蒼空を駆るは誰がためか   作:無勝の最弱

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第五話

 

「転校生、ですか?」

「そうよ、中国の代表候補生。クラスは二組だったかしら」

 

生徒会の仕事を始めて、はや一週間。

俺も生徒会の仕事がやっと板についてきたと思う。エスデスさんはさすがというべきか、仕事の回転が速い。あと、この生徒会長は悪い意味で見た目通りで、サボり癖がある。以前は仕事が間に合わないと言っていたが、実質虚さんだけで仕事をしていたのが実情だったということだ。

 

話を戻そう

 

「多分、君と一夏君にも関わってくるだろうからね」

「やっぱり、そうですよね…」

「問題を起こさないでね」

 

そういって広げた扇子には、見事な達筆で「仕事御免」と書かれていた。あなたに言われたくありません!

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、転校生が来るって噂、知ってる?」

「クラスは二組らしいよ!」

「中国の代表候補生だとか!」

「専用機持ちかな?」

「次のクラス対抗戦にはデザート券がかかってるし!」、

「でもさすがに今更交代ってのもないだろうし、大丈夫じゃない?」

 

クラスは転校生の噂と二週間後に控えているクラス対抗マッチで持切りだった。

どうして女子というのはこんなに噂が好きなんだろうか?

とわいえ、男子も気にならないわけではないようだ。

 

「辰己、何か聞いてるか?」

 

聞いてきたのは一夏だった。

 

「噂の通りさ」

「中国か、あいつかもなぁ」

「心当たりがあるの?」

「俺のセカンド幼なじみってところか、名前は――」

 

「久しぶりね、一夏!」

 

声のした方に顔を向けると、扉の前に髪をツーテールにまとめた小さな少女がいた。

 

「おまえ、もしかして鈴か」

「そうよ!久しぶりね一夏!」

「転校生ってお前だったのかよ」

「そうよ、中国の代表候補生で二組のクラス代表よ。今日は宣戦布k-」

「いつまでそこに立っている」

 

ゴツンッ 「あいたぁ!?」

 

鈴と呼ばれた少女の頭に出席簿が下ろされる。織斑先生の登場だ。

頭を抱えてうずくまっているよ、彼女……。

相変わらずの威力だ……

 

「ち、千冬さん…」

「学校では織斑先生と呼べ、あと邪魔だ」

「うぅ、またあとでね、一夏!逃げるんじゃないわよ!」

「さっさと、自分のクラスに戻れ!」

「はいぃぃ!」

 

どうやら彼女は一夏の知り合いのようだ。

何も起こさないでくれよ……

俺はそう祈った。

 

 

 

「逃げずに来たわね、一夏!」

「それはそうと、そこ邪魔だぞ」

「うっ。あ、あたし席とっとくわね!」

 

昼休み、食堂に来た一夏やタツミ、エスデス、箒+セシリアは食券機の前でラーメンをトレーに乗せた鈴に見つかるが、一夏の一言で鈴は席取りに向かっていった。

 

「にしても、一夏。なにISなんて動かしてんのよ?」

「だから……それは事故だって言ってるだろ。てか、自己紹介ぐらいしろよ」

「それもそうね。あたしは中国の代表候補生で、名前は鳳鈴音よ、よろしく」

 

鈴の軽い自己紹介の後、他の面々も自己紹介をしていく。その間、なぜか鈴は他の女子・女性陣に対して恨みがましい視線を向けていたと感じたのは俺の勘違いだろうか?

 

「なぁ、一夏は鈴とどういう関係なんだ」

「うーん、そうだなぁ。鈴は箒が小五の時に転校して、その入れ違いで転校してきたんだ。箒がファースト幼なじみで、鈴がセカンドって感じかな」

 

一夏の説明に箒、セシリアは「ほっ」と安堵の息、鈴は「フフン」と鼻を鳴らすという反応、俺とエスデスさんは特に反応しない。

 

「そうだ、一夏。なんなら、あたしがISの操縦教えてあげようか?」

「それはありがたいけど――」

「だめだ!」 「駄目ですわ!」

 

話はISの話に移り、鈴がISの操縦を教えると言った途端に、食いついたのは箒とセシリアだった。

 

「さわがしいぞ、貴様ら。一夏はまだ返事をしていない」

「エスデスさんがそれを言いますか…」

 

そう言って二人を止めたのはエスデスさん。

俺は誰にも聞こえないようにボソッと漏らす。

 

「クラス代表になったんだろ、鈴。だったら敵に情報を渡すのはちょっとな…。ってことでわりぃな」

「そ、そういうなら仕方ないわね。でも、誰に教えてもらうつもりなのよ、一夏?」

 

いつぞやのセリフで鈴の申し出を断る一夏。

 

「うーん、考えてなかったな。あ、そだ、辰己頼めるか?」

「俺か?」

「前に一回戦ってるからな」

「ま、べつにかまわないけど」

「サンキュー」

 

ISの話も落ち着こうとしたが―――

 

「「一夏、なぜだ(ですの)!」」

 

食いかかるのは箒とセシリア。

それに対して一夏は頭をかきながらこう答えた。

 

「いや、箒はISほっといて剣道しかやらないし、セシリアの解説はわかりにくいし」

「わかりにくいって、どんな?」

「理論的すぎる」

「「あぁ」」

 

一夏の返答に納得したのは俺とエスデスさん。

 

「「一夏が悪いんだ(ですわ)!」」

「俺のせいかよ…」

 

一夏のせいになった。てか、箒はほんとに剣道しかやってなかったのかよ。それにセシリアよ、一夏に理論的な教えは向いてないって。

二人が一夏に食い掛かるのを横目に俺はコーラを飲み干しそう考えていた。

 

 

 

 

 

「やっぱり、近接型だから瞬時加速(イグニッションブースト)は習得しないとな」

「だよなぁ」

 

放課後、俺は一夏に乞われた通り、ISの訓練をしていた。

箒とセシリアはエスデスさんが追っ払ってくれていた。生徒会?虚さんに頼んだら、笑顔(目は笑っていなかった)で「普段から二人は頑張ってくれていますし大丈夫です」とのことだ、あと「二人の分は普段サボってる人たちにやってもらいますから」とも言っていた。

その場にいた楯無さんは逃走を試みたが、虚さんに捕まった。

本音は虚さんにたたき起こされていた。

自業自得なので、「ご愁傷様」とは言わない。

 

「それと、剣道だったか?あれはお前には向いていない」

「燃費の問題も瞬時加速(イグニッションブースト)も重要だけど、それ以前に攻撃が当たらないといけないですしね」

 

一夏の機体『白式』は近接特化高機動型の機体だ。しかし燃費が悪すぎる、理由は武装である《雪平弐型》にある。その能力は「バリアー無効化攻撃」、エネルギーシールドを無効化し絶対防御を発動させることが可能。そのためSEを削る攻撃力はかなり高い。

しかし、そのために自らのSEを削るという文字通りの「諸刃の剣」。だから燃費が悪い。

そしてどんなに高い攻撃力でも、そもそも当たらなければ意味がない。

 

「ああ。私の見る限り、お前には剣術の方が向いてると感じたな」

「どうして、剣術なんですか?」

「それはお前の方がわかっているだろう?」

「…………」

 

エスデスさんの逆質問に一夏は口を閉ざした。

だがそれは答えに窮したのではなく、すでに答えは出ているという感じに俺は見えた。

 

「ならいい。――ところで一夏、お前は何のために強くなりたい?」

「「!?」」

 

だが、唐突に放たれたこの発言に驚いたのは一夏だけではなく俺もだった。

 

「俺は…」

(エスデスさん!?あなたほんとにエスデスさんですよね!?)

 

一夏は言葉を探す。対して、俺はと言うとかなり失礼だが、目の前の彼女が本物なのかを疑っていた。

 

タツミにそんなことを思われているなど知る由もないエスデスはというと――

 

(随分、らしくないことをしたものだ。アカメの奴の受け売りだが、自分はどうなんだろうな)

 

元の世界での最後の戦いで、アカメの答えに対する返答を「理解できない」と言っておきながら、一夏に同じことを聞いた自分を皮肉っていた。

 

「俺は仲間を守るために、強くなりたい」

「……。そうか」

 

エスデスは短く返しただけだった。

 

 

 

 

 

「エスデスさん!?本物ですよね!?」

「急に何を言い出すんだ、タツミ?」

 

一夏との訓練を終えて、部屋に戻ったタツミは珍しく大声を上げていた。

 

「いやいや、急にあんなことを言い出すからですよ!」

「ああ、あれか」

 

タツミの混乱をよそに、どこか遠くを見るように目を細めるエスデス。

 

「まあ、ちゃんと話してやる。まずは落ち着け」

「――ところで、何があったんですか?」

 

エスデスは淡々と話し始める。

 

「あの後、私とアカメで最後の戦いをしてな。最初は私が優勢だったが、奴の奥の手を使った攻撃に押し返され始めた。私も奥の手を使ったがあいつの殺意が見せた幻に惑わされ、隙を晒したところを斬られた」

「アカメの奥の手はどういうのでした?」

「簡単に言えば身体強化だ。奴は自らの体を斬り、瘴気のようなものを纏った。その直後から動きが変わった。正直なところ、なぜ今までの戦いで使わなかったのか不思議なほどにな」

「アカメは大丈夫だったんですか!?」

 

タツミの心配はもっともだ。

アカメの持つ帝具『一斬必殺 村雨』は、この刀でつけられた傷口から相手に呪毒を送り込み、殺す。たとえそれがどんなに小さな傷でもだ。ゆえに一斬必殺。しかし、弱点なのは鎧を全身に纏い肌に直接傷をつけられない場合と機械兵のようにそもそも呪毒が回らない相手にはその能力を発揮できない。

その刀で自分を斬るなんて…

 

「詳しいことは私にもわからん。それに私はその後すぐに逝ったからな。――話を戻そう。決着がつき、死を待つだけの私は奴に聞いた、『強さの根源』をな」

「………」

「アカメはこう答えた、『背負うものの重さ』だとな」

「そうですか」

「………」

 

その後はお互い何も言わずに、沈黙が部屋を支配する。

 

「見つかりましたか?エスデスさん」

「まだだ」

「………」

 

沈黙に耐えきれなくなったのか、タツミが切り出すも、再び沈黙。

 

「タツミ」

「何ですか、エスデスさん?」

「お前の強さはどこから来ている?」

「……圧政に苦しむ人たちを救う。仲間のもとに帰る。ですかね」

「ならば、この世界ではどうする?」

 

エスデスは問う。この世界でどうあろうとするのかを。

 

「仲間のもとへ生きて帰る、ってのは変わりません。違うのはエスデスさんを含めていることです」

「私もか?」

「この世界に来ちまった以上、変わってもらわないといけないですから」

「ふっ」

「エスデスさんも見つけてくださいよ。でないと染めも染められもしてあげませんよ?」

「難しいことを言ってくれるな」

 

一見、決めたようなタツミだったが、クサいセリフを吐いたからか、内心は穏やかではない。

とはいえ、先程までの重い空気はどこへやら。

二人はその後、一夏に何を教えるかを軽く相談し、寝床に就くも――

 

「あの~、なんで俺の布団にいるんですか?エスデスさん」

「私のことは嫌いか?染めてやるといったのに?」

「う…、そ、そうですけど…」

「なら、問題はないな!」

 

反論に窮したタツミだったが、エスデスはすでに熟睡している。

起こすのも野暮なので、そっとエスデスを彼女の布団に戻そうとするも――

 

「動けねぇ…」

 

エスデスの腕にがっちりホールドされていた。諦めて、寝ることを決めたタツミ。

だが、不思議なことにその夜はしっかり眠れたタツミであった。

 

 

 

 

 




教習所の学科試験がめんどいですぅ……


大学からの成績が返ってきて結果は良かったんですけどねぇ
車のことは覚えるの多い……
おまけに文章がなかなか思い浮かばずです。

とりあえず今回はここまでです。次回はちょっとしたおふざけ回になる予定です。では!

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