蒼空を駆るは誰がためか   作:無勝の最弱

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第三話

 

「昨日はありがとうございました。おかげでお嬢様…いえ、会長も腹を決めたみたいです」

 

楯無会長との会談の翌朝(10時くらい)、朝の鍛錬を終えたタツミとエスデスのもとに一人の来客があった。

訪ねてきたのは布仏 虚(のほとけ うつほ)。生徒会で会計を務めており、本音の姉だという話だ。以前本音が「私のお姉ちゃんは生徒会にいてね、しっかり者なんだ~」と言ってたので間違いないだろう。

訪れた理由は楯無と簪で話す場を作ったことの礼らしい。

 

「お嬢様ってことは、虚先輩は更識家の使用人か何かなんですか?」

「そうです。使用人というより、専属のメイドと言った方がしっくりきますね。あと、虚でいいですよ」

 

私は楯無会長の専属で、本音は簪の専属なんです。とも教えてくれた。

ただ、タツミは――

 

(本音が働いてる場面を想像できないんですけど…)

 

本音がまじめに働く場面を想像できずにいた。

――まあ、無理ですよね、本音だし。by作者

 

「気にする必要はない。元はと言えば、私が勝手に首を突っ込んだんだ」

「いえ、私たちでは何もできなかったんですから」

 

エスデスはそう言うが、虚はなお、礼を言う。

 

「礼はいらん。今はあの二人がどうなるか見届けよう」

「それもその通りですね。ではまたあとで」

 

最後にもう一度頭を下げ、虚は去っていった。

 

 

 

「簪はいるか?」

「ごめんね~多分整備室にいると思うよ~」

「わかった。ではな」

 

エスデスは生徒会室に楯無がいたことを確認し、タツミを監視役として置いておいた。そして、自身は簪を呼ぶため彼女の部屋の前にいた。

しかし簪はおらず、整備室にいるだろうと本音は言った。

本音には今日話し合わせることを伝えているが、簪は知らないのだ。

 

 

「簪、いるか?」

「あっ、エスデスどうしたの?」

「なに、ちょっとお前に合わせたいやつがいる。ついてこい」

 

整備室に着いたエスデスは半ば無理やり簪を連れ出した。

 

一方、その頃生徒会室では――

 

「簪ちゃん来てくれるかな…」

「何度も言いますが、多分エスデスさんのことですし、無理やりにでも連れてきますよ」

「そうです。きっと来ますよ、会長」

 

といったような会話が何度も続いていた。

楯無はタツミと虚の監視の下、生徒会室でずっとそわそわしている。

 

ちなみに楯無はエスデスが簪を呼びに行ってから計二回「やっぱ無理~!」と言って何度か逃げ出そうとしている。そのたびにタツミと虚に捕まっているが。

 

そして―――

 

「私だ。入るぞ」

 

エスデスが簪を伴って生徒会室に入ってきた。

 

「簪ちゃん…」  「お、お姉ちゃん…」

 

主役の二人が顔を合わせる。

するとエスデスが切り出す――

 

「さてと、私たちは出ていくぞ。タツミ、虚。」

「はい」 「そうしましょう」

「「…ッ!?」」

 

部屋を出ていこうとする三人に驚く主役二人。

 

「私たちがいても意味はないだろう。姉妹水入らずで、お互いをぶつけ合え、それだけだ」

 

エスデスが二人に反論される前に力のこもった言葉で告げ、生徒会室を出ていく。タツミと虚もそれに従って出ていった。

 

残された二人は数分の間をおいて切り出した。

 

「お、お姉ちゃん!」 「簪ちゃん!」

 

二人同時だった。

そして二人は30分ほど互いをぶつけ合った。

 

 

 

「どうやら仲直りはできたようだな」

「よかったね~かんちゃん」

「もっちろんよ!ね、簪ちゃん!」

「お、お姉ちゃん…は、離れて…」

 

エスデスたちはあとから来た本音を含めて、生徒会室内にいる。

目の前には幸せいっぱいの顔の楯無に抱きしめられ、恥ずかしがってはいるが顔は微笑を浮かべた簪がいた。

 

 

「私とタツミを生徒会にだと?」

 

談笑がすんだあと、楯無は唐突に提案してきた。

楯無の話によると生徒会の人選は会長が行うらしく、今は会計の虚と書記の本音が現生徒会のメンバーなのだが本音は実質役に立っていないので人手が足りないらしい。

エスデスは将軍を務めていたので、書類仕事は慣れているだろう。

 

だが――問題は彼らの正体である。

今は姉妹の問題を解決したことで信頼を得ているが、その正体は片や40万人もの人を生き埋めにした『帝国最強』の将軍、片や暗殺組織に在籍した人間なのだ。忌避される可能性の方が高い。

 

それでも―――

 

「その前に私たちのことを話そうか。タツミ、覚悟はいいか?」

「覚悟はできていますよ」

 

そして、タツミとエスデスは自分たちが異世界から来た事、元の世界のこと、自分たちの戦いのことを楯無たち4人に話した。

 

「「「「………」」」」

 

皆が驚愕の表情で絶句していた。

いきなりこの世界の住人ではないこと、正体は虐殺の将軍と暗殺者であることを告げられたのだ。無理もない。

 

「「……」」

 

タツミとエスデスは無言である。

 

「…私は、信じたい…。今のタツミとエスデスを…」

「簪?」

 

以外にも最初に口を開いたのは簪だった。

 

「なぜ信じられる?」

「話に出てきた通りのエスデスだったら今回の件のようなことはしない」

「……」

「それに、話したってことは2人とも罪の大きさも理解してるってことだろうから」

「私もその通りだと思うわ」

 

簪の返答に同意を示したのは楯無だった。

 

「タツミ君は好きで殺してたわけではないでしょう?エスデスのしたことは確かに許されないことだわ。でも、やり直そうとしているのでしょう?罪を自覚しながら、この世界で」

「「……」」

「だったら、手伝うわ。今回の大きな借りもあることだしね。だから私も信じるわ。今のあなたたちを」

「私も信じます」

「私も~信じるよ~エッスーとタッツーを~」

 

楯無に続いて虚と本音も「今の二人を信じる」と決めたようだ。

 

「ありがとうございます。俺たちを信じてくれて」

「ふはは!面白いやつらだ!この私を信じるとはな!」

 

タツミは素直に礼を述べ、エスデスは声を出して笑う。

 

「タツミ、どうやら私たちはいい味方を得られたようだな」

「そうみたいですね。信じてもらえたんですから戻らないで変わってくださいよ、エスデスさん」

「私に変わるように言ったのはお前だ、タツミ。もっとも、タツミだからこそだがな」

「へ~(ニヤニヤ)」

 

エスデスの告白に楯無が食いついた。

 

「ねぇねぇ、エスデスはタツミ君のことどう思ってるの?」

 

楯無の顔はニヤついていた。簪、虚、本音も同様だ。

 

「私の恋人だ!誰にも渡さん!」

「ええぇ!?なに言ってんですか!!??」

「「「「へぇ~」」」」

 

堂々と何を言ってるの!?エスデスさん!

 

「みんなも信じないでくれよ!俺とエスデスさんはまだ付き合っていないって!?」

 

タツミは慌てて手をブンブン振るも時すでに遅し。

なおかつ墓穴を掘った。

 

「へぇ、まだなんだ?」

(しまった!)

「「「「根掘り葉掘り聞かせてもらうわよ~(もらうね)(もらいましょう)(もらお~)」」」」

 

タツミに少女たちがにじり寄る。

タツミはエスデスに助けを求めた!

 

「がんばるのだぞ。タ・ツ・ミ」

 

ウィンク付きで応援されてしまった!

―――覚悟を決めろ、このリア充!! by作者

 

 

この後タツミは4人のひどい追及にあい、翌日のSHRで千冬の出席簿を食らうまで真っ白になっていたとだけ書いておこう。

 

 

 

 





いかがでしたでしょうか?

かなり速いペースで進んでますが、とりあえず次回はクラス代表戦です。
戦闘描写ってやっぱり難しいですね。

書いてていったい何度詰まったことか……(遠い目)


ではまた、次回!!
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