスだ」
二人は警戒するそぶりを見せずにあっさり名を明かす。
「随分あっさり名を明かすな」
「そうしないと話が進ませんし」
「違いない。私は織斑千冬だ」
タツミの返しに千冬はニヤリと笑う。
「も~!束さんを無視しないでよ!ちーちゃん!」
「うるさいぞ、束」
「ふん。すまないな、こいつは無視の方向でいい」
千冬は束を一発殴って黙らせる。束は「痛い~」と言って頭を押さえて、うずくまっていた。
「話を戻そう。単刀直入に聞く、お前たちは何者だ?どこから来た?」
千冬の質問にタツミとエスデスは自分たちが異世界から来た事、元の世界のこと、自分たちの戦いのことを話した。千冬は終始驚いていたが、束は興味津々の様子だった。
そして、千冬が大まかにこの世界のことを話した。
「なるほど、詳しくはわからんが、大体は理解した。さて、お前たちをどうするか」
「まあ、そうだろうな。少なくともこの世界では私とタツミは身元不明者なのだからな」
千冬のつぶやきにエスデスは頷く。
場は沈黙が支配していた。だが、とたんに明るい声が響き沈黙は破られた。
「はいは~い、じゃあ束さんが連れてくよ~」
「「は?」」
束の発言に間の抜けた声を出したのはタツミとエスデスだった。
反対に千冬は頭を手で押さえていたが――
「まあ、仕方がない。束、やり過ぎるなよ」
「おっけい、ちーちゃん!」
「あの~話が見えないんですけど…」
タツミはすでに混乱している。
無理もないと思ったのか、千冬が口を開いた。
「こいつは五年も前から各国で指名手配中の行方不明者だ。こいつと一緒にいれば余計な波風もたたんだろう」
「それ、暗に絶対見つからないって言ってませんか?」
「そういうことになる」
「はあ、わかりました。もう日も暮れますし。そうさせてもらいます。構わないですか、エスデスさん?」
「タツミが構わないというんだ。異論はない」
タツミの質問に二つ返事で頷くエスデス。
「じゃあね!ちーちゃん!この二人は連れていくよ~」
「好きにしろ。すまんな、こんなやつに預けることになってしまって」
「いいえ、宿が見つかっただけよかったですよ。ありがとうございました。あと、束さんよろしくお願いします」
「うん、よろしくね~」
といった経緯があって、今タツミとエスデスは束の居住空間兼研究ラボの中にいる。中は広くできているが、よくわからない機材が所々に散らばっていた。
「あっ、そういえばたっくんとエーちゃんはIS触れたことないよね?触ってみる?」
唐突に束さんが提案してきた(ちなみにたっくんはタツミのことで、エーちゃんはエスデスのことである、エスデスは反対していたが諦めた。対してエスデスが束を呼ぶときは呼び捨てである)。
「物は試しだ。触れてみるとするか」
と言って、束が差し出したISのコアにエスデスが触れてみると…
コア自体が発光する。
「ふむ」
「やっぱり反応するよね~」
「やっぱりとは、どういう意味だ?束」
束の言葉に目を細め尋ねるエスデス。
「実はISのコアって女性にしか反応しなかったんだよ~」
と、言いつつも「たっくんも触ってみて~」とタツミにもう一つ別のコアを投げる束。
そして、そのコアにタツミが触れると…
「うわっ!」
「タツミ!どうした!?」
コアが反応し、タツミが思わず声を上げる。
「あ~、反応しちゃった?なんでかな~?たっくんが異世界から来た異分子だからかな?」
「私も異分子だぞ。
「そうなんだよね~。ってことで
目を輝かせ、手をワキワキ動かす束。
「だめですよ!?」
何て物騒なこと言うんだこの人!?
「それじゃ、束さんが特別に二人の専用機を作ってあげよう!前の世界ではどんな風に戦っていたの~?」
その後、束さんに根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもなかった。
三月のある日、束はIS学園の千冬に電話をかけていた。
「ひっさしぶりぃ~!ちーちゃん!みんなのア――」ブツッ
切られた。もう一度コール!!
「ひどいよ~いきなり切るなんて~」
「うるさい、珍しく貴様から電話してきたんだ。本題を言え。貴様と違って忙しいんだ」
「ちーちゃんのいけず~、まあいいや、報告があるんだよ~。とは言っても、さっき日本政府と国際IS委員会には言ったんだけどね~。もうそろそろニュースで出るんじゃないかな?」
「なに?」
束の言うニュースとは何か、千冬はまさかと思ってテレビをつける。
そこには――
『たった今、国際IS委員会から発表がありました。先程、国際指名手配中の篠ノ之束博士から通信が入り、四月から二人をIS学園に入学させると宣言した模様です。さらに二人の内一人は男性です。二人目の男性操縦者です!名前は――』
絶句した。それに顔写真も出ており、その二人に千冬は見覚えがあった。
「おい束!どういうことだ!?なぜあの二人が!」
「だってあの後IS触らせたら反応しちゃってね~、だから勢いで作っちゃいました~」
「束……。やり過ぎるなといっただろう…」
千冬は頭を押さえながら自らの幼馴染に対してドスの利いた声でいつぞやのセリフを口にし、電話を切った。―またかかってきたが、今度は無視。
「はあ、あのバカ者め。次会ったらただじゃおかないぞ」
と、ぼやきながらもこの後待ち構えているであろう混乱と仕事を想像しながら、ため息をつく千冬であった。
プロローグはここまでで終わりです。
続いて設定集を書いた後はいよいよ本編です。
とりま、原作沿いで進み、オリストへってのが今後の流れになるかと思います。
本編は2月入ってからの予定です。