天下無双の飛将   作:聖:

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編入編は終わり!
これからは長いですがクローン組達の編入から若獅子終了まで一纏めにするつもりなので”若獅子編”とします。
原作の内容が若干うる覚えで独自解釈が入ると思うのでよろしくお願いします。


若獅子編1

時は進み6月初旬。

川神学園は今、戦の準備に追われている。敵は西に構える天神館という高校だ。この高校の館長が昔、川神院の弟子の1人だったという縁で今回の戦が決定した。

東の川神学園、西の天神館。両校共に日本や武道を志す者には有名な高校である。

戦は両校学年ごとに闘う。初戦が1学年、2戦目が3学年、そして3戦目が2学年である。勝敗は両校学年ごとに1人大将を選出し、敵大将を討ち取れば勝利。そして先に2勝すればその高校が勝ちというルールだ。

 

そして交流戦当日。

初戦が開幕。呂布は1年生には由紀江くらいしか知り合いがいないので由紀江の応援の為、風間ファミリーと共に観戦していた。この間買った携帯でメールのやり取りをした時、少なからず緊張しているようだったが、始まってしまえば由紀江の剣は凄まじいものだった。

「由紀江はやはり強いな。」

呂布の呟きに大和達が頷く。流石剣聖黛十一段の娘か。いや、非凡な才があるのは変わらないだろうが、その才に溺れず、日々の鍛錬を続けなければあのような洗礼された剣技は身につかないのだろう。

「ん?」

大和が戦場の一点を見て首を傾げた。

「どうした?」

「川神側の大将が前に出てきている。」

大和の言葉に皆そちらを見る。確かに前に出てきている。というより特攻しているように見える。

「なんかの作戦か?それとも奇襲を受けたのか?」

「それは無さそうだが。逃げる為にしては敵に向かって行ってるな。」

大将が敵とぶつかる。敵を2人ほど柔術で倒すも多勢に無勢。数の多さに対処しきれなくなり袋叩きになる。そして、大将の戦死と共に終了の鐘が鳴った。

「…………」

一同唖然とする。途中までこちらが優勢だったはずが、瞬く間に大将を討ち取られ敗北した。しかも大将の自爆特攻で。沈黙する自分らに気づいた呂布は咳払いをしてから空気を変えようとする。

「ま、まあ理由は分からないが結果は1敗となった訳だ。あと2戦を連勝すればいい。」

呂布は百代を見る。

「モモ先輩。1勝をお願いします。」

「ふふん。私を誰だと思っている。」

百代は腕を組みニヤリと笑う。そこに3年生に集合をかける放送が流れる。百代は何も言わず黒髪を翻して集合場所へと向かった。呂布は百代が去ったのを確認してから呟く。

「はてさて、モモ先輩のヤル気充分はようだが、相手に満足できなかったらこの中の誰かに絡んでくるかもね。」

「………それって1番確率高いの俺たちじゃないか?」

「気が合うね大和。僕もそう思うよ。」

呂布と大和が顔を見合せ苦笑いを浮かべる。他の者もそうだろうと思っているのか誰も否定せず、触れずにいた。

 

 

 

3年生の戦はやはり川神学園の勝利だった。天神館側も百代対策として数十人での合体技を見せるも百代の1撃に沈んだ。

あの技を出させたということで百代が満足したかどうかは分からないが、とりあえず次は2年生の戦だ。放送の呼びかけに皆が集合場所へと移動する。先ほど合流した由紀江から檄を貰い呂布のヤル気も上がる。そして大和と共に安堵する。

「由紀江には悪いが、モモ先輩に絡まれるのは由紀江だな。」

「そうだな。3年の後で良かった。」

集合場所に着くとF組とS組の間に異様な空気が漂っていた。どうやら互いに仲間意識が持てずにいるようだ。

「貴様ら!いつまでくだらんことに拘っている!」

その間に立った英雄が叫ぶ。

「この戦、川神学園の威信をかかっておることを忘れたのか!ここにいるのは皆同じ軍、仲間だ!身内で言い争いをしておる場合では無いぞ!」

F組とS組の面々は英雄の言うことは最もだと頭で理解しながらも気持ちが拒んでいるようだ。

「今まで両者の対立は確かにあった!だが、ここで仲間同士で揉め、足並みを乱せば敵に滅ぼされることは目に見えている!そのようなみっともない戦をしたとなれば、これから先、我らは笑いものされるだろう!」

その光景を思い浮かべたのか皆が顔を顰める。

「そのような醜態を晒さぬ為にも皆の団結が不可欠である!この時だけでも手を取り合おうではないか!心の燻りを刃に乗せ敵へぶつけるのだ!」

英雄の演説に歓声が響く。今この時だけかも知れないがS組とF組の心は1つになった。

英雄は満足そうに頷くと手を挙げ皆を黙らせる。

「これより我が軍の頭脳、参謀を選出する。」

英雄は一旦区切り皆の顔を見てから続ける。

「まず1人目、葵冬馬!」

呼ばれた葵は落ち着いた足取りで英雄の隣に立つ。

「2人目、直江大和!」

大和は1度拳を握り、歩き始める。

「参謀はこの2人だ。我が軍を勝利に導く!そして……呂布奉先!!」

「………は!」

呂布は英雄の前までゆっくりと歩く。生徒達が退がり呂布の前に道ができる。その歩みは重みがあり、闘気が溢れ出ている。

(…なんで僕が呼ばれるんだ?)

とりあえずこの場の雰囲気に合わせて返答を短く淀みのない足取りで英雄に向かって歩いているが、内心何が何やら。呂布は英雄の正面に立つ。

「奉先!お前を将軍に任命する!」

ーー将軍ーー

呂布の心に懐かしい気持ちが溢れ出てくる。と同時に無意識下で英雄の前で片膝をつき拱手礼をとっていた。

「……その役目、謹んでお受け致します。」

「うむ!」

英雄に頭を下げ、将軍の地位を頂戴する。頭を上げるとあずみが英雄の傍から一歩前に出てくる。

「クラウディオからだ。受け取りな。」

「………」

あずみが持つ物を受け取る。手に馴染む柄、心地よい重さ。刃元に巻かれた真紅の布が風で靡く。

呂布は振り返り手に持つ方天戟を天に掲げる。

「皆の者!この真紅に靡く布が戦場で見え続ける時、それは我が敵を屠り続けている証!我が倒れる時!それは貴様らが皆死んだ時だ!

貴様らを残して我は死なん!我に己の死に様を見られたくなければ心を奮い立たせ、生きてこの戦を乗り切れ!我がいる限り、この軍に敗北などありはしない!」

呂布の鼓舞に皆が拳を天に掲げ雄叫びを上げる。呂布はそれを見届け英雄の後ろへ退がる。

「この戦…我らが勝つ!!」

英雄の勝利宣言が響く。

 

 

 

「お疲れさん。」

「それを言うのはまだ早いぞ。」

呂布は大和に労をねぎらう。大和と葵で考えていた作戦を各隊に伝達した。作戦の細部の注意点などは大和や葵が直接出向いて伝えるため駆け回っていた。

「確かにそうかもな。あ、それと俺にはなんかないのか?」

「奉先には特にないよ。先陣切って暴れてくれればいい。」

「む。それじゃあ僕が猪武者みたいじゃないか。」

呂布が冗談交じりでムッとする。大和も冗談だと分かっているようで笑いながら答える。

「違うよ。奉先が戦場で暴れてくれることで作戦が隠れるんだ。」

「なるほどね。では戦場に屍山血河を築き上げて見せましょう軍師殿。」

「殺すな!……あ、それと奉先。その方天戟…」

「ん?これか?……持ってみるか?」

呂布は方天戟を地面に置く。大和は方天戟の掴み拾いあげようとするが……。

「ん!ぬぬぬ!も、持ち上がらない!」

両手で力一杯持ち上げるが柄は浮くものの刃の部分が地面から離れない。

「はは。大和はもう少し鍛えなさい。」

呂布が柄を掴み片手で拾い上げる。大和は呂布の剛腕に唖然とする。

「これ…本当に屍山血河ができそうだな。」

「大丈夫だ。刃は潰してある。」

そういうことじゃねぇよ!と叫びたかったが開始直前のアナウンスが流れる。

「では軍師殿、我が力得とご覧あれ。」

呂布は方天戟を肩に担ぐと先陣へと歩いていく。

「流石、伊達に姉さんと闘えるほどの力を持ってないか。」

大和は苦笑しながらも心は安心感で満たされる。もし敵に呂布がいると恐れをなし逃げだしそうだが、味方だとこれほど頼もしいとは。

「…曹操も欲しがる訳だ…。」

だが、大和もまた呂布を御しきる自信はなかった。

 

 

 

「はあぁぁぁぁ!!」

「ふん!」

「ぐばぁっ!!」

呂布は剣を振り上げ斬りかかろうとした敵兵を薙ぎ払う。その薙ぎ払いの速さは常人では目で追うことも難しい。

方天戟を脇で締め戦場を走る。敵陣へ単身突っ込み方天戟により陣を破壊。先ほどからこの繰り返し。と、いうのも7人ほどの隊を3つ集結させ1つの大きい鱗のようになっている。

ーー魚鱗の陣ーー

等間隔に置かれた鱗は徐々に敵陣へ向け進軍する。魚鱗は動きは遅いが敵襲に対処しやすい守り型の陣だ。

そして守りの堅さを利用して別動隊が敵本陣へ急襲する。そんな可能性を呂布は考えるが、こちらにも別動隊がおりそちらはそちらで対処するだろう。

呂布がここでできることは1つ。敵陣へ斬り込み敵を屠り続けること。呂布が取り零した魚鱗は仲間が闘っている。

敵は若干ながら動揺している。魚鱗が次々食い破られる。

あの方天戟を持つ者は何者なんだと。圧倒的な武に足が竦む。

「呂布奉先!ここにあり!」

呂布の咆哮に魚鱗が少し後退する。呂布はそれを見逃さず駆け方天戟で駆逐していく。

「すごいわ!りょー!」

一子はそんな呂布を見て心が昂った。自分の師が敵を圧倒的に倒していく姿は心躍る。

「私も負けてられない!」

一子も隊を預かる将の1人として、敵魚鱗へ突っ込む。数人に囲まれるが一子はすべて視界に捉えている。一子の視界の広さは呂布も感嘆した。

その視界の広さの使えるように鍛えられた一子はまた1段強くなった。

薙刀で敵の攻撃を弾き、足を捌きつつ薙ぎ払う。一子は止まらず一歩後退し即座に踏み込み薙刀で敵を斬る。呂布と同じく止まることのない連撃。

この一子の動きを見ていた百代と鉄心は感嘆の声を上げる。この1、2ヶ月で一子は見間違えるほどの成長を果たしている。今日まで見せ場が無かったが、この交流戦で一子の強さは周知されることだろう。

「ふふ。」

呂布も一子を視界の端で捉えて頬が緩む。弟子のようなものだが自分の教えにより強くなった者を見ると嬉しくなる。

「奉先、余所見など未熟だと知りなさい。」

「大丈夫ですよ。ちゃんと捉えてますから。」

呂布の背後から攻撃しようとしていた敵兵が横から飛んで来たトンファーに吹き飛ぶ。

マルギッテ・エーベルバッハ。

ドイツにいた頃、クリスと共に親交があった現役軍人。

出会いはクリスに付き纏う悪い虫だと思われ、いきなり攻撃してきたが返討ちにし、その後クリスから説明してもらい誤解を解くという珍事件が初対面だが、それから良く鍛錬に付き合わされるようになった。返討ちにあったのが悔しかったのだろう。

クリスを追って川神学園に編入してきた際にも決闘を挑まれた。それでも呂布の勝利だったが。

それからことある毎に決闘を挑まれたが、鉄心に禁止されている事と機会を必ず作ると約束することで事なきを得た。

「マルギッテさんは敵右魚鱗をお願いします。僕はこのまま中央を進むので。」

「いいでしょう。狩りを続けます。」

マルギッテは隊を引き連れ駆けて行った。呂布も敵中央へ向かおうとした矢先、天神館の生徒が1人立ちはだかる。

「私は西方十勇士の1人!大友焔だ!」

「私は性を呂、名は布、字を奉先と申す!そこを通らせて頂こう!」

呂布が方天戟を脇に挟み固定し、大友に向け駆ける。

「どこかで聞いた事がある気がするが、ここで止めさせてもらう!」

大友も素早く大筒を構え呂布へ向け撃つ。だが駆ける呂布には当たらない。

「ならば!」

大友は玉を当てるのは諦め、呂布の数歩手前に撃ち込む。玉は地面と接触し爆発。爆風と飛び散った石や砂利が呂布に襲いかかる。

「はぁ!!」

だが呂布は方天戟で一閃。襲いかかる爆風や砂利共々吹き飛ばす。

「うそっ!?」

大友は爆風を回避する為に左右どちらかに跳ぶと予想し、着地地点に玉を撃ち込もうとしていたが、まさか正面をそのまま駆けてくるとは予想外で一瞬硬直する。その一瞬の隙を呂布は見逃すことなどしない。一気に距離を詰め大友の持つ大筒を方天戟で破壊する。

「まだ続けるか?」

「うぅ…。私の負けだ。」

大友の宣言を聞き一息吐いてからへたり込む大友に手を貸す。

と、そこへ地面に矢が刺さる。矢には紙が巻かれていた。

「……ふむ。」

紙には京からの情報が書いてあった。何故か大和が敵の大将を探しに行ったようだ。武道の心得がない大和が敵大将、あるいは敵兵と接触したら危険だ。

「一子!!」

呂布は一子の名を呼ぶ。すると一房に纏められた髪を跳ねらせながらこちらに向かってくる者がいる。

「どうしたの?りょー!」

勿論一子である。

「どうやら我らが軍師殿が少々危ない賭けをしているようだ。助太刀に行くが一子も来るか?」

「勿論!」

「よし。という訳でさらばだ大友殿。」

「あ、ああ。」

呂布は大友に別れを告げ一子と一緒に大和の救援に向かう。京からの情報によると廃工場エリアにいるようだ。

「ここのどこかに大和がいるはずだ。」

「んーどこかしら?……ん?」

一子がくんくんと匂いを嗅ぐ。

「りょー!こっちから大和の匂いがするわ!」

「流石一子。伊達にワン子では無いな。」

「えへへー。」

照れる一子を見て呂布は苦笑する。一子の案内で工場内を進む。すると話し声が聞こえ眩い光が視界に入る。

「大和!!」

一子が大和の前に立つ。大和と話していたのは天神館の生徒と教師……いや、制服を着ていることから恐らく生徒だろう。

「ふん!雑魚が何匹来ようが俺には勝てん!」

眩い光を放ちながら刀を持つ天神館の生徒。

「貴方が天神館の大将、石田三郎とお見受けする。」

「その通り!俺が西方十勇士の総大将、石田三郎だ!」

「某は西方十勇士の1人、島右近と申す。」

「一子。島右近を頼むぞ。」

「分かったわ!」

呂布と一子が並び方天戟と薙刀を構える。

そして駈け出す2人。石田と島も得物を構える。

「ふん!雑魚が粋がるなよ!」

石田が腰を深くし呂布の懐に入るタイミングを探る。だが……。

「ふん!!」

「ぐあぁぁ!!」

呂布に隙なし。呂布の一閃に吹き飛ばされる石田。

「はぁぁぁ!!」

「ぬぅぅ!!」

一子も島を圧倒し沈めた。

「見事!」

「おっす!」

呂布の賞賛を受ける一子は嬉しそうに笑う。闘いを見ていた大和が2人に近づいてくる。

「助かったよ2人とも。」

「ふふん!感謝しなさい!」

「調子にのるな。」

「なんでっ!?」

大和はドヤ顔をする一子にデコピンを食らわす。呂布は苦笑しながら大和に話しかける。

「はは。それにしても軍師殿、少し危ない橋を渡ったな。」

「すまない。俺しかいないと思ったら体が動いていた。」

「別に責めていないさ。僕に礼を言うより京に言ってあげな。大和の事を知らせてくれたのは京だから。」

「………後でそれとなく礼を言っとくよ。……ん?」

大和は直球で礼を言うのは避けようと思った。と、そこに空から人が落ちてきた。

「源義経!助太刀する!」

「…………」

大和と一子はポカンと義経を見る。呂布は笑いを漏らしながら義経に終わったことを言う。

「少し遅かったな。もう終わったよ。」

「そんな!?うぅ…格好つけて来た義経は恥ずかしい!」

義経は顔を真っ赤にしながら羞恥を隠すために呂布に抱きつく。呂布はよしよしと頭を撫でる。

「………え、と…奉先の知り合いか?」

大和が躊躇いつつ聞く。呂布は珍しく口籠りながら答える。

「あー、と…前に話した家族だ。」

「そ、そうか。」

突然の家族出現に大和は戸惑いながらも頷く。

「とりあえず僕は義経を送ってくる。大和達は先に皆のところに戻ってくれ。」

「ああ、わかっ…とその前に奉先。勝鬨を上げてくれ。」

「え?僕が?」

「そうだ。相手の総大将を討ち取ったのは奉先だからな。」

「そうね!りょー!勝鬨を上げて!」

一子にも促され呂布は義経を離し、表情を引き締め方天戟を天に掲げる。

「勝鬨を上げよ!!敵大将はこの呂布奉先が討ち取ったり!!」

勝鬨が天に上がる。どこに仕込まれていたのか、マイクで呂布の声が拾われ戦場に呂布の声が響いた。

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