短編とか言いつつ連載と言うね…………仕方ない、沖田が可愛すぎるのが悪い。
今作で一番酷い扱いを受けるのは間違いなくメディアさん。
プロットの段階では一番最初に脱落するサーヴァントです。石油王に召喚されるメディアが悪いんだ……(責任転嫁)。
――――――――二ヶ月前。
「ふむ…………これが令呪か。確かに合理的で画期的なシステムだが、如何せん無駄が多いな。四肢に浮き出て第三者からでも確認出来るようでは、切り落とされて無力化されるのが関の山だろう」
「しれっと恐ろしくなるような事を言わないでくれませんかねぇ…………」
「しかし事実だ。もし魔術師同士の闘いになった時、私なら真っ先に令呪を狙う。令呪を使用されてサーヴァントを呼ばれては堪らないからな」
「はぁ……………………確かにそうだけどさぁ」
伽藍洞に男の憂いが篭った声が染み渡った。反響した声が壁に消えていくようだ。
とある廃ビルを買い取り、仕事場として使っているフロアの一室。一組の男女が椅子を隣に並べて密着していた。お互いの距離は零、それこそ肌同士がぶつかり合うような距離だった。女の吐息が男の鼻を掠め、男の臭いが女の鼻に届く。まるで恋人同士のじゃれ合いのようで、見ている者が居るのなら思わず赤面せざるを得ない状況。しかし、当事者たちはその事で恥ずかしく感じるような感性を持ち合わせてはいなかった。
男からすれば彼女が
女からすれば肌が触れ合う以上の行為をしているが故にこの程度では恥ずかしくない。
廃れた関係だ――――とは男の言葉だったか、女の言葉だったか。はたまた、この職場で働く冴えない青年の言葉だったかもしれない。既に十年以上の長い付き合いになるが、この関係性がこれ以上進展した事は一度も無い。あくまでビジネスパートナーである。
完全に私情と仕事を割り切っているからこそ、この二人の関係は成り立っているのだ。肌を重ねる事自体もお互いが必要だと判断した結果に過ぎない。それが快楽を求める為や愛を育む為では無いのは、お互いの相互理解でもある。なんせ
快楽を得る事で強くなるのなら毎日のように行っただろう。しかし男はそうならない事を知っている。
愛を育む事で根源へ至れるのなら毎日のように行っただろう。しかし女はそうでは無い事を知っている。
かつて女の弟子が「師匠と彼は付き合っているんですか?」と質問した事がある。答えは二人揃って否だった。本心は兎に角、理性的であり利己的である彼らにはこのドライな関係が丁度良かったのだ。
「そもそも魔術師が戦う事になったら、直様サーヴァントを呼ぶんじゃないか? 一応聖杯戦争に参加するマスター候補の資料は持っているけど…………名前や経歴を見る限り、まともな魔術師は少ないぞ。俺然りバゼット然り」
「どれどれ…………遠坂
「遠坂は判らないが、中東のヤツは結構魔術師らしいヤツだったな。でもアレは単純に技術不足、まともなのはアインツベルンくらいじゃないか?」
「ふむ、この面子なら確かに正々堂々と一騎打ちなどせず、サーヴァントを呼ぶかもな。しかし――――バゼット女史やお前に限ってそれは無いだろう?」
「まあね。自分で言うのもアレだけど、下手なサーヴァントよりかは戦闘力があると自覚しているし」
二人の距離は肌が触れ合う程に近い。女が男の右腕を握りまじまじと観察し、男は女の質問に答えている。男の眉間に
男の右腕、手首から肘にかけての部分に令呪と呼ばれる刻印が刻まれていた。赤で描かれた令呪の形は言い表すのなら三角形。人によっては別の形にも見えるような曖昧な形状。恐らく十人に聞けば全く違う回答が返って来るであろう歪な形をしていた。事実、男はそれをピラミッドと例えたのに対して、女は三角フラスコと答えた。
思い浮かべる形状が違うのは当然――――この令呪に
過去の英雄達を縛り付ける楔となるモノ――――令呪。
それはとある闘いへの参加状であり、共に戦う仲間を律する絶対命令権でもある。これを支給された者は七人――――彼らはマスターと呼ばれ、その闘いに参加する事になる。マスターは令呪という命令権を用いて
令呪の画数は三つ、つまり強制的に従えさせる回数は三回。しかし実際、マスターが使える令呪の画数は二画までだ。
只でさえプライドの高い英霊を強制的に従えさせているのだ――――もしも令呪が無くなり、自決させる事が出来なくなれば切り捨てられても可笑しくは無い。最も、まともな思考が出来る英霊なら
この令呪を使って従えさせれるのは英霊、サーヴァントと呼ばれる守護者達。サーヴァントを使役する魔術師はマスター。過去の偉人を召喚するという奇跡を成し遂げ、ありとあらゆる願いを叶える事が出来る願望機は聖杯。それを巡って七人のマスターと七騎のサーヴァントが争う闘いを聖杯戦争と言う――――男が知っているのはこの程度の情報と、聖杯に関する知識のみ。たったこれだけで死地へ赴こうというのだから、同じマスター達に馬鹿にされても文句は言えない。
だが男にとってはこの程度の知識で充分だった。どうせ自分に
「しかし――――この聖杯戦争は考えれば考える程不明瞭な点が多い」
「そうか? 単純に六人のマスターを斬ってサーヴァントをぶっ殺せばいいんじゃないか?」
「…………お前のような脳筋では判らないだろうがな、冷静になって一度考えてみろ。
まず第一に。何故サーヴァントなどと言う法外な存在を降臨させる必要がある? 聞いた話によれば聖杯には根源へ至る事すら可能な魔力があると聞く。それならばわざわざサーヴァントに魔力を割かず、魔術師同士で殺し合いをさせればいい」
「確かに、冷静になってみれば不思議だな。リソースを余分に割く必要は無い…………まあ、有り余る程の魔力がある証拠なんだろうけどさ」
「次に。何故外部の魔術師を招き入れる必要がある? 聖杯を作った御三家――――遠坂、間桐、アインツベルンが争うのなら判る。だが、聖杯戦争では外部からも魔術師を呼んで開かれている。三人であれば手に入れられる可能性も上がるのに、わざわざ確率を下げる意図が判らない」
「聖杯は自身で担い手を選ぶって言うし、審査の為に数多くの魔術師を戦わせるんじゃないか」
「そして最後に――――――――お前のような魔術の腕前は二流以下で戦闘だけに特化した男が、何故マスターに選ばれたのか」
「おい、押し倒すぞ」
思わずため息を吐いて
隣室のコーヒーポットの稼動音だけが響く。数十秒後、甲高い音と共にコーヒーが沸いた事を伝える。億劫そうに席を立った女は隣室に消え、コーヒーが注がれたカップを二つ持ってきた。一つを男に差し出し、一つを自分の席の前に置いてポケットに手を突っ込んだ。取り出した物は煙草とライター。手馴れた手付きで煙草の先端に火を付け、物寂しく感じてきた口に咥えた。
俯いていた顔を上げ女の行動を見守る男。煙草の煙を味わいゆっくりと吐き出す姿はとても似合っていて、男性なら思わず憧れてしまうような格好良さがあった。ハードボイルド――――と言うよりは大人の色気だろうか。見蕩れてしまう魅力を醸し出していた。
コーヒーを啜りながらその姿を観賞するのも楽しいが、今日此処に来たのはそれが目的では無い男は立ち上がった。それと同時に煙草を楽しんでいた女の視線が此方に向く。扉付近に置いていたキャリーケースを持ち上げ、女のデスクに傷が付かないよう慎重に置いた。
「それは?」
「依頼用の金だ。本当なら価値のあるアンティークにしようと思ったけど、黒桐君の給料が洒落にならないレベルでヤバいと聞いたので急遽現金にした」
「……………………ハハハ。何を言うか、私はしっかりと黒桐に給料を払っているぞ?」
「何ヶ月前?」
「三ヶ月より先は憶えていない」
「あのなあ…………黒桐君が幾ら優しいからって、お金は必要だ。それに式ちゃんと
「………………………………別に両儀家の財産があれば事足りると思うが」
「なぁーにぃー? 聞こえんなァ?」
先程とは反対に、顔を逸らす女と問い詰める男。鼻先がくっ付く程顔を寄せ、ジト目で女を睨みつける。
女――――
そんな会社には従業員が一人だけ居る。名を
結婚というものは金が要る。花嫁の実家が権力を持つ名家なので心配は要らないのだが、幹也にも男のプライドがあったのだろう。結婚式の運営資金を全て自分が払うと発言したのだ。しかし幹也が勤める伽藍の堂は給料を払わないようなブラック企業、言ったのは良いがどうするか。そんな状態になって相談したのが、この男であった。
事情を聞いた男は直様金を用意、自身も
「所で、依頼の内容は?」
「コイツ――――――――まあ良い。
依頼は年季の入った、魔術的価値すら持っている日本刀だ」
「年季の入った――――となると遺物か?」
「年代を重ねていれば誰が使っていても構わないが、出来れば縁があれば助かる。狙った英雄が召喚しやすくなるしな」
「……………………聖杯戦争では西洋の英霊しか召喚されないという話だった筈だが?」
「そう言うと思って準備してある。これを見てくれ」
男がポケットから取り出して投げたのはリストだった。それを受け止め、書かれてある文字列を追う橙子。忙しなく視線が動き、彼が渡した意図を暴いていく。
リストに書かれていたのは英霊の名前だった。第二次聖杯戦争、第三次聖杯戦争、第四次聖杯戦争――――聖杯戦争に召喚された英霊の名前が網羅されていたのだ。
「これがどうした」
「英雄の名前を見て気付く事は無いか? 第四次聖杯戦争のサーヴァントをよく見てみろ。或いは第三次のアインツベルンのサーヴァント」
「アーサー王、古代ウルクの王、フィアナ騎士団の双槍使い、アレキサンドロス大王、湖の騎士、暗殺教団の長、聖処女に仕えた軍師、ゾロアスターの最悪神――――どれも名を馳せる英雄だが…………成程な」
「気付いたか」
「ああ――――聖処女に仕えた軍師ジル・ド・レェやゾロアスターの最悪神アンリマユは
第三次聖杯戦争にてエキストラクラス
今までの聖杯戦争で召喚されてきたサーヴァント達は、誰もが華々しい名誉や褒め称えられる栄光を持っている正英雄だった。だがそれも
アンリマユは拝火教にてこの世のありとあらゆる悪を背負わされた神霊であり、ジル・ド・レェは百年戦争の戦歴ならまだしも、晩年は黒魔術に没頭し子供を凌辱したとされている。とてもじゃないが正英雄とは言えない経歴の持ち主なのだ。
それが正英雄ばかりが集う聖杯戦争に召喚された。それが指し示す意味は――――
「――――
「故に本来は召喚されない筈の東洋の英雄を呼び出す、と。もしも出来ない場合は?」
「あくまで触媒として使うだけだから、失敗しても普通のサーヴァントが出てくるだけさ。日本刀も俺が使えばいいし」
「……………………はあ。お前らしい無謀な案だな。
――――だが良い。仕事は仕事だ、しっかりと請け負うとしよう」
「ありがとう。特に指定は無いから、適当に選んでくれ。まともに使えるヤツをな」
「了解した」
話し合いが終わり、男は席を立った。橙子は止めるような事を言わずただその姿を見守る。
下手をすればこれが最後の出会いだと言うのに――――彼らの間に言葉は無かった。
「じゃあな。運が良ければまた逢おう」
「恐らく二ヶ月後には間に合う。素晴らしい品を用意しておくから、追加報酬は多めにな」
「馬鹿、そんなものあるか」
バタン、と。
音を立てて出て行く男を見守った橙子は溜め込んだ煙を吐き出す。色々な感情が混ざった煙は天井に溶けていった。
◇ ◇ ◇
水を垂らしたような透き通る刀身、それから連想出来る斬れ味に思わず口元を歪める。
目の前に広げられている日本刀の名前は
観賞用に作られた美しい刀ではない故にシンプルで無骨だが、只々
実践用の刀だからと言って汚い訳でもない。透き通る刀身は鈍い鉄の光を宿していて、刃文の美しさは有名な刀鍛冶故に思わず見惚れる程。これを使って自分が相手を斬る――――それを考えると、思わず身体が震えた。
鞘から抜刀している抜き身の加州清光を持ち上げ、試しに幾度か振るってみる。空気を斬るとヒュンと小気味いい音が密室に響いた。これ程まで斬れ味が良い真剣は久し振りだ。壁に飾ってある模造刀共も出来自体は素晴らしいが所詮は贋作――――やはり本物の斬れ味とは比べ物にならない。
今回の加州清光然り、壁の模造刀然り…………橙子は本当に良い仕事をしてくれる。その分取られる報酬は多くなるが、高品質なモノを手に入れるには背に腹か代えられない。まあ魔力補給もしてやっているんだ、これぐらいの品質は当たり前だろう。
「これだけの名刀だ、さぞ高名な英雄が呼ばれるに違いない」
加州清光を『日本刀』という広いカテゴリで分類するのなら、呼び出せる英雄は多岐に渡る。なんせ日本刀は古墳時代からあったとされる武器だ。飛鳥時代の聖徳太子、平安時代の平将門、鎌倉時代の源義経に戦国時代の織田信長――――日本で有名な偉人の殆どが日本刀を使っていた。サーヴァントは知名度(信仰度とも言える。彼らが人類の守護者である以上、信仰があればある程生前に近付けるのだろう)が高い程ステータスが上昇する。聖杯戦争の開催地が
……………………まあ、東洋の英霊が召喚出来るかどうか判らない現状では机上の空論だが。
聖杯戦争の聖杯は御三家の一つ、アインツベルンで作られた。アインツベルンがあるのはドイツ――――つまり聖杯に記録されている英霊の『座』も西洋のモノなのだ。万能の願望機を自称しているのなら東洋の情報があっても可笑しくは無い(事実、前回の聖杯戦争参加者の話を聞くと呼び出されたサーヴァントは日本の情報に精通していたとか)が、それはあくまで情報に過ぎない。本当に聖杯に『座』として設定されているのか――――これが問題になってくる。
反英雄が召喚されるという異常事態が発生している聖杯なら、設定されていない筈の東洋の英霊が召喚できると思ったのだが…………最悪、普通の
「それなら自分が加州清光使えるし」
橙子に
もしかしたら人生最後の戦場かも知れない――――それならば、名刀を担いで死地に赴きたいと考えるのは仕方のない事だ。折角金を叩いて名刀を購入したのだから、触媒に使うだけでは勿体無い。せめて一人は斬らないと元が取れそうになかった。
「さて――――そろそろ始めるか」
現在俺が居るのは拠点としている武家屋敷の地下。簡易的な魔術工房となっている此処は英霊召喚用に準備が進められていた。決して広くは無いスペースの中央には魔法陣が描かれ、手元には呼び水となる銀と鉄。召喚陣自体は大した規模のモノでは無く、非常に簡略なものだ。これも聖杯が勝手に召喚を行ってくれる御陰である。
サーヴァントなんて存在を召喚するのだから大掛かりな儀式になると思っていたのに、蓋を開ければ大した事の無い魔法陣を描くだけ。楽と言ったら楽だが、師匠から援助金を大儀式を名目にして毟り取る事が出来なかったのが悔やまれる。第四次聖杯戦争に参加していたマスターだからこそ、儀式の規模を知っていたのだろう。あの堅物が、ライネスに訴えてやろうか。
「――――はぁ、すぅ――――はぁ…………」
深呼吸を数回繰り返して息を整える。失敗は無いだろうが万が一も有り得る。己の血液で魔法陣を描いたので同調は充分だし、微弱ながら自身の魔力が篭った石も使う。成功率はかなり高いが――――失敗に一パーセントも確率があるのなら、それは殺すべきだ。
心肺の鼓動を普段の状態まで低下。興奮している身体を沈静化。痺れ始めた四肢を回復。
――――魔術回路、起動。
魔術回路への魔力補給開始。魔力の巡回と充填を確認。
令呪との同調開始、そして完了。魔法陣への同調開始――――終了。
魔術回路の魔力循環を確認。魔術回路起動による拒絶反応を確認、沈静化。
全身への魔力循環完了。マナの吸収開始。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
師匠から教えてもらった詠唱を刻む。言霊に乗せるは魔力と決意、全てを切り裂かんとする意思を聖杯へ伝える。聖杯が自分と相性の良いサーヴァントを呼び出すのなら、自分と同じ剣客を。その願望を伝える為に――――意思を乗せて詠唱を続ける。
身体が熱い。人知を越えた存在である魔術は身体を蝕み、拒絶反応として痛みを発する。既に十年以上魔術を使役していると言うのに大魔術になると何時もこれだ。持っていかれる魔力と比例する形で痛みが増しているのは気の所為だと思いたい。
「
繰り返すつどに五度、ただ満たされる刻を破却する」
召喚陣を通して聖杯からの魔力が吹き荒れる。召喚陣の中央に置かれた加州清光が震え、そして魔力を纏った。それはつまり――――加州清光が聖遺物として、触媒として認められたという事だろう。
内心ガッツポーズをしたくなるのを抑え、言霊を吐き続ける。ここまで来たのに台無しにする訳にはいかない。
「――――
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意この理に従うならば応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」
第五要素たるエーテルが室内を満たす。吹き荒れる魔力の嵐の中――――目を見開いて、召喚陣を睨んだ。閃光など関係無い、召喚される戦友を見なくては安心出来ないからだ。第一、呼び出されて直ぐに見る光景が目を閉じた男など嫌すぎる。
「汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ――――」
――――ふと、唐突に。
目の前で吹きすさぶ奔流が、散りゆく桜吹雪に見えた。
「天秤の守り手よ――――!」
一際巨大な魔力の奔流と同時――――光が室内を包む。目を覆いたくなるような閃光に耐え、内部から発生している痛みに悶える。それらを全て無視して、
それは桜だった。儚さすら感じさせる白い肌にそれを引き立たせる桜色の和服。梅紫色の袴には刀が差さっていて、一目でそれが加州清光だと分かった。白髪と見間違う程の薄い桜色が
嗚呼――――なんて美しいのだろうか。俺は彼女に見蕩れていたのだ。
「新選組一番隊隊長。沖田総司、推参。あなたが私のマスターですか」
煙が晴れて声の主が姿を表す。凛々しくも優しい瞳に射抜かれた俺は、心なしか心臓が跳ね上がるのを感じながら応えた。
「ああ、俺がお前のマスターだ。これにて契約は成った――――お前が俺に剣を預けるように、俺もお前に背中を預ける」
魔術はからっきしだが戦闘においてはサーヴァント並の戦闘力を誇る自分。
何ともまあ、ちぐはぐなコンビだこと。
「取り敢えず上に上がろう。そこでこれからの方針を話すとする」
「分かりました」
「…………言い忘れていた。
俺の名前は
そう言えば質問なんですが、メディアが葛木に拾われたのって何時頃でしたっけ?
この日付次第でメディアが倒れる場所が変わりそうです。