比企谷八幡は893の跡取りである   作:曉 焔

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お久しぶりです焔です。
ひと月更新っぽいと感じています。
毎度毎度遅れてすいません、あれ?ココデアヤマッテシカイナイヨウナ?

まぁ、これだけ日にちが開いた故に内容が途中からおかしくなってると思います
そんなものでもいぃ↑だろうというかたはどうぞ、です


忘れられない光景

モウヤメルンダッ!!(挨拶

 

戸塚(そう呼ぶことにした)の奉仕部への依頼があって既に二日が経過していて、昼休みなどの自由時間を利用しながら、最早練習ではなく訓練や地獄のようなことをしていた。

 

 

__________俺も含めて。

 

 

雪ノ下が放った言葉は次のセリフだ。

 

『もし私があなたのような立場たとしたら、死ぬまで走って死ぬまで打つ訓練を部員にやらせるわね。運動するためのトレーニングも念入りに組み立て直して、訓練メニューもより緻密に、より厳しく仕上げるわ」

 

そう、この時雪ノ下は確かに『部員にやらせる』と言ったはずだ。少なくとも俺の耳は確実に聞いていた。だが現実はどうだ?一体なにをとち狂ったのか俺をスパルタが裸足で逃げ出す訓練メニューに加えやがった。

雪ノ下曰く、

 

「あなたがこの依頼を持ってこさせるような気持ちにさせたのでしょう?だったら一番の協力者があなたでないと奉仕部としてのメンツがたたないわ」

 

だそうで。

 

初めてあったときに周りのことなんて関係ないって言ってただろに...........。てか絶対に自分が動きたくないだけだろうが。あいつの体を見る限り、テニスやサッカーなどに必要なスタミナを持っていないのだろう。誤解されないように言っておくが、部室で初めて会った時の気配や目の配り方がどうも裏側の奴らに似ていたから、警戒して身体情報を観察しただけだ。

 

決して覗き見したわけじゃない。

あんな細い体ゆえにちゃんと飯を食っているのかとか、あそこまで何もないともはや限りなく女に近い男ともいえるような気がする。

 

きっといままでも、あの絶ぺk________ッ!?

 

「比企谷君?いまなにかとてつもなく失礼なことを考えなかったかしら」

 

「いや?」

 

「........................」

 

「.............なんだよ」

 

「まあいいわ。あなたのメニューだけあと三倍追加してあげるわ」

 

「えっ、ちょっ、まっ」

 

「あなたの意見なんてこの私に通るとでも思っているかしら?甘いわよ甘谷君、私に意見したいなら、泣いて許しを請いなさい」

 

「..........................................いや、なんでもない」

 

 

 

________________________

 

 

 

雪ノ下のやろー覚えてやがれよ畜生が......。

放課後ギリギリに終わった俺の訓練____というより罰____が終了し、いつもの自宅までの道のりを這う這うの体で帰っていた。

だが、今回は少し道のりが違う。

行き先は、まだ小さかったころからの腐れ縁である小野寺が営む店。

名は小野寺和菓子店、何年も前から続くゆうしょ正しき古株の和菓子店である。

 

久々に小野寺の店の菓子が食べたくなったのと、この荒れに荒れた心を癒やしてもらいに行きたくなったのだ。

我が愛しの妹を至高とするのならするのなら、さしずめ小野寺は究極と言ったところだろうか?

からかいながらも気を使ってなごませる小悪魔系が小町なら、あらゆることを優しく受け止め、包み、叱る母親のようなのが小野寺だろう。

こんなことを本人にいったら99%殺される未来しかないから言わない。

因みに残りの1%は半殺しである。あらやだ、どっちも死んでるじゃない。

 

自転車を端に停め、鞄を片手に自動ドアをくぐる。

結構広いエリアには、リスキルを狙っていたかのような和菓子の数々。

それらは所狭しと肩を並べ、各々の甘い香りで誘惑してくる。

脳を刺激する香りは、まるで阿片窟の迷いこんでしまったよう。

 

ああああああああ.........頭が、体が、菓子をよこせと轟き叫んでいるぅ...。

静まれ俺の両腕!腕一杯に和菓子を抱えようとするんじゃない!!

 

あわや俺の体が洗脳されかけていたのを救ったのは、この店の看板娘だった。

 

「遅れてしまい申し訳ございません!ようこそいらっしゃいm........って比企谷君!?」

 

「おう、小野寺。ちと失礼させてもらってるぞ」

 

マジナイスタイミングだ小野寺!あともう少し来るのが遅かったら完全に買いつくしていたに違いない。

そうなれば俺の財布が空に向かってFry awayしていたことは必然!

マジありがとうございます神様仏様小野寺様!

 

「失礼なんて思ってないよ......というよりどうしたのその体!あちこち酷いありさまになってるよ!?」

 

氷の女王にしごかれてました!とは口が裂けても言えない。

このことがばれたら今度こそ明日がなくなるだろう。

口からとっさに出たのは、

 

「いやちょっと転んで」

 

「........いくら私でも騙されないからね?」

 

ならその間はなんだと問い詰めたい。

 

「もう、ちょっとまっててね比企谷君。絆創膏持ってくるから」

 

そういって小野寺は暖簾をくぐって奥に行ってしまった。

新作コーナーにある和菓子を眺めること数分、絆創膏を手に持った小野寺が帰ってきた。

 

「ほら、ほほだして?貼ってあげるから」

 

「........はっ?いや、いいから」

 

そういって手を伸ばすも、絆創膏を持っていない方の手で遮られてしまう。

あったかくてすべすべで柔らかいナリィィィ........。

はっ!これってセクハラになるんだろうか?この歳でポリスのお世話になりたくない!!

だがそんな内面を顔にはおくびにも出さない。おれってばマジ紳士の鏡。

 

「ダメだよっ!ちゃんと貼らないとばい菌がはいって大変なことになるんだから」

 

小野寺はカバーをペリッ取り、俺の左ほほにゆっくりと慎重に絆創膏をつけた。

 

「うんっ、これでよし!次は気を付けてね?」

 

「お、おう前向きに善処することにする」

 

「ん?」

 

「ヤェス・マム!」

 

「うんうん、それでいいのです」

 

ふぇぇぇ、小野寺が黒いよぉぉ......。

小野寺が知らぬ間に黒い方向に成長していたことに驚愕していると、ふとこちらに視線が向けられていることに気が付いた。

 

「ふふふ、ふふっふふふふふふふふ」

 

こわっ!?こわいよ、目が、好奇心にあふれている目が、こっちを向いている.....。

こっちみんなよちくしょう。

 

「あ、あのだな小野寺。早く離れてくれるとありがたいんだが.......?」

 

「うぇっ?ご、ごめんね!?」

 

火山でも噴火したかのような煙が頭から沸きだすのを幻視し、熟れたリンゴのように赤い顔で離れる小野寺。

俺の眼には縮歩でも使ったような瞬間移動に見えたんだが........。

 

あ、いや、そんなことより________

 

「なあ、あそこにいるのって..........」

 

「え?........えっ!?ちょっ.........お母さん!?」

 

そう、壁の影から覗いていたのは小野寺のお母さんだったのだ。

そのお母さんは、顔を赤くしてキョドっている娘の姿を見て楽しんでいるようだが。

ふっ、いい趣味してるじゃないですかお母さん。

焦ってる小野寺は可愛い。はっきり分かんだね。

である

「へぇ......ほぉ.........ふぅん......ニヒッ」

 

今までそんなに話したことなかったけどこの瞬間からイメージが変わったわ。

なんというか......あれだ、娘のことになるとだめになる人だ。だぶん。

 

「あ、小野寺。この大福二つ頂くぞ。これ代金な、それじゃ」

 

近くにあった大福を二つ手に取り、矢継ぎ早に言葉を捲し立てる。

 

「え?あ、うん。ありがとうございました」

 

「気にスンナ」

 

面倒事のにおいがしたから爽やかに去ろうと思ったのに、おどれどこいくんじゃ、みたいな小野寺母のオーラでカタゴトになっちまった。

さっさと逃げるに限るなこりゃ。

 

なんかすごく恨めしい視線をぶつけてくる小野寺に心で謝罪をしてから、その場を離れる。

出来ることならもっとゆっくりしたかったのだが、ありゃ無理だ。

あんな空気もとい、あの性格の人物がいる空間でゆっくりできるほど俺の心は強くない。

ダイヤモンド製のマイハートを自負しているが、一点集中の衝撃や超高速で放出される水にはかてない。

グイグイ来る人や、何を言っても効かない水みたいにな人間には最弱である。

別に最弱無双するつもりはない。

 

そこまで遠くない距離を足早に進み、大福を手に自宅に帰宅する。

今日は小町は何か用事があるらしく遅くなると言っていた。

大福は小町が帰ってきてからお茶でも入れて食べよう。

 

今更のように思い出したが、今の俺は汗だくで服がベタついている。

正直言ってすごく気持ち悪い。さっさと風呂沸かして入っちまおう。

 

さあ、準備の時間だ!用意するものはこれ。新聞、乾いた細い小枝、後なんか風を送れるもの。

小枝選びには気をつけること。折れたばかりの枝は中に水気が残っているから燃えにくい。乾いているものにも蟻とかむしが住み着いていることもあるからな。

 

新聞を軽く丸め風呂の下に、そしてそれを中心に小枝で山を作る。出来たら火をつけ緩く風を送っていく。だんだん火の勢いが強くなったら薪を追加。あとはくり返しだ。

ちょうどいい温度になったら中止して体の汚れを洗い落として入る。

 

「あぁ^~こころがぴょんぴょんするんじゃぁ^~」

 

い や さ れ るぅぅぅぅ.......。

 

昼の拷問で受けた傷が、見る間に無くなっていく。

もともと銃創やら切り傷やらで散々な我が肉体ではあるのだが、死ぬ程走って死ぬほど素振り、死ぬほど練習しただけでこんなになるほど軟じゃないんだが......まあ、雪ノ下の訓練の仕方がおかしいということにしておこう。

 

 

汗を流して自室に戻った俺は、自分の意思とは関係なく布団へ飛び込んでしまう。

瞬間、強引に、しかし流れるように襲ってくる眠気に耐えることが出来ずに瞼を閉じる。

熟睡を確信し、体から脳からも力や思考が奪われ意識が暗転した。

 

 

 

「う.......あぁ....ハッ!」

 

寝起きの俺に聞こえたのは、鳥の囀る音と庭にある池の鯉が水をたたく音。

やばい、朝まで寝ちまったのか!

時間は!?..........六時か、ふぅ.....問題ないな。

 

小町は、布団の中にいるしどこも何も漁られた様子はない......か。

最近はいつか軽く揉んでやったアホども以外に、過激化してるグループがあるってことで、ここいらの見回りをしてんだが昨日はさぼっちまったな。

今日はいつもより少しより長い時間回るとするか。

 

昨日小町の料理を食べてやれなかったから、今日は俺が小町代わりに朝飯を作るとしよう。

エプロンを用意し、手を丹念に洗って材料を用意する。

昨日買い出しいけなかったせいか、あんまりねぇな......。

魚とホウレンソウ、それにいくつかの根野菜か。まぁ無難に和食にでもするかね。

 

時間をかけることなく作り終えて食堂モドキである一室に並べる。

組の奴らも小町も起きてきて、朝の挨拶を交わして食事をする。

親父も途中からきて満足そうな顔で完食すると、ごちそう様、といって上座に移動した。

そのころには皆食べ終わっていたらしく、騒がしかったこの部屋が一瞬で静かになった。

 

「てめぇらにいっておきたいことがある」

 

まぁ、気づいてる奴らもいるようだがな、と親父は重々しい表情で口を開いた。

 

「最近このあたりでヤクだの暴力だのに手ぇだしてる若い過激化集団がいるようでな?この町にも少しずつ被害が出てきてる。そいつらは海外の方にも伝手があるのかチャカだのハジキだのも持ってるらしい。仕事終わりにいきなり殴られてバッグとか盗まれかけたとか、好奇心旺盛な若ぇ奴らに片っ端から声かけてるとかいろいろな。実質そこまででかい被害が出たわけでもないから、警察はヤクの方でしか動けん。警察が動けるのは多くの苦情や提案が来た時だけだ。だから俺らが動く。いいか?ここからは裏の世界だ、人の死なんか当たり前、血の海なんざ当たり前の世界だ。自分には無理だと考えたなら躊躇わずに降りろ。その間はここの警備に回ってもらうからな」

 

そこで一度言葉を切った親父は、若い連中が出て行って歴戦ともいえる猛者たちの顔ぶれを見て、もう一度話し始めた。

 

「ふっ.......やはりお前らは心の出来が常人とは違って狂ってるらしいな。俺もくるってるから人のことは言えんが、俺はこの町が大好きだ!俺らを変な目で見る奴らもいるが、この組織ができた当時から知ってる奴らはいつもありがとうって俺らに感謝してくれる。よそでは逸れ者ものの俺らをここの町の一員として認めてくれてる。挨拶だってしてくれてるし怖がるどころか向こうから話しかけて来るくらいだ.........俺はそんなこの町を守りたい!あんな奴らのせいで町の奴らの笑顔が陰るなぞ許すことなど出来るはずがない!故に徹底的に叩いて潰す!この町に手ぇ出したらどうなるか心から思い知らせるためにな!決行は一週間後だ。いいか?各々準備をしとけ、本番でしくじんじゃねぇぞ?」

 

早朝だというのに大きな咆哮を上げる組の奴ら。そして、爽やかな笑みだがその瞳に怒りの炎を宿す親父を見ながら、未成年で唯一残った俺は掌の感覚がなくなるほど握りしめる。

 

解散の一言で皆が出て行ったこの部屋には俺と親父しかいない。

親父は俺に近づいてくると、頭に手を置いてゆっくりと撫で始めた。

 

「お前がそうなってる理由.......分かってるつもりだ。お前は小町をすごくかわいがっていたからな。最近のお前は何かにくるってるように見える。自分を見失うんじゃねぇぞ?もしそうなったらあの頃と一緒になっちまう。最近になってからようやくお前の感情が外に見え始めたんだ。新しい人格として作られてるようだが........今度はお前が、お前の手で、小町を守ってやればいい。それじゃぁな、ちゃんとねろよ?」

 

「.....ああ......そうだな」

 

俺の顔を見た親父は、満足そうな微笑みを浮かべて去って行った。

もう一度握りしめた手を見ながらひとりごちる。

 

「あんなことには...........二度とさせねぇ......!!」

 

血の海に沈む妹の姿を幻視したような気がして、それを振り払うように総武校へと進む足を速めた。




こいつら朝っぱらから何してんの?
あれ?あれれ??
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