転生先が異世界じゃないって誰得!?   作:ぽけてぃ

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以外と長くなりました。
読みやすく書いたつもりですので(読みにくかったらごめんなさい)気軽に読んでください。


3話~プロローグ③~

 

 

 

 

「はぁーっ、最悪だよ」

 

転生先が元の世界で、特典も無し、思い描いていた展開と180度違う現実に俺は絶望していた

 

「せめて、百歩譲ったとしても俺が知らない場所に転生ってのは悪意が感じられるんですが…………」

 

そう、俺が今いる場所は、体を轢かれた横断歩道でもなく、ましてや病院でもない。見知らぬ路地裏だ、つまりここは米子市では無いという事。米子市で15年もいた俺にとって、米子市は庭みたいなものだ。殆どの場所を熟知している。

 

「せめて米子市に転生させてくれないかな」

 

愚痴をこぼしても、もう遅い

既に転生は完了した、二度と神様とは会えないであろう

訳も分からず放り出された俺は一体どうやって帰れと言うんだ

 

 

「何かいい物ねえかな」

 

このままでは(しゃく)なのと、少しでも神様に慈悲があることに信じ、何か持たせてくれている事を願って学ランのポケットに手を突っ込ませる

因みに服も転生前の姿で、中学の学生服だった。何故か、まぁ神様の仕業なのだが、鞄は無くなっていた

 

「………おっ!」

 

左ポケットには何も無かったが、右ポケットには手のひらサイズの薄くて長い四角の物体があった。取り出してみると

 

「おぉ!卒業祝いに買って貰ったiPhomu6じゃないか!」

 

それは俺が親に何度も頼んで買って貰った携帯電話だった。これを買って貰う為に幾多幾多(いくた)の困難があったが、語りだしたら切りがないので、割愛させてもらう。

取り敢えず、連絡手段を手に入れた。これさえあれば俺はまた何時もの日常に戻れる

 

「よっしゃ!これで家に帰れるぜ」

 

興奮冷めやらんまま、iPhomu6の電源を着ける

だが、何時まで待っても反応がない

 

一応電源を長押しもしてみる。するとブルッという振動の後に少し画面が明るくなり、iPhomu6の会社のロゴマークである囓られたミカンが写し出される。それに俺も(ようや)く安堵し、一呼吸置く

 

「何とかなったな」

 

少し時間を置き、再度iPhomu6を見てみると、電源はついていた。

よしよしと頷き、ホーム画面を開く

が、

 

「………………あれ?」

 

出てきたのはホーム画面ではなく、設定画面だった。しかも初期設定のだ。

何が起きてるのか分からず、一度画面から目を離し、数秒待ってから再度画面を見るが依然として設定画面のままだ

 

 

「………ま…………さか……」

 

1つの考えが頭をよぎるが、想像だ、想像!っと振り払う。それなのに、良くも悪くも(まぁ悪いのだが)俺の想像は見事に当たっていた

 

「あの神様……初期化(リセット)しやがった………」

 

どこを触っても初期設定画面から離れないのを確認して、俺は又も絶望する

 

「……………お、俺の初めての………携帯を…………」

 

もう嫌だ、もう帰る手立てがない。このままだと、飢え死にしちゃうよ。空を見るともう夕日が沈みかけていた。今から家を探すにも時間が無い。野宿しようにも今の季節は冬、羽織るものも無いのに寝てしまっては凍え死んでしまう。…………………………いっそのこと、ここで死のうかな

そんな事を考えてしまう。

例え神様のミスでも一度死んだ身、死ぬということに対しての抵抗が何故か緩くなっている

 

 

 

 

 

 

 

 

『お兄ちゃん!』

 

そんな声が聞こえたのは、俺が地面に寝そべりかけた一歩手前だった

何処からともなく聞こえてきたその声は、明らかに雫の声そのもので、元気よく俺の名前を呼んでいる

その瞬間、雫との思い出がフラッシュバックする。屈託ない笑顔で笑う雫、怒った雫、照れる雫に、何時も腕に抱き着いてくるシーンが脳裏に蘇る

あぁ、そうだ。俺には待ってくれてる家族がいる。俺の事を好きでいてくれる妹がいる。帰らないと

 

「………やっぱ、死ぬのは無し」

 

それに………………………「ごめん」って、ちゃんと言えなかったし

 

最後の最後で、自分の思いを伝えれなかったのはやはり未練が残っている

 

「取り敢えず、米子市に向けて出発しますか」

 

行く場所も分からず、だが、明確に、力強い一歩で、俺は路地裏を歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

「どっちに行けばいいだろう?」

 

路地裏を出て直ぐの分かれ道に悠真は直ぐにタジタジになるのだった。

旅の道のりは前途多難みたいです。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「梓!早く走んないと捕まるよ!」

「待って下さいよ、私走るの苦手で……」

「待てるわけないでしょ!」

 

悠真が路地裏を出ていったのとほぼ同時刻、二人の少女が街を駆けていた

方や金髪のツインテールの少女に、方や黒髪ロングの少女、2人とも近くの学校の生徒なのか、学生服を着ている。迷路のように絡まった道を縫うように逃げていく二人は既に疲れが見えていた

 

「み~つけた!」

「ちっ!」

 

先程曲がったT字路から一人の男が出てくる

わざと破けたジーンズにドクロマークのTシャツ、その上に羽織るのは黒色のジャンパーで、髪は金色に染めて耳にはピアス。

百人中百人がチャラ男と思うであろう姿に喋り方。そんな男に二人はあからさまに顔が曇る

 

「まってよ~、」

「待つわけ無いでしょ!」

「連れないこと言わずにさぁ」

「うるさいわね!」

 

金髪の少女とチャラ男は言い合いながらも追いかけっこを続けている

もう一人の女の子は既に喋れる状態ではないらしい

 

30秒走った辺りで男の方が徐々に差を詰めていく、50メートル、40メートル、この追いかけっこも時間の問題になってきた

 

 

 

 

 

「きゃっ!」

「うぉ!」

 

金髪の少女は、チャラ男との言い争いに夢中になるあまり、角から出てきた誰かと衝突してしまう。声の低さからして男なのは間違えないが、ややトーンが高いのをみると、未だ声変わりをし終えてないのか、元々の声質が独特なのが瞭然だった。

少女は、別に前を向いてなかったわけではないのだが、如何せん男の出てきた場所が人通りの少ない裏道に、続く道だったので警戒を怠ってしまった

 

「いててっ……………、大丈夫?」

 

先に起き上がったのは男の方で、未だぶつかった衝撃が残るのか頭を抑えながら、少女に手を差し伸べる。

 

 

その男は言わずもがな、荒金悠真(・・・・)であった

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫?」

 

俺は未だ目の前で尻餅をついている少女に手を差し伸べる

日本では珍しい金髪で、その透明度から地毛だと直感するが、初めて見る金色の髪に目を奪われてしまった

 

「汐莉?……はぁ…はぁ………大丈夫ですか?」

 

金髪少女に見惚れていた俺は、もう一人の少女の登場でしばし現実に引き戻される

見ると、こっちは黒髪ロングのストレートで今にも呑まれそうな程黒い髪の毛だった。相当走ったのだろう、肩で大きく息をしているを見てそう感じる

というかそっちこそ大丈夫ですか?

尋常じゃない程の息切れに俺の方が心配になる

 

「梓、こっちは大丈夫だから、早く逃げて…………じゃないと………」

 

サラリと俺の手をスルーして立ち上がる少女に俺は羞恥心を覚えるが、見られてないのを確認して、素早く左ポケットに突っ込む。

逃げるという言葉に少し違和感を覚えるが、取り敢えず

 

「あの~すいません~」

 

ぶつかったので謝らないといけないと思い、二人に声をかける

 

「「はい?」」

 

二人は瞬時に振り返り、まるで打合せしたかのように綺麗に揃えて頷く。

う~ん、何か物言わぬプレッシャーを感じるよ…………

 

「その~ですね、……………ぶつかってしまい、すいませんでした」

「あっ、こっちこそ、ごめん。前を見てなくて」

 

俺の言いたいことに気付いたようで、少女も謝ってくれる。実に砕けた喋り方に俺も緊張がほぐれる

やっぱり、2年間のブランクは大きいか………………

妹の所為でこの2年間、お母さんと妹しかまともに話す事の無かった俺にはいきなりの金髪少女との会話は難易度が高すぎたのだ。

それでも自分から謝ったところを評価したら及第点だろう

 

「それじゃあ、1つ聞きたいことがあるんですが…………」

「うん、何?」

「えーっと、此処って何処で―――」

「って汐莉!呑気に話している場合では無いですよ!」

 

焦ったように黒髪の少女は会話に入ってくる

逃げる、話してる場合では無い、この言葉と二人の焦っていた様子から導き出されるのは“誰かに追われている”ということ。これがどっかのアニメの展開なら、実はこの二人はある国の王女さまで、SPに追いかけられてるというのがありそうだが、

まあ、学生服を着ているところを見ると、間違っているのだろう

 

「そうだ、早く逃げないと!」

「もう遅いよ」

 

あっ、チャラ男だ。

いきなり少女達の後ろに現れた男に、俺は真っ先にそう思った。ってか破けたジーンズとか古くないですか、しかも今は未だ2月末、雪はないにしろ、冷たい風が時折吹く季節ですよ、バカですか?

 

「へへっ、(ようや)く捕まえたよ。」

 

男の下衆(ゲス)な笑いが聞こえたと同時に、金髪の少女の腕が掴まれる。

 

「いや、離して!」

 

必死で抵抗するが振りほどけない。

 

「離すわけないでしょ、いいから大人しく俺に付いてきてよ」

 

そう言って引っ張る男、

えっ…………?何この展開?これ、主人公が颯爽と現れて少女を助ける展開じゃん、まさか神様が望んだのはこういう…………………いや、それは無いな

取り敢えず、何時までたっても主人公が来そうにないので、俺は助けることにし、男の手を掴んだ

 

「あの、離して貰えません?」

 

うぅ~、殴られませんように、殴られませんように!、殴られませんように!!!

神にお祈りしたが、よく考えれば神は俺への嫌がらせが好きなわけで…………うん、絶対殴られる

 

「あぁ~!?誰だテメェ?こいつの何だ?」

 

凄い怒ってるが、初っぱなから殴られなかった事を安堵し、取り敢えず男の質問を真面目に考えてみる

………………何なんだろ?よくよく考えれば俺は少女達とはさっき出会っただけの存在、知り合い?何か違うな、う~ん、

 

「………………ただの通りすがりです?」

 

結局、これが適切だった。

ここで「趣味でヒーローをやっているものだ」とでも答えたら、また違った未来もあっただろうが、どうにも中二病っぽいのでやめにした。

 

「そんな奴がしゃしゃりでてんじゃねぇよ!」

 

別にしゃしゃりでてるわけじゃ………

 

「でも、ほら、嫌がってるじゃないですか、“人が嫌がることはするな”って小学校で習いませんでしたか?」

 

敢えて挑発的に言ってみたら、案の定、凄いぶちギレて、

 

「あぁ、なめてんのか!?」

「なめてるわけじゃ………っていうかいい加減離したらどうですか?」

 

何時まで少女の腕を掴んでいるんだと思い、強引に引き剥がす

 

少女は瞬時に抜け出し、もう一人の少女と一緒に俺とチャラ男から距離を置く

 

「て、テメェ!」

「あなたは馬鹿ですか?」

「はぁ?ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!」

 

もう怒りすぎて変な顔になってしまった男に、俺は呆れながらも論破することにした。

 

「大体、一人で二人の女の子を狙うこと事態馬鹿げてるんだよ、それなりに計画をたててからやるもんだろ普通、それにその服装!如何にもチャラそうな服装で、誰だって逃げるに決まってるだろ!ファションがなってねぇんだよ、なって、冬に破けたジーンズとか無いだろ。」

「……………えっ?」

「それに口調も気持ちわるいし、纏わりつくような喋り方に虫酸が走るんだよ!もう一回、1から出直してこい!」

「………………はい、すいません」

 

 

最終的にアドバイスになってしまったが、一先ず、チャラ男の熱は冷めたようだ。というか出直してこいってなんだよ、二度と会いたく無いんだけど……………

 

「分かったならとっとと帰る!」

「は、はい!」

 

そそくさと来た道を引き返す男を横目で見送って、一呼吸置く。

うん、これからどうしよう………………やっぱり、背中に視線感じるよ

明らかにさっきの少女達なのだが、俺はどうしたらいいのか分からずに振り向けないまま、暫しの時間が流れた

 

 

 

 

 

 

「汐莉様~!梓様~!」

 

そんな沈黙を破ったのは、俺ではなく、況してや後ろの少女達でもなかった。

 

「桜さん、どうしてここが?」

 

桜さん……………そう呼ばれた女の人は俺の目の前を通りすぎ、二人の少女の元へ駆けていく

それだけなら普通なのだが、その女性は何故かメイド服(・・・・)を着ていた。メイド服で様呼び……………もしかしてあの二人の専属メイドとか……………………だとしたら俺はとんだお嬢様達に巻き込まれたんじゃ、

普通の街をメイドの女性が走っている。そんな異様な光景を俺は必然的に見届けたわけで、そしたら黒髪の方の少女と目があってしまった。

直ぐに目を反らすが、恥ずかしくて顔が赤くなる

き、気まずい……………………

少女も気まずいのか、それとも夕日の所為なのか顔を真っ赤に染めていた。

そんな事とは露知らず、金髪の少女とメイド服の女の人は話を続ける

 

「あまりに時間が遅いので町中を探し回っておりました。大丈夫でしたか?」

「うん、男に追いかけられて…………」

「もしかして、それはあそこにいる男ですか?」

 

いや、なんで俺を睨むんですか、無実ですよ、冤罪(えんざい)ですよ、助けた方ですよ。

女性とは思えない程の鬼の形相に俺は一歩………本当に一歩だけ!後ろに下がる

 

「違いますよ、あの人は私達を助けてくれたんです。」

 

あらん誤解を透かさず黒髪の少女が解いてくれる

 

「本当ですか?」

「は、はい」

「そうでしたか、疑ってしまい申し訳ありませんでした。なにぶん、お嬢様に纏わりつく羽虫が後を絶ちませんので…………」

 

は、羽虫ですか………………………

 

「申し遅れました。私は由緒正しき、高桐院家にお仕えしております。天神桜(あまがみ さくら)と申します。そしてこちらにおられますのが高桐院家のお嬢様、高桐院汐莉(こうとういん しおり)様と高桐院梓(こうとういん あずさ)様でございます。さしあたってはあなた様のお名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」

「あ、荒金悠真です。」

「悠真さんですね、お嬢様達がお世話になりました。」

「ほんと、助かったわ。有難うね」

「困っているところを助けて頂いて有難うございました。」

 

桜さんに汐莉さんに梓さんの順番で感謝される。やっぱり、そういう事を言われると悪い気がしないな、取り敢えず名前だけは覚えておこう。

それにしても、高桐院家……………聞いたことない名前だな。きっと凄く高貴なところのお嬢様なのだろう。今まで平凡な暮らしをしてきた俺にはメイドがいる生活とか想像できないな。

って、そんな事より、俺は一刻も早く家に帰りたいんだ。

チャラ男に巻き込まれた所為で、すっかり忘れてたが本来の目的は我が家に帰ることだ。

 

「すいません、1つだけ質問なんですが」

「そう言えば悠真、さっきも質問があるって言ってたわね。」

「はい、何でしょうか?答えうる限りで答えましょう。」

 

汐莉さんが俺をいきなり呼び捨てにしたので、だいぶビビってしまった。俺みたいな奴が、女の人に呼び捨てにされるとか何年振りだろう………いや、2年振りなんだけども、

 

「ここは何処ですか?」

 

少し間を置いて、俺はそう質問した。

 

「何処っと言いますと、この街の事ですか?」

「それも含めて、詳しく教えてもらえば幸いです。」

「そうですね………………京都府京都府(・・・・・・)です。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?

 

「えっ?京都?」

「はい、そうでございます。何か?」

「何々?もしかして悠真って馬鹿なの」

「汐莉!それは悠真さんに失礼ですよ」

「いいじゃない、」

「良くありません!悠真さんはとっても真摯でお優しい方なんですよ!お馬鹿な筈がありませんわ。」

「あれぇ~もしかして梓、悠真に惚れたとか?」

「ふぇっ!そ、そ、そういうことじゃ無くて」

「あははっ、梓ったら赤くなってる」

「むぅ~~、汐莉!」

 

汐莉さんと梓さんが何やら言い合ってるが、俺の耳には全く入らない

えっ?京都?鳥取じゃないの……………

まさかの県外だったことに衝撃がはしる。それでも京都って………京都って……………………

何か予想外だけど規格内だったみたいだ。鳥取と京都って案外近いし、車で行けない距離じゃない。修学旅行で行ったことあるし。

それでも1つだけ確かなことは、今日中に俺は家に帰れないということだ。

 

「俺、これからどうしよう(泊まる場所など色々)…………」

 

「「「えっ?」」」

 

 

これからに不安しかない俺だった

 

 

 

 





次回から荒金悠真の専属執事編です。
まあまあ楽しくしたいので、これからも暖かい目で読んでください。
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