彼女藤枝かえではとある病院に来ていた。
「入るわね」
「あ、はい、どうぞあやめさん」
あやめは病室の主からの許可を貰い、病室に入ると病室の主から声をかけられた。
「ええ、大神君、実は大神君が、入院中に米田司令が、貴方の代わりとなる隊長代理を立てたの」
「え、隊長代理をですか?」
「ええ、そうよ、それも私達のような軍人ではなく、民間人の少年なのよ」
「え、民間人の少年ですかーー」
大神は、あやめからの言葉を聞いて驚いていた。
「当然少年は帝国華撃団の存在は知らないし、東京に来た時に敵黒乃巣会との出撃したの」
「訓練もなしにですか?」
「ええ、そしてその少年は、ただ一人の肉親を亡くしたの、米田指令とさくら以外の隊員のせいでね」
「何なんですかそれは、民間人の少年達が、米田司令に呼ばれ、ここに来て戦闘で、不甲斐ない結果だから、敵に捕まっての文句を言うなですって、ありえない」
「大神君の怒りは当然よ、少年にはまだ肉親の死は、伝えられてないの」
「何故ですか?」
「今直哉君が、その事を知って、すみれ達の前で冷静で大神君はいられる?」
「確かにそうですね知らない事が、直哉くんを守ることが出来るならその方がいいですね」
「それでね、名目では、直哉君と花組全員の親睦を深める為の夏合宿が計画されたんだけどね」
「成る程それで米田司令が同行するんですね?」
「いえ、米田司令は同行しないわ、同行するのは、私だけよ」
「は、何かの間違いですよね?」
「何故米田司令も同行しないんですか?少なくとも直哉くんを呼んだのは、司令なのだから、せめて慣れるまで、一緒にいるべきなのでは?」
「それは私もそう思うわ、しかし米田司令は、直哉君には、無関心なのよ」
「でも他のメンバーには優しい顔や、喜怒哀楽は見せるけど、直哉君の前では、それが一切ないの」
!!
そして、直哉君と昔から親交があったさくらは直哉君と仲良くしているんだけど」
「直哉君がさくらから距離を取るようになったのよ」
「それはどうしてですか?」
「それはね、直哉君が教えてくれたわ。僕といたらさくらお姉さんが、仲間達から孤立するからだって」
!!
大神は驚いていた。まだ子供の筈の少年が自分の置かれている状況にここまで客観的に見ている事に。
「そこで大神君お願いがあるの、明日から始まる夏合宿に変装して参加して欲しいの」
「変装してですか?」
「ええ、そうしないと、直哉君のおかれている状況が見れないから、そして直哉くんを、見守ってて欲しいの」
「わかりました。あやめさん」
「じゃあ明日迎えに来るわね」
「はい」
そしてあやめは、大神の病室を出た。
翌日夏合宿が始まった。