我が家のカルデア事情   作:ごくでヴぁる

5 / 5
走り書きに近い短い話です。
時間があったらまじめに書き直すかなぁ

注意

この小説には、エミヤオルタのマテリアルのネタバレが存在します

まだ見たくない、という方は閲覧をご控えください


~正義の味方~

 こうなることは、必然だったのだろう。

 召喚され、その場に彼がいたならばする行動はひとつしかない。

 

 「おまえがマスターか。ひどい面構えだ」

 

 召喚陣の上に現れた、黒い肌をし白い髪をしたサーヴァントは世界を救った人間(マスター)をみるとそう答える。

 しかし、言動の割には表情の変化はかなり薄い。

 

 「まあいい。おかしなナリをしているがこれでもアーチャーだ。せいぜいうまく使え」

 

 ため息をつくと、男はマスターにそう声をかけた。

 彼にとっては、自分自身は道具に過ぎない。

 ゆえに、どう使うかは任せる。といった口ぶりだ。

 

 「ああ……よろしくね、エミヤオルタ」

 

 彼は、新宿で遭遇したサーヴァント。

 アーチャー、エミヤの反転した姿だ。

 ほかの反転サーヴァント、オルタと同じように反転前とは違う様子が見られる。

 

 「(けど……なんだろう、アルトリア・オルタとも違った様子に見えるけど……)」

 

 それは、わずかな違和感だ。

 以下に反転し、オルタになろうと本質が変わることはない。

 だが、目の前のサーヴァントに関しては本質がわずかながらぶれているように感じた。

 

 「……ねぇ、エミヤオルタ」

 

 少し気になり、そのことを聞こうとマスターが口を開いたとき____

 _____目の前から金属音が響き渡った。

 顔を上げ、すぐにそちらに目をやると。

 

 「チッ……存外にすばやいな」

 

 アーチャー、エミヤがエミヤオルタに干将・莫耶を手に持ち切りかかった後だった。

 しかし、エミヤオルタはその行動に反応し自らの干将・莫耶(拳銃)でそれを防いでいた。

 

 「エ……エミヤ!?なにを」

 

 どこから見ていたのか、いつの間に入ってきたのか。

 聞きたいことは山ほどあったが、マスターは困惑しながらエミヤへと声をかける。

 しかし、彼の表情は普段と違い殺意をまったく隠さずにエミヤオルタのほうをにらんでいる。

 

 「……まったく、いきなり切りかかるとはひどい男だ」

 

 エミヤが放つ殺気を、エミヤオルタは嘲笑うかのように受け流す。

 その様子を見て、エミヤは剣にこめる力をさらに強める。

 

 「貴様は……あの小僧とは違い、すでに手遅れだ」

 

 奥歯をかみ締める音が、エミヤから聞こえる。

 今すぐにでも、爆発しそうな感情を押さえ込んでいる。

 

 「一目見てわかった。貴様……自分の信念すら切り捨てたな」

 

 剣がぶつかり合い、きしむ音が響く。

 殺気をむき出しにするエミヤと反対に、エミヤオルタは無機質な機械のように様子を見ている。

 

 「信念を切り捨てた?……おかしなことを言うな、お前は」

 

 エミヤの言葉を、エミヤオルタは鼻で嗤う。

 

 「そんなものは、邪魔になるだけだ。オレは、オレたちは殺戮する機械。それだけだろう?」

 

 その言葉を聞くと、エミヤは剣を握る力を強め再度切りかかる。

 エミヤオルタはそれを受け流しつつも、干将・莫耶(拳銃)から弾丸を放つ。

 

 「否定する気はないがね。……貴様は、オレが持つべき理想さえ捨てた」

 

 エミヤは弾丸を剣で切り裂く。

 そして、再び彼へと切りかかる。

 防ぎ、撃ち、かわし、切る。

 その行動が幾度も続いた。

 _______それが続くにつれ、二人の表情は変化していった。

 エミヤは、今にも吐き出しそうに眉間にしわを寄せる。

 エミヤオルタは、懐かしそうに目を細める。

 ____どれだけの時間、続いたのだろう。

 しばらくすると、お互いに剣(銃)をまじえるのをやめていた。

 

 「……どうした?もう終わりか」

 

 エミヤオルタは、エミヤへと声をかける。

 もう攻撃してこないのか、……気は済んだか、そう感じさせるように。

 

 「……すでに、中身がなくなっていくものにかける言葉も殺意もない。ただそれだけだ」

 

 エミヤは、干将・莫耶を消すとそのまま背を向けその場から立ち去った。

 ……マスターは、突然始まった殺し合いと突然終わった戦いを呆然と見ていた。

 彼らの真意、それを知るのはエミヤオルタのことを知った後だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エミヤオルタとマスターのいる部屋から出た後、エミヤは一人歩いていた。

 今、彼の脳裏を駆け巡るのは_____エミヤオルタの記憶だ。

 魔術の中には、前世の自分を憑依させその知識を得るものがあるといわれる。

 彼は、同一存在である彼と打ちあう事でそれが起こっていた。

 ゆえに_____エミヤオルタの性質を、完全に理解していた。

 

 「……あれは根本から私ではない、あれは生前から壊れていっている」

 

 無論、そこまではわかっていた。

 あれは、自分ではあるが自分ではない。

 ほかのオルタとは違い、あれは過去からまったく違う。

 そんなことは、一目見ればわかることだ。

 だが______

 

 「……英霊となってもなお、毒が蝕むとはな。あれが待つ結末は、完全な崩壊か……はたまた」

 

 エミヤオルタの精神は、徐々に崩壊していっている。

 今の自分とは比べ物にならないほどに。

 彼の過去を見て、エミヤはその結論に至った。

 今の自分は、彼になることは決してない。

 なぜなら根本から違うからだ……だが

 

 「先ほど否定はしたが、撤回しよう。……正義の味方、それは腐り落ちてすべてがなくなっても。残るだろう」

 

 なぜなら、自分には。

 エミヤシロウには、それしかないのだから。

 




あとがき

この後、エミヤとエミヤオルタ同士が話すことはないでしょう。

話しても何も変わらないし、気にかける理由もないから。

疎ましいと思っても、おぞましく思おうとも自分は変わらないのだから。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。